日本に紹介されたのは明治時代!世界中の人々に愛され続けている「ピーターラビット」。100年以上にわたって世界各国で出版されている、ピーターラビットの絵本の作者、ビアトリクス・ポターとはどんな人だろう?その素顔を知るべく大東文化大学ビアトリクス・ポター™資料館~ピーターラビット™の絵本の世界~に行ってきました。
ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターは1866年にイギリスの上流家庭に生まれた女性。まだまだ女性が社会で認められることが許されない時代に、類いまれな才能をいかしてさまざまな分野で活躍したスゴイ人でした!
そんなポターの生涯とビーターラビットの絵本の世界を描いているのが大東文化大学ビアトリクス・ポター™資料館~ピーターラビット™の絵本の世界~です。そもそもは英米文学科教授の河野芳英先生が湖水地方を訪れた際にピーターラビットのグッズ目当ての日本人観光客を見て、絵本を読んでもらいたい、魅力的な彼女の生き方を知ってほしい、その“きっかけ”を作りたいと思ったのがはじまり。そのため幅広い層に知ってもらいたいと一般公開されています。
さて資料館の建物はポターが愛し暮らしたイギリス湖水地方の農場ヒルトップ・ハウスを実測して忠実に再現したもの。建物を包む白い藤をはじめ、庭と菜園には湖水地方の草花や野菜も植えられています。しかも館内の階段や玄関はいくつかの挿絵に描かれているので要チェック。ビーターラビットの絵本を読み返していくと感動がUPします。
『ひげのサムエルのおはなし』にも描かれている階段。
玄関を入ったエントランス、ここではピーターラビットの作家だけではない彼女の生涯を知ることができます。キノコ研究に没頭していた1880年代、その研究内容は本職の研究者と同等といわれるほど高度な内容だったとか。菌類学者、画家、ナチュラリスト、環境保護、農場経営…それぞれの分野で素晴らしい結果を残してきたことがとてもよくわかります。
エントランスではポターのドールがお出迎え。
エントランスをすぎると、そこには世界でも類をみないビアトリクス・ポター蔵書コレクション、貴重な書籍や原画の数々が並んでいて、ピーターラビットの世界がどんどん広がってきます。『ピーターラビットのおはなし』はどう誕生したの?リアルで表情豊かなキャラクターたち、100年以上も変わらない装丁…あれこれ気になること、その答えは資料館にありました。
発刊当時の書籍を展示している第1展示室。
『ピーターラビットのおはなし』誕生ストーリーをサラッとご紹介しましょう。当時の上流階級の女の子の慣習で、学校に通わず家庭教師に教育を受けていたポター。友人でもあった最後の家庭教師の子どもたちに送った絵手紙がもとになり、1901年に私家版として自費出版されました。それがきっかけで、世界へ、未来へとつながっていったんですね。
わずか250部しか印刷されなかった私家版1刷は希少本のひとつ。
1893年『幸福な二人づれ』初版、世界に10冊程度しか確認できていない「幻の絵本」。
本国の承認を得て1971年に発行された石井桃子氏の翻訳による初版本。
世界屈指のコレクションと称される資料館、まだまだ見どころがたくさんです。
イギリスの出版社フレデリック・ウォーン社より1902年に出版された『ピーターラビットのおはなし』の初版本、絵本シリーズ24冊すべての初版本、物語誕生のきっかけとなった絵手紙(レプリカ)や原画コレクションなど。さらにアニメ上映や絵本の閲覧ができるコーナーもあるので、子どもも一緒に楽しむことができます。
第3展示室はピーターラビットのグッズ展示とアニメなどの映像を公開中。
ビジネスの才能にも長けていたポター。ピーターラビット誕生後、キャラクタービジネスを展開。
研修室の絵本や書籍は手に触れてOK。絵本はポターがこだわった、子どもの読みやすさを考慮した手のひらサイズ。
絵本に登場する庭の風景を再現したジオラマは子どもに人気の撮影ポイント。
ビアトリクス・ポターが残したメッセージ「人間と自然と動物との共存」が具現化した大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館は、子どもが動物たちと親しみ、自然観察を楽しめる埼玉こども動物植物公園の一角にあります。家族でビアトリクス・ポターの素顔、ピーターラビットと仲間たちの魅力を探ってみませんか?