子どもから大人まで気軽に文学や情報に触れられる、地域の公立図書館。大阪府箕面市には全国的にも珍しい、国立大学が管理運営する公立図書館があることを知っていますか?
大阪大学箕面キャンパスに隣接する、箕面市立船場図書館です。この船場図書館は、箕面市立図書館の蔵書と大阪大学附属の外国学図書館の蔵書をあわせ持つ図書館です。また、同じ建物内には箕面市立船場生涯学習センターがあります。
入館・閲覧は誰でも可能ですが、箕面市の蔵書の貸出は、箕面市に在住・通学・通勤する人と北摂7市3町の図書館利用者に限ります。一方、大阪大学の蔵書の貸出は、学術を目的とした利用なら、学外一般の人でも利用手続きをすれば貸出OKとなっています。なお、他キャンパスの大阪大学附属図書館は事前予約が必要なのでご注意を。
図書館の外観。箕面市の蔵書を11万冊、大阪大学の蔵書を60万冊所蔵
図書館をもっと賢く利用するために
大阪大学は、建物上階の船場生涯学習センターも管理運営しており、大学主催の講座も開講しています。箕面市民以外でも参加できると聞き、新しい図書館を体験しようと出かけてみました。
今回は、8月25日に開催された「図書館活用法~情報検索と図書館利用のコツ~」に参加。図書館職員の方による情報検索や図書館サービスの解説から、読みたい本や探している情報に出会うための知識を得られる講座です。
今回の講座は募集定員30名の枠が埋まり、幅広い年齢の方々が参加されていました
まずは、各図書館のwebサイトにあるOPAC(蔵書検索)の使い方の解説から講座がスタート。箕面市立図書館の場合、市内に所蔵している本について検索できます。OPACの検索は正確ですが、融通のきかないところがあると言います。本のタイトルの漢字を間違えて入力してしまうなど入力を間違うとヒットしないのです。表記を正確に覚えていない場合、ひらがな読みで入力するのがおすすめ。図書館職員の方は、ひらがなで検索することが多いそうです。
続いて、本の分類法NDC(日本十進分類法)の利用の仕方についての説明です。図書館の本の背表紙に貼られたシールに数字が記載されているのを見たことがありますよね。その数字がNDCの分類で、特定のテーマで本を探すことができるのです。例えば、「日本の文学」は上2桁が「91」で表記されます。すべての区分を覚えるのは難しいけれど、自分が興味のある分野の上2桁の番号を覚えておくと本探しが便利になると教えていただきました。
ただし、1冊の本に貼る番号は一つだけ。「住宅」に関する本を例に挙げると、住宅建築、家具調度、不動産業などと、さまざまな切り口があり、それぞれ分類番号が異なります。すると、「住宅」に関する本であっても、図書館の本棚では複数の場所に分かれて置かれる場合があるのです。「住宅のインテリアに関する本」といったように、さらに具体的な観点を持って探すのが、目当ての本を見つけるポイントです。
また、大阪府内全域の公立図書館にある本の検索方法や取り寄せ方、まだ発売されていない本の情報を検索して図書館にリクエストする方法も教わりました。
驚いたのは、電子書籍が無料で読めるサービスを提供している公立図書館があるということ。新型コロナの流行以降、このサービスを導入する図書館が増えたのだそう。箕面市にも「箕面市電子図書館」があり、貸出券番号とパスワードを入力してログインすれば、無料で電子書籍を利用できます。図書館まで出かけなくても貸出と予約ができるなんて便利! 利用可能な図書館に電子書籍サービスがあるかどうか、皆さんも確認してみてください。
貴重な本も所蔵される書庫内を見学
次に、大学図書館の蔵書の特徴と利用方法について説明がありました。外国学図書館は大阪大学外国語学部の教員や学生が使う本を主に集めているため、地域研究、言語学に関する本を多く所蔵しています。百科事典や歴史事典などいろいろな言語の辞書、学術論文が載った雑誌も豊富にあります。大学図書館にある本の検索方法のほか、webサイトでの論文の検索の仕方、国立国会図書館のデジタル化された資料の個人利用サービスについてもレクチャーしていただきました。
