ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

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  • date:2025.10.7
  • author:児嶋美彩

フクロウナビを駆使して起業のアイデアを考える!ホトゼロが開発した探究学習教材体験レポート

「起業」――それは、一握りの特別な人だけができるものでしょうか。いいえ、そんなことはありません。近年、教育現場でも注目されている「アントレプレナーシップ(起業家精神)」とは、自分で課題を見つけ、アイデアを形にし、社会に働きかけるマインドのこと。いまや、起業に限らず、どんな職業にも必要な力だと言われています。

 

そんなマインドを、「フクロウナビ」を使って身につけられる探究学習の教材を、株式会社hotozero(つまり、ほとんど0円大学編集部)が開発しました。今回は、この教材を使った授業を実際に編集部6名が体験してみましたので、その様子をレポートします。高校生向けの探究学習教材ですが、おとなが使ってもたくさんの発見がありました!

探究学習教材のダウンロード(無料)はこちら

※DLは現役教員、および教育委員会の職員に限ります。

膨大な記事から、思わぬ発見が続々!

フクロウナビ・トップ画面。2023年から私たち株式会社hotozeroが運営しています

 

では早速、探究学習をスタート!……といきたいところですが、その前にフクロウナビについて簡単に説明をさせてもらいます。こちらは、全国の大学や研究機関が発信する学術・研究記事を集約し、学問領域やキーワードなどから横断的に検索・閲覧できるナビサイトです。「学問ってこんなに社会につながっているんだ!」といった知的好奇心を刺激する記事が、なんと4,300本以上も紹介されています(2025年9月現在)。

 

今回の探究学習教材では、これらの記事を題材にして、学術や研究のおもしろさを実感しながら、ビジネスプランについて考えていきます。具体的には下記のステップで授業を進めていきます。

 

授業のステップ
Step1:気になるテーマを選んで記事をリサーチ

Step2:グループでビジネスプランを考える

Step3:みんなで考えたビジネスプランを発表する

Step4:振り返り

 

さあ、はじめていきましょう!

 

Step1:気になるテーマを選んで記事をリサーチ

豊富なジャンルのテーマを9つ用意

 

まずは3人1組のチームを作り、気になるテーマを1人1つ選びます。決まったら、そこからビジネスにつながりそうな記事をフクロウナビを使ってリサーチします。

記事数が多く、一瞬手が止まる人も

 

フクロウナビは、はじめにお伝えしたように4,300本以上の学術・研究記事が充実しています。膨大な記事数ゆえに「何から見たら良いのか……」と思う人も多いはず。そんなときに便利なのが、3つの検索機能です。

 

フリーワード検索

例えば、テーマが「健康」の場合は、そこから思いついた言葉を入力。試しに「睡眠」で検索してみると該当記事が100件以上表示されました。

 

テーマ検索

「良い検索ワードが思いつかない!」。そんなときには、検索バーの右側にあるアイコンをクリック。いろいろなキーワードや学問分野が表示されるので、気になるものを選んでみましょう。該当する記事がすぐに見つかります。

赤枠の中にあるアイコンをクリックしてください

自分では思いつかなかったキーワードが見つかるかもしれません

 

かけ合わせ検索

検索できるキーワードは1つではありません。キーワードを組み合わせて、すべてに当てはまる記事を探したり(AND検索)、どれか1つに当てはまる記事を探したり(OR検索)することもできます。例えば「興味・関心」で「ウェルビーイング」と「スポーツ」を選んでクリックしてみると該当記事が10件表示されました。このように、予想外の記事に出合えるのもフクロウナビの醍醐味です。

 

ちなみに、すべての記事にはAI要約がついているので、まずは概要をチェック。気になる記事があれば、リンク先の大学や研究機関のサイトでじっくり読むのがおすすめです。

これなら限られた時間でも概要が把握しやすい!

 

記事のリサーチが終わったら、次は一人ひとりが気になった記事をグループで共有し、起業のアイデアの中心となる記事を選びます。

他の人が選んだ記事について、興味深く耳を傾けている編集部スタッフ

 

実際にリサーチしてみると、意外な記事に出合えて「そんな研究があるんだ…!」「おもしろい!」と、声が上がる場面もありました。「あとでじっくり記事を読みたい」と言う人も。学術・研究記事というと敷居が高そうに感じますが、一般向けに親しみやすい切り口になっていたり、読みやすい工夫がなされている記事が多いことがわかります。

 

Step2:グループでビジネスプランを考える

選んだテーマをもとに、いよいよどんなビジネスが考えられるのか議論をスタート! 限られた時間の中でビジネスアイデアを形にしないといけないので、できるだけ議論が活発になることが理想です。

考えたアイデアをもとにワークシートを記入。ターゲットや商品・サービス、届け方など、段階を追って考えを深めることができます

ディスカッションをすると、アイデアがどんどん出てきます

 

「このアイデアをアプリにしたら楽しそう」と誰かが言うと、「そういえば、こういう悩みもあるよね」「それいいね!」と、そこから次々に意見が飛び交い、笑い声も混じって議論はどんどん熱を帯びていきます。自然とファシリテーター役が決まり、チームワークも生まれていきました。

 

Step3:みんなで考えたビジネスプランを発表する

議論が深まったところで、次は発表用原稿シートに書き込みます。

発表用原稿シート

 

