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  • date:2024.7.25
  • author:柳智子

踊るラテンアメリカ教養講座! 在日ブラジル人のダンス「フォホー」を京都外国語大学で体験した

好きなアーティストの曲にダンス音楽、今の季節なら夏祭りのお囃子など、音楽を聞くとついリズムに乗って踊りたくなるという方は多いのでは?

京都外国語大学では6月、アフロ性(黒人性)の影響を受けたラテンアメリカの音楽をテーマとしたラテンアメリカ教養講座『アフロ・ラテンミュージック on Friday Night』(主催:京都外国語大学ラテンアメリカ研究センター)が行われました。

講座は4回シリーズで、取材した日はブラジルの音楽とダンス「フォホー(Forró)」についての講義と希望者参加型のダンスレッスン。フォホーは日本のブラジル人コミュニティでも日常的に踊られていて、ブラジルの文化的なアイデンティティでもあるといいます。

 

ブラジルのダンスといえばサンバが有名ですが、フォホーとはどんなダンスなのでしょう。ダンスを見てみたい(できれば踊りたい)、また踊りと文化的アイデンティティとの関係についても知りたいと思い、会場に足を運びました。

講師は上智大学准教授のニウタ ジアス先生です。

ニウタ ジアス先生

 

ブラジル人にとって、フォホーはただのダンスではない

講師のニウタ先生はブラジル出身で、1997年に初来日。在日ブラジル人の子どもの教育を専門としています。この日は「ダンスを楽しみ、在日ブラジル人の日常生活を知ってもらいたい」と講座のねらいを話し、音楽の由来などについてのレクチャーから始まりました。

フォホーはブラジル北東部のダンス音楽で、先住民やアフリカ、ヨーロッパの音楽の影響を強く受けています。ザブンバとよばれる太鼓とトライアングル、アコーディオンの演奏に、愛や苦しみなど生活に根差したさまざまな思いをのせて歌われます。

 

やや年配の人が好む地方の音楽というイメージだったそうですが、1950年代に歌手で作曲家、アコーディオン奏者のルイス・ゴンサーガなどのヒット曲をきっかけにブラジル全体に人気が広がり、さらに90年代にもフォホーの人気グループが出てきて、若者の間でも広まったとのこと。

豊穣を祝うブラジルの祭り“Festa Junina”(6月の祭り)でもフォホーが踊られる(講座資料より)

 

ニウタ先生は長く日本に住むブラジル人の一員として、また研究者としても群馬県のブラジル人コミュニティに関わってきています。フォホーはこうしたコミュニティでも日常的に踊られていて、「多くのブラジル人がフォホーを通じて一つにつながることができる」とニウタ先生。「ブラジル人にとってフォホーはただのダンスではなく、ブラジル人のアイデンティティとして大切なもの」だといいます。

 

後半はいよいよダンスの実演です。希望者はフロアに出て、レッツ・ダンス!
いくつかのステップを教わり、まずは見よう見まねでステップを踏みます。

 

フォホーはペアで踊るダンス。友人どうし、そして初対面の人どうしで、踊りの輪ができます。

この笑顔! 南国の陽気なリズムで自然に体が動きだします

 

ダンスの実演は約40分間。シンプルなステップが複雑になるにつれ、あちこちで即興のオリジナルダンスが生まれ、笑い声が上がっていました。テンポはそれほど速くなく、ほどよく力の抜けた音楽。「リズムにのって楽しく踊れたらOK」という気軽な雰囲気は、日本の盆踊りのようでもあります。

 

ニウタ先生は「できる、できない、うまい下手は関係なし。うれしいとき、悲しいとき、元気を出すために踊る。それがフォホーです」。まさにその言葉どおりの陽気で気さくなダンスでした。

「教える」のではなく、交流したい

日本に住むブラジル人の子どもにとって、フォホーはどんな存在なのでしょう。講座の後、ニウタ先生に少しお話を伺いました。

 

「フォホーは、結婚式や誕生日パーティ、クリスマスなどで、子どもの頃から家族とともにコミュニティの中で踊るダンス。日本の学校に行っていると、周りの環境に合わせるために自分がブラジル人であることを隠したり、自国の文化を否定してしまったりすることがありますが、そんな子どもにとってフォホーはブラジル人としての自分をポジティブに受け入れる機会となります」

 

自国の文化を否定してしまうとは辛いことです。在日ブラジル人の子どもが通う学校はブラジル人学校や日本の公立学校、もしくはその両方(平日は日本の公立学校に通い、土曜日だけブラジル人学校に通うなど)ですが、日本語教育の機会が十分ではないケースがあり「言語の壁は大きい」とニウタ先生。言語の壁は、子どもが将来像を描きにくくなることにもつながります。

 

「教育の環境は近年かなり改善されていて、日本の大学に進学する子どもも増えている一方、学校に行かなくなる子どもや高校に進学できない子ども、日本とブラジルを行き来して日本語にも母語(ポルトガル語)にも自信をもてない子どももいます。

そういう子どもたちは『できない』のではなく、学ぶチャンスや『この人のようになりたい』と憧れるロールモデルが身近にない。必要なのは、将来の夢をもてるような環境です」

 

今回は一般の人を対象にダンスレッスンが行われました。そこに込めた思いについて、ニウタ先生は「ダンスで交流を深めると相手に親しみを感じ、もっと知りたいという気持ちになるでしょう。知識を教えるという形ではなく『交流』がしたいのです。それがお互いのすばらしさを知ることにつながるから」。

 

音楽やダンスはそれだけで楽しいものですが、自分らしさを確かめるよりどころであり、また隣人を知る絶好の機会にもなる。先生のお話を聞いて、この日フォホーを踊りながらあちこちで広がっていた笑顔を思い出して、そう感じました。

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