使い方を教えていただいた。キューブの核であるボールには、「本当に大切だと思う価値」を書く。ライフデザインニングプログラムのテキストには、自己成長、楽しみ、親和、刺激、感謝、社会貢献、平穏、秩序などいくつかの項目が並んでいる。
大切にしているものは何?自分と対話しながら書き込む
実際のワークでは、「この中で不要な価値はどれ?」「それはなぜ?」などの問いかけをしながら、みんなの前で自分が大切にしてきた価値を問い直していくのだという。
次に、核となるボールを透明カプセルに入れ、カプセルにはこんな人生を送りたい、人生を通じてこんなことを実現したい、といった大きな夢、長期的な目標を書く。「健康」とか「リッチ」とか「家内安全」とか、初もうでの時に神様にお願いするような目標だ。ここまでは油性マジックで書いて、消せないようにする。
どんな人生にしたい?未来を思い描いていく
カプセルは透明ケースに入れる
透明ケースには、6面それぞれにここ数年の間に実現したい短期的な目標を。「○○に海外旅行」とか「○○の資格を取得」とか「年収○○○万円」とか具体的なものだ。これらはどんどん変わっていくはずだから、消せる筆記具で。
ワークでは、大きな夢や短期的な目標が、大切に思う価値とどのように結びついているのか、なぜこれを実現したいのかを説明できることをめざす。どんな目標も、その根底には、自分が大切にしている価値があるのだということが、透明のケースやカプセルを透かして見えるボールで明らかになっていく。
紙の立方体に収納するカードには、私の強み、困難を克服してきた経験、目標達成までのアクションプランなどを書く。自分で気づくものだけでなく、周囲の人からあなたならできる、というメッセージも書いてもらう。
このカードは、目標への実行計画を立てたり、自分を支えてくれる人たちとのつながりに気づいたり構築したりする役割を果たし、こうして目標は実現に近づいていく。
最後に、キューブの外につける青色のカードには、自分を見守ってほしい人への感謝の手紙を書く。感謝はポジティブ感情に大きな影響を与え、健康や長生きの秘訣にもなるのだという。
人とつながる道具でもある
大学の授業では、こうしてできあがったキューブをその日一日は首から下げてもらうとか。友人にそれは何?と聞かれたら、自分のライフデザインを少なくとも3人以上に説明するというのが課題だ。
人に伝えるとそれは経験になり、反応や意見を聞いてまたデザインを修正することも可能になる。こうなりたい自分というのは、表現したり動いたり、客観的に見てもらってもっとよくしたいという思う中で成長していく。だからこそ、このような形にして見えるようにして、人と話すことが重要なのだという。
心理学から生まれる道具というのは、あまりない。心は目に見えずつかみどころがないからだ。もともと心理カウンセリングは、人に話すことで自分とカウンセラーの間で悩みなどを実体化してみること。
カウンセリングの話すという行為を道具に移し、自分の心をモニターするのを助けてくれるのが、「ワンダフル・キューブ」なのだと言える。
同志社女子大学では、キューブを使ったライフデザインの授業を受けた学生がさらにファシリテーションのスキルを身につけられる授業も設けており、初めて体験する学生をファシリテーターとなった学生が導いているという。
「今後は、ライフデザインニングを身につけた高齢者が小学校に教えに行き、さまざまな年代で人生を語り合うというのもいいですね」と日下先生。
誰にでも受けられる、キューブを使ったライフデザインニングワークショップは今のところ開かれていない。ただ、「ワンダフル・キューブ」やガイドとなる関連図書は発売されているので、自分なりにやってみると改めて自分の人生を見つめなおす機会になることは間違いなさそうだ。
関連図書『ワンダフル・エイジング』が発売中。あなたも人生を見直してみる!?