前編では、どうして「アシックスキャンパスストア早稲田」がオープンしたのか、どんな商品が人気なのかを、アシックスジャパン株式会社 トータルパートナー推進部 山本 義広さんにお話して頂きました。後編の今回も引きつづき、山本さんに今後の展望を伺います!
▲山本 義広さん
大学×スポーツの新しいビジネスモデルって?
松原:前編の最初に大学とスポーツの新しいビジネスモデルを作るべく取り組んでいるとおっしゃっていたのですが、詳しく伺っても良いでしょうか。
山本さん:まずはオリンピック、パラリンピックに向けた共同研究。あとはグッズの売り上げ拡大ですね。収益の一部は大学に還元されるので、売り上げがあがれば大学も潤うシステムになっています。
もうひとつはチームビジネスがあります。強化部(クラブ)以外に39のチームがあり、44が早稲田スポーツ公認の体育会です。そこに対するユニフォームやシューズの拡大を目指しています。
松原:44も…。どのぐらいの時間をかけて導入していく予定ですか。
山本さん:2021年までの5年契約を更新して次のサイクルの時にすべての部活に導入できるといいなと考えています。すでに20の部とは関係があるので、まずは5つの強化部を固めていきたいですね。
松原:土台をつくって、広げていくというようなイメージですね。
また、早稲田大学には学生アスリート向けの「早稲田アスリートプログラム」というものがありますが、どのように関わっていらっしゃいますか。
山本さん:いわゆるアメリカのNCAA※の良いところを取って日本版にアレンジしたプログラムです。何が一番良くて重要かというと、「人材育成」を入れているところです。
※NCAAとは全米大学体育協会のこと。大学のスポーツクラブ間の連絡調整、管理など、さまざまな運営支援などを行う。1,281校が登録されており、主に人気競技のテレビ放映権料で収益を得ている。
松原:ほぉ…。人材育成ってどんなことするんですか。
山本さん:わかりやすいのはボランティア活動ですね。例えば、毎年10月に陸前高田市でア式蹴球部(サッカー部)が子どもたちに対してサッカー教室をやるんですね。それをこれからはアシックスと連携してやっていけるので、より良い取り組みになっていくと思います。
松原:楽しそうですね。学生たちにとっても良い経験になりそうです。
山本さん:そうですね。日本独自だと思います。本場アメリカのようなNCAAは日本では難しいので…。
松原:?
山本さん:なぜかというと、100年ぐらい日本が遅れているということもあるし、向こうはテレビ放映の収入が大きい。
アメフトとバスケで稼いだ金額をそれ以外の部活に支援しているという構造があるんです。なので黒字で回っている大学ってほんとに一握りで、ほとんどは大学からの支援で成り立っているんです。
松原:そうなんですね…。どの大学のどの部活でも、莫大じゃなくてもある程度収益が取れるようなシステムが出来たらいいですね。
山本さん:そうですね。そこでアシックスの取り組みがひとつのさきがけになるのかなと思っております。
松原:なるほど。学生が学外と接する機会が増えて反応などはありますか?
山本さん:学生の中には指導者をめざす学生もいるので、子ども向け教室などで人に教える機会が増えて勉強になると言っています。また、アシックスの商品をリリースをした時にアシックスの販売店のスタッフと接する機会もあり、社会人からのアドバイスを貰うなどの刺激があるようです。
松原:大人とも子どもとも接するようになって、早稲田の学生が中心となるコミュニティのようなものができあがっている感じでしょうか。
山本さん:そうですね。おそらくコミュニティを広げていくのが一番良いと思っています。
松原:大学は内に向かっているようなイメージだったのですが、お話をきいて外に向かって舵取りを変えているんだなと思いました。
山本さん:ここ数年だと思いますね。2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて日本のムードが上がってきているので、大学スポーツにも国の目が向けられています。メディアも注目をしているので、追い風にはなっていますね。
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松原:最後に、これからのビジョンを教えてください。
山本さん:まずは2020年に向けて、オリンピック・パラリンピックに多くの選手を輩出できるように取り組んでいきたいです。
もうひとつは大学スポーツとスポーツ界全体の発展をめざして、大学というコミュニティを中心に地域社会、国際社会を巻き込んで国内のスポーツ市場を盛り上げていきたいです。
松原:はい。
山本さん:最後はグッズですね。アメリカやヨーロッパには大学のユニフォームを着てグラウンドで応援するという文化があります。そういう文化を早稲田大学はじめ、日本の大学スポーツ界にも根づかせたいと思っています。
松原:これからの大学スポーツの活躍が楽しみになりました!今日はありがとうございました。
山本さん:ありがとうございました。