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D-アミノ酸を強化! 関大発の生フルーツ黒酢「ピュアミノセット」

2016年11月4日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

美容と健康にオイシイ黒酢がさらに進化!?

“お酢は身体に良い”というのは、今も昔も、健康に興味がある人もない人も、誰もが抱いている酢のイメージだろう。私も詳しいことは知らないものの、不摂生が続いた時や体が弱った時には、たとえ気休めでも……と、酢を使った料理やドリンクなどを手にしてきた者の一人だ。

 

ただ、実際きちんと調べてみると、酢には体脂肪を減らす&溜め込みを抑制するダイエット効果、血流アップによる冷え解消、疲労回復、高血圧や高血糖など生活習慣病の元となる症状の予防・改善など、さまざまな効果が認められているとのこと。やっぱり酢はスゴイのだ。

 

中でも特に黒酢は、旨味や優れた健康効果の元となるアミノ酸の含有量が多いとあって、2004年頃から起こったブームは未だ健在。黒酢そのものだけではなく、より手軽に摂取できるドリンクやサプリメントなど、さまざまな健康食品が出回っている。

 

そんな黒酢市場に今年、関西大学発の画期的な新商品が投入された。その名も、生フルーツ黒酢「ピュアミノセット」。なんでも、“D-アミノ酸強化黒酢”を使った、生フルーツ黒酢なのだとか。D-アミノ酸? 強化? 開発者は、化学生命工学部の老川典夫教授。従来の黒酢から、何がどうパワーアップしたのか。早速、老川教授のもとを訪ねた。

時を越えて脚光を浴びるD-アミノ酸

関西大学化学生命工学部 老川典夫教授

関西大学化学生命工学部 老川典夫教授

 

学生時代から、微生物の酵素、とりわけアミノ酸に作用する酵素の研究一筋だという老川教授。早速、今回のポイントとなるD-アミノ酸について説明してくれた。

 

「アミノ酸には、L-アミノ酸とD-アミノ酸という2つのタイプがあるのですが、一般的にアミノ酸と言うと、L-アミノ酸のことを指します。D-アミノ酸は、これまで自然界にほとんど存在せず、ヒトに不必要な物質と考えられてきたので、表に出ることはまずなかったんです」

 

昔からずっと存在していたものの、その価値はまるで認められてなかったようだ。

 

「それが近年、分析技術の進歩によって、D-アミノ酸はヒトの体内のあらゆるところに存在していることがわかりました。そして、脳内の神経伝達や肌の老化防止などに重要な役割を果たしていることが明らかになったんです」

 

なんと、ヒトには不必要どころか、実はアンチエイジングや美肌に関わる、けっこう大事なものだったD-アミノ酸。科学の進歩を待って、ようやく日の目を見ることになったのだ。

 

「一方、L-アミノ酸と言えば、食品中の種類と含有量が味覚に大きな影響を及ぼすもの。いわゆる旨味のもととなっています。となると、D-アミノ酸にも同様の関係があるのか? そこで私は、それまで未解明だった食品中のD-アミノ酸について研究を進めました」

 

身近な食品の中でD-アミノ酸を含むものには、納豆(糸)、リンゴ、ビール、日本酒、ヨーグルト、チーズなどがあるが、老川教授が研究対象にしたのは日本酒。原料が植物性素材の米であることや、製造にさまざまな微生物の作用が関与することで、本研究で得られた知見を他に利用できるからだ。また、原料や製造方法などに多彩なバリエーションがあるため、製造方法と製品中のD-アミノ酸含有量の関係を解明できること、製品に強い着色や臭いがなく官能評価方法が確立していること、日本の伝統的発酵食品であることも、日本酒をチョイスした理由となった。

 

そして研究の結果、19種類あるD-アミノ酸の内、D-アラニン、D-アスパラギン酸、D-グルタミン酸が多く含まれる日本酒は、旨味や総合評価が高いことが明らかに。それは、数ある中でも生酛造りによる日本酒の特徴であり、生酛由来の乳酸菌がD-アミノ酸を生産することが分かったのだ。

 

「この研究により、それまで科学的には証明されていなかった生酛造りの日本酒の美味しさの要因の一つが、これら乳酸菌の生産するD-アミノ酸の関与であると明らかになりました。そして、D-アミノ酸生成能力が高い生酛由来乳酸菌は、日本酒以外の食品製造にも応用できる、と。そこで、これらの乳酸菌を用いる、D-アミノ酸強化食品の開発を検討しはじめたんです」

日本酒から黒酢へ、広がる研究

時を同じくして、この日本酒とD-アミノ酸に関する研究成果に興味を持ったのが、鹿児島県にある福山黒酢株式会社だ。一般的に現代の黒酢造りは、温度や湿度といった環境を人工的に管理できる工場内で、扱いやすいステンレス製の容器を使い、半年~1年という短期間で行われるもの。しかし福山黒酢は、昔ながらのアマン壺約2万個を使った屋外醸造にこだわり、自然の中で3年以上かけて発酵熟成させる。そんな伝統の製法を守り続けながら、チャレンジ精神も旺盛な同社。宮崎県で行われたD-アミノ酸にまつわるシンポジウムに参加した際、老川教授の講演を聞き、より美味しくて健康や美容効果の高い、新たな黒酢の可能性を求めて共同研究を持ちかけたのだ。

