ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

【勉強会代替企画】近大だから、ウェブだからできることを追求する。近畿大学「サイバー入学式」

2020年7月2日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

ほとんど0円大学では、2019年から大学の魅力的な広報活動を紹介する大学関係者向け「勉強会」を行ってきました(第1回目はこちら、第2回目はこちら)。2020年度前期は、新型コロナウィルス蔓延により開催を断念した代わりに「大学のリアルを伝える、バーチャル体験」をテーマに4つの大学の取り組みをウェブ取材し、レポートにして紹介することにしました。今回は、その第3回目、近畿大学の「サイバー入学式」です。大学関係者のみならず、一般の方にも興味深い内容になっていますので、ぜひご一読ください。

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紹介する取り組み

サイバー入学式

近畿大学では、2014年度から卒業生で音楽プロデューサーのつんく♂氏プロデュースによる、派手なパフォーマンスの入学式を開催してきた。2020年度は4月4日に開催を予定していた従来型の式を、新型コロナウィルス感染症予防のために中止し、その代わりに「サイバー入学式」と名付けたWEB配信の入学式を同日に敢行。学長祝辞をはじめとする厳かな雰囲気のプログラムに加え、在学生・新入生で編成したKINDAI GIRLSによるパフォーマンスのミュージックビデオ放映、つんく♂氏や霜降り明星(せいや氏が卒業生)によるスタジオトークなど、番組として楽しめる工夫を盛り込んだ類を見ない入学式として話題になった。

◎2020年度サイバー入学式 特設サイト https://www.kindai.ac.jp/ceremony/special/

教えてくれる人

村尾友寛さん 近畿大学 広報室 課長補佐

國見憲吾さん 近畿大学 総務部 総務課(2020年度入学式プロジェクトリーダー)

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話題性と感動のある演出をウェブでどう実現させるか。

 ― 近畿大学の入学式は、つんく♂さんプロデュースとして以前から話題でした。今回の「サイバー入学式」も、反響が大きかったようですね。

村尾 入学式中止の発表では、あの入学式をやめるのかと、それ自体がニュースになりました。また、「サイバー入学式」というキャッチーな名称とつんく♂さんプロデュースの話題性で、当日の模様も多数のメディアに取り上げていただきました。

 

國見 中止の発表を公式に行ったのは、2月25日でした。新型コロナウィルスの感染防止対策を十分に施せないということで、ウェブ上で配信することにしました。入学式には、毎年、新入生と保護者を合わせて1万5000人が来場しますから、とても安全を確保できないという判断でした。遠方から来られる保護者もいらっしゃるので、なるべく早くお知らせする必要があるということで、早期のタイミングで決定しました。

近畿大学サイバー入学式2020

サイバー入学式の特設サイト。サイトからは、今でも入学式の中継動画を見ることができる

 

― ウェブで開催しようというのは、どのような判断でしたか。

國見 入学式を中止する、という選択肢はもとからなかったので、それならウェブ配信しかない、ということで、そこに迷いはなかったですね。むしろ、従来の入学式で感じてもらっていたような感動を、ウェブでどうやって実現するのかに気持ちが集中していました。

 

2月の公式発表時点で入学式用のプログラムはほぼ確定していましたから、当初は、無観客でそのままの内容で行ってウェブ配信するつもりでしたが、日を追うごとに新型コロナウィルスの感染拡大が深刻になり、どんどん変更せざるを得なくなっていきました。本学の入学式は、例年、応援部、吹奏楽部、KINDAI GIRLSをはじめ、体育会・文化会問わずほとんどのクラブが演出に協力してくれ、総勢300人以上の在学生が参加しています。しかし、チアリーダーのパフォーマンスで身体的な接触が発生したり、吹奏楽部なら楽器から飛沫感染が起こる可能性があるなどの懸念がありました。また、出演してもらった学生がインターネット上で攻撃対象になるリスクもあり、ウィルスだけでなく誹謗中傷から守る意味でも残念ながら在学生による演出の多くを見送りました。結局、新入生宣誓と、KINDAI GIRLSからの新入生へのメッセージを残すのがやっとでした。この決断が一番辛いところでしたね。

 

―逆に、ウェブだからこそできた、ということはありましたか。

國見 従来の入学式は、冒頭からフィナーレまでずっと流れていくものです。しかし、ウェブ配信の場合それでは少し起伏に欠ける。視聴者が離脱しないような工夫を考えた結果、新しい試みになりました。

 

軸となる式典自体は厳粛に執り行うのですが、その前後につんく♂さんと霜降り明星さんによるスタジオトークを組み込み、3部構成にしました。ニュースやバラエティ番組のような演出を加え、式典本体とは雰囲気の違う部分をつくって飽きさせないようにしたのです。2週間前の卒業式、オープンキャンパスでもすでにウェブ配信を実施していたので、そこで試行錯誤した成果も、入学式で生かすことができました。

村尾さんと國見さん

今回お話をうかがった、村尾さん(左)と國見さん(右)

マイナスの状況を逆手に取り、ウェブでしかできないことをする。

―卒業式などの経験を通じてどのような収穫があったのか、教えていただけますか。

村尾 卒業式は、一堂に会する式典を中止し、少人数規模になるように人数や時間を区切って卒業証書・学位記授与を行うと同時に、全学部対象の卒業式をウェブで配信しました。翌日のオープンキャンパスも生配信を行うことにしたのですが、私たちは動画配信のノウハウをあまり持っていなかったため右往左往しました。準備期間もタイトだったため、事前のチャンネル登録者に対する通知はどうするのだとか、追っかけ再生はどうしたらできるのかとか、やりながら学んでいくことになったんですね。そうして得たノウハウを、入学式に生かしていったということです。

 

卒業式で私たちの知識不足を補ってくれたのが、近大生YouTuberたちです。彼らはYouTubeのチャンネル登録者約40万人とか、Instagramのフォロワー数10万人以上とかインフルエンサーとしての拡散力を持っていて、以前から別の学内イベントで司会進行役を務めてもらうなど協力関係をつくっていました。彼ら自身が卒業生だったことから、キャンパス内に設置した特設スタジオから生配信の進行役を担当してもらうことにしました。

 

生配信を視聴してくれていた方のコメントには、「彼らの卒業の瞬間を見に来た」とか、「メイクや髪型がいけてる」、といった反応もありました。彼らを起用したことで、普通なら近畿大学にアクセスしないような層にも本学のことを知ってもらうきっかけになったと思います。これまでの入学式も終了後にその模様をYouTubeで配信し、つんく♂さんが好きな方をはじめ本学の学生ではない固定ファン層ができていたので、それと同じような現象が起きたといえます。

 

―入学式の話に戻りますが、先ほどテレビ番組のような、というようなお話がありました。確かに、大学発信でしかもライブの映像とは思えないクォリティの高さを感じたのですが、どのようなこだわりで制作されたのでしょうか。

國見 こだわりというのかわかりませんが、マイナスな状況を逆手にとって、リアルなイベントではできないことをやろう、という気持ちはありました。たとえば、学長式辞では思いっきり学長の間近で撮りましたが、従来の学生のいる式典ではそこまではできません。また、「入学おめでとうございます」という言葉の後に、客席に誰もいない風景を映してシュールな映像にしたり。また、ウェブで最後まで退屈せずに見てもらうのにはある程度のテンポの良さが大事だと感じたので、祝辞は全体的にリアル式典よりかなりコンパクトにして、トントントンと進んでいくように工夫しました。

学長の式辞

学長の式辞では、あえて誰もいない会場を映した

 

―入学式後に、スタジオに戻ってみんなでしゃべるところは特に、大学っぽくなさというか、斬新さを感じました。

國見 ついつい見てしまう、そんなところを狙いました。著名人が出演しているというのももちろんありますが、その目的は達成できたという印象があります。

 

また、新入生がインターネット越しで見ているだけでは、その場に自分がいる臨場感を感じられないだろうと思ったので、ツイッターで上がってくるコメントを番組の中で霜降り明星さんに読み上げてもらったりもしました。考えてみれば、これってウェブならではですよね。リアルだったら、式典中にツイッターをやっていたら問題になるところですから(笑)。新入生が当事者意識や関わりを持てるようにすることは、一つのポイントではないでしょうか。

 

―その意味でのライブ配信だと思うのですが、ただ、ネガティブコメントがあるのではないかという心配もありますよね。

村尾 確かにあります。だから、事前に対策を練っておく必要はあると思います。今回はいろいろな人のコミュニケーションの場にしたいとあえてオープンにしたのですが、やはり数件ネガティブなコメントも見受けられ、それなりに大変な部分はありましたね。

 

國見 専属の担当者を置いたほうがいいと思います。

 

―どのくらいの方が視聴したのでしょうか。

國見 YouTube Liveをリアルタイムで見てくださったのが約4万人、ニコニコ生放送が8000人超、式の後YouTubeで当日の放送を1週間ほど掲載していた動画の再生回数が6万回弱です。

 

村尾 ただ、これ以上にすごかったのが、入学式後、ウィルス感染免疫学を専門とする医学部・宮澤正顯教授による「新型コロナウィルス感染症対策講座」の反響です。新入生に贈る最初の講義として、コロナ時代の生き方を講義してもらおうという意図だったのですが、生配信が終わってYouTubeに動画をアップしたら、全国のさまざまな学校から、とてもわかりやすいからぜひ使いたいという依頼がたくさん寄せられ、中には手話をつけたいとかタイ語に翻訳したいというようなお話もあったり。結局、本編を超える37万回も再生されることになりました。

