ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

キーワードは“京都産黄大豆”。京都産業大学と京都市静原のコラボ商品に迫る!

2018年6月5日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

探せばアレコレと見つかる、大学発の商品たち。これら商品が生まれる背景はいろいろだが、「まちおこし」は、その理由の大きな一つといっていい。京都産業大学が京都市左京区静市静原町とともに開発したオリジナル商品たちも、まさにそんな目的から生まれた商品たちになる。今回はこれら商品のレビューを、開発秘話とともに紹介しよう。

京都産黄大豆“オオツル”を静原ブランドに

今回レビューする商品は「神山クッキー」「神山まどれーぬ」「神山コーヒー」の3点になる。静原なのに神山(こうやま)?と思われる人がいるかもしれないので、あらかじめ説明しておくと、神山は京産大のメインキャンパスのあるエリアにある、山の名前。この大学のシンボルともいえる天文台は「神山天文台」。京産大にとって「神山」は、自分たちの大学の別名のようなものなのだ。ちなみに余談ではあるが、関西だと大阪大学と待兼山の関係もこれに似ている。

 

話しが少しそれてしまった…。今回、レビューする3商品には、名前以外にも共通点がある。それは、静原で栽培された農作物を使っていることだ。とくに「神山クッキー」と「神山コーヒー」の“ソイブレンド”に使われている京都産黄大豆“オオツル”は、「静原ブランド」として売り出そうと関係者が力を入れる注目の農作物になる。

 

なぜ黄大豆なのか?だが、黄大豆は、市場価値の高い黒大豆に押されて京都市内ではほぼ生産されなくなってしまっていた。そんななか、みそや豆腐の生産者が地産地消をめざして、地元産黄大豆の栽培をはじめた。この情報をキャッチした学生たちが、ぜひ自分たちもと地域住民や大豆問屋の力を借りながら、静原で黄大豆の一種である“オオツル”の栽培をはじめたのだ。

京都産業大学 みらい発信局おむすび~静原応援隊

ちなみに、つくっているのは「みらい発信局おむすび~静原応援隊」という、学生の有志団体になる。この学生団体が、静原のまちおこしに関わりはじめたのは2015年からで、黄大豆を使用したクッキーとコーヒーが誕生したのは2018年4月。この間、いろいろなトライ&エラーがあり、これら商品に結実したのだろう。開発の物語を、ぼんやりと想像しながら食べると、いっそう味わい深く感じられそうだ。

個性的でおいしい神山スィーツ&コーヒー

では、いよいよ、実食レビューにうつる。まずは、「神山クッキー」。こちらはプレーン、ショコラ、キャラメルの3種類の味が発売されている。どれもザクザクとした食感のなかに、カリカリとした黄大豆の食感があわさり、歯ざわりがおもしろい。また、よくローストされた黄大豆の香ばしさが味覚のうえでも、いいアクセントになっている。個人的には、大豆が強く感じられるプレーンが好みの味だった。

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次は「神山まどれーぬ」。こちらは一見、普通のマドレーヌだが、生地を割ってみると、なかからたくさんの静原産の小豆があらわれる。やや固めに炊きあげられた小豆は、食べ応えがあり、一つ食べるだけでかなりの満足感。また、生地には京都特産の白みそを隠し味に使われており、食べていると、ふっと白みその香りが鼻へ抜ける。京都らしさを感じさせる、見事な演出である。

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これらスイーツとぜひ合わせて欲しいのが、「神山コーヒー」の“ソイブレンド”。コーヒーカップを口もとに近づけると、コーヒーの香りのなかに、大豆の香りがかすかにする。飲むと、これまたかすかに大豆の味がする。個性的ではあるが、奇をてらった味ではなく、万人受けする味だ。言わずもがなかもしれないが、「神山クッキー」「神山まどれーぬ」との相性もばっちりだった。

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和と洋がうまく混ざり合った「神山まどれーぬ」もさることながら、黄大豆をクッキーやコーヒーに利用する発想がおもしろい。とくにクッキーに大豆を使う場合、おからクッキーがポピュラーだが、あえて砕いた大豆をアーモンドやピーナッツのように味のアクセントに使っているのが印象的だった。

これら三品は静原のまちおこしという商品開発の背景も興味深いが、単純に商品としても魅力的である。京産大に立ちよった際に、おみやげに購入してみてはいかがだろう。ちなみに同大学100%出資会社(株)サギタリウス企画のウェブサイトでは通信販売もしているゾ!

