昨年12月中旬に『50歳からの大学案内 関西編』を出版したことを機に、一度、ほとゼロが関連した出版物について紹介してみようと思いながら、ずるずると年が明け、とうとう一月も終わろうとしている……。まぁ誰かに頼まれたわけじゃないし、やらなくてもいんじゃないの?なんて心の悪魔がささやくものの、でもやっぱり紹介したいんや!!…と心の関西人が叫んでいるので、今回は、ほとゼロが関わった雑誌&書籍の総力レビューをお送りします。実はけっこうたくさんあるんです。
◎雑誌編
アートとデザインを楽しむ京都本
by 京都造形芸術大学
出版社:京阪神エルマガジン社 発行:2015年7月
ほとんど0円大学が関わった雑誌の第一弾。これまでも大学アエラ本を筆頭に、大学をテーマにした雑誌はいくつかありました。でも、この雑誌はそれらとは大きく異なります。というのも、従来は大学の紹介を目的につくるのですが、この雑誌は大学の持っているさまざまなリソース(学生、教員、施設 etc.)を使って、いかに読書に楽しんでもらうかを意識してつくった雑誌だからです。
京都の芸大生だからこそ知る魅力的な店の紹介や、アーティスティックな視点で取り上げた京都の観光スポット、さらには市川猿之助さんや津田大介さんといった京都造形大の教壇に立つ著名人のインタビューなどなど。読んでみると、あれこれ大学らしくないぞ……と、きっと思うはず。でも、これもまた大学の魅力なのです!
関西の大学を楽しむ本
出版社:京阪神エルマガジン社 発行:2016年5月
これは、ほとんど0円大学として、ずっとつくりたかった念願の一冊です。内容は、ほとゼロが常日頃から伝えているメッセージ「おとなも大学を使っちゃおう」を実践する、関西圏の大学の取り組みや場所について。具体的には、大学ミュージアムやギャラリー、歴史的建造物、グルメスポット、それにおとなも利用できる教育プログラムなどなど。大学というと、つい若者が勉強する場所と思ってしまいがちですが、実はとても幅広い楽しみ方ができる場なんです。
本誌に掲載しているのは、常設されている場所や毎年開催しているイベントが中心になります。だから2年以上前に出版した雑誌ですが、今、読んでも十分に活用できる情報ばかり。関西在住者なら一家に一冊あって損はしないので、大学に興味を持ったならぜひお買い求めください!
楽しい大学に出会う本 首都圏版
出版社:ぴあ株式会社 発行:2017年7月
これまで関西圏の大学をテーマにした雑誌ばかりでしたが、ついに関西圏を飛び出し、首都圏をテーマにした雑誌を作成しました。それが、これ、『楽しい大学に出会う本 首都圏版』です。この雑誌では、「大学を楽しみ尽くす」「大学で美食に出会う」「大学イベントに出かけよう」「おとなが楽しむ大学の学び」という4つのテーマにわけて、首都圏の大学の魅力的な場所・取り組みを紹介しています。また、Special Interviewとして、女優・菊池桃子さんのインタビューも収録。菊池さんは、実は法政大学の大学院に社会人進学されていたんですね。
関西圏と首都圏、二つの雑誌をつくって感じたのは、首都圏は都心に大学が密集しているということ。だから、一日に複数の大学を巡って楽しむことができるし、比較的アクセスがいい大学が多いので気軽に足を運ぶことができる。大学初心者(?)にもやさしい環境があるように思いました。あと、やっぱり東大はすごいですね。その気になれば、東大だけで一冊つくれるほど、おとなが楽しめる場所・取り組みが充実していました。
◎書籍編
フツーな大学生のアナタへ
大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ
著:花岡正樹、桑島伸二 出版社:くろしお出版 発行:2008年4月
続いては書籍編です。書籍は、すべてほとんど0円大学の編集長である私(花岡)が書いたものになります。まず、取り上げるのは、なんと今から11年も前に執筆した『フツーな大学生のアナタへ』。これは大学関係のパンフレットをつくっていて、これらパンフにはどれも優秀な学生たちが出てきて、いわゆるフツーな学生が載っていないんじゃないか?そんな疑問を持ったことがきっかけで生まれた書籍になります。当時、同じ会社で働き、現在は退職して大学でキャリアの授業を受け持っている上司とともに書きました。
