大学のサイトには、公式サイトや受験生向けサイト以外にも、さまざまなものがあります。「大学Webサイトレビュー」では、そんな大学の知にふれられるもの、ユニークなサイトを紹介。第2回は京都大学が運営している「探検!京都大学」を取り上げます。
京都大学といえば日本を代表する大学の一つで、iPS細胞を開発し、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生の研究拠点としても注目されています。
今回お届けするのは、京都大学の「おもろい!」をグッと詰め込み、バーチャル探検ができる「探検!京都大学」。現役大学職員として、多くのWebサイトを見てきた筆者がその面白さを紹介します。
トップページのスタイリッシュさに驚かされる
「これは大学のWebサイトなのだろうか」。私が「探検!京都大学」を訪れてまず抱いた感想です。
コロナ禍の影響もあって、大学ではオンラインでの情報発信に力を入れるところが増えています。「探検!京都大学」も動画などを上手く取り入れており、短時間でも京大の魅力が上手く伝わる有益なコンテンツとなっています。
まず訪れてみるとトップページがゲームの街のようなデザインになっていて、とてもポップかつスタイリッシュな印象です。トップページにある建物たちは、京都大学にある施設を表しており(シンボルの時計台も!)、非常に面白みがあります。
さまざまな建物にカーソルを合わせてクリックをすることで、地面から建物が現れたり、鐘の音が聞こえたり、中には中に入れる建物など、さまざまな仕掛けがあり、“探検”の演出が感じられます。
この施設をクリックすると……!? どんな建物が現れるか、ぜひサイトをご覧ください
さて、「探検!京都大学」は、下にスクロールしていくことで、さまざまなコンテンツを楽しむことができます。
コンテンツとしては、先生の図鑑のほか、ノーベル賞受賞者のメッセージ、これまでの京都大学の発明、学生数などのデータ、京都大学の先生方を動画で紹介した京大シアターといったものがありました。
京都大学はフィールドワークをとても大切にしていると、「探検!京大」の紹介ページにありましたが、サイト内を移動して、さまざまなコンテンツを訪れることが「フィールドワーク」を表しているのかもしれないと思いました。
そのような魅力あふれるコンテンツがたくさんある「探検!京都大学」の中で、他の大学のWebサイトではあまり見かけず、印象深いと感じたコンテンツを2つ紹介したいと思います。
1つは「京大先生図鑑」です。2022年11月現在では、14人の先生が紹介されています
大学のWebサイトで先生の紹介というと、どうしても、堅くなってしまいがちですが、「京大先生図鑑」ではほかにはない切り口の質問をすることによって、先生の素の姿が見えて印象的でした。
先生の紹介ページの一部
名前を聞いたことあるような有名な先生の研究がわかりやすく紹介されているほか、「学生時代」「もし京大の先生になっていなかったら」「自分を漢字一文字に例えると」など、フランクな質問にも丁寧に答えてくれていて、とても親近感が湧きます。研究の紹介はもちろんですが、それ以上に先生の人柄を伝えようとする、“中の人”の思いが感じられました。
もう1つ印象に残ったコンテンツは「京大データ」です。
京大データは単に数字を羅列するだけではなく、イラストなどをうまく組み合わせることによって、訪れた人に視覚的に伝わるコンテンツにしている点がすごいなと感じました。
2020年の博士学位授与者数が777名っていうのはラッキーセブンで縁起が良い数字ですね。他人になんだか話したくなります。
見ていて飽きないデザインなので最後までどの様なページになっているんだろうと感じて、最後まで見てしまいました。
ユーザー視点を感じるこだわりのWebサイト
いまや企業も大学もWebサイトを持っているのが当たり前の時代になりつつあり、訪れた人が面白いと思うコンテンツでなければ、最後まで見てもらうことは難しくなりつつあります。
そのような中で「探検!京都大学」は訪れた人が楽しんでもらえるようにデザインの細部まで工夫して作られている点が印象深く感じました。
このコンテンツの面白さは、堅苦しいと思われがちな大学の研究等を身近に感じてもらえるよう、誰にとっても分かりやすいコンテンツになっている点です。フィールドワークや探検をしながら大学を知っていくという、Webサイトの作り方はとても斬新で、大人の方でも子どもに戻った気持ちで楽しめるような構成になっていると思いました。
スマホで「探検!京都大学」を見てみると、パソコン版とは印象が異なるのも興味深い点です。パソコン版とスマホ版、見比べてみるのも面白いかもしれません。