時代にマッチした形でのウェブ発信を追求していく。

―それだけたくさんの方に見られたという今回の入学式の成功を、どう捉えていらっしゃるでしょうか。

國見 プロデューサーのつんく♂さんからは、エンターテインメントの世界での経験から提案をいただいてあの形ができ、皆さんからもよい反響があったので、やはりお願いしてよかったと思います。新型コロナウィルスの影響でのイベント中止という最悪な状況の中で、近大なりにやれることはやれた、という感じがしています。

 

村尾 来年も、昨年までと同じように会場に新入生を入れた入学式ができるかといえば、できない可能性も高いでしょう。今年の経験に加え、7~9月でオープンキャンパスならぬ「クローズキャンパス」をやるので、そこでウェブ運用のノウハウを増やし、さらに新しい挑戦をしていきたいと思っています。

クローズキャンパス

近畿大学のクローズキャンパス。近大らしいネーミングセンスが素晴らしい

 

國見 今の時点で課題だなと思っているのは、新入生に新しくできた友だちとの一体感や臨場感を感じさせてあげることです。従来の入学式では、フィナーレで全員が肩を組んで校歌を歌って盛り上がるのですが、ウェブ配信でこの一体感を醸成するのは難しいなと感じています。

 

村尾 今回のサイバー入学式は、情報発信・広報戦略として一定の効果を得ることができました。今後は、オンラインイベントでも臨場感を出せるよう、新たな技術でできることもどんどん取り入れていきたいと思います。

 

さらに、新入生のケアは、入学式も含めて授業でもオンライン化が進む中で総合的に取り組んでいかなければならない問題です。本学では、前期の授業をオンラインで配信することが決まっていますが、その中でも学部やコースで日時を分け、キャンパスツアーとオリエンテーションを実施し、大学の雰囲気を少しでも味わってもらうとともに、友達作りができるような取り組みをしています。また、クラブ活動やサークルの新歓という大学生にとって最初のワクワクする大きなイベントの機会を失ったことで、在学生たちから自発的にクラブの紹介動画を流してほしいという要望が寄せられたのに応え、YouTube「新入生歓迎チャンネル」の動画を従来よりも充実させました。さらに、新入生だけでなく、全学生を対象としたものですが、「今だから読んでもらいたい本」を学長・副学長・各学部長などが選び、メッセージに本学と連携協定を締結しているamazonで図書を購入できるギフトコードを添えてプレゼントをするなど、時間の有効な使い方の提案を行っています。これまで、全てのキャンパス、拠点の職員、一部学部の教員・学生に段階的に導入していたコミュニケーションツール「Slack」を、全学部の教職員・学生総勢36,000人に導入することが決定しており、今後はこの活用によるコミュニケーションやケアの充実も進めていく予定です。

 

―アフターコロナには、大学生や受験生とのコミュニケーションが変わっていくという見方があります。近畿大学では、どのような情報発信をしていかれるのでしょうか。

村尾 私たちだからこそやれるいろいろな面白い取り組みをやっていきたいですね。直近でいうと、これから行うクローズキャンパスもそう。また、オウンドメディア「Kindai Picks」では、緊急事態宣言のときにコロナキャンペーンとして、ファーストビューから各コンテンツの窓までコロナ一色にしました。今後も医学部を擁する強みも活用しながら近大のリソースをすべて出して、コロナにどう向き合っていくか、といったところを正面から表現したいと考えています。「マグロマスクカバー」のような大阪の大学っぽいユーモアも出しつつ(笑)、バランスを取りながらやっていきたいと思っています。

マグロマスクカバー

ツィッターで話題になった「マグロマスクカバー」。完成度がすごい

 

全体的な方向性としては、ウェブ一極集中になる。新型コロナウィルス対応で、職員も教員も学生も誰もがウェブリテラシーを引き上げられました。今後は入試説明会やオープンキャンパスなどのイベントも、全部ウェブ中心になっていくはずです。こうして時代が大きく動いていく時は、私たちにとってのチャンスです。時代にいかにマッチしたものを発信して、大学業界の中でイニシアチブを取っていけるのかに挑戦したいと思います。

【勉強会代替企画】学生・生徒たちが主役のオンラインコミュニティづくり。立命館大学「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」

2020年7月1日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

ほとんど0円大学では、2019年から大学の魅力的な広報活動を紹介する大学関係者向け「勉強会」を行ってきました(第1回目はこちら、第2回目はこちら)。2020年度前期は、新型コロナウィルス蔓延により開催を断念した代わりに「大学のリアルを伝える、バーチャル体験」をテーマに4つの大学の取り組みをウェブ取材し、レポートにして紹介することにしました。今回は、その第2回目、立命館大学の「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」です。大学関係者のみならず、一般の方にも興味深い内容になっていますので、ぜひご一読ください。

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紹介する取り組み

Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)

Beyond COVID-19は、立命館大学をはじめ学校法人立命館に所属する学生・生徒・児童・教職員のためのオンラインコミュニティの場として、新型コロナウィルス蔓延を機に、2020年4月に開設された。オンライン上の講座やプロジェクトを立ち上げるオーナーやその運営サポートを行うサポーターを学園から広く募集し、企画から運営までを一貫して経験しながら何かやりたいという気持ちを育て、実践する機会を提供する。本特設サイトでは、これら学園関係者による講座、プロジェクトを受講できるほか、大学提供のオンライン講座も楽しむことができる。

◎Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ) https://r-rimix.com/covid19/

教えてくれる人

冨田沙樹さん 学校法人立命館 立命館SDGs推進本部RIMIX事務局

北元柊人さん Sustainable Week実行委員会/立命館大学政策科学部2回生

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学びやキャリアを考えるきっかけになる、学生自身が熱中できる体験を。

― 「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」は、単にオンラインコミュニティの場というだけでなく、学生や生徒でもプロジェクトを立ち上げられるというのがユニークだと感じました。どのような経緯でこのような場づくりをはじめられたのでしょうか。

冨田 私は、2019年9月にスタートした、社会起業家育成プラットフォーム「RIMIX」の担当をしています。RIMIXは、立命館学園内で展開しているSDGs達成の担い手を育む実践的な教育プログラムをつなげ、ビジネスを通じて社会課題を解決する人材・社会起業家を育成することをめざすプラットフォームです。2020年4月から新しい取り組みをスタートさせる準備を整え学生に広報しようとしていた矢先に、新型コロナウィルスの感染拡大により緊急事態宣言が出され、4月8日から立命館大学は休講、キャンパスにも入構できなくなりました。オンライン授業の準備もすぐには整わず、学びを提供できない事態です。特に気になっていたのは、新入生のことでした。登校できない、友だちもできない、先生との関係もつくれない。RIMIXとして何かしなければという思いに駆られ、学びを止めないために今できることは何かを考えはじめたのです。

 

4月10日にはビヨンド・コロナプロジェクトを発足させ、手はじめに13日から学生にアンケートを取りはじめました。今何をしているのか、何に困っているのか、何がしたいのかを中心に聞いていくと、一番困っているのは人に会えないことであり、人と話したいといったコミュニケーションのニーズが高いことがわかりました。また、何をしているかという質問に、ただただ寝ているといった答えもあり、この時点では、自粛という事態にまだ対応できていない学生たちの姿が浮かび上がりました。

 

こうした結果を参考に事務局で話し合い、ステイホームの間に何か自分で熱中できることを見つけ実行する場を提供し、大学での学びや、人生のキャリアを考えるもとになるような体験をしてもらうことにしました。まとまった時間が取れる今だから、そしてオンラインだからこそできることをやってみることで、これからの生活の変化にも対応できる術を身につけてほしいという思いもありました。自分が何かを人に提供する側になる経験が大切だと思い、学生や生徒自身にプロジェクトを立ち上げてもらうことにしました。とにかくスピード優先で取り組み、4月16日には特設サイトを公開しました。

ビヨンド・コロナプロジェクト

プロジェクト発足後、わずか6日間で「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」の特設サイトをオープンした

学生のやる気にとことん付き合い、ゼロからの立ち上げをサポート。

― 学生や生徒はどのようにしてプロジェクトを立ち上げ、実行していくのでしょうか。

冨田 応募してくれた人にはまずオンライン面談をして、どういうことをやりたいのかなどを聞いていきます。オーナーと呼んでいるプロジェクトを立ち上げる人以外にも、オンラインでの講座やプロジェクトの運営をサポートするサポーターも募集しましたが、サポーターで応募してきた人も結構やりたいことを持っていました。こちらとしてはできれば自分で立ち上げるのを経験してほしいので、「オーナーになれば?」などと薦めてしまい、結局、ほとんどがオーナーとして所属しています。

 

それぞれの企画はRIMIX事務局のメンバー4~6人でアドバイスをしながら完成までをサポートします。見通しがついてきたら企画書のフォームに従ってまとめてもらい、完成度を見てサイトに掲載しプロジェクトが立ち上がるという流れです。単にこちら側から働きかけるだけでなく、オーナー全員が集まれるオンライン上のコミュニティを用意して交流できるようにしているので、互いに刺激し合って成長していく様子もみられます。また、関係がありそうなプロジェクトの学生同士をつなぎ、一緒に新たなプロジェクトを運営してもらったりもしています。

「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」の運用フロー

「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」の運用フロー

 

― 学生さんたち自身のモチベーションがある程度高いから、うまく回っていくという側面もありそうですね。

冨田 確かに、そのような学生が集まってくれたという感じはします。私たちの支援やオーナー同士の話し合いなどには、チャットアプリのSlackやミーティングアプリのZoomを活用していますが、授業がない期間だったこともあり、エネルギーのある学生さんたちのオンライン上のやりとりには土日も深夜もありません(笑)。そういう場になるべく一緒にいてレスポンスを返していくことも、コミュニティづくりには必要だと感じました。もちろん、できるところまで、という感じではありますが(笑)。

 

