南紀白浜の名所、円月島を臨むロケーションに水族館があるのをご存知だろうか?! 85年の歴史を持つ「京都大学白浜水族館」だ。今回は夏休み期間中に開催されていたバックヤードツアーに参加。普段は見ることのできない舞台裏へ行ってきた。
白い建物が水族館。2014年にリニューアルした
「京都大学白浜水族館」は1930年に開館した、京大のフィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の付属施設だ。京大だけに(?)研究所っぽい、なんだか無機質な雰囲気を予想していたが、入るといきなりこの大水槽が現れた!
水量240トン、回遊魚とサメの大水槽
名物クエ、スズキ、タイなどおなじみの魚はもちろん、備え付けのルーペで観察できるちょっと不気味系の無脊椎動物約250種が水槽に鎮座し見応え十分。黒潮が紀伊半島へと運ぶ熱帯系の生物を中心に約1万点を展示しており、白浜が豊かな海だということが分かる。
他の水族館ではあまり見られないセンネンダイ
白浜や伊豆大島でしか確認されていないオオカワリギンチャク
ひと周りして楽しんだあと、お昼前にバックヤードツアーが始まった。先着10名(小学生以上)限定でスタッフの案内のもと“関係者以外立入禁止”のドアの向こうへ入ることができる。
まずはこの部屋から。奥にあるのはケガや病気の魚などを飼育する予備水槽
スタッフが働くバックヤードには、なぜかなつかしのダイヤル式電話があったり、カレンダーまで魚の絵だったり、飼育道具やウエットスーツが雑多に置かれたままで、普段の姿が垣間見えておもしろい。
魚用のエサの紹介のほか、さっきまで見ていた水槽を上からのぞくことも。ゲスト用の柵はないので、足を滑らせないように見てみると、エサがもらえると思ったのか、魚がひょこっと顔を出してくる。
魚たちのごはん。魚肉や海藻を使ったエサが数種類
水槽の裏側はこうなっている
冷凍庫を開けると…
エサになるアジのかたまり!
生物だけではなく、ツアーでは水族館の仕組みを知るさらに奥深い場所へも連れて行ってもらえる。
その仕組みというのが水族館の給排水システムだ。白浜水族館では、海水をかけ流しにする開放式と、設備が複雑な循環式という2つのシステムを採用。前者は新鮮な海水を使えるものの水温調節ができないため、ほぼ循環式を使っているという。
ツアーでは水族館の心臓部といえる循環式システムを見学。薄暗い設備エリアの奥へ進むと、一度使った海水をきれいにするろ過槽、海水をくみ上げる循環ポンプが現れた。生物がいることを忘れてしまうような重厚な雰囲気に圧倒される。
絶え間なく水が流れるろ過槽
循環ポンプ
そしてツアーのラストを飾るのは、入口にあった大水槽の上部。魚の大きさがよく分かるし、いつもと違った視点から魚の動きを観察できる。
約30分間のツアーはここで終了!
バックヤードは意外に広く、見上げるような設備や複雑な配管などが張り巡らされ、工場見学のようなおもしろさもある。ご紹介したのはほんの一部なので、舞台裏ならではの迫力や生物の飼育方法などマニアックな部分もぜひ楽しんで。