デザイン、写真、編集。
三拍子そろった北の雄。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第19回目となる今回は、北海道大学が発行する「LITTERAE POPULI」を取り上げます。
北海道大学は1876年創立の札幌農学校を前身とし、北海道札幌市に本拠地を置く国立大学。札幌農学校時代に初代教頭を務めたウィリアム・スミス・クラーク博士の有名な言葉「Boys be ambitious. (少年よ、大志を抱け)」は、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
今回取り上げるのは、1999年に創刊された北海道大学の広報誌「LITTERAE POPULI」。ラテン語で「ポプラの手紙」を意味しているそう。副題は「北海道大学の今を伝える広報誌」です。北海道大学にはほかに学内向け広報誌「北大時報」、学生向け広報誌「えるむ」が刊行されており、「LITTERAE POPULI」は学外向けの広報誌という位置づけになっています。
2017年春号を手に取ってみて、まず気が付くのは、表紙の写真がシンプルながらも意外と奇抜。一般的に建物を被写体として撮影をするなら、建物全体にピントを合わせるのが定石ですが、おそらくは意図的にピントを外した写真になっています。
キャンパスの空気感を感じさせるような表紙写真
59号の特集は「放つ。」。このキーワードを軸に「産業創出」「重要文化財」「北大元気プロジェクト」という3つのコンテンツが展開されています。企画自体は比較的シンプルな内容ながらも、印象的なのは編集の細やかさ。表記の統一や適切な表現方法を用いていることはもちろん、文頭一字落としを徹底している点など非常に好感の持てる編集方針です。
一方でビジュアル面はというと、清潔感のある大き目の図版を厳選して採用し、フォーマットに沿った組版を遵守したレイアウトが印象的。書体もインテリジェンスを感じさせるセレクトです。全体として「白」を基調としたデザインは北海道の雪景色や清涼な大地を思わせます。
清潔感あふれるデザインが印象的
けばけばしく飾り立てたり、目立つことばかりを狙うのではなく、自分たちのブランドイメージをVI(Visual Identity)としてしっかりと確立する。国立大学はこうでなくっちゃと思わせてくれる矜持にあふれた広報誌「LITTERAE POPULI」。久々に気骨ある広報誌に出会った気がします。