これからの季節はやっぱコレでしょ!? 大学うまれのこだわりアイスクリーム紹介!

2018年5月29日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

ここ最近、歩いているとうっすら汗ばむほどの陽気が続いている。こんなときに、つい食べたくなるものはというと、そう、アイスクリームだ。少し前に、なんとも不思議なアイスを取り上げたところだが、今回はそれに負けない魅力的な大学発のアイスをどんどんと紹介していきたい。

 

半世紀近い歴史をもつ、はちみつアイス

一つ目は、玉川大学がほこる人気商品、「たまがわアイスクリーム」。1970年に誕生し、いったんは乳牛飼育の終了などにより販売中止になった。しかし、根強いファンの声もあり、2007年より販売が再開。今では、なんと年間4万個以上も販売するまでに成長している。

 

このたまがわアイスで、ぜひ食べて欲しいのが、ミルク&はちみつ味。というのも、玉川大学は日本で唯一ミツバチの総合研究機関をもつ大学で、半世紀を超すミツバチ研究の実績がある。そんな玉川大が、アイスクリームとの相性のよいはちみつを選んでブレンドしたのがこのアイスになる。食べてみると、しっかりとしたはちみつの味と風味が感じられる。いわゆるバニラとは少し違う味わいだが、はちみつを活かしたやさしい味は、毎日でも食べたくなる。

たまがわアイス1

はちみつの効いたミルクアイスはクセになる味わい

 

他にも、プレミアムバニラ、ストロベリー、チョコレート、抹茶、ぽんかんハニーシャーペットとあり、どれも美味。ちなみに2010年に誕生した最新のフレーバー「ぽんかんハニーシャーベット」は、同大学農学部が農場実習を行う鹿児島県の農場で採れたポンカンを使用している。商品情報を見ていて、ふいに「玉川大学が鹿児島に農場を持っているんだ」という素朴なサプライズにぶち当たる、これもまた大学発商品の面白さの一つのように思う。

たまがわアイス3 たまがわアイス2

(左)すっきりとした味わいが暑い日にぴったり。ぽんかんハニーシャーベット
(右)プレミアムバニラは、高級感あふれる濃厚な味

学生たちが搾った牛乳をアイスに

次は、帯広畜産大学の「畜大牛乳アイスクリーム」を紹介しよう。このアイスは、甘さおさえめで、牛乳の味が引き立っているのが特徴。濃厚だけど、さっぱりしているという表現がぴったりと合う。

 

このアイスの原料となる牛乳は、東京ドーム25個分の広さ(約120ヘクタール)を有する帯広畜産大の「畜産フィールド科学センター」の農場で飼育された乳牛から搾乳されている。ちなみにこの広大な農場と同じ敷地に、大学の講義棟や研究棟があるという。学外施設ではなく、キャンパスで育てているのである。さすが、北海道はでっかい道、である。

 

面白い点がもう一つある。それは、乳牛たちの搾乳を、学生サークル「うしぶ。」が担当していることだ。大学発商品に学生が関わるというと、商品を生み出すアイデアやマーケティング部分が多い。でも、ここでは生産の一部を担っているのだ。搾乳は、朝夕5時、365日。かなりハードだ。現役の学生たちが、これを交代制で担当している。そんな頑張りエピソードを知ると、アイスがさらに美味しく感じてしまう。

畜大牛乳アイス1 畜大牛乳アイス3

(左)牛乳のおいしさをしっかりと味わえる畜大牛乳アイスクリーム
(右)送られてくるボックスの牛のイラストがなかなかかわいい

和と洋の魅力がつまった冷たいスィーツ

最後に、少し変化球として取り上げたいのが、東京農業大学の「笑友(エミュー)生どら焼き」だ。これは東京農大オホーツクキャンパスで飼育されている、世界で2番目に背の高い飛べない鳥「エミュー」の卵を使ったどら焼きである。甘さ控えめで、生地がもっちりして、これがうまいのだ。