現在までに85人強の学生・生徒が参加してくれています。できれば100人ぐらいまで増えてほしいですが、その一方で、そこまで増えるとフォローの手が回らなくなる可能性もあります。今後は、仲間同士で教え合い、高め合う、ピアチャレンジへのシフトが進んでいきそうです。

 

 

― 学生主導のプロジェクトというと事前に、さまざまなリスクを想定して及び腰になりがちですが、そのあたりは、どのようにお考えになったのでしょうか。

冨田 いろいろなことが起こるかもしれないけれど、それは腰を据えて面倒を見よう、という覚悟をもって臨んだというか(笑)。ふたを開けてみると、手を挙げてくれた学生や生徒はバランスの取れた人ばかりで、特に問題もなく進んでいます。

冨田さん

ウェブ会議アプリ「Zoom」を使ってやりとりをする冨田さん(左)

やってみたら意外にできる。オンラインが背中を押してくれた。

― 実際にプロジェクトを立ち上げた学生オーナーとして北元さんにお話をうかがいます。どのようなプロジェクトを実施したのですか。

北元 立命館大学Sustainable week実行委員会(以下SW委員会)として5月1日から6日までのゴールデンウィークに行った「Sustainable Week Live」です。SW委員会はSDGs活動の普及やリーダー養成などを目的に活動する学生団体で、毎年、秋冬にびわこ・くさつキャンパスで開く「Sustainable Week」をはじめ、他団体や企業と共同してSDGsに関連するイベントを行っています。こうしたオフラインのイベント経験やそれによってできたコネクションを生かしながら、何かインパクトのあることができないかと考えてビヨンド・コロナに応募しました。

企画にあたってまず考えたのは、物理的な距離の関係ないオンラインイベントだからこそ、いろいろな人に見に来てほしいということでした。冨田さんたちRIMIXの方々や先輩などにいただいたアドバイスも参考にしながら、次第に、幅広い人が自分の関心にしたがって選んで見に行けるようなライブという方向に固まってきました。自分たちで立てた企画に、これまでの活動でつながりのある団体や個人の方のご協力で発信していただく企画を組み合わせてバリエーションを増やし、全部で22企画を実施することにしました。

 

参加してほしい層として特に意識したのが、新入生や高校生など、まだアクションを起こせていないけれど、何かやってみたいとうずうずしている人たちです。彼らに気軽に参加してもらい、こんなことができると知ってもらいたかったので、若い世代に身近で、運営側も見る側も簡単に利用できるYou Tube Liveを選びました。Zoomも便利なツールですが、顔や名前を出して参加し、ライブの間中ずっと拘束されるのは少しハードルが高い。視聴するだけなら、もっと気軽にできるYou Tube Liveのほうがいいと考えました。質問したければチャット欄に書き込めるし、10分だけ見る、といった使い方もできます。

北本さん

「Sustainable Week Live」としてオンライン上で22の企画を実施。北本さんはその責任者として活躍した

 

― なるほど。学生さんならではの視点ですね。22企画のうちで、とくに人気だった企画を教えてください。

北元 一つは、立命館総長と学生が「ビヨンドコロナ後の大学生とキャリア」をテーマにディスカッションする企画です。仲谷総長の出演に話題性があり、学生も1回生、2回生の僕、4回生の2人と幅広い学年が参加して面白い内容になりました。視聴者のアンケートでは、ビヨンド・コロナのような活動をしている学生がいることを知って勇気をもらったとか、総長の考えを聞けて励みになったという声が多く寄せられました。

https://www.youtube.com/watch?v=G0WDyKVppDo  

 

もう一つは、「誰一人取り残されない世界の実現のために」と題した講演企画です。立命館大学新聞の学生記者と無国籍ネットワークユースという早稲田大学のボランティアサークルに所属する学生の2人が、ロヒンギャ難民などの取材を行った経験から考えたことを話してくれました。重い内容で、お昼の12時からという時間帯がミスマッチかと思ったのですが、学生が実際に経験したエピソードにはとてもインパクトがあり、思わず聞き入ってしまうような内容。この番組が視聴回数274回で、22企画中でトップになりました。

https://www.youtube.com/watch?v=N95cezyXElk  

 

―  プロジェクトを経験してみて、何か感じたことはありますか。

北元 僕はこれまで自分で行動を起こすことがあまりなかったのですが、この経験を通じて、やってみたら意外とできるんだ、と思えました。僕自身SW委員会に所属したのは3月のことで、今回のプロジェクトを一緒に運営した人たちとはオンラインで話すだけで直接会うことなく企画をまとめたのですが、オンラインだけで成立することにも驚きました。

 

また、「ビヨンド・コロナ」のしっかりしたホームページがありSNSも動いていたことで、参加するうえで安心感がありました。運営されている職員や関係者の方々に「協力してください」と言いやすい点でも、飛び込みやすいプラットフォームだと感じています。

 

冨田 その点については、オンラインサービスに手馴れている人たちのおかげというか、重要性を改めて実感しましたね。アップした情報をすぐSNSに流すなど運用の工夫をしたり、オンライン周辺のことが得意な若い世代との協働によってずいぶん助けられ、より効果的な発信ができました。北元くんたち学生もやりたいことに最適な発信ツールを考えてくれましたし、大学でオンラインサービスのようなものに取り組む際に、当事者の学生世代抜きで進めるのはナンセンスだと思います。

 

もう一つよかったのは、私たち現場がある程度まで判断を任せられていたことです。RIMIXは部署横断的のプロジェクトで私を含めた職員に加えて、外部で活躍している卒業生や学生もチームメンバーにおり、さまざまな試みを比較的自由にやらせてもらっています。通常の大学業務では会議による決裁などでスローになりがちなプロセスを省略しチーム内でほぼ完結できる形で進められたので、スピーディに展開することができました。

社会課題の解決に挑戦する学生を育てる、コミュニティとしてさらに活性化。

― 「ビヨンド・コロナ」はこれからどうなっていくのでしょうか。

冨田 「ビヨンド・コロナ」は、RIMIXという社会起業家育成プラットフォームから派生したいわゆる積極層の学生たちの活動コミュニティをつくる取り組みなので、どこかでRIMIX本体の活動と合流させ、RIMIXをさらに活性化させていこうとを考えています。ここで出会えた学生や生徒たちには、次のステップとして、社会課題をビジネスの視点を持ちながら解決する、という方向に進んでいける仕掛けの構築を、急ピッチで進め、実施しています。

 

北元 僕たちのオンラインでの活動は、ゴールデンウィークのライブ後も定期的に進めていますので、皆さんにぜひのぞきにきてほしいです。

ダミー

立命館大学 Sustainable Week 実行委員会では定期的にオンラインイベントを開催h。詳しくは、公式Youtubeチャンネルをチェック

 

― では、アフターコロナについても少しお考えを聞かせてください。「ビヨンド・コロナ」の経験から、何か見えてきたものがあるでしょうか。

冨田 今後の世界は読めませんが、少なくとも、ますますオンライン化が進んでいくことは確実だと思います。今回の経験で、社会起業家育成のプログラムについてもオンラインで結構やれる、という手ごたえを感じました。立命館は全国各地に学校があり、そのすべてを対象にした進め方のヒントになりました。一方で、コロナとは関係なく、知識を一方的に伝授する形の学習は今後、無くなっていく傾向にあると思います。そこでは、何かに集中し自分でプロジェクトを立てて実行していくような経験ができる環境を、学校がいかに多くつくれるかが重要になってくると思います。オンラインをうまく使って、こうした学びの変化に対応していく必要があるのではないでしょうか。たとえば、場所の制限なく人に会えるというオンラインの特徴を活かして、知的交流を広げるために活用できるインフラを大学がつくることで、より刺激的な体験や交流をサポートしていくというようなことも考えていきたいと思います。

 

― 北元さんは、大学に対する今後の期待などありますか。

北元 オンラインではどこにいても相手に会えるので、大学の教授や職員の方との距離がより近くなるのではないかと思っています。物理的な距離だけでなくオンラインであることで心理的なハードルが下がり、会うことが簡単になったということをプロジェクトを通して体感しました。大学と学生の距離感が縮まることで、さらに新しいことに挑戦しやすくなると思っています。

【勉強会代替企画】600本の動画を活用した授業体験コンテンツを公開!東洋大学「“学び”LIVE WebStyle」

2020年6月30日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

ほとんど0円大学では、2019年から年2回、大学関係者を対象に、大学の魅力的な広報活動を紹介する「勉強会」を行ってきました(第1回目はこちら、第2回目はこちら)。2020年度前期も同様に開催する予定でしたが、新型コロナウイルス蔓延により開催を断念。代わりに「大学のリアルを伝える、バーチャル体験」をテーマに、勉強会でぜひ発表してもらいたかった4つの大学の取り組みをウェブ取材し、レポートにして紹介することにしました。今回はその第1回目、東洋大学の「“学び”LIVE WebStyle」です。大学関係者のみならず、一般の方にも興味深い内容になっていますので、ぜひご一読ください。

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紹介する取り組み

“学び”LIVE WebStyle
東洋大学の幅広い学びを実際に受講できる受験生向けの体験型イベント「“学び”LIVE授業体験」とウェブ上の動画コンテンツを組み合わせた特設サイトとして、2020年3月に開設。東洋大学のすべての学部・学科の教員による600本以上の授業動画をオンラインで楽しむことができる。
◎“学び”LIVE WebStyle http://www.toyo.ac.jp/nyushi/manabi-webstyle.html

教えてくれる人

加藤建二さん
学校法人東洋大学理事・入試部長。1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活33年中21年が入試部勤務。13年から紙の大学案内を廃止、オールインターネット出願に移行し、入試情報サイト「TOYO WebStyle」をはじめる。

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受験生向け人気イベントをベースに、情報格差を埋めるコンテンツを。 

― 「“学び”LIVE WebStyle」を開設された経緯から教えてください。

東洋大学では2000年から、「“学び”LIVE授業体験」という受験生向けの模擬授業イベントを毎年、3月・6月に実施してきました。1日に100講座以上の模擬授業を開講して、受験生は自分の好きな授業を選んで時間割を組んで、大学の授業を体験するイベントです。大学での学びの内容を知りたいという意識の高い受験生の参加が多く、オープンキャンパスより一般入試への出願率も高い傾向です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から今年は中止せざるを得なくなったため、ウェブで展開しようということになり、「“学び”LIVE WebStyle」と名づけて2020年3月にオープンしました。

学びライブTOPb

600本以上の授業動画が楽しめる「“学び”LIVE WebStyle」

 

― このコンテンツは、とても充実していますね。短期間にあれだけのものをつくるのは大変だったのでは?

