大学広報誌界の雄が満を持して放つ、ハイクオリティWebマガジン。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第14回目となる今回は、京都造形芸術大学が発行するWebマガジン「瓜生通信」を取り上げます。
京都造形芸術大学は京都市左京区に本拠地を置く芸術系大学。前身である京都芸術短期大学の開学から数えて、来年で40周年を迎えます。
今回ご紹介するWebマガジン「瓜生通信」。あれ?と思った方はたいへん記憶力が良い。実は第5回で取り上げた紙媒体の広報誌「瓜生通信」のWebマガジン版なんです。(第5回はこちら)
まだ開設されたばかりのようでそれほど記事数は多くありませんが、そこは紙版でもたいへん尖った内容でクオリティの高い誌面を生み出していた京都造形芸術大学。Web版でも大学発とは思えない非常に質の高い内容となっています。
最新の「SPECIAL TOPIC」として取り上げられているのは、本年度開催されている「第15回 ヴェネチア・ビエンナーレ 国際建築展」における日本館の出展作家である、家成俊勝氏。建築ユニット「ドット・アーキテクツ」のメンバーであるとともに、京都造形芸術大学の教員でもあります。驚きなのは、編集部がヴェネチアまで取材に赴き、特別表彰受賞すぐのコメントを動画で収録するなど、現地での生の声をレポートしているということ。記事のクオリティももちろんですが、こうした取材に人員を送る大学の懐の深さに脱帽します。
取材班をヴェネチアに派遣して生の声を取材する
また、2014年にアメリカのアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたことも記憶に新しい、アニメーション監督 森田修平氏のインタビューも掲載されています。彼、京都造形芸術大学の卒業生なんですね。仕事に対する姿勢やこだわりなど、しっかりと聞き取られています。
世界的な活躍をする卒業生へのインタビューも
今回Webマガジン版が創刊されたことでもっとも変わったことは、やはり動画でしょう。圧倒的にビジュアル面での情報量が多くなり、音声も使えることから取材対象の生の声を発信することが可能となっています。
また、紙版でもそうだったように、Webマガジン版でも制作にあたっているのは学生によって組織された編集部。Webでは彼らの顔写真やプロフィールもクレジットとして掲載されることで、より「学生たちがつくっている」印象が強くなっています。自身の実績として、就職活動などの際には強力な武器のひとつとなるはずです。
まだまだスタートしたばかりで今後の成長に期待するばかりですが、大学広報誌界でもひときわ異彩を放っていた京都造形芸術大学の「瓜生通信」がWebマガジンを創刊したことは、たいへん大きなインパクトを持ったニュースであることはまちがいないでしょう。