 

…どら焼き? と、ほとんどの人は思ったに違いない。そう、どら焼き、である。このどら焼き、凍ったままで食べても美味なのである。なお、この食べ方は、別に私が発見したわけではなく、商品に同封されている説明書きにきちんと書いている。

 

食べてみた感想は、解凍したときよりも味わいがあっさりとして、これはこれでおいしい。書き忘れていたが、このどら焼きの餡は、あんこではなく、小豆クリーム。これが小豆アイスのような味わいになる。和菓子とスィーツの間のような味わい。甘いもの好きには堪えられない一品だといえる。

笑友生どらやき1 笑友生どらやき2

冷凍のまま食べるとまた別の味わいを楽しめる、笑友生どらやき

 

アイスクリーム系の大学発商品は、冷凍されていることもあり、気軽におとりよせで味わうことができる。これから、どんどん暑くなっていく。コンビニのアイスもいいけれど、大学ならではのこだわりが詰まったアイスを、たまには口に運んでみてはいかがだろう。

大学はこう使え! 第11回リラックスに最適! 大学キャンパスで自然を満喫♪

2018年5月24日 / コラム, 大学はこう使え!

歴史的価値のある校舎や、デザイン性あふれる図書館など、大学は学びの場であるとともに見応えいっぱいな観光スポットでもある。そして、大学の建造物もいいのだが、今回はそれ以外の観光地的な要素、大学の自然について取り上げていこうと思う。

花見の季節こそ大学に行こう

まず大学の自然として、よく取り上げられるのが“桜”である。ほとゼロでも、以前、大阪府立大学、中百舌鳥キャンパスの「府大花祭り」をレポートしたことがあるが、桜の名所になっているキャンパスは多い(記事はこちら)。そして、この桜を学生や教職員だけで楽しむのはもったいないと、地域向けの花見イベントを開催するところがけっこうある。

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大阪府立大学、中百舌鳥キャンパスの桜。撮影日はあいにくの曇り空だった

 

いくつか例を挙げてみよう。校章やシンボルマークのモチーフにも桜を使う跡見学園女子大学の新座キャンパスは、45種類もの桜が咲き誇る名所。3月下旬には「桜まつり」が開催される。大妻女子大学も同じく「大妻さくらフェスティバル」を3月末に開催しており、地域住民に愛されるお花見スポットとして人気だ。他にも、成蹊大学の「成蹊桜祭」や、東京純心大学の「純心桜まつり」などなど、少し探すだけでも次から次へと見つけることができる。

 

 これって花見の時期に書くべきだろう…という指摘を受けそうだが、まぁそれには耳を閉じといて、と。このように、大学には格好の花見スポットがあるのだ。しかし、忘れてはいけないのは、大学は学び場であるということ。酒を飲んでのランチキ騒ぎは御法度である。静かな心で、桜を愛でて欲しい。

休日におすすめ! 大学附属の植物園

薬学系や理学系の学部学科がある大学のなかには、植物園を持っている大学がある。この植物園というのも、大学の自然を楽しめるスポットだ。有名どころを挙げるなら、これまたほとゼロで以前取り上げた、東京大学の小石川植物園こと東京大学大学院理学系研究科附属植物園(記事はこちら)や、大阪市立大学理学部附属植物園、北海道大学植物園あたりかと思う。

小石川植物園1 小石川植物園_036

161,588m2(48,880坪)という広大な敷地をもつ東京大学大院理学系研究科附属植物園
 

これら大学附属の植物園は、入場料が数百円と格安なうえに、休日であってもテーマパークのように激混みすることがまずない。さまざまな植物を観察しながら歩き回るもよし、自然のなかを子どもとめいっぱい遊ぶもよし。私も何度か訪れたことがあるのだが、これが思いのほか楽しいのだ。

 

また、小石川植物園には、ニュートンが万有引力を発見するきっかけになったリンゴの木が分譲されていたり、学術的価値や逸話のある植物もこれら植物園にはちらほらとある。入り口でもらう園内ガイドを手に、こういった植物を探してみるのもいいだろう。

