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ペットとの別れと向き合うグリーフケア。大阪公立大学の獣医臨床センター・今井泉先生に聞いてみた

2025年9月2日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

第一生命経済研究所が2021年に行った調査によると、「ペットは家族のような存在であると思う」と答えた人(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計割合)は、飼い主の約9割にも及ぶ。また、ペットとの暮らしは、飼い主自身の健康にも大きく関わっているという。こうした強いつながりのあるペットを失った時の悲しみは計り知れない。その悲嘆に耳を傾け、グリーフケアを行っているのが大阪公立大学獣医学部附属獣医臨床センターの今井泉先生だ。今回、筆者が愛犬を亡くして悲嘆にくれたことをきっかけに、グリーフケアとは何なのか、ペットロスの予防法や対処法などを今井先生に聞いた。

喪失からくる悲しみを癒すグリーフケア

今井先生が勤める獣医学部附属獣医臨床センターは一般の動物病院では治療が難しいペットの診療や検査を行っているセンターだ。主にがんなど重症の病気を抱えているペットが多く受診し、なかには生命に関わることも少なくない。その中で今井先生は「あんしん獣医療相談室」を立ち上げ、飼い主の気持ちを話せる場所、グリーフケアの場所づくりを5年前から実施している。

 

――グリーフケアの意味を教えてもらえますか。


「私は上智大学のグリーフケア研究所(大阪サテライトキャンパス)で3年間学んだのですが、もともとこの研究所はJR福知山線脱線事故をきっかけに設立されました。その後、不幸にして東日本大震災が起こり、支援金などとは別に、失ったものに対する気持ちのケアが必要だということでグリーフケアを目的とした活動が社会的に活性化していきました。

 

グリーフは『悲嘆』という意味ですが、たとえば災害でお家をなくしたとか、あるいは大きな障がいが残るような病気をして仕事をなくした方も、皆さんグリーフを抱えています。大きく言うと、本当に自分が大切に思っていた、あるいは大切にしていたものを失った状態がグリーフです。そういう気持ちを話せる相手になる、または話しても安全な場所を提供することがケアなのかなというふうに思っています」

 

——ペットの飼い主の方に対して、グリーフケアをしようと思ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。

 

「堺市にある動物の夜間の救急病院で働いていたことがあるのですが、そこには不慮の事故や容態が急変して連れてこられる動物がいます。そういう時の飼い主さんに声をかけると、涙されたり泣き崩れられたりするのですが、『どうして死んでしまったの?』と怒る人もいます。私は、患者さんにかけられる『魔法の言葉』みたいなものがないのかなと思っていました。傷つくのは飼い主さんだけではありません。飼い主さんの言葉で、夜間病院のスタッフも傷つくのです。全力でやっているのにと思うこともありますし、1日のうちに何例も心肺停止で来る子が続いたりすると、やはりスタッフもみんなちょっと無口になります。そういう時にケアができるような『魔法の言葉』があるとよいのにと思い、グリーフケアを勉強し始めました。でも結局、そういう言葉はなくて、気持ちが吐き出せる場所づくりや、じっくり話を聞くスタイルが、とても大切なのだと学びました」

 

——獣医臨床センターではどのようなことをされているのでしょうか。

 

「獣医臨床センターは二次診療の施設なので、かかりつけの動物病院ではなかなか治らない病気を抱えていたり、診断や治療に特別な医療設備がいるから大学病院に行ってくださいと言われたりした飼い主の方が多くいらっしゃいます。そういった方々は、長期間病気に向き合っていたり、急に重い病気だと言われてショックを受けたりしています。

 

そこで、私が任されている『あんしん獣医療相談室』では、飼い主さんが治療法の選択で悩んでいる時にアドバイスするほか、一度獣医師が提案した治療法を、もう一度わかりやすく説明しています。当センターだけでなく、他の病院で診てもらっている方の相談にも乗っています。たとえば、以前飼っていた犬の不妊手術をしたにも関わらず、その子が乳腺腫瘍にかかり亡くなってしまった場合、新しく迎えた犬の不妊手術を迷われる場合もあります。また、すでに亡くなってしまった子の治療は正しかったのか、どこかで判断を間違えたのではないかと苦しむ人もいて、お話を聞かせてもらっています。

 

お話の内容について良し悪しを評価するのではなく、頭を整理するのをお手伝いする感じです。何度もお話されるキーワードに対し、そこにこだわっておられますか?とお聞きしたり、今こういう気持ちですか、と言語化したりしてお返しすることを特に意識しています。最終的には、それを飼い主さんがまとめて『今回のことはこういうことだったんですね』とご自身で納得して帰られることが多いですね」

あんしん獣医療相談室の様子

身近な人を亡くすより悲しい?