 

早速動き出した両者。研究の第一歩として、福山黒酢にはD-アミノ酸が含まれており、その生成には微生物が関与していることが判明した。それならばと、これらの微生物を用いて、さらにD-アミノ酸を強化した黒酢の醸造に挑むこととなったのだ。そして、醸造工程で黒酢醪から分離したD-アミノ酸高生産乳酸菌を黒酢仕込み時に添加するという、新たな醸造方法を開発した。

 

「乳酸菌を使うなんて、一般的な黒酢造りにはタブー。むしろ、繁殖しないようにしていたぐらいですから。でも、この方法により醸造した黒酢の中には、より高濃度のD-アミノ酸が含まれていることが明らかとなりました」

 

ここに、D-アミノ酸強化黒酢の誕生である。

D-アミノ酸強化黒酢のスゴイところ

老川教授と福山黒酢は約8年間に及ぶ共同研究を経て、今年5月、このD-アミノ酸強化黒酢に各種フルーツを漬け込んだフルーツ黒酢を商品化した。これは、D-アミノ酸の機能性を高めた発酵食品としては最初の例として、注目を浴びている。

生フルーツ黒酢「ピュアミノセット」

生フルーツ黒酢「ピュアミノセット」

 

従来の黒酢よりも高いアンチエイジング作用や美肌効果が期待できるのはもちろん、より一層コクのある味わいや、まろやかな口当たりも魅力。しかも、本商品に関しては福山黒酢独自の製法で、黒酢の中に生のフルーツを漬け込んでいる点もポイントだ。現在は、ポピュラーなりんご、ブルーベリーと、珍しいいちごの3種類をラインナップ。使用するスイーツはなるべく国産、特に地元産にこだわっているのも、美味しさの秘密である。

 

そのまま水や炭酸水で薄めて飲む他、ソース感覚でアイスクリームやヨーグルトにかけたり、焼酎などの酒で割ったり、楽しみ方はいろいろ。各種1本ずつの3本セット2,880円(税込)で、関大パンセアンテナショップにて発売中だ。

神戸港の絶景&ホテルメイドの美食が共演。神戸学院大学「レストラン ジョリポー」

2016年9月28日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

神戸港内に浮かぶ人工島「ポートアイランド」に2007年に開設された、神戸学院大学ポートアイランドキャンパス。広大な敷地に、赤レンガで装われた美しい校舎や天然芝がキャンパスグリーンとしてゆったり広がっており、開放感抜群の空間だ。
しかも海沿いに立地しているため眺めも最高。目の前に木々や花々が彩る「ポーアイしおさい公園」を挟んで神戸港が広がり、対岸に神戸ポートタワーや神戸モザイクなどが一望でき、ザ・港町神戸! な景色が楽しめる。

そんなキャンパス内屈指のビュースポットに店を構えるのが、フランス語で“美しい港”という名の「レストラン ジョリポー」。155席もある広い店内は、オープンキッチンや大きな窓で、明るく開放的な雰囲気が漂う。学生たちが集う場所だからと、会話やアイデアの“引き出し”をイメージしてデザインされたという、取っ手付きの壁面やイスも面白い。

窓からは神戸の港を見渡せる

窓からは神戸の港を見渡せる

明るい雰囲気の店内。引き出しをイメージしたという壁面が目を惹く

明るい雰囲気の店内。引き出しをイメージしたという壁面が目を惹く


とは言え、学食だから料理はそれなり……と思われそうだが、この店をプロデュースするのは「神戸ポートピアホテル」。ホテルのシェフとスタッフが、ホテルレストランさながらの上質な味とサービスを提供しているのだ。
メニューは、メインディッシュが週替わりの「シーガルランチ」や「シェフのおすすめランチ」をはじめ、「黒毛和牛ハンバーグランチ」や「松花堂弁当」など、和洋幅広いメニューが充実。ホテルクオリティながら、食べ応えのあるボリューム、理想的な栄養バランス、セットでも800~1,800円という低価格(学生・職員限定で600円のメニューもあり!)の3拍子を実現している点は、ちゃんと学食仕様で驚かされる。その他、カレーやオムライスなどのア・ラ・カルトに、ホテルパティシエ特製のケーキやアイスクリームなどのデザートメニューも豊富。カフェ利用でも十分楽しめる。

シェフのおすすめランチ(1,200円(税込))※メインディッシュは週替わりですので写真と異なる場合がございます

シェフのおすすめランチ(1,200円(税込))※メインディッシュは週替わりですので写真と異なる場合がございます

 

