本サイトで定期的に登場する顔ぶれのひとつが「カレー」。「おいしい大学カレーを食べたい」というほとゼロ編集スタッフの声をきっかけに、編集部内でカレーの食べ比べを企画しました。
試食したのは大阪公立大学「牛肉と野菜のうまみたっぷりCURRY」、北海道大学「おしょろ丸カレー」、愛媛大学「うちこおろぎスープカレー」の3種です。
上の写真中央「うちこおろぎスープカレー」(コオロギの粉末入りスープカレー)が今回のハイライトですが、まずはふつうに食べやすそうなカレーから試食しました。
大阪公立大学「牛にくと野菜のうまみたっぷりCURRY」
「玉ねぎが130gも溶け込んでいる」「実はおからが入っている」という大阪公立大学の「牛にくと野菜のうまみたっぷりCURRY」。同大学の生活科学部食品栄養科学科の学生が考案し、2017年11月より同大学の生協などで販売されています。

具の存在感たっぷり
温めたカレーをお皿にあけると、大きめの具がゴロゴロと出てきました。ひとくち口に入れると、「やさしい味」「甘みがある」。にんにくの風味やスパイスもしっかりと効いていて、具のレンコンや肉もちょうど良い歯ごたえです。
商品説明によると、レンコンは不足しがちな食物繊維を補うため具材に選ばれたとのこと。おからの風味はほとんど感じられませんでしたが、食物繊維が豊富に含まれるため、味を損なわない程度に配合されているそうです。さらに、ルウに溶け込んでいる玉ねぎは約1個分。開発の際、きれいな飴色になるまで玉ねぎを炒めたという学生の声が商品サイトで紹介されていて、やさしい甘みはこの玉ねぎ由来のようです。
「ふだん家で食べるカレーのマイルドさと、ちょっと良いカレーの味わい深さの両方がある」「学食でこのカレーを食べれたらうれしい」など、試食したスタッフにも好評。味のよさと栄養面ともに満足度◎でした。
北海道大学「おしょろ丸カレー」
続いて試食したのは北海道大学「おしょろ丸カレー」。
おしょろ丸は、北海道大学水産学部附属の練習船。この船が北太平洋の水深5000mから汲み上げたという海洋深層水がルウに使われています。函館の老舗洋食店「五島軒」との共同開発で、五島軒特製のブイヨンスープと海洋深層水とともに、ひき肉や野菜を煮込んで仕上げられたのがこちら。

香りにはほんのりと甘みがあり、口に入れると、まろやかな舌触り。スパイスもしっかりと効いています。海洋深層水入りという解説を読んだためか、ミネラルが豊かに含まれているような気が……。カレーでミネラルを感じる味わいはめずらしいですが「特に感じなかった」という声もあり、個人差がありました。
このカレーに使われている海洋深層水は1000年以上前に北極に近い北大西洋で深層へ沈み込んで南極海に達し、太平洋の底を這って北上し、北太平洋に至った深層水だそうです。1000年を超える海水の旅を思うと、ますます味の深みが増します。

海洋深層水を採水する様子。海洋深層水には海の植物が必要とする栄養成分が多く溜まっていることや、深層水が沸き上がることで豊富な生物生産性が維持されていることが販売サイトで紹介されています 引用元: https://www2.fish.hokudai.ac.jp/oshoromaru-curry.html

採水ポイントと海洋大循環
まずはじっくりと深海の風味を味わった後、イカなりタコなり、好みの魚介類を入れてアレンジするのもよさそうです。
愛媛大学「うちこおろぎスープカレー」
最後に本日の本丸、愛媛大学「うちこおろぎスープカレー」です。
愛媛大学が食用コオロギの養殖・食品開発などを手掛ける会社と共同企画し、愛媛県内子町で育てられた食用ウチコウロギを脱脂パウダーに加工したものが配合されています。

盛り付け中、黒っぽい固形物が現れると「コオロギか?」とざわめきが(※牛肉です)。
スープカレーという名の通り、とろみはあまりなく、さらさらとしたスープ状です。
口に運んでみます。なんだか和風のダシがきいている……?「かつおぶしっぽい」「魚粉が入っているような感じ」「和風っぽい」。こおろぎは粉末にすると、かつおぶしのように感じる人が多いようです。こおろぎパウダーの舌触りが気になるという声もあれば、「これはこれでイケる」という声も。「古民家を改装したカフェで出てくるこだわりカレーみたい」という評もありました。
食卓に上ることが一般的とはいえないコオロギですが、タンパク質のほかにも食物繊維やカルシウム、鉄、亜鉛など、栄養価の高さが注目されています。エビやカニなど甲殻類に似た成分が含まれているそうなので、アレルギーのない方はチャレンジしてみては。
今回試食した3品は、大学生協やオンラインで販売されています。栄養価も高く、大学の研究成果がつまった個性豊かな大学開発カレー。ふだんとちょっと違う味わいを楽しみたいとき、おすすめです。