ほとゼロでもこれまでにさまざまな日本酒を紹介してきましたが、「日本酒」という言葉で少し敬遠してしまう人もいるのでは。私も日本酒はあまり……の一人です。
以前ほとゼロでも紹介した、追手門学院大学が開発に携わった日本酒「MODERN」と「きっかけ」。こちらはまさにそんな人向けの日本酒です。
今回、この2つが7月に開催された高槻市ハイウェイフェスティバルで販売されると聞き、現場を訪ねました。
「MODERN」と「きっかけ」の二つは、追手門学院大学がある茨木市内の取り扱い店などで販売中。現在他地域の人は現地に赴くか、通信販売での購入が可能です。
この日は2つの卸、販売を担うかどや酒店が出店。追手門学院大学の学生も販売応援という形で関わっているとのこと。
昨年は米作りから日本酒完成までを手がけた追手門日本酒プロジェクト。今年は日本酒をどう販売するかということに主眼をおいて活動しているそうです。
昨年関わったメンバーもいれば、今年からプロジェクトに参加したメンバーも。このプロジェクトは学部学科の垣根を越えて希望者を募り活動する授業の一環なのだそう。
当日は夏らしいかんかん照り。呼び込みを行うのは、日本酒プロジェクトに関わる学生です。
2種の日本酒は氷でキンキンに冷やされ、カップでの提供も行われていました。足を止めるのは若いご夫婦や女性が多いものの、ちょっと変わった日本酒に興味を引かれる方も少なくありません。
この日は追手門学院大学でプロジェクトにも協力している日本酒Bar あさくらの店主朝倉康仁さんの姿も。今回のプロジェクトには朝倉さんも関わっているそう。
今回はどのようにこの日本酒を作り上げたのか、その内容を尋ねました。
学生ならではの新鮮な視点で新しい日本酒が誕生!
――「MODERN」や「きっかけ」を飲まれる方はどういう方が多いんでしょうか?
朝倉さん「ワインが好きな方や海外から来られた方、女性に人気です。ひとくちに日本酒といっても、香りや味わいはさまざま。今回作られた『MODERN』は酸味が強く少しとがった味わい、『きっかけ』はライトな口あたりで飲みやすくなっているので、その当たりが好まれているんだと思います。
どちらも大きいマーケットを狙うような、オーソドックスなお酒ではありません。ただ、今回はたくさん売ることよりも日本酒を飲むきっかけにしてほしいというのが目的。その目的にはしっかりマッチしていると思います」
当日私も2つを飲ませていただきましたが、「MODERN」は白ワインのようなすっきりとして酸味が強く、いわゆる辛いお酒とも違う不思議な味わいでした。またきっかけはもう少し甘みがあり、とくに冷やして飲むとすっと飲めてしまうさわやかさが魅力。しかし飲みきった後はふわっと日本酒っぽい穀物の香りがわずかに感じられ、より日本酒らしさを感じました。
とはいえどちらもいわゆる日本酒らしい日本酒とは違う新しさを感じます。
――製造にも関わっていらっしゃるとのことですが、こういうお酒になるまでどういう経緯があったんでしょうか。
朝倉さん「どちらも企画段階で秋鹿酒造の協力のもと、さまざまな種類の日本酒を飲み比べたり香りの比較を行い、学生が方向性を決めています。
飲みやすいお酒、ということでフルーティなものや後味がすっきりしたものが選ばれるだろと思っていましたが、学生が選んだのは酸味が強いもの。少し意外な結果でした」
王道から外れた味であることもあり、本当に受け入れられるのかという気持ちもあったそうです。しかし結果として狙いどおりの効果が出ていると言うから、学生たちの勘の鋭さに舌を巻いたそう。
若い感性はすごい……!
学年や学部も超えたプロジェクトの魅力
今回呼び込みをおこなっていた杉岡さん(2回生)にもお話を伺いました。
お客さんの呼び込みを行う杉岡さん
――このプロジェクトに参加したきっかけはなんですか?
杉岡さん「元々、実家にさまざまな日本酒があったことから、日本酒に興味はありました。追手門学院大学に進学してからこのプロジェクトの存在を知り、おもしろそうだと思って手を上げました。
こういった呼び込みや営業の経験も初めて。とにかく知ってもらいたいというのがあるので、声をかけることを重視しています。笑顔も大切。秋鹿酒造の名前で足を止める方もいらっしゃるので、そういう方に『大学生が造ったお酒なんです』と説明したり。プロジェクトは学部も関係なし、やりたいと思ったことをどんどんやれるので楽しいです」
追手門学院大学日本酒プロジェクトはまだまだはじまったばかり。
「MODERN」「きっかけ」は今後も販売店やイベントで購入可能です。
とくに今まで日本酒に興味はあるけどチャレンジは……と思っていた方にはおすすめです!