キャンパスと「ポーアイしおさい公園」の間には何の境界もないため、散歩中にでもふらりと立ち寄りやすく、誰でも気兼ねなく利用できる同店。土曜日は7~8割が一般客というのも納得だ。平日は学生で混み合う12:45~13:45を避けて訪れるのがベター。たまには大学で、リーズナブルで優雅なランチ&ティータイムを過ごすのも良いのでは。

※掲載価格はすべて税込です。

安くて美味いステーキが大人気。関西学院大学「三田屋本店 関学店」

2016年9月26日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

兵庫県三田市に本店を構え、全国に15の支店を展開するステーキハウス「三田屋本店」。その中で唯一、大学のキャンパス内に出店しているとあって密かに話題を集めているのが、「三田屋本店 関学店」だ。地図が無いと迷いそうなぐらい、広大な敷地にさまざまな建物が乱立する、関西学院大学西宮上ケ原キャンパス。その一角でひっそりと、もう30年以上も営業している。

この看板が目印

この看板が目印

 

断トツの一番人気は、看板メニューの「ステーキランチ」。柔らかくてジューシーなアメリカ産のカルビ肉5枚が生のまま、アツアツの鉄板に乗った状態で提供される。余熱で徐々に焼き上がっていくため、ベストタイミングを見極めながらひっくり返し、自分好みの焼き加減になったところで口へ。別添えの、酸味が少なく濃い味わいのポン酢ダレにサッとくぐらせていただけば、意外にもあっさりとした味わいが楽しめる。

また、肉の周りを彩る付け合せにも、一切妥協なし。メニューに使う野菜は、毎朝市場から仕入れた新鮮なものばかりだ。鉄板に敷き詰められたタマネギは、淡路島産の中でも高級な品種で、旨みも甘みもしっかりとしたものを採用。脇役ながら存在感抜群、食べ応え満点のスライスポテトは、北海道や九州から厳選して仕入れたものを使っている。さらにごはんも、ブランド米であるつや姫やコシヒカリのブレンドを使用するという、こだわりぶりが光る。何から何まで本店さながらの本格的な味わいながら、価格はあくまで学食らしく、ごはん・サラダ・スープ付きで1,200円! これは、人気が出て当然である。

このボリュームで1,200円(税込)!

このボリュームで1,200円(税込)!

 

他にも、ハンバーグやトンカツなど、ガッツリ肉系メニューを数種類ラインナップ。どれも美味しくてリーズナブルとあって、学生のみならず地域の人々も多く訪れる。ちなみに、店内は60席ほどのスペースがあるものの、平日12:30~13:30、土曜12:00~13:00は学生たちの昼休みで大盛況。集中して混み合うこの1時間は、避けて訪れるのがマストだ。
※掲載価格はすべて税込です。

※内容は取材当時のものです。2019年9月にリニューアルオープンし、メニューも一新されています。

京大のシンボル、時計台のレストラン。京都大学「ラ・トゥール」

2016年9月14日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

広大な京都大学吉田キャンパスの中心にそびえ立つ時計台記念館。1925年建造という歴史を感じさせる佇まいで、今も昔もシンボリックな存在として親しまれている。

この館内一角に、京大創立100周年を迎えた2003年、国内外からの賓客をもてなす場としてオープンしたのが、フレンチレストラン「ラ・トゥール」だ。キャンパス内でありながら、はなから学生向けではなく、客人向けにつくられたというのが興味深い。

だからこそ、店内のムードもなかなか重厚。テーブル48席と個室12席から成る広々とした空間には、高い天井や大きな窓、照明をはじめとしたクラシックなインテリアの数々など、建造当時の趣があちこちに残され、格式高い雰囲気を演出している。

ここだけ切り取って見ると、およそ大学内とは思えない上質さ。そんなギャップが話題を呼び、近隣住民を筆頭に、遠方から噂を聞きつけた観光客までも多く訪れる人気店となっている。

そう、ここは賓客向けとは言え、普段から広く一般に開放され、いつでも誰でも自由に利用できるのだ。

クラシックな雰囲気の店内

クラシックな雰囲気の店内

 

メニューは、本格的なフレンチのフルコース。ランチは1,620円・2,490円・3,780円、ディナーは3,240円・4,860円・7,020円と、それぞれ3種類用意されている。

毎朝、京都・丹波産の野菜や近海で獲れる鮮魚など、新鮮な旬の食材を調達。それらを、フランスで修業を積んだこの道20年以上のシェフが、華麗なひと皿にアレンジして提供する。

故に、メニューは日替わりだ。合わせて、フランス産を中心とした約60種類のワインや、本サイトでも以前「幻の小麦が生んだ京都大学×早稲田×黄桜大学の共同開発ビール『ホワイトナイル』(リンク有)」の記事で紹介した京都大学・早稲田大学・黄桜株式会社が共同開発したビール「ルビーナイル」もラインナップ。料理との素敵なマリアージュを楽しめる。