大学が持つ専門的な知的財産に触れられる場所が身近にあるなら、ぜひ利用してみたいものです。専門書ばかりで難しいと感じるかもしれませんが、知的好奇心を刺激してくれる思いがけない本や情報に出会えるかもしれませんね。
座学での講義が終わり、図書館書庫の見学へ。もちろん、普段は関係者しか入れない場所です。足を踏み入れれば、広いフロア一面に立ち並ぶ本棚。約50万冊もの本が保管されています。
貴重な蔵書がずらり
図書館にはたくさんの本があると思っていましたが、表に並んでいるのはごく一部なのだと実感。書庫内は、本を劣化させないように温度・湿度が管理されているそうです。暑くもなく寒くもなく、ちょうど人も過ごしやすそうな空間でした。中には、明治時代の古い本なども多く所蔵されており、歴史を感じさせる装丁の本が並んでいました。参加者たちは、多様な本が並ぶ様子に興味津々。「他言語で書かれた本の検索方法は?」「本の保存期間は?」など、図書館職員の方にいろいろ質問されていました。
書庫の見学が終わると、講座はここで終了。図書館では職員の方に相談すれば本を探してもらえますが、「図書館に来る前にさまざまなツールを使って事前に調べる習慣を付けておけば、これまでよりも賢く図書館を使いこなせるようになります」という職員の方の言葉に、「なるほど!」と、納得。実際に図書館職員の方も活用している、情報の入手の仕方を知ることができました。最近では図書館から足が遠のいていましたが、身近な本や情報の宝庫である地域の図書館をもっと上手に利用してみたいと思えた講座でした。
図書館併設のカフェでハワイの味を満喫
講座終了後、図書館内も見学してみました。2階は箕面市蔵書のフロアとなっており、白を基調としたフロア内は明るくお洒落で、ブックカフェのような雰囲気。小さな子どもが座って絵本が読めるコーナー、ガラス窓に沿って配置された閲覧椅子など、ゆっくり読書が楽しめるスペースがあります。3~4階は大阪大学蔵書のフロア。たくさんの本が整然と並んでいます。まったく読めない言葉で書かれた本もありました。さすが大学附属図書館だ、と思わされるラインナップです。
入口付近にある子ども向けのスペース
3階へ上がると重厚感のある専門書が並ぶ。棚には本をモチーフにしたサインが
そして、船場図書館の注目ポイントは、図書館にカフェが併設されていること! 2階の図書フロアから直接カフェに行くことができます。しかも、カフェに図書館内の本を持ち込んで読むのもOK。フタの付いたドリンクなら図書館フロアに持ち込むことも可能なのです。
カフェレストラン「ALOHA CAFE Pineapple」はその名の通り、ハワイの雰囲気と味が満喫できるお店。パイナップルが描かれたロゴ、木の温もりを感じさせる内装、あちこちには可愛い雑貨や緑が配置され、リゾート感のある気持ちのいい空間です。一人で気兼ねなく利用できる席もあり、読書するにも最適。
ゆったりとした気分で食事や読書が楽しめる
メニューは、ハワイアンバーガー、ロコモコプレート、アサイーボール、ポピーシードチーズケーキと、ハワイを代表するフードやスイーツがいろいろ。ハワイコナブレンドコーヒーのほか、スムージーやソーダ、フロートなどドリンクの種類も豊富です。
今回は、ハワイアンバーガー(780円)、パイナップルスコーン(280円)、ハワイアンソーダ(480円)をチョイス。ハワイアンバーガーは肉厚のパティが存在感を放ち、食べ応えがありそう。思いきって豪快にかぶりついてみると、中から肉汁があふれ出し、肉の旨みをがっつりと味わえます。表面をカリッと焼いたバンズ、フレッシュなレタス、トマト、玉ねぎも、肉の美味しさを引き立ててくれます。セットのフライドポテトは細目で、ほどよくガーリックが効いており、手が止まらなくなる美味しさです。生のパイナップルの爽やかな甘さが味わえるスコーンやドリンクは、ハワイアンな気分満点でした。
ボリューム満点のフードメニュー
たくさんの本や情報に出会えて、ゆっくり本が読めて、美味しいフード・ドリンクも楽しめる船場図書館。船場生涯学習センターでは今回の講座以外にも、大阪大学の知の一端に触れられる講座を開催しています。2024年3月に開業予定の北大阪急行線「箕面船場阪大前駅」が完成すれば、駅はすぐ目の前です。アクセスが格段にアップするので、ぜひ訪れてみてください。