日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第6回目となる今回は、桃山学院大学の「アンデレクロス」を取り上げます。
「旬」なテーマを専門分野から読み解く。
桃山学院大学は大阪府和泉市にメインキャンパスを構え、国際教養学部、社会学部、法学部、経済学部、経営学部を擁する文系の私立大学。そのルーツは、明治維新の頃に来日した英国人宣教師が開設した学校に遡ることができます。現在にも通じる「英語教育・国際交流に力を入れている」という大学のイメージも、このルーツに端を発するものなのでしょう。
その桃山学院大学が発行する広報誌「アンデレクロス(St. Andrew’s Cross)」。名称の由来は、イエス・キリストの最初の弟子であり、イエスの教えを守り通して殉教した聖アンデレが磔刑にあったという×字型の十字架「聖アンデレ十字」から。聖アンデレの名は、桃山学院大学の英語名称「St. Andrew’s University」にも含まれています。
「アンデレクロス」の特徴とも言えるのが、毎号ひとつのテーマを設定して学部の教員たちが自身の専門分野に沿って持論を展開する「MOMOYAMA 多面考察」という特集企画です。この「MOMOYAMA 多面考察」がおもしろいのは、そのテーマ設定。最新号であるNo.161では「投票するということ」。No.160では「SNSについて考えよう!」。No.159では「地方の活性化について考えよう!」といったように、社会的に「旬」なテーマを見つけ出すのが非常にうまい。
No.161特集「投票するということ」
単に教員が専門知識を披露するだけでは、一般の方々にとっては「とっつきにくい」内容になることは避けられません。そこで「SNS」や「投票」をはじめ、誰もが関心のある「旬」なテーマを掲げ、各教員がそれぞれの専門分野という「視点」からテーマを解説することで、「そんなものの見方があったのか!」という新鮮な驚きを読者に提供することができます。もちろん、結果としてそうした多面的な学部・学科、教員を擁する桃山学院のプレゼンスを上げることに繋がっていることは言うまでもありません。
国際教養学部 英語・国際文化学科 南出 和余准教授
広報誌とは本来、広く一般社会に対して大学の活動や実績を紹介するためのツールです。ですが、「アンデレクロス」の「MOMOYAMA 多面考察」は、桃山学院大学に学ぶ学生にとっても自身の通う大学にどのような教員がいるのかを知る、良い機会となるのではないでしょうか。こうしたインナーコミュニケーションも、これからの広報誌に求められる重要な機能になってくるのかもしれません。