目にも美味しいフルコース

目にも美味しいフルコース

ルビーナイルも食事と合わせて楽しめる

ルビーナイルも食事と合わせて楽しめる

 

また、店内では月に一度ディナータイムに、「京都大学交響楽団」の学生たちによる演奏会を開催。生演奏をBGMに、より一層優雅な時間を過ごせる。日程はホームページで確認を。リピーターも多い人気企画なので、予約がベターだ。
※掲載価格はすべて税込です。

佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う③

2016年5月13日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

昨年末から追い続けてきた、佛教大学の学生による「酒づくりプロジェクト」。2度にわたるレポートで、本プロジェクトの概要から2015年度の醸造体験の様子まで紹介したが、それから早4ヶ月。とうとう日本酒が完成したとのことで、再び佛教大学へと足を運んだ。

参照:佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う①
参照:佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う②

ラベルやパンフレットもリニューアル

完成した日本酒を持ってきてくれたのは、本プロジェクト参加者の歴史学部3回生・高橋正也さん、社会学部2回生・内海僚介さん、社会福祉学部3回生・多田哲也さんの3名。前回の醸造体験以降、彼らはどのような動きをしていたのだろうか?

「まずは、ラベルデザインを固める作業に取り掛かりました。学園祭でのアンケート結果をもとに、一番人気だった案をさらにアレンジ。日本酒らしく和のテイストをベースにしつつ、シンプルで分かりやすく、若い人でも手に取りやすいようなイメージで調整しました」(内海さん)

確かに、完成品のラベルを見ると、和紙っぽい柄をベースに筆文字風のあしらいが印象的。和風だけれども渋すぎない、スタイリッシュな仕上がりだ。

 

「ラベルデザインが決まったら、それをもとに今度はパンフレットづくりに取り組みました。昨年のものをベースに、みんなで相談しながら、内容やデザインをブラッシュアップ。今年は特に、プロジェクトの歩みを紹介する部分で、各工程に参加メンバーの感想を加えたのがポイントです」(高橋さん)

なるほど。工程ごとにメンバーが作業に取り組む写真プラス一言コメントがあることで、より学生たちが密に関わっていることが感じられ、それぞれの奮闘ぶりが伺える。こうしてラベルやパンフレットが出来上がり、日本酒自体も完成を迎えた。

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(左)本プロジェクトに関わった学生たち。左から、高橋さん、内海さん、多田さん。
(右)学生のアイデアがつまったパンフレットには、学生たちが取り組んだ日本酒づくりの工程が紹介されている。

 

いよいよ販売がスタート

2015年度版の日本酒も、昨年度版同様2種類を用意。一つは、新酒を濾過・火入れせずに瓶詰した「無濾過生原酒」。フレッシュな酒で、時間の経過と共に味が変化する。もう一つは、絞った酒を62~65℃に温めて殺菌した「火入れ」。こちらは酵素が失活することで、味が安定している。

 

3月2日~8日には「ジェイアール京都伊勢丹」にて販売プロモーションを実施。地下1階の和洋酒売り場にブースを設け、学生たち自ら店頭で試飲販売に取り組んだ。広い売り場の中でしっかりと客の目を引くよう、パンフレットとは別に、これまでの工程を写真と文章で紹介する大きなボードを作成。それを持って、自分たち大学生が一から作り上げた日本酒であることを、積極的にアピールした。また、事前に伊勢丹での研修にも参加。百貨店ならではのハイレベルな接客マナーを学び、挨拶や客への声掛けなど練習の成果を存分に発揮した。

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(左)慣れないながらも全力で取り組んだ伊勢丹での販売経験は、大変だったが楽しかったと学生たちは語る。
(右)ブルーのボトルが美しい「佛米!夢乃酒」。ジェイアール京都伊勢丹に並んだ、300本は見事に完売した。

 

期間中は若い人から年配の方、さらには海外の方までたくさんの人の関心を集め、なんと最終日の閉店時間を待たずして、用意した300本が完売。「無濾過生原酒」は、しっかりとお米の味が感じられ、飲んだ後に甘味や香りが口の中に広がると、日本酒好きの人に好評だった。一方、「火入れ」はキリッとした口当たりで、味や香りはそれほど強くなく、日本酒を飲みなれていない人でも飲みやすいと評判だったとのこと。

 

「想像以上に興味を持ってくださる方が多くて驚きましたし、嬉しかったです。実際に目の前で飲んで、美味しいと言って、買っていただけて……。田植えから始まってここまで来られて、ものすごい達成感を感じられました」(多田さん)

 

学生たちの一年間の努力の結晶は、現在絶賛販売中。「無濾過生原酒」が1本720mlで1,620円、「火入れ」が1本720mlで1,512円(共に税込)。「細見酒店」(京都市北区)、「円町 島酒店」(京都市中京区)、「リカー&フーズまたの」(京都市左京区)、「山岡酒店」(京都市上京区)の4店舗で販売している他、細見酒店のネットショッピングからも購入できる(送料別)。日本酒好きの人も、苦手意識のある人も、ぜひ一度ご賞味いただきたい。

