京都市北区にキャンパスを構える京都産業大学。実は創設者である荒木俊馬氏が天文学者であったことから、開学当時から天文学が学べるという、数少ない大学の一つです。学内には私立大学で一番の大きさを誇る望遠鏡を有する天文台、神山天文台があります。今回は10月24日(土)に開催された、京都産業大学神山天文台の講演会と夜の天体観望会に参加しました。
昼間は雲が多めだったため、少し心配しながらキャンパスを訪れました。入り口からも分かる丸屋根の天文台をめざします。
天体観望会は18時からですが、今回は観望会のほかに天文学講座も開催されていたため、そちらにも参加しました。テーマは「小型屈折補償光学装置(CRAO)の開発」。地上からの望遠鏡による観測で障害となる、大気のゆらぎを軽減する装置の開発についての講演会です。
大気があることで観測にどんな影響が出るか、その影響を小さくするためにどのような方法があるのかなど、装置そのもの以外にも観測に関連する情報をわかりやすく解説してくださいました。
集まった方々は宇宙や星が好きな方ばかり。講座を真剣に聞き入っていました。さらに今回は実際の装置を見る機会も! 実際の小型屈折補償光学装置を前に、皆さん興味津々の様子でした。
小型屈折補償光学装置。こちらの装置は神山天文台の荒木望遠鏡の仕様をもとに作られているそう
講演会から天体観望会までの間は、藤代さんをはじめ、研究者の方々と星や宇宙について話せるアストロノミー・カフェも開催。藤代さんや他の研究員の方、聴講されていた皆さまがテーブルで楽しく宇宙話に花を咲かせていました。
そして18時、いよいよ天体観望会のスタートです。ロビーに集まった参加者は、そのまま3階のドームへ。ドームの中心には、大学の創設者である荒木俊馬氏の名前を冠する荒木望遠鏡が!
天井の開口部は望遠鏡と一緒に動くしくみ。よけいな光を望遠鏡に入れない工夫の一つ
別日に撮影した全体像
写真に納まりきらない大きさは圧巻。鏡の口径は1.3mもあるそうです。望遠鏡の種類は反射式望遠鏡。大きな鏡で光を集めて星の像を作るのだそう。
開始直後は20人弱の人数でしたが、次第に数が増え、最終的には約60人の方が天体観望会に参加していました。また、望遠鏡の側とロビーには、今どの星を見ているのかを確認できるモニターもあります。
また、荒木望遠鏡以外にも、外では小型望遠鏡による観測もあり、建物の中と外を行き来し、本当にいろいろな星を見せていただきました。
この日見せていただいたのは、月のほか、海王星や天王星、重星と呼ばれる二連星のアルビレオ(はくちょう座)、赤色巨星のガーネット・スターなど。その他、時間によってダブル・ダブル・スター(こと座)なども。海王星を実際の望遠鏡でみたのは初めてでしたが、本当に青くきれいな星でした。
観測中は研究員の方の説明や、学生スタッフの方にお話を伺うこともできます。学生スタッフの方にもお話を伺いましたが、皆さん学部を超えて星好きの方が集まっているそうで、素人丸出しの質問にも丁寧に答えてくださいました。皆さんとても楽しそうに説明してくださったのが印象的でした。
こちらは小型望遠鏡での観測時に撮影させていただいた月。小型望遠鏡を通しての撮影ですが、クレーターや海の部分もくっきり見えます。もちろん望遠鏡で直接のぞいているときも細かい部分まできれいに見えて感動ものです。
また、この日はホールでの3D映像も上映されており、そちらも参加。
Mitaka上映会。映画館で使うような3Dめがねをかけて楽しみます。
これまでに発見された星の場所を正確に記した映像とのことで、短い時間ですが、まるで宇宙遊泳しているような気分になる映像でした。
観望会開始から2時間弱、本当にあっという間に時間が過ぎてしまいました。今回参加した方からは、「観測はいろんなところでやってるけれど、事前予約が必要なところがほとんど。ここは予約が必要ないので、思い立ったら参加させてもらえるのがすごく良いなと思いました」との感想も。
「時期や季節によって参加者の数はまちまち。多い日には100人ほどになることもあります。リピーターの方もたくさんいらっしゃいますし、夏休みだと自由研究をかねて、小学生の方もたくさんいらっしゃいます」(藤代さん)とのこと。また、学校での見学会で神山天文台を訪れ、宇宙に興味を持ってこの大学に進学してくる高校生もいらっしゃるとか。
普段触れることがない大きな望遠鏡での観測は、宇宙の不思議に触れた気がして、とても楽しかったです。季節によって見える星も違うので、今度はぜひ別の日にもお邪魔したいなと感じました。皆さんも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。