——ペットは家族だと思っている人が多いようなのですが、身近な人を亡くしたグリーフケアとペットを亡くした人へのグリーフケアは違うのでしょうか。

 

「人だからとかペットだからとか、それは全然関係ないと思います。初めはみんな頭真っ白になって、目の前で起こっている事実をなかなか受け止められないところから始まります。次に、何がいけなかったのだろう、ああすればよかったと振り返って後悔したり、第三者に向かって怒りが沸いてきたりすることがあります。

 

そこで何か吐き出せればいいのですが、なかなかそういうことは言葉にできなかったり、誰かに言うのは良くないと思って溜め込んでしまったりします。さらに時間が経つと、家族や友人にも言えなくなってしまうのです。亡くなった当初は、周りの人も『大丈夫?』と気にかけてくれますが、1年後、2年後になると、『まだその子の話をしているの?』と受け取られるように御本人も感じてしまうので、ますます言いづらくなってしまいます。

 

私は、1年以上前の話も聞かせていただくこともありますし、怒りや後悔に耳を傾けることもあります。時が経ったから忘れられるかというとそうではなく、何かの拍子に思い出したり、命日や誕生日といった記念日に感情が昂ぶったりすることも。だんだん思い出す機会は減っていく方もいますが、思い出した時に話ができる場所があるというのは大事です。『ちょっと荷物を下ろせました』と表現される方もおられ、そういう言葉を聞くとやりがいを感じます」

 

——ペットを亡くす方が身近な人を亡くすよりも辛いという方もいらっしゃいます。

 

「ご両親などが亡くなった時よりも、ペットが亡くなった時の方が悲しいとおっしゃる人は、確かにたくさんいらっしゃいます。何が違うのかというと、まず動物って言葉を喋らないじゃないですか。だから、飼い主さんが一生懸命その子の気持ちを推し量って、ずっと一緒に暮らしているんです。子犬や子猫の頃からずっと。今、ごはんがほしいのかなとか、散歩に行きたいのかなと。

 

そうして『私はこの子の気持ちがわかる』と思いながら生活してきた子を亡くしてしまうので、人を亡くした時より辛い、しんどいのだと思います。『あの子の様子を思い返すと、こう伝えてくれていたのに、なぜ私は気づかなかったのか』と思ってしまうのです。想像力が、悲しみに相乗的に重なってしまって、何かの拍子に、『そういえばあの頃から散歩に行きたがっていなかった』『あの時、私が病院に連れて行っていたらこんな風に別れずにすんだのかも』と、ご自身の中でいろいろと考え込んでしまうところがペットの飼い主さんの特徴なのかもしれません。

 

いろいろお話を聞かせてもらううちに、ご自身の中で考え過ぎかもしれないと言う人もいます。私から『元気だった頃は、どんな様子でしたか?』とお尋ねすると、そのときの光景を思い出しながら話してくださり『亡くなったときのことよりも、楽しかった思い出を大切にしたい』とおっしゃる方もいます。

 

ペットでもう一つ特徴的なことがあります。窓を開けた時に、飼っていた小鳥が飛んでいってしまって帰ってこないとか、ペットが迷い犬、迷い猫になった方は、いつまでも生死がわからないことがあるのです。その場合、どこかで幸せに暮らしているかもしれないという曖昧な喪失感に苦しんでいる人もいます」

お別れが近づく前にしておきたいこと

——考えるのは辛いことですが、お別れを迎える前に飼い主ができることや心がけておくこととしては、どんなことがありますか。

 

「お別れが近づく前から、常日頃この子がどんなことをしたらハッピーになれるか、この子が好きなことは何なのか、この子が嫌なことは何なのか、そういうことをご自身の中で考えておかれるのが大事です。ペットが望んでいることを、ご自身の中で言葉にしたり、家族同士で話しておいたりしておくと、後悔することも少なくなるように思います。お一人で飼われていても同じです。

 

『お別れしたくなくてがんばらせすぎた』と言う人がいます。『あの日、先生に難しいって言われた時に家に連れて帰ればよかったのに、もう1日治療したら元気になると思って、結局迎えに行った時には、もう意識がなかった』『きっとあの子は家で寝たかったのに、病院に長い間入院させてしまった』『いろんな治療を受けさせてしまった』など。前もって『この子にとって何が一番楽しく過ごせることなのか』を、少しでも考えておいてもらえるといいと思います。

 

シビアな状況になった時は、冷静ではいられません。大切な家族への思いをちょっと走り書きしたものがあったり、日頃考えていたことが頭の中に浮かんだりすると、一瞬引き戻してくれます。私自身もそういう経験がありますね」

大学におけるグリーフケア教育と今後の展望

——これから獣医師をめざす方へのグリーフケア教育や、「あんしん獣医療相談室」の今後の展望をお聞かせください。

 

「残念ながら、グリーフケア専門の講義・実習は今のところ獣医学を学ぶ大学のカリキュラムには組み込まれていません。でも、学生が臨床実習へ行く前に必要な試験の中に、飼い主や動物の所有者との適切なコミュニケーション力を評価する試験はありますので、コミュニケーションについて学ぶ医療面接実習に取り組んでいます。

 

医療面接実習では一般の飼い主さんに協力してもらい、設定したシナリオで飼い主役(模擬クライアント)を、学生には獣医師の役をしてもらいます。シナリオには飼い主の気持ちや症状の背景も織り込んでいます。たとえば、リンパ腫で首のリンパ節が腫れている犬を連れてきた飼い主さんが、腫れに気づいてから3週間も経ってからこちらに来たとします。でも、飼い主さんは3週間何もしていなかったわけではなく、実は発症する以前にかかりつけの病院で太っていると指摘されたが、体重コントロールがうまくできず、首の周りにお肉が付いと思っていた経緯があるという設定をしています(学生には最初は『腫れている』ということだけ伝える)。獣医役の学生は、飼い主さんが3週間様子を見ていた理由と後悔を、飼い主さんに寄り添いながらうまく聞き出さなければなりません。これは飼い主の解釈モデルを意識すると言うのですが、飼い主さんへの話の聞き方や話し方はグリーフケアにつながるところがあると考えています」

