チャールズ・イームズやアルネ・ヤコブセン、アルヴァ・アアルトにル・コルビュジエ…世界的なデザイナーが手掛ける、フォルムの美しさや洗練された機能性が評価される近代椅子の名作たち。実際に本物を自宅に置こうと思うとなかなか手が出ないものも多いですが、これらの名作を一堂に集め、さらに3Dで細部までじっくり眺めることができるアプリをご紹介します。
「MAU M&L 近代椅子コレクション ムサビのイス3D」は、武蔵野美術大学 美術館・図書館の公式アプリ。同美術館・図書館はこれまで、このアプリレビューの第1回目でも紹介した「MAU M&L 博物図譜」をはじめ、「やきものの在処」「MAU-PIAZZA」など、所蔵する膨大なコレクションや資料をデジタルアーカイブ化し、iPhone・iPad向けアプリという形で惜しげもなく無料公開してくれています。
今回の「近代椅子コレクション ムサビのイス3D」もそのひとつで、2013年からスタートした武蔵野美術大学 造形研究センターの研究プロジェクト「近現代建築空間および生活デザインの高度なデジタルアーカイブ化と生活文化空間の総合的研究」の一環で制作されました。
武蔵野美術大学 美術館・図書館が開館以来収集してきた椅子コレクション約350点の3D画像を見ることができます。収録されているのは、ハンス・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンなど北欧の椅子、チャールズ・イームズやジョージ・ネルソンなどのアメリカの椅子、剣持勇や渡辺力といった日本人デザイナーの作品など、地域や時代、種類もさまざま。
アプリを起動すると、それぞれ個性的なフォルムの椅子がずらりと並んだ一覧が。好きな椅子をタップすると、詳細画面が表示されます。
形や色もさまざまで、スクロールして眺めるだけでも楽しい
詳細画面の【View】モードでは、3D画像化された椅子を指で自由に動かしながら、ぐるぐる回転させたり、拡大して間近で見ることができます。
ヤコブセンの美しいスワンチェアも自由に好きな位置から眺められる
椅子の裏のこんな細かい部分まで拡大することも!
3D画像ではありますが、裏に貼られたロゴや傷や汚れなども再現されていて、本物に近い雰囲気。美術館では、ここまで実物に近づいてじっくり見ることはなかなかできないのでは…?と考えると、かなり貴重な疑似体験かも。
【Light】モードでは、お好みにあわせて背景色を白~黒の間で変更したり、椅子に当たる光源の高さや角度を変化させたりすることが可能です。
背景色や照明の当たり具合なども細かく設定できる
【Camera】モードでは、椅子の3D画像を現実の空間に写して撮影することができます。自分の部屋に置いたらどんな感じ? 本物を手に入れたときのために予習しておきましょう!
憧れのデザイナーズチェアが我が家に…!意外とテンションが上がる
【Info】モードでは、椅子の制作者、メーカー、サイズや解説などを読むことができます。
椅子についての詳細情報が1画面で簡潔にまとめられている
すべての作品にではありませんが、作品の解説がついているものも。1画面で収まるボリュームながら、作品が作られた背景や素材、構造の特徴のほか、実際に座ったときの座り心地などもわかりやすく書かれていて、読み物としてもおもしろい。
そのほか、デザイナーや国、制作年代などいろいろな条件で作品を抽出できる検索機能も。
検索画面(左)。色で検索してみるのも楽しい(右)
デザイナーや椅子の名前などふわっとした知識くらいしかなかった筆者も、気になった作品をタップして眺めては、解説をふむふむと読みふけってしまいました。一見奇抜に見えるフォルムにも、デザイナーが想定した目的や効果を発揮するための意味があることなどを知り、名作と言われる所以にも納得。世界の名作について学び、いつかは本物のデザイナーズチェアを…!なんて夢を抱きながら、眺めてみるのはいかがでしょうか。
※本アプリはインターネット経由で高解像度画像を取得するため、Wi-Fi環境での利用がおすすめです。