 

「AR津波ハザードマップ」はこうして生まれた

2016年3月18日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

アプリが生まれた場所、関大の水災害研究室とは

先日、大学アプリレビューvol.7で取り上げられた「AR津波ハザードマップ」。このアプリ開発で要となったのが、関西大学の津波災害に関する研究力だ。そこで今回改めて、開発に携わった教授に話を伺うことに。早速、研究室へと赴いた。

JR高槻駅から徒歩数分の場所に堂々と構える、関西大学高槻ミューズキャンパス。2010年開設というまだ新しい建物且つ、都心のオフィスビルかマンションを思わせるようなスケール感&洗練された佇まいに圧倒されつつ足を踏み入れる。ここは社会安全学部のキャンパスであり、ここで教鞭をとる高橋智幸教授によって、水災害研究室(高橋ゼミ)が開かれている。水災害研究室はその名の通り、津波や高潮、洪水など、水に関連した災害を対象に、防災・減災の研究を行う場所だ。

日本の津波におけるエキスパート、関大に現る

学生たちが卒業論文提出に向けて白熱している中、にこやかに迎えてくれた高橋教授。そもそも教授は、なぜ水災害の防災研究者となったのだろうか。

関西大学社会安全学部 高橋智幸教授

関西大学社会安全学部 高橋智幸教授

 

「私は山形県に生まれて、最上川を遊び場にして育ったんです。川が好きで、高校卒業後は東北大学に進学し、河川の研究に取り組みました。そこで初めて、津波というものの存在を知ったんです。それから研究を進めれば進めるほど、自分の好きな川が人の命を奪ってしまうような自然災害を減らしたいという思いが募って。大学卒業後はそのまま大学院へ進学し、東北の津波研究に携わりました。その後、京都大学の防災研究所に移って南海トラフ地震による津波の研究に取り組み、さらに秋田大学へ移って日本海側の津波について研究しました。こうして日本全域の津波研究を終えたところで、ちょうど2010年、関西大学に災害研究を行う新学部ができるということで、こちらに来ました」

正に、日本中の津波を知りつくした高橋教授。満を持して、関大が誇る日本初の社会安全学部/大学院社会安全研究科に着任したのだ。

なぜスマートフォン向けアプリを作ったのか

高橋教授が行う水災害の防災研究とは、具体的にどういうものなのか。まずは、津波や洪水がどのように街を襲うのか、あらゆるデータを収集し、コンピュータ上でシミュレーションを行う。また、実験室にある装置を使って人工的に津波を発生させ、どのような現象が起こるのかを調べる。さらに、実際に災害が発生すれば被災地に赴き、どのようなメカニズムでどのような被害が起きたのかを調査する。そして、こうした研究成果を論文にまとめ、学会で発表するのだ。しかし、高橋教授は言う。

「学会で発表するということは、研究としては成果を出せたということになります。でも、私が行っているのは防災研究です。そう考えると、結局実際に被害を受ける一般市民の方々にまで研究の成果が届かなければ、防災研究の成果としては不十分なのではないか……年々そう思うようになりました」

理学的な現象を探る分野の研究とは違い、防災研究は現象を明らかにすることはもとより、被害を減らすことが最大の目的である。同じ研究と言っても、目的によってめざすべきゴールが違ってくるという、当たり前だけれども重要なことを、改めて教えられた気がした。

「そこで私の研究室では、研究成果である防災情報を、しっかりと自治体の防災担当者や一般市民の方々にも活用してもらえる方法を考えようということになりました。そして着目したのが、ここ数年で広く普及したスマートフォンです。AR技術を活用した、直感的に分かりやすく、危険が伝わりやすい防災情報のアプリを開発すれば、いざという時に誰でも活用できますし、普段から、わざわざ防災情報を調べないような人にも、少しは興味を持って見てもらえるのではないかと思いました」

このアプリ開発がスタートしたのが、学部1期生が3年生になり、高橋ゼミに所属した2012年。高橋教授はコンセプト設定までで、設計などの実作業は学生主導で行われた。この前年である2011年には、あの東日本大震災が発生している。研究するだけではなく、その成果を確実に一般市民にまで届けなければならないという使命感は、高橋教授もゼミ生たちも、きっと並々ならぬものだっただろう。

未来の防災に向けて

アプリリリース後も、防災情報を広く一般市民に届けるためのチャレンジを続けている高橋教授。例えば、現在力を入れているのが「津波リスク可視化ツール」。これは、建物の倒壊や火事など、複雑に絡み合うさまざまな津波のリスクを、自由自在に組み合わせて机上にCGで再現し、スマートグラスを装着した複数人で共有できるというものだ。また、津波が迫ってくる様子や高さ、浸水の早さ、深さがバーチャル体験できる、ヘッドマウントディスプレイ型の「避難訓練支援ツール」もある。これは小中学生を対象に開発中のもので、完成した暁には、現在の何から逃げているのかよく分からない状態から、襲ってくる相手をきちんと分かって逃げられるという状態になり、よりリアリティのある避難訓練が行える。