医療面接実習後、学生たちは模擬クライアントから、質問が答えにくかった、責められているように感じた、などのフィードバックを受けることができる

 

「相談室を始めた頃は、まだまだグリーフケアも浸透していない頃でした。『私が担当している飼い主の話を聞くの?もうこちらで十分聞いているからいらないよ』と言う獣医師の先生もいらっしゃいました。でも、今は先生たちの方から、『ちょっと相談したそうなので紹介するかもしれない』と言ってもらえるようになりました。先生方だけではなく、私も一緒にチームに加わっている空気ができつつあり、それをこれからも培っていきたいなと思っています。毎日予約がいっぱいというわけはありませんが、この取り組みに意義を感じてもらえるよう続けていきたいです」

 

グリーフケアは、ペットを飼い始めた時から必要だと言われています。なぜなら、飼い主は治療法など選択を迫られることが度々あるからです。ペットを亡くしてしまった時の心のケアだけではなく、こうして悩みごとに耳を傾けてくれる人がいたら心強いのではないでしょうか。

 

近畿大学医学部の「世界糖尿病デー」イベントを体験!

2018年12月4日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

いまや世界的に問題になっている糖尿病。WHOと国際糖尿病連合(IDF)は、インスリンを発見したフレデリック・バンティング先生の誕生日、11月14日を「世界糖尿病デー」として、毎年啓蒙活動をおこなっています。それに伴い、近畿大学医学部では2018年11月24日(土)第4回「世界糖尿病デー」イベントを開催。取材とともに検査などを体験してきました!

 

各種検査が無料で受けられる

 

糖尿病は、最初から症状が出るわけではなく、知らない間に進行する病気です。仕事が忙しいとか、自分は大丈夫だと思って放置しておくと、気づいた時には重症化していることもあります。そのため、毎年健診を受けて、糖尿病にかかっていないか確認することが最大の予防になるそうです。イベントでは、糖尿病や生活習慣病のチェックのため、さまざまな検査を無料で受けることができました。

血圧測定や血糖測定を気軽に受けることができる

血圧測定や血糖測定を気軽に受けることができる

 

100名ほどの方が来場されたのですが、セミナー会場と検査会場を自由に行き来できるので、皆さん、「セミナーも聴きたいし、検査も受けたいし」というわけで、どちらも盛況。検査は順番待ちになっているコーナーもありましたが、技師さんは、個別の質問にも答えてくれて、一人ひとりに丁寧に対応されていました。

 

まず、生活習慣病に関わる数字である、血圧や脈拍、血糖値を計ります。血糖値は、糖尿病にかかっているか、いないか、ひとつの指標になりますが、普通に生活していてはめったに計る機会がありません。しかし、このイベントでは、指先に少し針を刺して採血し、簡単に計測してくれます。

 

その他、四肢の血圧脈波を測定して、動脈硬化の度合いを調べて、筋肉量や脂肪量など、生活習慣病に関わる体組成についても細かく計測してくれました。ちなみに、私の場合、肥満体ですが、筋肉量は平均的でした。

 

糖尿病セミナーは充実の内容

 

検査会場の隣の部屋では、糖尿病セミナーが開催され、近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科講師の能宗伸輔医師が登壇しました。成人に多い2型糖尿病は、最初は無症状でじわじわ進行することや、初期の症状について、また、ある日突然発症する網膜症や脳梗塞、心筋梗塞などの合併症についても、分かりやすくお話ししてくださいました。

 

セミナーの様子

セミナーの様子

 

糖尿病や糖尿病による合併症は、早期発見して血糖値を管理することでコントロールしやすくなるので、まずは、健診を受けて血糖値や動脈硬化の状態を知ることが重要なのだそうです。

 

能宗医師による糖尿病のお話以外にも、近畿大学医学部の栄養士、森田隆介さんによる、糖尿病や生活習慣病予防のためのバランスの取れた食事法についてもお話しいただきました。

 

ポテトサラダやかぼちゃのサラダを食べると、野菜を食べたことになりますが、じゃがいもやかぼちゃは糖質を多く含むので、ご飯の量を減らす。野菜は加熱してもいいので、1日350g摂取する。ごはんなどの主食と肉や魚の主菜、野菜中心の副菜を偏りなく食べるなど、理想的な食事法について教えていただきました。食事は、20分以上かけてゆっくり食べると、血糖が上がりにくくなるそうです。

 

さらに、近畿大学医学部の糖尿病療養指導士で理学療法士の脇野昌司さんからは、高齢になっても筋力を上げられるというお話や、テレビを見たり歯磨きしたりしながらできる「ながら運動」の方法、座ったまま足の筋肉を鍛える方法など、誰でも簡単にできる運動法について教えていただきました。