2月初めには新型コロナウイルスが拡大する事態を予測し、イベントの中止とウェブコンテンツの開設を即断しました。

 

実は5年ほど前から「Web体験授業」という動画コンテンツを制作しており、すでに600本以上をホームページ上で公開していました。各学部の専任教員の専門分野について、研究内容の解説とそれが世の中にどう役に立つのかを軸として、授業形式にしたものを15分ぐらいの動画にしています。それを今回開設した「“学び”LIVE WebStyle」の中のメインコンテンツとしてはめ込んだのです。

 

― 「Web体験授業」は、そもそもどういう意図でつくられたのでしょうか。

「“学び”LIVE」は生で模擬授業を体験するところに意義があるのですが、ネックは、特定の日時に東洋大学のキャンパスで実施するため、どうしても関東圏以外の高校生が参加しづらいことでした。そこで、動画配信というスタイルで模擬授業を収録し、遠隔地の高校生や海外の方にも同じように情報を発信したいと考えてつくりはじめました。

 

東洋大学は、2013年度から紙の大学案内を一切止め、全ての受験情報をウェブで展開していくことにシフトしたのですが、その時のコンセプトは、地域による情報格差や、キャンパス所在地へ移動することによる経済的な負担を、ウェブを活用することで無くしていこう、というものでした。東洋大学の創立者・井上円了は、「余資なく、優暇なき者(お金が無い者、時間が無い者)」のために「社会教育」と「開かれた大学」を目指していました。まさにこの理念の具現化として、受験機会の損失を防ぐことをウェブの活用で解消しようという狙いだったのです。また現状では専任教員の約8割近くが動画で登場しています。これはある種の教育情報の公開の要素も多分に含まれています。

東洋大学理事・入試部長 加藤建二さん

学校法人東洋大学理事・入試部長 加藤建二さん

社会にどう役立つかが焦点。マッチング効果も期待できる。

― 授業動画をつくる上で苦労されたところは、どんなところでしょうか。

一番時間がかかるのが、事前の打ち合わせです。当初は、学部学科から教員を選出してもらい、趣旨や目的を理解してもらった上で打ち合わせに入りました。授業のストーリーを立てるために、さまざまな資料を確認します。教員の紹介したい専門分野について、受験生の目線でもう少しわかりやすくしましょうとか、担当職員も積極的に意見を出します。でも、どうしても事前打ち合わせには時間がかかります。

 

ただ、ここは時間のかけがいがあるところだと思っています。究極の学生募集活動とは、自大学の教員や研究テーマを紹介すること。特に意識しているのは、世の中の課題に対して研究がどう役に立つのかというところです。動画を見てこの先生のゼミに入りたいという受験生が志願してくれるのが一番のマッチングです。実際、そういう学生が徐々に増えているという手ごたえも感じており、それは教鞭をとる教員にとっても大きなモチベーションになっています。また、どれぐらいの人が見たかというデータを学部にフィードバックしていることも、より良い授業をしよう、という教員の意欲につながっているようです。副次的にはこの授業動画を見てメディアから取材を申し込まれることもあります。

 

― 社会との接点も意識されて、つくっていらっしゃるんですか?

受験生向けではありますが、難しい研究内容を端折って説明しているのではありません。むしろ、大学ではこんなに難しいことをやっているのだということをわかってもらいたい。だから、私たち大人が見て学問に興味を持ってもらえるものを目指しています。そのためか、大学業界の方やメディアの方、また一般社会人の方が結構視聴してくれているのです。USR(大学の社会的責任)の観点からも社会に対して東洋大学が行っていることを広報する役割の一翼も果たしているようです。これからの大学は授業や研究内容などの中身を見て選んでもらう時代です。どういう教育をしているのかを判断していただくには授業を見てもらうことが、大学として一番大切だなと思っています。

 

― 映像はずいぶん工夫されているようですね。

カメラを多い時で6台ぐらい使って、学生の表情も撮っています。定点で1台だけカメラを置いて、正面から撮った映像を見続けるというのは、辛いですよね。

 

大学案内を廃止したタイミングから一気にウェブにシフトし動画を増やし始めたのですが、その時よりも今は短い動画のほうが伝わると感じており、3分程度で完結する動画も増えています。撮影も授業の合間に行わなければならないので、当初は、何十本も並行して作業を進めていました。撮影スタッフには打ち合わせ段階から一緒に入ってもらって、チームでつくっていくという感じで進めています。

 

あと入試部の職員にとっては、動画制作の過程で教員の研究内容について知識を深めることができたのが、大きなメリットでした。受験相談会や高校訪問の際に学びの説明をするのにもふくらみが出ますし、動画を見せながら具体的に話をするなどある種の営業ツールとしても活用してます。

 

― 「“学び”LIVE WebStyle」は、今後も継続されていくのですよね。

この状況下では、「“学び”LIVE授業体験」のような体験型のイベントを開催することは難しいでしょう。今後はさらに新しい動画コンテンツも加え、一層の充実を図っています。

 

将来的には、オープンキャンパスもオフラインからオンラインに移っていくのかもしれませんね。東洋大学のオープンキャンパスは、1つのキャンパスに1日1万5000人が訪れます。しかしこれからはwithコロナの時代です。いくら感染防止対策をしたとしても私たちのコントロールが及びにくく、現状では開催は難しいでしょう。海外の方も含め、いつでも・どこからでも見ることができる、参加できる、オープンキャンパスに変えていかないといけないでしょう。

講義動画

キーワードから授業動画を絞り込める。どのキーワードでも、かなりの本数が出てくるのがすごい。

ウェブでできないことはない。切り替えが一気に進む可能性。

― お話をうかがっていると、2013年に紙主体の学生募集からウェブ主体の学生募集へと大きく舵を切られて以降の積み重ねが、今回の対応につながっていることがよくわかりました。ウェブ発信に転換されたこと全体による効果を、どのように感じておられますか。

 

効果という意味で顕著に表れているのは、志願者数だと思います。こうしたところにもウェブにシフトして授業動画を公開している効果を実感しています。しかし大学から発信できる情報は限られているので、発信したものをタイムリーにどれだけ社会に取り上げてもらえるかが大事になります。例えば、「紙のパンフレットがない」と言い切ったので、徹底したへウェブ発信への移行が話題になり、改革力のある大学というイメージも作られたのではないかと思います。ごく初期には、高校のベテランの先生からクレームが入ったこともありましたが、今の高校生が社会人になるころにはそんなことは言っていられないでしょう。時代の情報感度に、大学側も合わせていくことが必要です。

 

一番のメリットは、ウェブ発信だとスペースを気にせず情報がどんどん更新できることです。紙のパンフレットだと印刷した瞬間から情報が古くなっていくのが課題だったというのも、紙媒体をやめた大きな理由の一つなのです。また、紙媒体は手間もかかるし制限も多い。本学は49学科・専攻ありますから、1学科・専攻4ページずつでも200ページ近くになって、ゼミ紹介や学生の声など各学科1本ずつぐらいしか入れられません。しかも発行は年1回がせいぜい。ウェブなら、カリキュラムをはじめいろいろな教員や学生がいて多様な方向をめざしていることもしっかり表現でき、情報がある学科はいくらでも掘り下げて紹介できます。仕事の仕方も、かつての大学案内の制作がはじまる秋口(入試実施が本格化する頃)から集中的に情報を集めるスタイルから、年中学内の情報をピックアップするという形に変わりました。もちろん、コスト面も大きいです。紙媒体をやめたからこそウェブを充実させ、動画コンテンツをこれだけつくることができたのです。

入試情報サイトtop

東洋大学の受験生向け情報発信のハブサイト「TOYO WebStyle」

 

― 高校生や高校の先生方への対応で、変わったことはありますか。

ウェブ発信にしてから、学生募集では連合型の新聞広告もとても少なくなりましたし、資料請求の呪縛がない状況では受験雑誌への出稿も厳選することが出来ました。ウェブは基本的には来てくれるのを待つ受け身になるので、その分、対面活動となる高校ガイダンスで積極的にプッシュしています。生徒たちにウェブページのコンテンツや登録の仕方などをパワーポイントで丁寧に説明し、「さぁ、この先を見ていきましょう」というように働きかけるのです。

 

先生方にはもっと便利にウェブを使っていただけるように、「高校マイページ」という仕組みをつくりました。各学校向けの必要な情報を提供する専用ページです。今だと、高校別の入試結果、新型コロナウイルス対応の選抜方法の変更を検討中といったお知らせなどを配信しています。将来的には、その高校の出身者の方が在学中にどのような活躍をされているかといった情報もフィードバックするなど、高校の先生方と直接コミュニケーションが取れるツールへと進化させていきたいと思っています。

 