リスク可視化ツール

リスク可視化ツール

マーカーとヘッドマウント型ディスプレイを使うことで、机上で津波の危険度を共有できる

マーカーとヘッドマウント型ディスプレイを使うことで、机上で津波の危険度を共有できる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小中学生に向けた避難訓練支援ツール。ヘッドマウントディスプレイによって実際津波が襲ってくる映像を見ながら訓練ができる

小中学生に向けた避難訓練支援ツール。ヘッドマウントディスプレイによって実際津波が襲ってくる映像を見ながら訓練ができる


こういった防災研究の他にも、時間スケールの長い災害として、サンゴの再生など水に関わる環境問題にも取り組む水災害研究室。今後さらなる研究の発展に、是非とも注目していきたい。
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研究所内で珊瑚の飼育も。潮流で発電できる機械を使い、珊瑚の成長を促進するそう

研究所内で珊瑚の飼育も。潮流で発電できる機械を使い、珊瑚の成長を促進するそう

 

佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う②

2015年12月21日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

今年で8年目を迎える、佛教大学の学生による「酒づくりプロジェクト」。本プロジェクトの概要から今年度上半期までの取り組みについては、前回の記事でご紹介した通り。すでに酒米の収穫とターゲット&コンセプト設定まで完了している。そして今回はその後、11月下旬に行われた、日本酒づくりの要である醸造の様子をレポートする。
参照:佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う①

いざ、酒蔵へ

3日前から、酒づくりに悪影響を及ぼすためNGと言い渡されていた納豆・キムチ・ヨーグルトの発酵食品3禁を守り、当日は夜明け前に家を出発。午前8時前に、京都の酒処・伏見にある蔵元「招德酒造」に着いた。寒い、眠い、というような言葉しか出てこないような状況なのだが、すでに門の向こうに見える酒蔵の中は、活気に満ち溢れている。その姿にこちらも気合いを入れ直し、身支度を整え、きれいに手を洗い、入念に消毒をして、準備万端。本日の参加学生5名と一緒に、酒蔵の中へと導かれる。

酒蔵に入る前に、今日の作業を説明する招徳酒造社長の木村さん

酒蔵に入る前に、今日の作業を説明する招徳酒造社長の木村さん

白衣、キャップの装着はもちろん、手洗いや靴の消毒まで入念に行ってから酒蔵へ

白衣、キャップの装着はもちろん、手洗いや靴の消毒まで入念に行ってから酒蔵へ

 

単純だけど奥深い酒づくり

酒蔵の中は、木造ならではの木の香りと、日本酒の香りがふんわり。そして、数名の蔵人たちがものすごい勢いで働いていて、寒さをかき消すような熱気がむんむん。

学生たちはまず、仕込みのスタート部分となる「酒母(しゅぼ。“もと”とも言われる)」づくりを体験する。事前に30℃近い温室でつくられた麹を外へ運び出し、タンクの中に入れ、伏見が誇る名水と一緒によく混ぜる。そこへさらに酵母菌を入れて、よく混ぜる。作業としては“運ぶ”と“混ぜる”だけではあるのだが、学生たちはみんなどこか楽しそう。憧れの日本酒づくりを実際に体験しているのだという嬉しさが、こちらにも伝わってくる。

麹を運び出す作業を指導する内炭さんは、実は「酒づくりプロジェクト」がきっかけで招徳酒造に就職した佛教大学の卒業生

麹を運び出す作業を指導する内炭さんは、実は「酒づくりプロジェクト」がきっかけで招徳酒造に就職した佛教大学の卒業生

麹と水の入ったタンクに酵母菌を流し入れる。作業をする学生も、見学する学生も真剣そのものだ

麹と水の入ったタンクに酵母菌を流し入れる。作業をする学生も、見学する学生も真剣そのものだ


そうこうしているうちに、背後にある巨大な蒸し器で米が蒸し上がった。茶碗何杯分とかいうレベルではないほど大量の米が、轟音を響かせる機械の力でダイナミックに運ばれていく様や、蒸し暑い麹室の中に投入され、蔵人たちの手によってひたすら平らに広げられていく様を、じっと見学。ここで2泊3日、じっくり麹を育てるのだ。日本酒は米からつくられているという、頭の中でなんとなくしか理解できていなかった事実を実際にこの目で確かめていくかのような光景は、ただ見ているだけの私にも十分に興味深い。米づくりから携わっている学生たちにとってはなおさらだろう。