 

身体活動不足は、日本人の死因の第3位なのですが、必ずしも激しい運動をする必要はなく、ウォーキングなどの有酸素運動とスクワットなどの筋トレを組み合わせるといいそうです。

 

糖尿病なんて他人事のように思っていたのですが、無症状のうちに進行するとか、献立の立て方や食べ方のコツ、家で簡単にできる「ながら運動」など、知っているようで知らない情報がいっぱい!すぐに実践でき、役立つことをたくさん教えていただけました。

 

あなたの食事は大丈夫!?視覚で確認できる展示コーナー

 

検査会場の一角にある、展示コーナーも、みなさん興味津々。繊維質豊富な野菜を食べようということで、奈良県にある近畿大学農学部で栽培している大和真菜(やまとまな)という伝統野菜と乾燥おからで作ったケーキも試食できました。緑黄色野菜が苦手な私、「困ったな」と思ったのですが、苦味や青臭さがなく、芳ばしい風味。レシピもついていたので、家でも作ってみたいと思いました。

 

大和真菜のケーキ

大和真菜のケーキ

 

こちらの缶ジュースなどの飲料に含まれる砂糖の量を角砂糖で表したコーナーや、好ましくない献立と推奨される献立を比較したコーナーも、目で見てパッと分かるようになっていたのですが、参加者の皆さんは、栄養士さんの說明を聞きながら大きくうなずいていらっしゃいました。

 

野菜たっぷりの献立

野菜たっぷりの献立

理想的な朝ごはん

理想的な朝ごはん

 

忙しい毎日、特に症状がないと、「私は元気」と思ってしまいがちです。しかし、糖尿病や生活習慣病は、症状が現れてからでは、既に重症化していることもあります。日頃から運動や食事などに気を配り、年に一度の健診は受けるようにしたいですね。私は、血糖値は正常圏内でしたが、運動不足と高脂肪の食事を控えようと思いました。

自由な発想がクロスオーバーする2018大阪芸術大学学祭に行ってきた!

2018年11月15日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

秋風が爽やかに吹く、秋晴れの日。2018年11月3日(土)~4日(日)の2日間にわたって、大阪芸術大学の学園祭が開催されました。テーマは『KIMINO TRIGGER』。Triggerとは、引き金とかはずみ、きっかけという意味なのですが、「誰かの、何かの起爆剤たれ!」、そんな勢いが感じられる学祭でした。

 

芸大名物、コスプレーヤーがいっぱい!

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校舎の間を東西に伸びるメインストリート、天の川通りを中心に、その両サイドに模擬店が並び、ドレミの広場や銀河系広場、9号館前広場などで繰り広げられる各種イベント。

その模擬店やイベントを企画、実行する人だけでなく、参加者も一体となって作り上げられるのが大芸大の学祭です。

 

芸大の学祭は、私が在籍していた30年以上前からコスプレーヤーが闊歩しているのが目玉のひとつなのですが、今年もカラフルなコスプレーヤーの多いこと!学生もいれば外部の人もいるようでしたが、メイクもコスチュームもド派手で、学祭に華やぎをもたらしていました。

 

アニメのものまねではなく、オリジナルのコスチュームを着ていた人も多かったのですが、なかでも目を引いたのが特殊メイク研究会のブースに立っていた猫の特殊メイクをした女の子。最初、何のメイクなのかよく分からず、「何のメイクですか?」と尋ねた私に、「ニャオ」と答えてくれたのです。「猫?」と言うと、再び「ニャオ」と。メイクだけでなく、すべて猫になりきっているのでした。

 

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長蛇の列、デッサン部の似顔絵コーナー

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焼きそばや鶏肉の燻製、タコせんべい、ぜんざいなど、食べ物を売る模擬店も賑わっていて、4日の16時頃には売り切れ店も続出でしたが、そうした中、長蛇の列で異彩を放っていたのがデッサン部の似顔絵コーナー。

 

5人の学生が似顔絵を1枚300円で描いてくれるのですが、同じ似顔絵でも描く人によってテイストが違い、個性的な似顔絵になるのがポイント。手の空いた人が描いてくれるので、どの描き手に当たるかはお楽しみ。1枚10分ほどかかるので、待ち時間がわりと長いにもかかわらず、お客さんの列が途切れることはありませんでした。

 

この似顔絵コーナーは、毎年出店しているそうで、来年もおそらく出店するとのこと。スマホなどで写真が手軽に撮れる時代だからこそ、絵に描いてもらえるのは、貴重な機会でもあります。

 

 

「手作り横丁」も人気!