― ウェブでできないことはもうない、わけですね。

ウェブ発信に転換してから、さまざまなことのハードルが下がりました。入試に関して、願書や受験票なども含め受験生向けに郵送しているものは一切ありません。合格通知もダウンロードしてもらう形式にしていますし、入学金などの振込用紙も送りません。クレジットカード決済もネットバンキングも使えるようにしてありますから、土日に振り込んだり、受験生側も銀行窓口に行く手間暇が不要で便利ですし、こちらも手続きの進捗がリアルタイムにつかめるメリットがあります。高校の調査書も電子化の方向に進もうとしていますので、そうなれば受験生と大学の間の郵送のやり取りは一切なくすことができます。また、本学は、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択されており、留学生を多く受け入れていますが、その点でもウェブですべての入試事務に対応できると効率がいいのです。ネット出願を導入した時もそうでしたが、受験生にも大学にもお互いにメリットのあることは、あっという間に拡がっていくのではないでしょうか。

 

新型コロナウイルスの影響で、一度、変わってしまった社会が完全に元に戻ることはないと思います。本学のようにウェブでの情報発信にシフトしている大学は、まだまだマイノリティです。紙媒体の学生募集をやめて7年の間に他大学100校以上の方が話を聞きに来られましたが、東洋大学のように紙を完全に止めたという大学はまだ聞きません。しかし、この機会に一気に変化がやってくるかもしれませんね。この流れに乗るのは大変かもしれませんが、もう少し仲間を増やしていきたいというのが、私の本音です。少しだけ先駆けてきたノウハウはいくらでも提供しますので、ぜひお問い合わせください。

立教大学の小澤先生に聞いた、北ヨーロッパ発祥のルーン文字2000年の歴史に秘められた数々のドラマ

2020年4月16日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

映画作品やゲーム、占いなどに使われる「ルーン文字」。下の写真の石碑に刻まれているような文字であるが、ご存じだろうか。今は日常言語としては使われていない失われた文字であり、その神秘的な雰囲気が人々をひきつけている。しかし魔術的、神秘的なイメージが先行し、実際どんな文字だったのか?という点が見えにくくなっているのも確かだ。そこで今回、北欧中世史を専門とし、ルーン文字に詳しい歴史学者、立教大学の小澤実教授に、ルーン文字が辿ってきた足跡や使われ方についてお話を伺った。

スウェーデンのウップランドに建つ、ルーン文字が刻まれた石碑

スウェーデンのウップランドに建つ、ルーン文字が刻まれた石碑
※出典:I, Berig / CC BY-SA(トップ画像は同ファイルをトリミングして使用)

立教大学文学部の小澤実先生。ルーン石碑や古アイスランド語等の文字史料、墓地や船舶等の考古資料も利用して研究を行っている

立教大学文学部の小澤実先生。ルーン石碑や古アイスランド語等の文字史料、墓地や船舶等の考古資料も利用して研究を行っている

石、金属、木に書いた文字

「ルーン文字が生まれたのは、おそらく今のデンマークの南の辺り。当時周辺にはローマ帝国の公用文字として利用されていたラテン文字の世界がありました」と、小澤先生。ラテン文字とは、今私たちが使っているABC…というラテン・アルファベットのことだ。紀元前30年頃、ローマ帝国は地中海世界を統一し、その後、アルプスを越えてヨーロッパにまで領土を拡大した。1世紀には、文字を持っていなかったゲルマン世界のすぐそばまでローマ帝国の勢力が伸び、ラテン文字に影響を受けて2世紀頃に作られたのがルーン文字だとされている。

西暦500年頃に作成された、古フサルクが刻まれたブラクテアット(黄金性メダル)

西暦500年頃に作成された、古フサルクが刻まれたブラクテアット(黄金製メダル)
※出典:Upphovsman: Ulf Bruxe, 1993-08-16, SHM Upphovsrätt: SHM Licens: CC-BY. / CC BY-SA

 

ルーン文字のアルファベットは、最初の6文字をとって「フサルク(fuþark)」と呼ばれる。後に文字数や形が変化していくが、出現当初の24文字のフサルクは「古フサルク」と呼ばれ区別されている。ローマ人たちは紙やパピルスを使っていたがゲルマン世界では紙がなく、書く材料といえば石、木、金属などであったため、直線で書けるような素朴な形になったらしい。

 

「現在残っている古フサルクは、400例ほど。事例が少なすぎて、ルーン文字がなぜ、どのようにして生まれたのかははっきりわかりません」と小澤先生は語る。ローマ時代には、ゲルマン人がローマに行って兵士になったり、商取引で行き来をしたりしていた。その人たちが、自分たちも文字を持ちたい、使いたいということで作った可能性はある。しかし、残っている古フサルクのほとんどが武器や防具、お守りなどに刻まれた短い単語で、「古フサルクには、どちらかといえばお願いや呪いなど、宗教的な機能を持たせて書かれたものが多い」とのこと。

 

「これはルーン文字だけでなく漢字もそうだったのでしょうが、文字自体がまだ珍しく多くの人は文字が読めないため、文字に特殊な意味や機能を持たせていた、ということはあり得ます。その意味では、呪術的な要素があったかもしれません」

 

ルーン石碑をのこしたヴァイキング

誕生の頃はゲルマン世界で広く(ただし限定された人々の間で)使われていたルーン文字は、キリスト教の影響を受けるにつれてラテン・アルファベットにとって代わられていく。その中で北欧は、キリスト教の影響を受けながらもルーン文字が残った。ヴァイキングの時代には16文字に削減されたルーン文字(新フサルク)が主要文字として使われ続けた。

 

ヴァイキングは、9世紀頃から11世紀頃までにスカンディナビア半島、バルト海沿岸に住んでいた人々。牧畜、農耕、漁労を中心にしていた北欧人が、イングランドやイスラム、ビザンツなど文化や言葉が違う人たちとコミュニケーションをしながら交易をするようになったのがヴァイキングの時代といえる。少数の人たちしか使えなかったルーン文字も、この時代には、日常的なコミュニケーションの道具になっていた。

 

「あまり書いたものをのこしていないヴァイキングですが、内外での戦闘やなんらかの理由で命を落とした人たちの業績や生涯を記念するために石碑を建てる習慣がありました。ルーン文字で書かれたこうした石碑をルーン石碑といい、北欧全体に今でも3000程度がのこっています」

デンマークのイェリング石碑。小石碑はゴーム王が妻を記念して、大石碑はハーラル青歯王が両親を記念して建立させた(ハーラル青歯王は、現代では無線通信技術「Bluetooth」の名前の由来としても知られる)

デンマークのイェリング石碑。小石碑はゴーム王が妻を記念して、大石碑はハーラル青歯王が両親を記念して建立させた(ハーラル青歯王は、現代では無線通信技術「Bluetooth」の名前の由来としても知られる)
※出典:Casiopeia / CC BY-SA 2.0 DE

 

石碑は1mから2mぐらいのものが多く、一枚の岩の表面に文字や絵が描かれている。今も人目につく道路や広場などで雨ざらしになっているし、工事によって発掘されることも多いそうだ。学生時代にヴァイキングの研究を始めた小澤先生は、北欧留学中にルーン石碑が道端に普通に建っているのを見て、面白いと感じたという。ヴァイキング自身が書いた石碑は、当時のことがわかる一級の史料といえるからだ。

 

ヴァイキングには、海賊や略奪のイメージがつきまとう。しかし普段は農業や漁業を生業とし、高度な造船技術を使って交易にも能力を発揮した人々だったことがわかっている。イギリスやフランスの教会や修道院のお宝を略奪していたのも事実だが、そこばかりがクローズアップされていたのは、「記録を残しているのが、被害者側だから」。

 

「ラテン語や古英語のテキストを読むと、北からまた野蛮人が来たとか、そんなことが書いてある。でもよく読んでみると、北からだけでなく隣の領地から来たという記述もあります」

 

ヴァイキングが活動した時代は、今のドイツ、フランス、イタリアのもとになるような国ができた頃。ヨーロッパには、北のヴァイキングだけでなく、南からはイスラム教徒、東からはマジャール人などが侵入し、日本の戦国時代のような戦乱期だった。

 

「ヴァイキングには野蛮というだけではない文化的な側面が数多く見られます。たとえば、スカルド詩人と呼ばれる人たちは、ヴァイキングの首領の戦いに随行して戦の様子を詩にあらわし、宴会などで節にのせて語りました。残っている詩は、言葉を言い換えたり韻を踏んだり、高度なテクニックを使った文芸志向の高いものです。また、ヨーロッパの中で彼らの造船技術は圧倒的に優れており、彫刻が施されるなど美術的にも高い価値を持っています。ブローチやペンダント、腕輪といった銀細工の宝飾品も芸術的です」

 

ヴァイキング時代の終わりには、デンマーク王、ノルウェー王、スウェーデン王らが出てきて、さまざまなヴァイキングを統合して国をつくった。北欧はキリスト教化していき、12世紀にはラテン語が公用語となり文字もラテン・アルファベットが使われるようになった。

 

「かつてはそこでルーン文字は消えたとされていたのですが、現在世界遺産になっているノルウェーのベルゲンにあるブリッゲン地区で、1955年に起きた火災の処理作業中、ルーン文字で書かれたタグが発見されました。これによって中世になってもルーン文字が使われていたことがわかりました。商人の世界などでは、ラテン文字と並行して使われ続けていたようです」

1300年頃にルーン文字で書かれた中世デンマークの法

1300年頃にルーン文字で書かれた中世デンマークの法
※出典:Template:Asztalos Gyula

今、ルーン文字がいる場所

一部では使われていたが、一般的には忘れられた存在となったルーン文字は、16~17世紀に再び注目を浴びる。

 

「ルネサンス期のヨーロッパ人は、いかに自分たちがギリシア・ローマ文明とつながっていたかということを重視しました。ところが北欧はいくら辿ってもギリシアやローマとはつながらない。そんな時に、現在の歴史学の水準では間違った解釈なのですが、『自分たちの祖先であるゴート人が利用していた、ギリシア文字やラテン文字よりも古い文字』としてルーン文字が呼び出され、プライドの源泉になったのです」

