ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2016.4.1
  • author:花岡 正樹

大学カレー界のレジェンド、京都大学の「総長カレー」を食べに行った

マグロもいいけど、カレーもね。

大学から生まれた人気商品というと、近大マグロを頭に思い浮かべる人が多いと思う。たしかにこのマグロはスゴイ。スゴイのだが、このマグロが話題になるより前から、大学発商品の代名詞として扱われていた人気商品があるのを、皆さんはご存知だろうか。そう、それこそが京大が生んだ食の至宝「総長カレー」である。

発売以来売れに売れて、今や30万食以上を売り上げているこのカレーは、まさに大学カレー界のレジェンド。カレーといえば京大、京大といえばカレーッ!!……とは、さすがに言わないけれど、京大が誇るこの人気カレーの魅力について今回はご紹介しよう。

総長カレーはいかにして生まれたか。

総長カレーの誕生は、今をさかのぼること11年前。当時、第24代総長だった尾池和夫先生を「より身近に感じたい」という声が学生たちからあがり、尾池先生がカレー好きだったためカレーフェアを開催。そこで一番人気だったカレーを、学内にあるレストラン「カンフォーラ」で限定販売したところ人気だったため、定番メニュー化したのが総長カレーなのだという。ちなみに総長カレーの開発には尾池先生も監修として関わっており、味は先生のお墨付きである。

 

そしてその後、このカレーの人気を聞きつけたKBS京都の申し出により、大学生協と共同で総長カレーのレトルトが開発・販売されることに。これが大学発商品の先駆けとして、さまざまなメディアにも取り上げられ話題になった。

 

つまり総長カレーは、学生たちから総長へのラブコールが結実した商品なのである。そういう意味では、総長カレーはインパクト狙いや語呂を重視したネーミングではなく、総長カレーとしか言いようのないくらい、総長カレーは総長カレーなのである。なんか書くと、ややこしいけれど。

愛はわかった、味はどうだ?

前置きが長くなってしまった。肝心の味はどうなのか、せっかくなので京大に足を運び、カンフォーラで食べてみた。

 

ちなみに余談ではあるが、カンフォーラでは、京大と早稲田が開発したビール「ホワイトナイル」の生ビールを飲むことができる。このビールについては、「幻の小麦が生んだ京都大学×早稲田大学の共同開発ビール『ホワイトナイル』【前編】【後編】」にまとめているので、ぜひこちらもご一読をいただきたい。

吉田キャンパス

カンフォーラはラテン語で「くすのき」の意味。京大の時計台の前にあるくすのきから名前がとられた

ナイルシリーズ

ナイルシリーズには、古代小麦を使ったビール、発泡酒などがラインナップ

 

で、話を戻して、カンフォーラに入ってメニューを見てわかったのだが、レトルトで販売されている総長カレーはビーフカレーのみだが、店ではそれに加えて、ステーキカレーとシーフードカレーも提供していた。

 

まずはオーソドックスにビーフカレーを……とも思ってみたが、総長カレーの誕生秘話を調べてみると、最初はステーキカレーだったという一文を見つけたことを思いだし、急遽ステーキカレーに変更。ちなみに値段は、ビーフ、ステーキともに756円(税込み)で、シーフードのみ702円(税込み)。ビーフカレーの値段で、ステーキとカレーが食べられるなんて、何ともトクした気分である。

 

しばし待って提供されたカレーは、テーブルに置かれる前からスパイスのいい香りが鼻孔をくすぐる。皿の中央に鎮座するステーキは、トッピングという域を超えたサイズ。これは食べる前からテンションがダダ上がりである。

総長カレー

総長カレーのステーキカレー。ごはんは白米と五穀米を選択でき、写真は五穀米をチョイス

カンフォーラ内観

カンフォーラ内観。フローリングの床が美しく、明るい店内は開放感があって学外の人でも入りやすい

 

さぁ、いよいよ実食……うまいッ!!……うん、たしかにうまい、でも、なんかいつも食べているカレーとチガウ。お母さんの味じゃないし、インド人がつくる味でもない。クラシック音楽と銀色のカレーを入れる魔法のランプみたいな容器(調べてみたらグレイビーボートと言うらしい)がよく似合う感じだ。早い話、超本格的な欧州カレーなのである。

 

メニューを見てみると、「小麦粉を使用せず、香味野菜と8種類の香辛料(グローブ、カルダモン、シナモン、コリアンダー、ターメリック、クミン、唐辛子、マスタード)とトマトで仕上げたスパイシーなソースに、りんご・バナナで甘みを、ココナッツミルクでコクを加えたカンフォーラオリジナルの総長カレー」とのこと。そういえば、けっこうシャバシャバしている。そして、複雑で芳醇なお味。あ、これはココナッツミルクの風味か……。ちなみに、私はこういう説明書きを読むと、俄然おいしさが増すように感じるタイプである。

 

結論として、このカレーは間違いなくうまい。ただし、普段、食べ慣れているカレーを想像して口に入れると、いささか面食らってしまう可能性がなきにしもあらずである。

 

従来のカレーのイメージにとらわれない自由な味。なんとも「自由の学風」を標榜する京大らしいカレーではないか。ぜひ、カレー好き、京大好き、総長好きの方はもちろん、食にこだわりを持つ多くの方にも味わって欲しい。リッチかつスパイシーな味にノックアウトされること間違いなしである。

驚異のスズメ

食後、キャンパスで出会ったスズメ。驚くほど人に慣れており、隣に来てもまったく逃げない。京大はスズメまで違うのか……

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