近鉄奈良駅より徒歩約5分。商店街や、観光地として賑わう奈良公園のすぐそばでありながら、静かで落ち着いた一角に奈良女子大学はあります。
前身の奈良女子高等師範学校から数えると創設して100年を越える奈良女子大学。学校敷地内に現存する建物からその歴史を感じます。「女子大っぽい!」と思わずにいられないかわいらしい正門と、入ってすぐの守衛室、更に正門から見える記念館が重要文化財に指定されているのです(現在工事中のため全貌は見えませんでしたが…)。
大学敷地内に複数の価値ある文化財、さすが100年の歴史を持つ大学は違いますね…!
そんな奈良女子大の学食では地産地消に取り組んでいて、そのご飯がとっても美味しいとのうわさを聞き、行ってきました!
かわいい正門。奥に見えるのが記念館です
なるべく「地産地消」!
奈良女子大学生活協同組合が運営する学生食堂「KOTO.KOTO.Kitchen」が取り組む「地産地消」。「地産地消」とは産地で採れた農水産物を、その土地でいただくことですが、他の産地のものと比べて、輸送にかかるエネルギーを削減することができますし、輸送時間がかからないので新鮮なものを食べることができます。また地域経済の活性化や地域文化の継承にも繋がり、良いことづくめなのです。最近、地産地消に取り組むカフェやレストランも多いですよね。その取り組みについて、責任者の加藤さんにお話を伺いました。
――地産地消に取り組まれてもう長いのですか?
そうですね。わたしの前任者からなので、少なくとも3年以上は続けています。
――地産地消のメリット、デメリットを教えてください。
メリットはとにかく美味しいこと。新鮮なお野菜は本当に美味しいです。学生にも評判ですよ。
デメリットは天候などに左右されることですね。農家さんの事情もありますし、収穫量にばらつきがでます。しかし、どんな状況でも食堂を利用する学生の食事を作らなければいけないので、こういった施設で全食材を地産地消でまかなうことは無理です。それでも美味しいものを食べて欲しいので、出来る限りの地産地消をめざしてます。
――どういった狙いがあってこの取り組みをはじめられたのですか?
奈良を好きになってもらいたいという想いがあります。地産地消というのは地元の方の協力あってこそできることなのです。大学ですので、長期休暇の期間は野菜を仕入れることが出来ません。なので取引相手としてはすごく不安定な立場なのです。それを快く了承してくださる、そんな方がいる奈良を好きになって欲しいという想いです。
地産地消とひとことで言っても大変むずかしく、全ては生産者さんの理解あって、はじめて成り立ちます。そんな大変なことを学生のためにと頑張る生産者さん、生協のスタッフさん。頭が下がります。
採れたての野菜たち(大根・チンゲンサイ・サツマイモ・茄子・大和コショウガ)
「食」へのこだわり
お話を伺っているなかで感じたのは「食」に対するこだわりの強さでした。そのこだわりの強さの背景はどこにあるのでしょうか。
――すごく「食」にこだわっていらっしゃいますよね。どうしてですか?
学生には自分自身で健康を作れるようになって欲しいのです。そのためにわたしたちは全力でサポートしています。奈良女子大の理念の一つとして「男女共同参画社会をリードする人材の育成」というのがあるのですけど、人をリードしていくにはやっぱり健康であることが第一ですから。「日本を支える女性」を支えるのが私たちの役目だと思っています。
――そこまで考えていらっしゃるなんて…。学生が羨ましいです。
学生あってこその学生食堂ですからね。学生の意見にはなるべく応えるようにしています。ご飯のサイズをSSサイズまで置いてみたり、地元を離れて暮らす学生たちに向けて郷土料理をふるまう週間をつくったり、季節ごとに食事を変えることはもちろんイベント時には期間限定メニューを提供したりしています。女の子はそういうの好きですから(笑)。
――メニュー数がすごく豊富ですよね。
そうですね。バイキング形式のおかずが45種、丼物が4種、麺類が4種、小鉢が10種、お味噌汁、スープが常に並ぶようにしています。そして小鉢一つをとってみても、その中で栄養素が偏らないように気をつけています。学生が喜んで食べてくれて、中にはレシピを聞きにくる子もいます。でも目分量で作る方がほとんどなので、レシピを聞いてもなかなか再現できないみたいです(笑)。
冬限定の一人鍋
ハロウィンセット
クリスマスセット
見た目もキレイで味ももちろん美味しい、栄養もばっちりだなんて、女の子が喜ぶこと間違いなしのメニューですね…!
実食!
こだわりをお伺いすればするほど、食べてみたくなるもの…。そんなわけで実際にいただいてきました!
鶏のチリソース、茄子の甘辛いため、里芋の煮物、サツマイモの甘露煮。
どれも美味しい!優しい味で、家庭の味といった感じでした。学生がレシピを聞きたくなる気持ちもわかります。
この中だと、茄子が地産地消にあたるそうです。茄子、本当に美味しかったです。
実際に学外の方でも利用があるのかきいてみたところ、観光で来られた方がときどき来られるとのこと。
訪れる際は、守衛室にお声かけ下さい。またお昼時12~13時は学生たちが多く利用するので、その時間は外してお食事を楽しんで下さいね。
奈良女子大に奈良公園の鹿が現れることも!
加藤さんとお話ししていて感じたのは、学生のことを本当に大事に想っているのだなということ。
愛情は一番の調味料と言いますが、本当にそうなのだと思います。加藤さんをはじめ、スタッフのみなさん、地産地消に協力してくださる生産者さんたち多くの方々に愛され、育てられる奈良女生。ここからどんな立派な「未来の女性リーダー」が登場するのでしょうか。楽しみですね。