 

さらに19世紀ロマン主義の時代には、一つの民族は一つの言語を持つといったナショナリズム的な考え方とも結びつき、自分たちのアイデンティティを示す言葉として、北欧やドイツの言語学者によるルーン文字の研究が活発になる。「『グリム童話集』で知られるW・グリムもその一人です」。同時に、宗教学者たちが、過去の人たちの宗教意識を知ろうと呪術に関わりそうなものを収集・分類しはじめ、呪いや祈りが書かれたものがたくさんあるルーン文字にも関心が集まったという。

 

「それが極端な形になったのが、ナチズムです。ゲルマン至上主義、アーリア人至上主義の思想を持っていたナチスは、学問的には全くもって間違っているのですが、ルーン文字がゲルマン人の純粋な文字だと考え、シンボルとして使うようになりました。その一方で、20世紀には、ルーン文字の占いもヨーロッパの各地で流行します」

ルーン文字が彫られたナチ党親衛隊メンバー用の指輪

ルーン文字が彫られたナチ党親衛隊メンバー用の指輪
※出典:Helfmann at the German language Wikipedia / CC BY-SA

 

ルーン文字とオカルト的なものの結びつきは、それぞれの文字自体が意味を持つとされたことと深く関係があるようだ。
「このルーン文字にはこのような意味がある、というようなことを記した中世以降の文献が残っています。そこから、ルーン文字は神秘的な文字と言われるのだと思いますが、文字と意味の対応関係がなぜそうなのか、どこまで古く対応関係を遡れるのか、といったことは、必ずしも明らかではありません」

 

現在も、ゲームや小説、そして最近は映画『ミッドサマー』の劇中で使われたこともあってか、ネット上ではルーン文字についてさまざまな解釈が行われている。その風潮について小澤先生は、「エヴァンゲリオンが放送されたときに、マニアがこぞって聖書解釈をしたようなものでしょうか。そういう反応が世間で起こることは面白いですね。ルーン文字の2000年の歴史の中で、今は今なりのルーン文字の役割がある、ということに興味を抱きます」

 

ルーン文字の消長も、近現代での受け入れられ方にも、単に「ルーン=神秘」というイメージには回収されない、さまざまなドラマがあった。想像とは少し違って商売や文芸にも秀でていたヴァイキング。その彼らがルーン文字の石碑にしか自分たちのことを遺していないというのは心をくすぐられる。また近世・近代に、自分たちの「ルーツ」を求める人々に利用されていったことも興味深い。「古さ」や「神秘性」を醸し出すのにうってつけの文字として注目されてきたのも何だかわかる気がする一方、ナチズムのような負の遺産を背負わされてしまったことに歯がゆさも覚える。普段使っている漢字に意味があることを改めて思い出したりもした。人が文字に込めたものの大きさを実感できた、ルーン文字への旅だった。

ちなみに、学問的に正確な理解のもとでルーンを創作物に取り入れている例はありますか?との質問に小澤先生は、「『指輪物語』で知られるトールキンです。オックスフォード大の言語学者だった彼は、ルーン文字の深い理解に基づいて、作中のエルフ語などを創案しました」

ちなみに、学問的に正確な理解のもとでルーンを創作物に取り入れている例はありますか?との質問に小澤先生は、「『指輪物語』で知られるトールキンです。オックスフォード大の言語学者だった彼は、ルーン文字の深い理解に基づいて、作中のエルフ語などを創案しました」

 

「突き抜けたグローバル」を表現した立命館大学の新春広告が突き抜けていた。

2020年3月26日 / 大学を楽しもう, 大学PRの世界

新聞の視認性をめいっぱい活用

 2019年12月31日、朝日新聞、神戸新聞の読者は、ある面にくぎ付けになったかもしれない。真ん中で聴衆に語りかける人物の姿と星条旗を振りつつ歓迎する観衆。どこかで目にしたことのある風景、ある種おなじみのアメリカらしいシーンでありながら、その人物自身はもしかしたらアジア系の人? と思わせるような風貌なのがまた「これはどういうことだろう」と思わせる。

 

このビジュアルのイメージと、「立命館から、アメリカ大統領を。」というコピーが一度で完全に腑に落ちた人は多くないかもしれない。日本にある大学に通っている学生で、将来の進路をアメリカ大統領に定めている人はまずいないだろうし、一目見て、驚きやギモンが湧いてくる。そんな破天荒なことを言うのって誰? と視線を右下に落とすと、立命館大学の文字が映る。『突き抜けたグローバル教育で、まだ日本が辿りついていない「世界」へ。』というキャッチコピー、そしてボディコピーを読んで納得した。

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「新聞は視認性が高いメディア。読者は、見たことをしっかりと読み込んでくれる。だから伝えたいことを伝え、夢を語ることができると思いました。2020年は、5Gの幕開けなど、これからの可能性を感じさせてくれる年と考えていました。そのタイミングで、いろんな人たちが本学に夢を描いてもらえるような広告をめざしました」と広報担当者は語る。

 

新聞2面ぶち抜き広告に加え、大学広報初の試みとして日米でTwitter広告の配信を行った。ネットには専用サイトをつくり、共通テーマの動画もアップ(1カ月の期間限定キャンペーンのため、現在は掲載終了)。「初夢」だからこそ、表現に凝ったともいえそう。花火のように強烈な印象を残した後は、実際にグローバルってどういうことなのか興味を持った人に情報にアクセスしてもらえばいいわけだ。

ダイバーシティな大学でありたい

 多くの大学がグローバル人材の育成をうたうようになったが、立命館大学は80年代の後半にいち早く国際関係学部を開設したパイオニアの一つ。2017年には、以前当サイトでも取材したグローバル人材育成広告キャンペーン「RPG」を発信した。

 

常識は、とことんまで越えていける、そんなメッセージを感じる広告。夢を感じた、グローバルな教育をしていることがよくわかったという反応があり、この広告を打ったあと、大学のホームページを見る人の人数が増え、滞在時間も長かったという。

 

しかし、インパクトのある広告の常で、SNSを中心に、なぜアメリカ大統領なのかというネガティブな反応もあった。「もちろん、アメリカ大統領を生み出す教育をしたい、と言っているのではありません。アジア系の男性の外見をイメージとして使っていますが、限定するつもりはありません。それに、国籍や性別の自認は外見と異なるのは今以上に当たり前になっているはずですしね。西洋、東洋と二項対立的(あるいは二分法的)に捉えるのではなく、北と南の関係も含めて地球は相補的(もしくは相補う)な世界になっていることでしょう。そういうことまで読み込んでもらえるとうれしかったですね」。

 

そのような可能性をつくるのが立命館のグローバルな教育、ということを伝えるというのがねらい。見た人がいろいろな捉え方をして、想像力をインスパイアされたのだとしたら、広告の意図は達せられたと言えるのかもしれない。2019年度神戸新聞広告賞では、広告主部門で金賞を受賞した。

 

また、全国紙では、西日本は「立命館から、アメリカ大統領を。」だが、東日本では「日本から、アメリカ大統領を。」と別のキャッチフレーズにした。大学の知名度の点で劣る東日本向けには、知らない大学だということでスルーされてしまわないような表現にしたのだという。

 

広報担当者は、「全国型の旗を降ろしたくない」と、全国紙に大々的に広告を打つ意味を語る。大学にとっては、グローバルも大事なのだが、全国さまざまな地域から学生が集まりいろんな人と出会うことのできる環境であるということが、教育の場として大きなアドバンテージになる。多様な価値観を育み認め合うことができる、ダイバーシティの観点からだ。

 

今後の展開は未定だが、グローバルは今後もメインテーマの一つとなることは確かだとのこと。次はどのような表現で驚かせてくれるのだろうか。

1000年以上前の洗練された「土器の美」に嘆息。京都橘大学の学生たちによる企画展。

2020年1月14日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

平安時代限定のユニークな土器展

京都橘大学で考古学を学ぶ学生たちが主体となって、土器の展覧会を開いた。それも、平安時代の土器だという。土器といえば原始時代では? ちょっとした疑問も持ちつつ、会場となった京都市考古資料館に出かけた。行ってみて改めて気づかされたことがある。古都・京都ではこれまで数多くの遺跡が発掘されており、それらから出土するたくさんの考古学の資料は、当時の人々の生活の様子はもちろん、都があったからこそ作られ集まってきた、当時の文化の最先端を私たちに見せてくれるということだ。

 

発掘調査を行っている京都市埋蔵文化財研究所と京都市は、この貴重な考古学の資料を使った企画展プランを大学生・高校生から公募するというユニークな試みを行っている。どの資料から何を見せるのか、展示テーマはもちろん資料選びから展示方法、配布資料にまで、学生グループの若い感性が光る楽しい展示になっているという。今年の展示は、京都橘大学文学部歴史遺産学科考古学コースの学生たちが企画した「焼き物からよむ平安時代―発掘でみえてきた食器・酒造り・饗宴」である。

会場となった京都考古資料館

会場となった京都考古資料館

イケメン貴族たちの饗宴の脇役は?

展示でまず驚いたのは、1000年以上も前の焼き物なのに今でも十分に使えそうな、美しい器が並んでいたことだ。薄い緑の釉がかかった緑釉陶器、灰色の釉のかかった灰釉陶器ともに、シンプルだが品がいい。同大文学部准教授・中久保辰夫先生によると、これらは中国の陶磁器や金属器にならってつくられたもので、緑釉陶器は高価な鉛の入った釉を使い、灰釉陶器より高級品だとか。釉薬のかかった器を使えたのは貴族でも位の高い人なのだという。

土器一つひとつへの愛着を感じる解説をしてくれた中久保先生

土器一つひとつへの愛着を感じる解説をしてくれた中久保先生

ツヤと文様で高級感漂う緑釉陶器。こんなにキレイな状態で残っているとは!

