インターネットのサイトでやりたいことを発表し、それに賛同する人から広く資金を集めるクラウドファンディング。このしくみによる支援のニュースを見聞きする機会が多くなってきました。
大学の研究も例外ではありません。
大学の研究と聞くと専門的でとっつきにくそうなイメージですが、「こんなことが可能になる(かもしれない)のか!」と驚くようなプロジェクトや、意外に身近に感じるプロジェクトを見つけることができます。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「そもそもクラウドファンディングって何?」「大学の研究プロジェクトってどんなもの?」という方は、
こちらの記事もご覧ください。
大学はこう使え! 第12回大学・学術系クラウドファンディングで大学の研究に関わろう
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
支援に対するリターン(特典)もさまざまです。
たとえば食に関するプロジェクトなら研究の成果を実際に味わうことができたり、学習アプリの開発ならアプリを無償使用できるなど、ほかにない体験が得られるのもクラウドファンディングならではの楽しみです。
今回はその中からいくつかのプロジェクトをご紹介します。
甘葛(あまづら)~古代スイーツの再現
出典:甘葛(あまづら)を復元し『枕草子』『今昔物語集』に登場した究極古代スイーツを作る https://outreach.bluebacks.jp/project/home/20
甘いものは、心のいやし。
それは今も昔も変わらないようで、砂糖が伝来する前から、日本には甘葛(あまづら)とよばれる甘味料がありました。
砂糖の普及とともに原料も製造方法もわからなくなってしまいましたが、立命館大学助教の神松幸弘氏は、古文書をひもとき調理実験を積み重ね、その味の再現に取り組んでいます。
『枕草子』にも登場するシロップや、平安王朝の食を味わう体験など、特典も魅力的です。
※寄付募集は3月20日(土) 午前8時まで
●詳しくはこちら
甘葛(あまづら)を復元し『枕草子』『今昔物語集』に登場した究極古代スイーツを作る
がんになる前にがんを発見できる血液検査
日本では2人に1人がなるといわれる “がん”。
自分にとっても自分に身近な人にとっても他人事ではありませんが、検査となると、おっくうに感じる人も多いのではないでしょうか。
「見つかったときにすでに進行してしまっている」ことを防ぐため、簡便な血液検査で、がんになる前の段階で発見するための研究が、北里大学メディカルセンターの福山隆氏をはじめとするプロジェクトチームにより進められています。
出典:がんの「手遅れ」をなくしたい-血液診断ですべてのがんに早期発見を https://readyfor.jp/projects/kk_lc_1
※寄付募集は4月23日 午後11時まで
●詳しくはこちら
がんの「手遅れ」をなくしたい-血液診断ですべてのがんに早期発見をー
涙で乳がんを検出する
がんにかかわるプロジェクトをもう一点。こちらは乳がん検査に特化しています。
痛みもなく時間もかからない乳がん検診があれば、検査を受ける人は増え、救える命も増えるはず。そこで「涙」を使い、最短10分で検出する検査法を生み出したのが、神戸大学大学院教授の竹内俊文氏です。
2022年~2023年度中の実用化をめざし、応援を呼び掛けています。
出典:涙で乳がんを検出する!研究を加速させる一歩にご支援を。 https://readyfor.jp/projects/TearExo
1千万円の目標額に対してすでに800万円を超える寄付金が集まっており(3/18現在)、期待と関心の高さがうかがえます。
※寄付募集は4月16日 (金)午後11時まで
●詳しくはこちら
涙で乳がんを検出する!研究を加速させる一歩にご支援を。
楽器演奏のスキルアップにテクノロジーを
ICTを活用した学習ツールが存在感を増す中、楽器練習用アプリの研究・開発も進められています。
出典:楽器演奏のスキルアップに教育工学を取り入れたい! https://academist-cf.com/projects/207?lang=ja
音楽と学習アプリの組み合わせは意外にも感じますが、もとは指導者が不足しがちな学校の吹奏楽部のために開発されました。今後は子どもから大人まで幅広い演奏者のスキルアップに役立つものに発展させたいと、信州大学准教授の森下孟氏をはじめとするチームが取り組んでいます。
支援者にはアプリを無償で使用できる特典があります。
※寄付募集は3月25日 (木)午後5時まで
●詳しくはこちら
楽器演奏のスキルアップに教育工学を取り入れたい!
・ ・ ・
このほかにもたくさんのプロジェクトがあり、中には自分の夢を託せるテーマや、理念に共感できるものが見つかるかもしれません。出資者の一人として目標達成を応援し、その成果を体験できるのは楽しみですね。