さらに、「酒母」の次の段階となる「初添え(はつぞえ)」も体験。「酒母」に水、麹、蒸し米を追加し、よく混ぜるのだ。学生たちが蒸し米を運び、蔵人たちがひたすら混ぜる。全身を使って混ぜているように見えるあたり、相当な力仕事だと伺える。この段階で、容量は2~2.5倍ぐらいにアップした。実際はさらに数日かけ、同様の作業をタンクのサイズをどんどん大きいものに変えながら、計3回繰り返す。これを3段仕込みと言い、江戸時代に確立してから現代までずっと、日本酒は変わらずこの製法がとられているそうだ。仕込みが終われば、あとは約20日間、微調整しつつ発酵していくのをひたすら待つ。ものすごく簡単に言ってしまうと、日本酒づくりにおける主な作業は以上。この極めてシンプルな工程の果てに、あの味わい深い日本酒が出来上がるのだ。

蒸し上がった酒米をクレーンで移動する様子はダイナミックのひと言に尽きる

蒸し上がった酒米をクレーンで移動する様子はダイナミックのひと言に尽きる

「初添え」の作業では、学生たちが慣れない手つきながら全身でタンクの中身を混ぜる

「初添え」の作業では、学生たちが慣れない手つきながら全身でタンクの中身を混ぜる

 

決意も新たに、ラストスパート

醸造体験を終えた学生たちは、「日本酒の製造工程ってもっと複雑なのかと思っていたけど、実はとても単純なんですね」(社会学部1回生・内海僚介さん)。「密室でつくられているのかと思っていたけど、意外とオープンな環境で、酒蔵の中も明るくて驚きました」(歴史学部2回生・杉保毅留さん)。「でも、酒蔵に入る前は手足を消毒したり、最後に掃除を手伝わせてもらった時には細かい所まで徹底していたり、とてもクリーンな環境が保たれていると感じました。安心安全の大切さを実感しました」(歴史学部2回生・高橋正也さん)など、思い思いの感想を口にしていた。

そんな学生たちを前に、招徳酒造の木村紫晃社長は、「こうして実際に製造現場を見ることで、日本酒を身近に感じてもらえたら嬉しいですね」と語る。本プロジェクトに参加したのも、日本酒離れが進む若者に、もっと日本酒に親しんでほしい、美味しいものだと分かってほしいという思いからなのだ。

こうした社長の思いもしっかりと受けとり、学生たちからは、「日本酒は苦手だけど興味はあるという人たちに、もっと飲んでもらえるように働きかけたい」(社会学部6回生・戸田浩一さん)、「若い人や女性が抱いているような、古臭いとかアルコールがキツイとかいう日本酒のイメージを変えて、年代も性別も問わずもっと広めていきたい」(社会学部1回生・濱中千紘さん)といった頼もしい声が聞かれた。

今回の醸造体験は、この翌日、翌々日と3日間にわたり、計8名の学生が参加して行われた。今後、学生たちは、ラベルデザインを完成させ、宣伝に使うパンフレットをつくり、最終的には店頭販売の体験まで行う予定だ。いったい今年はどのような日本酒ができあがるのだろうか。その様子をさらに追跡取材していくので、乞うご期待!

普段の大学生活ではまず体験できない「酒づくり」の現場に触れた学生たち

普段の大学生活ではまず体験できない「酒づくり」の現場に触れた学生たち

佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う①

2015年12月4日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

大学と酒の関係

“大学が酒をつくる”というのも、今や珍しくない時代。農学部やバイオ系学部を設置している大学が、研究・開発の一環として取り組んでいるケースが多いのだ。ビール、日本酒、ワイン、ウイスキー等々、実にさまざまな大学発アルコール飲料が出回っている。

そして京都市北区にメインキャンパスを構える佛教大学でも、7年前から「酒づくりプロジェクト」と題し、オリジナル日本酒づくりに取り組んでいる。ただし、佛教大学には農学部もバイオ系学部も無い。では、一体誰が何の目的で、わざわざ日本酒づくりなど行っているのか? そのあたりの事情を探りに、京都市北区にある紫野キャンパスへと赴いた。

教育としての酒づくり

対応してくれたのは、「酒づくりプロジェクト」担当の佛教大学研究推進部社会連携課・服部拓也さんと、本プロジェクト参加者の社会学部3回生・渓静香さん。まずは服部さんに、プロジェクトをはじめた経緯を聞いた。

「本学は2004年、京都府の中山間地域である南丹市美山町と連携協定を結びました。現地に宿泊もできる『美山荘』という活動拠点を持ち、学生と教職員は地域調査研究やフィールドワークなどを行いつつ、目の前の田畑でもち米やサツマイモなどを育てる農業体験も行ってきたんです。それが次第に、せっかくなら農作物を使って何か商品をつくれないか? と話が膨らみまして。2008年に、米を使った加工品であり、伝統産業品である日本酒をつくろう! ということになりました」

きっと当時の話し合いのメンバーの中に、相当な呑兵衛がいたに違いない! と思わずにはいられない話の展開だ。酒米づくりは地元農家の方々に指導してもらい、醸造から販売には京都の酒処・伏見にある「招德酒造」の協力を得ることに。そして、田植えから稲刈りまでの本格的な農作業のみならず、酒蔵での醸造、ラベルデザイン、販売プロモーションといった、商品づくりにおける全工程に学生有志が携わることとなった。

佛教大学の酒づくりは研究・開発活動ではない代わりに、学生が伝統産業と企業の経済活動を一から体験できる教育活動であり、地産地消で地域を活性化する社会貢献活動でもあるのだ。

インタビューに答える服部さんと渓さん

インタビューに答える服部さんと渓さん

酒米づくりの舞台となる南丹市美山町の「美山荘」

酒米づくりの舞台となる南丹市美山町の「美山荘」

今年も順調に、絶賛進行中!

