アジアやアフリカの楽器を知っていますか?楽器といえば…ピアノ、ギター、バイオリン、それとも学校で習ったリコーダーを連想しませんか?そこでアジアやアフリカの魅力的で伝統的な民族楽器を知るべく、東京音楽大学附属民族音楽研究所の民族楽器入門講座に潜入してきました!
今回お邪魔した東京音楽大学附属民族音楽研究所は雑司が谷、鬼子母神近くにあって池袋駅からも歩いて十数分とアクセスはGood。この民族音楽研究所は映画ゴジラをはじめとする映画音楽で有名な作曲家・音楽家であった伊福部昭氏が東京音楽大学で教鞭をとるにあたり、1975年に開設されました。
伊福部先生のコレクション、民族音楽研究所の講座とは何だろう?
まず案内されたのが民族音楽研究所の資料室…展示されているのは伊福部先生が蒐集された明清楽器を中心にアイヌをはじめ、アジアやアフリカなどの民族楽器。そのコレクションがすごい!楽器なのか?と思うものもあって、研究員の方にうかがうと「全部楽器ですよ」と。どう使うの?どんな音色?とっても気になります!
そんな珍しい民族楽器を実際に触って弾いてみよう!というのが民族楽器入門講座です。指導してくれるのは、日本を代表するそれぞれの楽器演奏家や研究者。さっそく講座をのぞいてみましょう。
中国伝統的の擦弦楽器、二胡は人気講師の楽しい講座。
最初にお邪魔したのは、二胡初級講座。講師の劉継紅先生は中国出身で、映画「少林寺」「西遊記」など100本位上の音楽の製作・演奏に参加されている音楽家。現在も東京音大の客員教授を務めながら音楽活動を行なわれているパワフルな方です。とにかくトークがうまい!初級講座ということで、座学からはじまり実演と、みなさん劉先生の一挙一動を見逃さないよう集中されていました。
人気講座のひとつ劉先生の二胡講座、遠く名古屋や長野から通われている生徒さんもいらっしゃるとか。
時には笑いあり。二胡を弾くテクニックだけではなく、文化なども楽しく教えてくださる劉先生。
アフリカの魂を呼び起こせ!親指ピアノを作って、弾こう講座。
サハラ以南のアフリカで広く見られる親指ピアノ。この講座は、そんな親指ピアノを自分の手で作って弾くというものです。指導してくださるのは、タンザニア・ドドマ地区の村に住んでゴゴ族の大型親指ピアノ「イリンバ」を習得した直川礼緒先生。ゴゴ族の小型親指ピアノ「チリンバ」の基礎的な演奏パターンまで学ぶそうです。
親指ピアノは共鳴体を自分たちでつくる。アフリカでは、そこにあるもので作るからサイズも素材もまちまち。
親指ピアノは地域や民族によって、リンバ、ムビラ、アドンゴなど、呼び名もそれぞれ異なる。
途絶えかけていた樺太アイヌの伝統弦楽器、トンコリ講座。
最後にお邪魔したトンコリ入門講座。トンコリって、どんな楽器なんだろう?そんな思いをよそに、実際の音色はとても心地よく…トンコリの音楽はアイヌの人たちが現代人に伝える「究極の癒し」の音楽とうかがい納得。講師は演奏家・民族音楽研究者の千葉伸彦先生の担当です。
1970年代に伝承が途絶えかけたトンコリ。千葉先生は演奏法を復元し、多くの楽曲を演奏可能にするために尽力された。
受講生の中には外国人の方も。演奏技術とアイヌ文化を学べるこの講座、新鮮な感動を受けるとジワジワ人気が上がっている。
頭、おへそ(魂)、足…人間のカラダを表しているともいわれるトンコリはサイズも意匠もいろいろ。
魅力的な民族楽器がたくさん、いろんな講座が見逃せない!
伊福部先生が残した貴重な民族楽器を実際に触れて、使って音を出してみよう。そして、その楽器が生まれ育まれた国・地域の文化も学ぼう。そういった思いから誕生した民族楽器講座は、今回潜入した講座だけではなく、アジアの弦楽器、モンゴルのホーメイ(のどうた)、西アフリカのジェンベ、インドのタブラなど多彩な講座があります。
古琴、数千年の時を経て琴学(きんがく)として大成してきた琴の伝統。かつては刀を忍ばせていたとか…。
「スーホの白い馬」の物語は読みましたか?そこに出てくる馬の彫刻が特徴のモンゴルの弦楽器、馬頭琴。
中央アジア、キルギス共和国のコムズは船を漕ぐオールに似た三弦楽器。小さな鳥が飛び回るような可愛らしい弾き方が特徴。
坂本龍馬が長崎で買い求めたという逸話も残る月琴、現代ギターと同様にフレットが付いている。
ただ技術を学ぶのではなくて、その地域の文化を知り、民族の心にも触れる東京音楽大学の民族楽器入門講座。募集は春と秋の年2回、どれも全6回コースです。気になる民族楽器があったら、はじめてみてはいかがですか?