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「手作り横丁」というコーナーでは、工芸学科の学生がガラス細工のアクセサリーやグラス、食器、ピアスなどを販売。特にアクセサリーを買い求める女性で賑わっていました。ジャムトーストや目玉焼きをモチーフにしたピアスには「可愛い!」と歓声を上げる子がいっぱい。他にも美術やデザインを学ぶ学生が手書きイラストのカードを販売したり、クリスマスシーズンにぴったりのリースを売ったりしていて、他では買えないオリジナルな一品なのが魅力です。みんなプロの卵なので、将来も楽しみですね。

 

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今年初めて開催された小型のドローンレースや、カラフルで楽しいバルーンアートの実演、大阪出身のジャズピアニスト角渉(すみわたる)氏(ローランドピアノミュージックフェスティバル2012ファイナルで最優秀賞受賞)を中心としたトリオのJAZZライブなど、大人も子供も楽しめるイベントが盛りだくさんでした。

 

個性あふれるパワーが炸裂した大阪芸術大学学園祭。訪れた人の中には、何か次のステップに踏み出す力や勇気をもらった人も多いのではないでしょうか。来年の学祭がいまから楽しみです。

アジアを楽しむ!学ぶ!立命館大学OICのAsia Week 2018に行ってきた!

2018年11月6日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

立命館大学大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)では、10月14日(日)から8日間に渡って、国際交流フェスタ「Asia Week 2018」が開催されました。OICの教学コンセプトのひとつが「アジアのゲートウェイ」ということで、アジアを身近に感じられる学生や留学生によるイベントが盛りだくさん。今回はメインの10月21日(日)の様子をレポートします!

 

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イベントでは、アジアンフードや雑貨店が約20店立ち並ぶマルシェ「アジア・ストリート」や、さまざまな中国茶を煎じてもらって飲める講座、ホッケー教室など、約60の多彩な企画が登場。中でも国際貢献や世界平和に寄与する団体や取り組みがすてきだったのでご紹介したいと思います。

 

カンボジアに教育基盤を!国際協力団体IROHA

 

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国際協力団体IROHAは、立命館大学を拠点に、カンボジアの教育に焦点を当てて活動している学生団体。カンボジアの絵葉書やコースター、洋服などを販売して、支援を募っていました。

 

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IROHAは、2009年に結成され、2010年には、カンボジアのストゥントレン州オースヴァイ村に公立中学校IROHAスクールを設立した実績のある団体。より良い教育環境を整備するために、さまざまな支援を行っています。

 

カンボジアは、かつてポル・ポト政権によって支配された当時、教師など多くの知識人が虐殺されました。そのため、学校や教材だけでなく、教師も失い、カンボジアの教育基盤は崩壊。いまなお、学校の不足や教育の低さといった問題を抱えているのですが、将来、カンボジアの発展を担う人材育成の拠点としてIROHAスクールが設立されたそうです。学生さんたちのキラキラ輝く目が印象的でした。

 

IROHAでは、現在、カンボジアのタケオ州ドンパー小学校再建のため、クラウドファンディングに挑戦中。ぜひチェックを。(10月27日~11月30日)
https://camp-fire.jp/projects/view/80677

 

関西あおぞらプロジェクト(以下、KAP)の石けん講座

 

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2009年に発足した関西あおぞらプロジェクト(KAP)は、非営利学生国際協力団体。途上国におけるいのちの保護と基本的な生活の改善を目指しています。KAPでは、その一環として、「石けんを用いた手洗い」をカンボジアの農村地帯に広め、衛生環境の改善にも取り組んでいるそうです。

 

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日本では、下痢というと食べ過ぎや消化不良による軟便で、薬を飲めば治る一過性のものを思い浮かべますが、カンボジアでは、衛生環境が劣悪なため、コレラやチフス、赤痢など、命に関わる伝染病によるものが多く、1日およそ1,400人もの子供たちが亡くなっているそうです(2015年)。そのため、KAPでは、石けんを用いて手洗いができる環境づくりと衛生教育支援に力を入れています。

 

こちらも立命館大学の学生が中心となり、子供たちに石けん作りに参加してもらうプログラムを実施。また正しい手洗いの仕方を広めることで、「石けんを用いた手洗い」と活動内容についてアピールしていました。将来、子供たちが石けんを手にした時、ふと「KAPって何だったんだろう」と思いをはせるきっかけになるかもしれません。

 

196カ国のKIMONOを作って、世界平和を願う

 

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最後に紹介するのは「Team茨木」KIMONOプロジェクト。これは大阪府茨木市在住の手描き友禅師・兵江美香さんと地元の有志による団体で、立命館大学の授業とも連携※。2020年の東京オリンピック開催に合わせ、世界196カ国の自然や遺産・歴史文化を表現したKIMONOを制作する取り組みをしています。その着物を来た人たちが手をつなぐことで、「世界はきっと、ひとつになれる」ことを表現し、世界平和を問いかけようという取り組みです。

 

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展示ブースでは、茨木市にある府立福井高校の生徒たちがデザインしたネパールの着物と小学生がデザインしたオーストラリアの着物が展示され、着物生地のヘアゴムを作り、カバン、エプロンで染を体験できるコーナーもありました。

 

※「社会を変えたいと思う人たちの活動に資金が流入する環境が整っている社会を作る」ことを目的に学生たちが活動、茨木青年会議所とも連携し、クラウドファンディングサイトの作成・運営、募金活動を企画・実施。学生、高校生、市民とともにネパールへ国際親善訪問も行われた。

 

その他、「大規模自然災害からグローバルサスティナビリティを考える」、「日本と台湾におけるLGBTの課題と現状」といったワールドワイドな視点に基づいた講義や、朝ドラ『まんぷく』のモデルでインスタントラーメンの発明者、安藤百福さんに関する資料やポスター展示も行われ、秋晴れの空の下、約7000名の来場者が「食べて」「見て」「体験し」ながら大学による社会連携や国際貢献の取り組みを知ることができました。
ただ楽しむだけでなく、アジアの文化・課題を学べるイベントとなっていたのが大学ならでは。次回の開催をぜひチェックしてみてください。

大阪工業大学「OITサマーキッズカレッジ」開催!次世代ものづくりに親子でチャレンジ!