取り上げている学生は、第一志望の大学に落ちて滑り止め大学に入学した人や、やりたいことが見つからず悶々としていた人、いわゆる中二病的なふるまいをしていた人……。大学の広告塔になるようなタイプじゃないフツーな学生たちです。そんな彼ら彼女らが何かをきっかけに大学生活に本気になっていき、大きく成長していった、その軌跡を追っています。内容的には粗いところが多々あるものの、リアリティがすごくある。自分の子どもが大学生になるときに、ぜひ読ませたい。ほんとにそう思っている一冊です。
定年進学のすすめ
第二の人生を充実させる大学利用法
著:花岡正樹 出版社:花伝社 発行:2010年2月
団塊世代が大量退職するタイミングに合わせて出版した、退職後に大学で学び直す楽しさを伝える一冊です。本の半分は、いろんな理由や想いを持って大学で学ぶ社会人学生のロングインタビューを掲載、もう半分は進学するうえで知っておいて欲しいポイントや具体的な進学方法についてまとめています。大学進学、とくに学部進学に焦点を絞って、これだけ深く掘っている書籍は、おそらく他にないんじゃないでしょうか。
本書のこだわりは、インタビューに、単に学んだから楽しい、面白い、と書いているわけじゃなく、大変だったこと、辛かったことについても、包み隠さず載せていることです。大学のパンフレットでは、なかなか載せられないことだけど、定年進学を本気で考えるなら、絶対に知っておくべきことだからです。また単純に、人生の先輩方の言葉が読んでいると、けっこう胸に刺さります。生きることとは学ぶことなのかなと、本書を書きながらしみじみと思いました。
年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術
著:花岡正樹 出版社: 中央公論新社 発行:2013年4月
これは、ほとんど0円大学が生まれるきっかけになった一冊です。知られていないけど、驚くほどたくさんある大学の社会人向けの取り組みを、可能な限り全部紹介してみよう、そんな気持ちで執筆した書籍になります。そのため本書では、60以上の大学を取り上げ、180ちかくの取り組みについて言及しています。そして、なんと取り上げている大学の、ほとんどに取材してまわりました。振り返ると、よくもまぁ、そんな時間があったなと不思議に思います。
ちなみに、この書籍をまとめた後に、書籍よりもっとキャッチーな表現でまとめたいと思い雑誌『関西の大学を楽しむ本』が誕生。さらに即時性がある方がいいと考え、「ほとんど0円大学」が誕生したという経緯があります。つまりこの書籍は、ほとゼロの母ならぬ祖母のような存在なのです。
50歳からの大学案内 関西編
著:花岡正樹 出版社: ぴあ 発行:2018年12月
最後をかざるのは、つい最近、ほとゼロでレビューをした『50歳からの大学案内』です。この本を書こうと思ったのは『定年進学のすすめ』で学部進学にフォーカスしたものの、実はおとなが利用できる大学の教育プログラムは、他にもたくさんあるのに、ぜんぜん伝えられていないゾ、と思ったから。そのため本書では、公開講座、履修証明プログラム、通信教育、科目等履修制度、社会人進学などなど、さまざまな教育プログラムを取り上げ、これらを使ってさまざまな学び方をする人を紹介しています。
取材するなかで印象に残ったのは、卒業にこだわらないと大学の学びはとても自由になるということ。けっこう大胆な学び方をしている人も多く登場しています。“しなくてはいけない”という固定観念を振り払うと、学びは最高のレジャーになるのです。今や人生100年時代、学び直して人生をリスタートさせるというのは、けっこう悪くない選択な気がします。私も将来、お金があればぜひ考えてみたいです。
駆け足で、といってもけっこうなボリュームになりましたが、ほとんど0円大学が関わる出版物についてザクザクッと紹介させてもらいました。今後もウェブマガジンと合わせて、出版物でも大学の魅力を幅広く伝えていきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!