ツヤと文様で高級感漂う緑釉陶器。こんなにキレイな状態で残っているとは!

灰釉陶器は渋い色合い

灰釉陶器は渋い色合い

 

そんな当時の宴の様子を再現したイラストが一緒に展示してあってわかりやすい。イケメン3人の貴族の衣の色が位の違いを表すから、緑釉陶器を使っている奥の人と、手前の灰釉陶器を使っている人とでは位が違うことがわかる。「このように少ない人数で、位の違う人がどのような座席順で一緒に食事をしたのかはわかりません。ただ、実際、もっと大勢で行う特別な饗宴はありましたので、その際には、位によって器が違うというようなこともあったのではないかと考えられますね」

当時をイメージできるイラスト。奥の位の高い人は、より高級な緑釉陶器を使用している

当時をイメージできるイラスト。奥の位の高い人は、より高級な緑釉陶器を使用している

 

隣で見学していた方は、「灰色の方が、ええ色やと思うけどなー」とおっしゃっていたが、確かに、両方ともレベルは高い。そう、これは土器というより、芸術品としての焼き物である。展示タイトルに「焼き物」が使われているのはそういうことだったのか。

 

そして、それらの気品が際立つのは、展示棚の下段に、素焼きの土師器や釉をかけない須恵器という、いわば素朴系の土器が展示され、比較対照できる展示形式によるところも大きい。企画に携わった京都橘大学文学部3回生・庄司光一さんは、「上の段の器には光の当たり具合や配置も考え、その美しさがわかるようにしました」と話す。なるほど、確かにその差は歴然である。

下の段に素焼きの土器が並び、その違いを見比べることができる

下の段に素焼きの土器が並び、その違いを見比べることができる

「土器を見る眼」も展示

奈良時代まで器といえばほとんどこの土師器と須恵器の二種類だけで、形やサイズは両種に共通していたという。平安時代になると、須恵器は甕や壺、鉢など貯蔵用や大型の器が中心となり、一方の土師器は食の器として使われるようになっていった。「土師器は、今でいう紙皿や紙コップのようにも使われたんですよ」と中久保先生。「清浄の器」としてよく使い捨てられたのだそうだ。使い捨ては清浄を求める気持ちの裏返しなのか、しかもこんな時代から連綿と受け継がれてきたのか、と興味が深まる。

使い捨てだった(!)という土師器。大量生産が可能だったからという

使い捨てだった(!)という土師器。大量生産が可能だったからという

 

土器だけでなく、土器づくりについての展示もある。大原野の洛西窯跡群、岩倉の洛北窯跡群、亀岡の篠窯業生産遺跡などの発掘から、平安時代になると都の郊外にいくつかの窯ができ、それぞれの産地で特色のある土器づくりを進めるようになったことがわかってきたという。「土器づくりは、窯に火を入れたら1週間程度も燃やし続けなければなりません。相当量の薪が必要なため、木材が手に入りやすい山間部に窯が作られました」。

 

窯跡から発掘されるのは、焼いている途中で割れたりしたもの、失敗作でわざと壊したものなどが多い。しかし、それらのかけらを、考古学者は丹念に集めて丁寧につなぎ合わせ、土器から時代背景や文化の特質を読み取っていく。

緑釉陶器素地の皿。重ね焼きをして失敗し、打ち捨てられたものと考えられる

緑釉陶器素地の皿。重ね焼きをして失敗し、打ち捨てられたものと考えられる

 

どのような土器が、どのようなプロセスで作られていたのかなど、発掘でわかることもあれば、より謎が深まることもあるとか。このような調査研究の積み重ねのおかげで、私たちは、1000年以上も前の人々の暮らしぶりをイメージすることができるわけだ。考古学者の緻密な研究の様子は、土器のサイズを正確に計測して描き起こす「実測図」、計測や描画に使う道具などについてのパネル展示から垣間見ることができる。

饗宴好きの平安貴族たち

さらに展示は、平安時代の酒造りにもフォーカスしている。京都市中京区で発掘された遺跡「平安京造酒司倉庫跡」から出土した須恵器の大甕のかけらから推測すると、500ℓが入るような大きな甕が使われていたらしい。造酒司とは宮中の酒や酢を製造していた施設だ。1000杯以上の酒を一度に仕込める大きな甕は、宮中の重要な儀式に備えて作られたのだろうと中久保先生。平安時代には、大規模な儀式から内輪の宴会まで、貴族たちは盛んに宴を楽しんだようだ。

 

土器が平安の人々にどのように使われたのか、土器はどのように作られたのか、華やかなイラストや解説のパネルを見ながらゆっくり楽しめた。「テーマに沿って展示物の数を絞り込み、見る方の理解を深めてもらうことを一番に考えました」と京都橘大学文学部3回生・長澤知真さんが話す、その狙い通り。1000年以上前の人たちの想像以上に洗練された美的感覚やそれを支える産業の存在がわかる面白い展示だった。それに、土器とは実にいろいろな情報を含んでその時代のことを教えてくれる存在だとわかり、土器の見方も変わった気がする。考古学、平安京、焼き物、うつわ…さまざまなキーワードに興味のある人が楽しめる企画なのでぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

企画に携わった京都橘大学文学部3回生の長澤知真さん、庄司光一さん

中久保先生と、企画に携わった京都橘大学文学部3回生の長澤知真さん、庄司光一さん

 

AIが紳士服のオーダーメイドをお手伝い。関西学院大学の感性工学研究で実現。

2019年11月26日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

感性を数値化してものづくりに活用

洋服を買いに行って、「これ、いいかも」という服を見つけた体験は、誰にでもあるだろう。では、「何がよかったの?」と問われたら、どう説明するだろう。形、色や柄、触り心地、フィット感、イメージ…気に入った理由を人に説明するのはなかなか大変。考えてみると洋服の好みとは相当に個人的なものであり、さらに多くの要素が絡まり合った複雑なものなのでは、と想像できる。

 

しかし、こうした複雑な人間の感じ方や価値観を科学的にとらえるテクノロジーは感性工学として発展しており、すでに多くのものづくりに生かされている。そのリーダー的存在の一つである関西学院大学 感性価値創造研究センター(理工学部 人間システム工学科)では、自動車や家電、化粧品など多彩な企業との共同研究によって一人ひとりの感性を大切にしたプロダクトデザインやサービスデザインを実現している。

感性価値創造研究センターのある三田キャンパス

感性価値創造研究センターのある三田キャンパス

 

今回取材したのは、2019年9月、髙島屋5店舗の紳士服オーダーサロン「タカシマヤ スタイルオーダー サロン」に導入された接客ツール「感性AIソムリエ」。スーツのオーダーをする際に、画面上で求めるイメージや気になるワードを指定すると最適な生地を提案するというシステムで、同センターとファッション系のITベンチャー、デジタルファッション社、アパレルメーカー、センチュリーエール社の3者が共同開発したものだ。「スッキリとした」「真面目に見える」「落ち着いて見える」「清潔感のある」などという40種類のワードの中から、イメージに合ったワードを3つまで選ぶと、AIがそれに合った最適な生地を5種類提案してくれ、提案された生地は店頭で触って確かめることもできる。

人の印象とものの物理特性を結びつける

このツールで活用されているのは、代表的なAI技術である機械学習の技術だ。機械学習とは、膨大な教師データからコンピュータが一定のルールやパターンなどを分析し、新たなデータに対しても、学習したパターンによって予測や決定を自動的に行うもの。この場合は、ものを見た時に人がどのような印象を抱くのかというデータをたくさん取り、ものと印象が結びつくパターンを学習させておく。その結果を使って、求める印象からそれに合ったものを選び出すという仕組みだ。

 

「しかし、初めからスーツを見た時の印象を集めるわけにはいかないのです。ドナルド・ノーマンという認知科学者は、『デザインは審美的、機能的、物語的の3つの部分で構成されている』と言っていますが、だからこそ、同じスーツを見ても人によっていろいろな印象を持ってしまいます。基本研究としては、まず審美的な対象物として柄から始めることにしました。柄なら、色やパターンによってある程度共通して人が感じる印象というものがありますから」と説明してくれたのは同センター特任准教授・飛谷謙介先生だ。

研究について話す飛谷先生

研究について話す飛谷先生

 

洋服に使われる柄、アールデコなど歴史的なトレンドとなった柄など、豊富な柄のデータを収集する会社からデータを集め、研究活用した。印象の方は、アンケート実験によってある対象物とそれに対する印象のセットを大量に集め、さらに、統計処理によって、多くの人が同じように感じる、というところだけを抽出。それを物理特性と結びつけていく。

 

「ものに対して抱く『光沢がある』とか『ザラザラする』といった質感を、ものの表面の形状や光の吸収・反射などの物理特性と関連づけてモデル化しています。それをさらに、『高級感がある』など、物理特性とは関連づけしにくい印象へと結びつけていきます」

 

同センターの研究スタッフには心理学研究者も多く、人間が何かものを見たときの認知プロセスのモデル化に取り組むことで、より精度の高い感性のシミュレーションが実現するのだという。「感性AIソムリエ」は、このような研究を経て、生地の提案をすることができるようになった。

 

髙島屋の店頭では、「自分の選んだ言葉に合わせて提案してくれるので、選ばれた生地を見て自分の好き嫌いがわかるようになる」「客観的な提案をされている印象があり、参考にしやすい」などお客さまに好評価を得ている。

 

取材時には、「感性AIソムリエ」のワンピース版アプリケーションを少し体験させていただいた。グランフロント大阪で開催のイベント「K.G. mini Fes. ~来て、 見て、 触って。 関西学院大学の研究の魅力を」(2019年9~10月)で展示されていたものだ。

グランフロント大阪でのイベントで展示されていた、「感性AIソムリエ」のワンピース版アプリケーション。オリジナルのワンピースがデザインできる。「清涼感のある」「上品な」などのイメージする言葉を選ぶ

グランフロント大阪でのイベントで展示されていた、「感性AIソムリエ」のワンピース版アプリケーション。オリジナルのワンピースがデザインできる。はじめに「清涼感のある」「上品な」などのイメージする言葉を選ぶ

選んだ言葉に合わせて柄が提案される

選んだ言葉に合わせて柄が提案される

セレクトした柄の位置や大きさをタッチパネルで調整したら、できあがり!