2018年9月18日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

大阪工業大学梅田キャンパスにて、夏休み最後の土曜日、8月25日に小学生を対象にした“次世代ものづくり”の体験イベント「OITサマーキッズカレッジ」が開催されました。

来場者数は950名にも上る大盛況!さまざまなプログラムに参加し、“次世代ものづくり”に熱くチャレンジする親子で賑わいました。

“次世代ものづくり”に親子でチャレンジ!

大学生が教えているシーン

このイベントでは、「レゴでロボットカーをつくってプログラムを動かそう」や「野菜で電気をつくろう」などのプログラムを、ロボティクス&デザイン工学部の学生が中心となって企画。

子供たちの科学・情報技術に対する関心を高め、学習意欲の向上や創造性、知的好奇心の育成を目指し、全部で25のプログラムが催されました。

各プログラムは、プログラミングや機械工作、電子工作など高度な技術を駆使したものなのですが、親しみやすいよう工夫を凝らしたオリジナル教材などを使っており、子供たちが楽しく取り組めるものばかり。スタッフ総勢150名が参加者をサポートしました。

4つの注目プログラム

親子で作業シーン

25のプログラムは、事前予約が必要なものと、当日自由に参加できるものがあります。なかでも面白そうだった4つのプログラムをご紹介します!

 

1.「レゴでロボットカーをつくってプログラムを動かそう」

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レゴブロックを使ったオリジナルロボットカーを、レゴ社の「マインドストーム」というソフトでプログラミングすることで動かします。

パソコン上で、ロボットカーはあらかじめ大阪工業大学の学生たちが用意してくれているのですが、ソフトを使うのは子供たち。ブロックのような絵を組み合わせることでプログラミングでき、ロボットカーが決められたコースを思いのままに動くようにします。

さまざまな命令を組み立ててシナリオを作るのですが、一筋縄ではいきません。子供たちは思うように進まないと、「なんでだろう」と考えプログラムを変えてみたりして、「Try&Error」の醍醐味を体験していました。

 

 

2.「親子ではじめるプログラミング」

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ずらっと並んだパソコンのモニターに真剣に向かう親子連れ。興味はあるけれど、なんだか難しそうといった子供たちにプログラミングを教える内容です。

プログラミング言語は「Scratch」というものを使うのですが、日本語で書かれた命令をクリックし、猫などのアニメを動かすだけで、本格的な概念を学べます。

2020年から小学校の授業でプログラミングが必修化されることもあり、保護者の方も熱心に聞き入っていました。

 

 

3.「プログラムでNAOを動かそう」

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NAOは、小型のヒューマノイド(人間型)ロボット。頭と両手足にセンサがあり、2つのカメラでモノを見ることができます。簡単な会話ができ、頭と手足を動かすこともできます。

パソコンの操作画面で、機能に対応したブロックをつなぎ合わせてNAOを動かすのですが、ここでは、順序立てて一つひとつの動作をできるようにしていくのがプログラミングだということを学びます。

可愛い2体のNAOが相手なので、小さな子も気軽にチャレンジしていました。

③プログラムでNAOを動かそう

 

 

4.「パソコンで絵を描いてオリジナルプレートをつくろう」

④パソコンで絵を描いてオリジナルプレートを作ろう

CGソフト(Adobe Illustrator)を使ってパソコン上に好きな絵を描き、そのデータをレーザーカッターでアクリル板や木材に彫刻。オリジナルプレートを作るプログラムです。

パソコンをあまり触ったことがない子供でも、自由に絵や文字を描いて形にできるので、手軽に達成感が味わえると人気でした。

 

 

この他にも野菜や金属板を使って電池を作る「野菜で電気をつくろう」や、本物のクワガタムシをじっくり観察して、好きな画材を使って絵画を描くなど、多種多様なプログラムが用意されていました。

 

野菜で電気をつくろう

野菜で電気をつくろう

 

親子で参加できる体験学習「OITサマーキッズカレッジ」は、遊びながら学べる、夏休みのフィナーレを飾るのにふさわしいイベントだと感じました。

来年も開催があればぜひご家族で出かけてみてください!

