食の安全、あるいは環境に対する意識の高まりから、昨今、注目されているのが「Bio」、「オーガニック」といった自然派食材。これらは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず、より自然に近い形で生産された農作物や、精肉や卵などの畜産品を指し、それらを原料につくられた加工品もそこに含まれます。
今年6月にグランドオープンした聖心女子大学の「La Mensa jasmin」は、そんなBio、オーガニックにこだわる自然派のカフェレストラン。コスト重視の大学の学生食堂としては珍しいその取り組みついて、もっと詳しく知りたくて、お話を伺ってきました。
「2番目の学生食堂」が果たすべき役割
東京メトロ日比谷線の「広尾駅」から、歩いて2分ほど。目指す店は、聖心女子大学のメインキャンパスへと続く北門から、通り一本ほど離れた「4号館/聖心グローバルプラザ」の1階にありました。
4号館/聖心グローバルプラザの入り口。海外からの来客も多い同館1階、右奥にレストランがある
店名の「La Mensa」とは、イタリア語で学生食堂という意味
「この場所は、グローバルプラザというだけあって、海外からお見えになる方も多いですね。上のホールで大きなイベントがあるときは、その後の皆さんのパーティースペースとしてもご利用いただいています」
というのは、「La Mensa jasmin」店長の松永領太さん。
4号館/聖心グローバルプラザは、聖心女子大学が独立行政法人国際協力機構(JICA)の跡地を取得し、2017年9月に開設したもの。地球環境や食糧問題など様々なテーマでの国際交流や国際協力、そのグローバルな活動や研究の拠点として設けられた施設です。そのため、当初から国内外から多くの来場者が訪れることが予想され、大学側も「学外から来られた方々にも使ってもらえたら」と、施設のオープンに合わせて、館内に2番目の学生食堂を開くことを決定。それが現在の店の前身となったジャスミンという名のカフェだったといいます。
明るくおしゃれな店内には、携帯やパソコン用の電源やWi-Fiも完備
「もともと自然に交流が生まれる場といいますか。学内外問わず、みんなで集まって自由にいろいろなことができるサロン的なスペースとして、始まったものではないかと思うのです。新しくなった今の店も、学生さんが学食として利用できる形はありつつも、それだけではなく、一般の方も気軽に入れるカフェレストランになっています。その上で、ひとつの大きなテーマとなっているのが、Bio、オーガニックというものなんですね」
「健康に優しい」が「地球に優しい」につながる
提供する料理は、バリエーション豊かなオリジナルメニュー。材料はひとつひとつ吟味し、Bio野菜やオーガニックのドリンク類など、より安全で自然な味わいの食材を使用しています。
Bio野菜のバーニャカウダは、ディナーの人気メニュー
なかでも特にこだわっているのが、野菜類。関東近郊で有機栽培に取り組む若手農業家たちと手を組み、毎日穫れたての新鮮野菜を畑から直送で送ってもらっているのだとか。
「グローバルプラザに来られる方々は環境への意識が高い方が多いと思うんです。食べ物も、輸送距離が伸びれば伸びるほどガソリンを多く使って、二酸化炭素の量が増えて地球によくないとか、農薬をたくさん使うと土壌にもよくないとか…。そういうことってありますよね? ですから、私たちも基本的に群馬、栃木、千葉、茨城など関東近隣で採れたBio野菜を使っています」
ランチメニューのイチ押しも、そんな野菜づくしの「Bioサラダボウル」。トマト、カボチャ、ジャガイモ、パプリカ、レタスにベビーリーフ…等々。十数種類もの季節の野菜がどっさり入っていて、どれも甘く、歯ごたえシャキシャキ♪ 食べる直前にかけるハニーハラペーニョの自家製ジュレドレッシングは、冷蔵庫で1日寝かせてまろやかに仕上げるそう。しっかり野菜を包む味わいは、ちょっとくせになります。
サラダボウルランチセットは、自家製フォカッチャ、スープ付きで950円。サラダは十数種類の有機野菜、ドレッシングにはハラペーニョとハチミツ、ニンニクを使用。野菜の旨みが引き立つ
子どもと一緒に通える店に
Bioやオーガニックへのこだわりとともに、松永さん達スタッフが目指すもうひとつのテーマが、“子どもと通えるレストラン”。
「ベビーカーでの入店が大変であるとか、周囲の目も気になるとか。おいしいもの食べに行きたくても、小さなお子さんがいるとなかなか行けない現状があると思うのです。だからうちの店では、ベビーカーや車いすでも通りやすいようにテーブルをゆとりをもって配置したり、改装の際に授乳室やおむつ替えの部屋もつくりました。お子様向けのメニューも、野菜ばかりではなかなか食べてもらえないので、例えばフライものに全部野菜からつくったタルタルを添えるなど工夫して作っています」
テーブルの間隔を広くゆったり配置しているため、ベビーカーや車いすでも移動しやすい。総席数は60席だが、立食なら150人まで収容可。6~10名用のテーブル個室もある
赤ちゃん連れでも気兼ねなく過ごしてもらえるように、授乳室やおむつ交換用のベビーベッドなども用意
月替わりのランチメニューでも、お子様セットの内容は、もっと充実させていきたいと松永さん。一方、大人向けのメニューでは、人気のパスタなどに加えて、カレー専門店とコラボしたテイクアウトOKのレモンライスカレーや、パニーニなどの新メニューが近日登場予定。Bioサラダボウルには、蒸し鶏などの選べるトッピングや選べるドレッシングが追加され、よりパワーアップする予定です。
「聖心女子大生の手作りオーガニックハーブティー」。園芸クラブの学生たちが、キャンパス内の畑で育てたレモングラス、ステビア、ペパーミント、カモミールをブレンド
昼時には、大学生や教職員、広尾に暮らすマダムなど女性客で賑わう店内は、ウッディなインテリアが醸し出すやわらかく温かな雰囲気と開放感があって、居心地は上々。個室での女子会やパーティーの際には大皿のコース料理も用意しています。
天気の良い日はテラス席も気持ちよさそう。ドッグパーキングもあるので、愛犬の散歩に立ち寄ってみては?
誕生日のメッセージ付きデザートプレートは要予約
毎日11:30~23:00まで通し営業しているので、時間を気にせず過ごせるのもこの店の魅力のひとつ。
夜のディナータイムには、ソムリエ厳選のBioワインも傾けて…なんて楽しみ方もできる、都会のおしゃれな隠れ家で、憩いのひととき過ごしてみませんか?