「酒づくりプロジェクト」は1年完結型で、まず4月下旬~5月上旬に酒米の田植えを行い、5~6月に草取りをして、9月に稲刈り。その後、11月に醸造、12月に上槽という工程を経て、3月に店頭販売を迎える。参加学生は毎年20名程度で、学部も学年も男女も偏りなく、さまざまな学生が集まってくるという。8年目となる今年も例年通り順調に進んでおり、この取材の時点ですでに稲刈りまで完了。約600㎏の酒米を収穫し、3週間後に醸造を行うという段階まで来ていた。

「私は入学前からこのプロジェクトを知っていて、絶対に参加したいと思っていました。大変そうだけど、その分得られるものも大きそうだなと思って。メンバーは、日本酒好きもいれば、逆に飲めないけど面白そうっていう理由で参加している人もいます。私も始めは、日本酒ってクセがあって飲みづらいというイメージで苦手だったんです。でも、今では日本酒にもいろんな味があるということを知って、その美味しさが分かるようになって、全く抵抗なく普通に飲んでいます(笑)」と、今年の参加者である渓さんは楽しそうに話す。

とはいえ、大変だったこともあるのでは?
「私は農作業の中では草取りにしか参加できていないのですが、これが一番体力を使う作業だったみたいで。稲と稲の間に生えている雑草を、田車という道具を使って取りました。ドロドロで虫もいっぱいいる田んぼに膝までつかる……というだけでも抵抗があったのですが、そんな状況で今まで見たこともない道具を操るというのは想像以上に大変でした」

田車は、昔ながらの手動操作の草刈り機。今はもっと楽な電動の草刈り機が主流なのだが、本プロジェクトでは敢えて田車を使うことになっている。もちろん、“伝統産業を学ぶ”という、教育的観点からの選択である。

晴天のなかでの田植え。学生たちは初めての経験に悪戦苦闘した

晴天のなかでの田植え。学生たちは初めての経験に悪戦苦闘した

田車を使った草取り。ぬかるんだ田んぼの中での作業は想像以上に体力がいる

田車を使った草取り。ぬかるんだ田んぼの中での作業は想像以上に体力がいる

収穫には学生・教職員あわせて11名が参加。黄金色に実った稲穂が美しい

収穫には学生・教職員あわせて11名が参加。黄金色に実った稲穂が美しい


こうした現場作業と並行して、学生たちは毎週ミーティングを行っている。4月~8月は、まずターゲット&コンセプトを相談。毎年同じ酒をつくっているわけではなく、前年の反響やトレンドを踏まえて、見直しを行っているのだ。激しいディスカッションの結果、今年は20~30代の女性をターゲットに、飲みやすい味わいのものを目指すことになった。

そして、9月以降はラベルのデザインを考案。今年はメンバー内で6案に絞った後、10月30日(金)~11月1日(日)に行われた学園祭でアンケートを実施。人気の高かった案をブラッシュアップして、年末・年始あたりに完成させる。その後は、商品のパンフレット制作を行う予定とのことである。

コンセプトづくりからパンフレットの内容まで幅広いテーマについて議論・決定する

コンセプトづくりからパンフレットの内容まで幅広いテーマについて議論・決定する

大学祭でラベルについてアンケート調査。道行く人たちは興味津々で答えてくれていた

大学祭でラベルについてアンケート調査。道行く人たちは興味津々で答えてくれていた

いよいよ醸造へ

ちなみに、酒の銘柄は毎年共通で「佛米!夢乃酒(ぶっこめ!ゆめのさけ)」と決まっている。「佛米」には、佛大生が愛情を込めて企画したという意味と学生らしい勢いが、「夢乃酒」には文字通り、酒をつくりたいと集まった仲間の夢の結晶であるということと、夢に向かって頑張ろうという応援の意味も込められているそうだ。

そんな夢の酒づくりプロジェクトは、前述の通りこの取材の時点で、酒米の収穫とターゲット&コンセプト設定まで完了したところ。3週間後には、「招德酒造」での醸造が控えている。今回、この醸造にも立ち会わせてもらえることになったので、その模様はまた後日、紹介させてもらおう。


続きはこちら!
「佛大生が挑む日本酒づくりプロジェクトを追う②」

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