近大マグロのコラーゲンでうるつやリップに!美味しく高保湿できるリップコスメ

2018年5月31日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

お肌も唇も、ベースがボロボロでは、化粧品のノリが悪くて残念な仕上がりに。日頃からしっかりケアして、潤いをキープ!美しく整えておきたいものです。UHA味覚糖と近畿大学が産学連携して開発した、画期的なリップコスメをご紹介します。

 

UHA味覚糖と近畿大学がコスメ事業に参入

2016年2月、UHA味覚糖(大阪府大阪市)と近畿大学(大阪府東大阪市)が、産学連携して画期的な新ブランド「美はお口から研究所」を立ち上げました。


「おいしさはやさしさ」というキャッチフレーズのもと、美味しくて体に優しいキャンディやグミを続々と開発しているUHA味覚糖。お菓子だけではなく、ビューティーケア事業にも参入し、そのパートナーとして近畿大学と連携、潤いの原料に近大マグロを活用しています。

 

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近畿大学といえば、開学以来「実学教育」をモットーに、次々と注目の商品を開発している大学。なかでも、水産研究所が近大マグロの養殖に成功したのは、多くの人が知るところです。そして、その近大マグロを使ったコスメを開発するため、薬学部、文芸学部、経営学部の研究室が参加し、UHA味覚糖と手を組み、文理融合型の産学連携を展開、とってもキュートで、美味しいコスメが誕生しました。潤いたっぷりのこのリップコスメ、いままでにない潤い感で唇がしっとりプルプル。さらに、キャンディのような甘い味と香りがするんです。コスメにあまり関心がない人やずぼらな人でも、ケアの時間が待ち遠しくなります。

 

近大マグロの希少なコラーゲン「フルレングスコラーゲン」とは

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いままでにない発想のビューティーケア新ブランド「美はお口からの研究所」では、マグロから抽出できるコラーゲン「フルレングスコラーゲン」に注目しました。そして、フルレングスコラーゲンを配合したオーラルケアのためのグミサプリやコスメを開発。2016年12月にはにリップエッセンスを発売したのです。


マグロに含まれる「フルレングスコラーゲン」は、約40kgのマグロ一尾から、たった100gしか抽出できない希少なもの。保水力は、市販されているコラーゲンの約2倍。ただ、抽出が非常に難しいのですが、UHA味覚糖と近畿大学は、近大マグロを使い、高純度なフルレングスコラーゲンの抽出に成功しました。リップエッセンスには、この高純度コラーゲンが配合されていて、デリケートな唇を守ってくれます。

 

可愛いだけじゃない!リップエッセンス

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無色半透明のリップエッセンスは、少量でもリッチな潤い感。少々食べたり、飲んだりしても落ちにくく、潤いを長時間閉じ込めることができます。ほのかに甘く香るリラックスフルーツの香りに気持ちもリフレッシュ。味覚糖と近畿大学がコラボしたから、なせる技です。


容器の機能面も非常に工夫されていて、口の部分が斜めにカットされているので指に取りやすく、常に清潔を保てます。また、スティックタイプのリップクリームと違って、最後まで使い切ることができ、無駄がありません。黒のスクリュー式のキャップも、甘すぎないデザインがいいですね。


話したり、笑ったりするたびに動く口元は、何かと人の目につきやすいところ。近大マグロの高純度フルレングスコラーゲン配合されたリップコスメで、うるつや唇にしたいですね。UHA味覚糖と近畿大学の「美はお口から研究所」、新しいコスメティックス商品の登場にも期待が高まります。

近大マグロの次は「キンダイ」!?限りなく広がる近畿大学水産研究所の交雑魚養殖の可能性

2018年4月12日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

クロマグロの養殖と商品化に成功し、マグロ界を席巻した近大マグロ。その近畿大学水産研究所のレストランでは、交雑魚「キンダイ」が食べられます。鯛といえば、マグロと並んで高級魚。しかし、馴染みのあるマダイではないというのです。いったいどんな魚なのか確かめてみました。

しっかりとした歯ごたえと濃厚な風味

近畿大学水産研究所で育まれ、見事、立派な体格になって卒業した魚たちは、大阪と銀座のレストランで供されます。クロマグロは皆さんご存知の通りですが、交雑魚の「キンダイ」も見逃せません。鯛というと桜色に輝くマダイを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、キンダイは違います。イシダイの縞模様とイシガキダイの斑点模様の両方が体表に現れて、見た目で分かり易い交雑魚です。

 

味わいはというと、普通のマダイは、半透明の白身がプリプリしていて、非常に弾力に富んだ食感が特徴です。でも、キンダイは、まったり滑らかな食感でありながら、歯ごたえも十分に楽しめる魚。プリプリではないけど、ムギューという弾力がたっぷり感じられるのです。舌にまったりと絡みつく濃厚な旨味と磯の香りが口中に広がるのも特徴のひとつ。マダイは、どちらかというとあっさりした風味で、味わいよりも食感に優れていますが、キンダイは、味にも深みがあるのです。刺し身に添えられているもみじおろしのピリッとした風味との相性も良し。もちろん、近大卒の証である「卒業証書」も添えられています。

 

キンダイの卒業証書

キンダイの卒業証書。こちらで提供される魚にはみんなこの卒業証書が授与されている

 

レストランでは「キンダイ」の刺し身がいただけるのですが、近大が厳選した和歌山名物の日本酒、「紀州五十五万石本醸造」や「高野山般若湯聖」、白ワインなどスッキリ辛口の酒が合うそうです。

「実学の精神」に基づいた魚の養殖

近畿大学水産研究所は1948年(昭和28年)に和歌山県西牟婁郡白浜町に誕生しました。
近大には、世の中の役に立とうという「実学の精神」が息づいていて、水産研究所でも、交雑魚の養殖研究や近大マグロのような多くの人に喜ばれる魚の養殖を進めてきたのです。