「この言い回しのほうが伝わるかな?」と、真剣に相談する場面もあり、記入しながらさらにビジネスプランが深まっている様子。完成したシートをもとに、各チーム内容を発表します。さて、それぞれ一体どんなテーマを選んでどんなビジネスを考えたのでしょうか。

 

まず、Aチームが選んだテーマは「教育」。

参考にした記事は中央大学のオウンドメディア「+C」に掲載されている「文理融合で認知多様性研究に挑む 法学、脳科学、感性工学の立場から見た認知多様性の世界」です。

実際にAチームが記入したシート

 

この記事から導き出したビジネスは「子どもの発育を見守るアプリ」。記事内に書かれていた「多様性」にスポットを当てて考えたそうです。

 

「子どもの特性を“個性”と思っていいのか“療育”につなげるべきなのかの判断をするのは、なかなか難しい。しかも、そういった相談ができる施設は平日しかあいていなかったり数ヶ月先まで予約が埋まっていたりと、気軽にアクセスしづらい課題もあると思いました。そこで、子どもの特性を記録し、その内容をもとに先生と面談ができるアプリを考えました。先生からアドバイスがもらえたり、特性にあった知育玩具を紹介してもらえたり、年齢に合わせたおすすめ教材を提案してもらえる機能もあります。さらに、記録したデータをまとめて管理できるデータベースを作り、その情報をもとにカルテを作れるようにもします」

 

サービスの広げ方に関しても、このテーマならではの意見が出ました。

 

「子育てに関係しているので、信頼度が重要だと思います。そこで、行政と連携して信頼度をあげてから展示会などに出展するのはどうかと考えました」

 

続くBチームは、なんと別々のテーマをかけあわせたビジネスを考案。

実際にBチームが記入したシート

 

テーマの1つは「暮らし」で、選んだ記事は「『脱炭素化』はすべての企業に避けられない道」(千葉商科大学・MIRAI Times)。もう1つは「文化」で、「地図から覆い隠された都市の歴史を読み取る」(九州大学・Discover The Research)です。

 

これらの記事をもとに考えたビジネスアイデアは、その名も「避暑アプリ」です。

 

「テーマについて話し合う中で、気候変動や地図、地理、脱炭素といった話題が出ました。それらを統合して見えてきたのが日本の暑さ問題です。そこで、暑さをやり過ごすための方法や涼しい場所、家にいるときの過ごし方など、暑さにまつわるさまざまな情報がひとつにまとまった『避暑アプリ』を考えました。猛暑によって起きる問題は、健康はもちろん経済など多くの人に関わってくるため、SNS広告やインフルエンサーなどを使い、アプリの認知度を広げていきます」

 

それぞれの発表を聞きながら、「へぇ~!」「すごい」と、思わず感想を口にする編集部スタッフ。短時間でこんなビジネスアイデアが誕生するとは、正直に言って驚きです!

 

Step4:振り返り

最後に、振り返りシートを記入して授業は終了です。

振り返りシート

 

授業に参加した編集部スタッフに、今回の感想を聞いてみました!

 

「子どもの発育を見守るアプリ」のAチーム

「限られた時間の中で考えるのは大変でしたが、だからこそひねり出せたアイデアだと思います。また、3人それぞれのテーマで記事を出し合ったときに『自分だったらこの記事は選ばなかっただろう』と思う記事が読めて、とても楽しめました」

 

「私も子育て中なので、このアプリを使って孤独な子育てを減らすきっかけにしたいと感じました。また、ひとつ何かを考えると次から次にアイデアが出てくるので、メンバーを変えてみたらまた違ったビジネスが生まれるかもしれないと思ってワクワクします」

 

「認知の特性を文理融合で研究している方の記事は非常に興味深かったです。一人ではなく、みんなで話し合って作っていく過程が楽しめました」

 

「避暑アプリ」のBチーム

「暑さといえば、普段は我慢の話になりがちだけれど、なんとかしなければという実感をグループで共有できたのがおもしろかった。社会を変えていきたい思いがふつふつと湧いてきたので、いい機会になりました」

 

「避暑アプリがビジネスになったら、ぜひ使いたいと思いながら考えました。受け身ではなく、自ら社会のことを考えるきっかけをもらえました」

 

「これまで起業に興味はありませんでしたが『みんなの困りごとを解決する』という視点で物事をとらえると、アイデアがたくさんわいてくるのだと気が付きました。避暑アプリは、うまく仕組みを考えて実現できたらうれしいですね」

 

参加前は「この短時間で起業プランなんてできるかな」と少し緊張気味の編集部スタッフでしたが、実際にやってみるとさまざまな意見が飛び交い、想像以上に柔軟なアイデアが誕生しました。どちらのアプリも「実際にあったら助かるよね」と、みんなが話していたのも印象的でした。

 

「面白そう」「なんか気になる」が、未来を変える!?

自分の興味や気付きが、ビジネスや社会課題の解決を考える “スタート地点”になる。この探究学習教材は、そんな視点が自然と育つツールです。

 

今回は高校生向けに開発された教材を編集部で試しましたが、おとながやっても「なるほど!」「おもしろい!」と思える気付きや発見がたくさんありました。自分の興味が社会の課題とつながる瞬間を味わえるのは、純粋に楽しく、ワクワクする経験でした。

 

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※DLは現役教員、および教育委員会の職員に限ります。

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