セレクトした柄の位置や大きさをタッチパネルで調整したら、できあがり!

 

形にも対応できるシステムへ

今後は、「さまざまなハードルを越え、さらに技術を進化させていきたい」と語る飛谷先生。その一つは、季節ごとに出る新作への対応だ。人力で対応するのではなく、システムが自分で進化していくような枠組みを作るのが目標だという。また、形への対応も課題だ。どのような形のスーツを望むかによって生地選びにも影響を与えるので、避けては通れないテーマだという。スーツを着た状態で三次元形状を取ってCG化するか、二次元のパターン(型紙)を活用するかの2方向で研究を進めている。スーツの場合は、長い歴史の中で寸法の比率などは最適化されているため、パターンを使って形を表現することも十分に考えられるという。

 

「このシステムは、『感性デジタルビスポーク』と名付けています。お店でビスポーク(注文服)に対応しているプロフェッショナルは、顧客のいろいろな要素を考慮に入れてその人の目的に合ったスーツを解として提示しているわけです。我々のシステムは第一歩を踏み出したばかりですが、熟練の人のお手伝いができるよう、できることを探してさらに進化を続けていきたいと思っています」

 

同センターでは、人がモノに触れた際に感じる触感のモデル化の研究も進んでおり、もしかすると、形に続いて肌触りなどについての印象も組み合わせる、などという進化も今後はあり得るのかもしれない。

イベントで展示された触感ぴったり化実験のツール。手前の白いパネルにふれると・・・

イベントで展示された触感ぴったり化実験のツール。手前の白いパネルにふれると・・・

自分がそのパネルをどのように触感で感じるかが数値化される。このようなデータを大量に収集し、研究に活かしていく

自分がそのパネルをどのように触感で感じるかが数値化される。このようなデータを大量に収集し、研究に活かしていく

 

店頭では、自分が選んだ生地に満足したかという正解データを同時に取って、ブラッシュアップに活用しているという。AIシステムは、使う人が増えれば増えるほどデータが増えて、いろいろな人のニーズに対応できるものになっていく。ビスポークなんて縁がないと思っている人こそ、こんなツールをきっかけに、自分の感性に合ったものを選んでもらう楽しさを感じてみてはいかがだろう。

もはや学食ではない!? 「超近大プロジェクト」にふさわしい近畿大学新世代食堂がスゴイ!

2019年11月14日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

スポーツニュートリションカフェとは?

近畿大学に、新しい学食ができた。いや、「学食」などともう呼んではいけないないのかもしれない。スポーツする身体をメンテナンスするのにも役立つほどの健康的なメニューを提供し、しかも、学食イメージを塗り替える先端的なオーダーシステムを取り入れていると話題になっているのだ。一般人も自由に使えるというので、取材させていただくことにした。

 

近畿大学では2014年から、「超近大プロジェクト」として東大阪キャンパスの大規模整備に着手しており、図書館などこれまでの大学を超えるような新世代設備が誕生している。その一環として、2019年には7号館が新たに竣工し、1階にはフードゾーンとして2タイプの食堂とベーカリー、アイスクリームショップが9月にオープンした。

 ベーカリー

 

その目玉となるのが「DNS POWER CAFÉ」。アメリカのスポーツ用品ブランド、アンダーアーマーの日本総代理店、株式会社ドームが東京に展開している、スポーツニュートリション(スポーツ栄養食)カフェ「DNS POWER CAFÉ」とコラボして開発したメニューを提供する。

 

パワープレートという定食系メニュー、パワーヌードル/パスタ、MRSというオリジナルスムージーのほか、ノンフライドチキン、ゆで卵などの単品もある。パワープレートは、ビーフ、ポーク、チキンの3種から選べるコンビネーションメニューのほか、種類や量を選んで自分好みにカスタマイズが可能。パワーヌードル/パスタとしては、プロテインを練り込んだDNSオリジナル麺を使ったうどん、ラーメン、パスタが用意されており、炭水化物の塊ではないヘルシー麺類を味わうことができる。

 全景

食券や行列にさよなら

せっかくなので、パワーランチを体験させていただくことにしたが、驚きなのは入口のセルフオーダー機8台のうち6台がキャッシュレス対応なこと。学食といえば、食券を買ってカウンターに出してという流れが一般的で、昼時の集中する時間帯では何度も並ばなければならずイライラさせられることも多かった。それが入り口のセルフオーダー機でメニューを選ぶと厨房に情報が回るので、カウンターに直行するだけで注文した料理を受け取れるうえ、キャッシュレスだから支払いでモタモタすることもない。

 キャッシュレス①

 

パワープレートのコンビネーションメニューからビーフを選んだ。「DNS POWER CAFÉ」の責任者、鎗山高生さんからビーフが人気と聞いたからだ。なかでも一番人気は、カスタマイズのメインとして用意している、赤身ビーフステーキだとか。さすが、スポーツが盛んな近畿大学だと思っていると、「アスリートに人気というより女子学生がたくさん来てくれている」と鎗山さん。「全体に、調理の時に油をほとんど使わないメニューばかりなんです。一品として出している唐揚げも、スチームコンべクションを使ってノンフライで仕上げます」。

 

レシートには番号が打ってあり、注文した料理ができると、壁面にいくつか掲げてあるディスプレイに番号が表示される。スマートというか、カウンター前で並ぶ必要はないわけだ。さらに、レシートには注文料理の栄養価が記載されており、ディスプレイにも素材や栄養価などを含めたメニューの紹介が次々と映し出されている。筋肉増量や体重ントロールのために最適な栄養の取り方を示したおしゃれなPOPもさりげなく置かれているなど、「健康になるだけでなく、健康になるための知識も身につけてほしい」と鎗山さんの話を裏付けるような工夫が目白押しだ。

 カウンター①

 

できあがったパワープレートランチは、カフェらしさ満載の彩りがよくて食欲をそそる顔つき。まとまりもよくて、女子人気が高いのもうなずける。味はもちろんおいしくて、これで健康にいいなら言うことはない。白米のおよそ半分の糖質、脂質となる「こんにゃく米」を選ぶことができるので、選んでみた。普通のご飯とどこが違うのかわからないおいしさだった。

ランチ

プレートランチは、ビーフが900円、ポークが750円、チキンが680円。

モバイル注文でまさにパワーランチ

「DNS POWER CAFÉは職員にも大人気なんです」と話すのは取材に立ち会ってくれた、広報課の職員さん。このカフェ専用のアプリを使うと、事前予約ができるのだという。しかも、その日のコンディションに合わせて主菜や主食カスタマイズも簡単。牛赤身ステーキ、チキンブレスト、スチームポークなどの中から好きなメインを選び、50gから250gまで50g刻みで量を選び、主食も糖質や脂質を控えた「こんにゃく米」か「十六穀米」かを選ぶことができる。選んだものごとにカロリーや金額も加算されていくので、ダイエット具合や懐具合との相談もばっちりである。

 

「仕事前に朝イチでパパッと予約し、お昼に12時ぴったりに受け取るようにしているんです。1時間の休憩を効率的に使えるでしょう?」と、先ほどと同じ職員さん。週4で利用しているとか。ビジネスパーソンのランチとしては、本当にありがたい工夫だろう。アプリはもちろん、学内外問わず誰でも入手できる。持ち帰りができるので、近隣の方はぜひお試しください。

2人でつつけるたこ焼き&ちゃんこ

このフードゾーンにはもう一つ、「THE CHARGING PIT&DINER」という食堂もある。こちらは一般的なものを中心に、90種類ものメニューが揃う。中でも特徴的なのは、近畿大学が開発した食材を生かしたオリジナルメニューがあること。現在のところ、薬学部の先生が開発に協力した「近の鶏卵」を使った「近の鶏卵ふわとろオムライス」、近畿大学が支援する会社が開発した「におわないブリ」を使った「近の炙りブリ丼」の2種類だが、今後は近大マグロや近大みかんなど近畿大学産食材を使ったメニューをさらに増やしていきたいという。

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一番の人気メニューは、近の鶏卵のオムライス。

 

そして、それ以上の目玉といえるのが、セルフキッチンコーナーだ。IH仕様のたこ焼きプレートを使って、たこ焼きを焼きながら食べられる。2人分で500円。オープン以来、大ヒットで、多くの学生がフーフーいいつつ楽しんでいるという。

 

「学食は昼の時間を過ぎると、がらんとしてしまいます。そのイメージを払拭したかった」と鎗山さん。カップルらしき二人連れも見かけるとか。冬場は、近畿大学相撲部監修のちゃんこ鍋を出す計画もある。塩ちゃんこをベースに季節の具材を使うのが近畿大学相撲部流。レシピを聞きながら開発中だ。

 たこやき

 

学食は安さとボリューム、は確実に過去になっている。「THE CHARGING PIT&DINER」には、200グラムのサーロインステーキを1500円で出しているが、ちゃんと注文する学生がいるという。一般人なら負けてはいられません。おいしものを食べて健康になりたい方、ホットな新時代学食をぜひ体験してほしい。

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