 

店内パネル

店内にあるパネル。白浜にある養殖場の様子を垣間見ることができる

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養殖場の様子(提供:近畿大学広報室)

交雑魚の養殖は限りない可能性が広がる

交雑魚の養殖では、違う種類の魚の卵子と精子を掛け合わせるのですが、そのひとつがキンダイの養殖です。

実は、キンダイの養殖は、1975年(昭和50年)に成功し、「雑種の養殖法」について特許を取得しました。イシダイはイシガキダイに比べて繁殖力が強く、イシガキダイはイシダイに比べて成長が早いという特徴があり、両者の良い面を受け継ぐ交雑魚としてもってこいの魚だったのです。そこからさらに研究を進めてキンダイが商品化されたのですが、現在の課題はより早く成長させること。1kgになるのに4~5年かかってしまうので、一般に広く出回るような量産化は難しいそうです。

弾力に富み、旨味がたっぷりのっているキンダイ。今後、普通の鮮魚店でお目にかかれる日が来るかもしれません。また、近畿大学水産研究所では、他の交雑魚研究も進められているのですが、その可能性は無限の広がりを見せています。

ホクホク食感の“芋ジェラート”が発売に!近大農学部が産官学連携で開発

2018年2月27日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

外がどんなに寒くても、温かい部屋にいると食べたくなるのがアイスクリームやジェラート。いちごやミルクなど魅力的な商品が並んでいますが、今回、近畿大学が産学官連携で開発した「芋ジェラート」も見逃せません。2018年2月1日からコンビニなどで限定3,000個が販売されています。

 

ジェラートだけどホクホク食感!

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サクッと香ばしい最中の皮の中には、ホクホク食感でほんのり甘い芋ジェラート。芋ジェラートは、昨年もカップ入りのものが発売されたのですが、今年は最中になりました。パッケージも一新してリニューアル。さつま芋にもいろんな種類がありますが、芋ジェラートに使われているのはホクホク感の強い金時芋です。その金時芋のペーストを20%も増量したので、芋の存在感がすごい!ジェラートだけど、金時芋のまったりコクのある風味がミルクジェラートに加わって、まるでアイスクリームのようなリッチなテイストなのです。口に含むと最中の香ばしい風味が広がり、金時芋のまろやかな甘みが広がる、芋好きにはたまらない味わいです。

 

パッケージには、芋の皮に見立てたキラキラ輝く丸い模様が施されていて、とってもキュート!さつま芋だけど洗練されたデザインは、近大生ならではの若い感性が光っています。

 

近鉄沿線ならでは!「irodori kintetsu」ブランド

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芋ジェラートは、近鉄リテーリングが展開する「irodori kintetsu(いろどり・きんてつ)」というブランド商品のひとつ。近鉄リテーリングでは、近鉄沿線の地域の魅力を発信する商品を企画、産学官連携で開発しているのです。ラインナップにはさまざまなスイーツや酒類があるのですが、近大からは芋ジェラートの他、過去にメロンジェラートも発売されました。これらの商品は、農学部農業生産科学科の学生たちが原材料の栽培から収穫まで行っていて、芋ジェラートの金時芋も奈良県・平群町(へぐりちょう)の実習農場で収穫したものを使っています。

 

平群町に本社がある「テンダーボックス」も、芋ジェラートの開発に協力しました。テンダーボックスは、手作りイタリアンジェラートの製造、企画、OEM(製品の製造)とイタリアンレストラン「manma」を経営しているのですが、優れた企業のノウハウが芋ジェラートに生かされたのです。実は、このテンダーボックスは、イタリアで開催された「第36回SIGAイタリア国際ジェラートコンテスト」自由部門で日本人最高位の世界6位に入賞した実力派なのです。芋ジェラートが濃厚でクリーミー、本格的な味わいなのもうなずけます。

 

いろいろ学べる「アグリビジネス実習」

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学生たちが授業の一環として参加したのが「アグリビジネス実習」。近畿大学では、2013年に平群町と「アグリビジネス実習」に関する業務委託契約を締結したので、町内に実習農場が整備されているのです。この授業は、農産物を栽培、収穫するだけの実習ではありません。農業も「作って終わり」ではなく、「いかに売れるものを作って、付加価値を高めていくか」という発想が大事なのです。こうしたニーズに応えられる人材を育成するため、近大では、「アグリビジネスマイスター制度」を設けました。農産物の生産だけでなく、加工から販売までのすべてを学修し、全過程を修了すると近大農学部からマイスターの称号が授与されます。芋ジェラートも、金時芋の生産はもちろん、加工や流通、販売にいたるまで、学生たちは全ての過程に関わってきました。

 

さらに、近畿大学と平群町では、2017に包括連携協定も締結。近大の多彩な学部の知見と平群町の豊かな自然、歴史や文化のコラボが実現。魅力あるまちづくりや文化学術振興が進められています。

 

自分たちで育てた芋がお洒落で美味しい芋ジェラートになって販売される喜び。こうした貴重な体験は、卒業してもどこかで役に立つはずです。これからも地域の特性を生かしたirodori kintetsuブランドの商品をたくさん発売してもらいたいですね。

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