キャパスの自然をイベントで堪能

最後に、キャンパスそのものが自然の宝庫、という大学もある。広大な敷地のあるキャンパスそのものに、森林や山がくっついている大学だ。法政大学の多摩キャンパスは、東京ドーム10個分の面積に相当する約46 haの森林があるし、大阪大学の豊中キャンパスには待兼山という山がキャンパスのなかにある。

 

 こういった大学では、自校の自然を活かしたワークショップや講座を地域向けに開催していることが多く、それらに参加することで自然を満喫することができる。たとえば、阪大では待兼山を舞台に「阪大植物探検隊」というプログラムを毎年春と秋に開催している。このプログラムでは、阪大の教員と待兼山を散策し、その後に講義を聴いて、阪大の自然を堪能する。こちらのレポートを、ほとゼロに掲載しているので興味のある方はぜひ読んで欲しい(記事はこちらこちら)。

IMG_0015 中山池周辺にあるドウダンツツジ

大阪大学の人気プログラムとなっている「阪大植物探検隊」

 

大学といえば、アカデミックな場所、文化的な場所というイメージが先行しがちだ。でも、実はそれだけじゃない。自然というのも、そんな知られざる顔の一つのように思う。初夏の日差しが気持ちのいい日が続いている。ぜひ誰かと一緒に、また一人で、大学の自然を楽しみに出かけてみてはいかがだろう。気分爽快になること間違いナシである。

 

算数がもっと好きになる!? 大学生まれのユニークものさしを使ってみた!

2018年3月22日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

世の中には、算数がきらいなちびっ子諸君がたくさんいるように思う。かくして私もそうだった(ほんとは今も…)。とはいえ当然のことながら、算数がすきであることにこしたことがない。今回は、算数ぎらいや、算数ぎらい予備軍にぜひ使って欲しい、大学生まれのユニークな“ものさし”を二本紹介しようと思う。これらを使えば、あれ、算数ってけっこう楽しいかも…!ときっと気づいてもらえるはずだ。

 

分数の計算を視覚的に理解できる画期的なものさし

最初に取り上げるのは、プレジデント社から発売されている「分数ものさし」である。これは、今春、浜松市内の小学校を卒業した山本賢一朗さんが考えついたものさしで、静岡大学の協力のもと商品開発された。

 

このものさしを使うと、たくさんの算数ぎらいを生み出してきた分数の足し算、引き算、かけ算、割り算を、視覚・感覚的に理解することができる。早速、手にとってやってみて……もいいのだが、おっさんがやるより、子どもがやった方がより効果がわかるだろうと、小学4年生の娘に協力してもらうことにした。

 

ちなみに、ものさしには、12/12、6/6、4/4、3/3、2/2と5つの分母にわけて12センチが表現されており、この目盛りに合わせて線を書いて計算していくと、まさに目に見えるかたちで、分数がどうなっているかがわかるのである。たとえば、1/2+1/3という問題であれば、1/2の目盛りのところまで線を引き、そこからさらに1/3の目盛り分、線を足して、それを計ってみるとずばり答えになる、という感じ。

 

「分数ものさし」にはものさし本体と、計算ドリルがついており、そこには簡単なものから難易度の高い問題まで載っているのだが、手を動かしながら計算するのでゲームのような雰囲気で解くことができる。おかげで、小4の娘も楽しそうにやっていた(途中で下の子が邪魔していたが…)。

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さらに計算ドリルの解説を読むだけではわからない!なんていう人もご安心を。ドリルの随所にQRコードがついており、これをスマホ等で読み取ると考案者である山本さん自らが動画で解説してくれるのである。しかし、山本さんはこの間まで小学生だったというのに、ものすごくしっかりしておられる。

 

不便だからこそ面白い、京大生まれの超不便なものさし

もう一つ取り上げたいものさしがある。京都大学の生協と不便益システム研究所がコラボしてつくった「素数ものさし」だ。これは山本さんが「分数ものさし」を考えるときにヒントにした商品でもある。

 

このものさしは、名前の通り「素数」の目盛りしかない。長さ18センチなのだが、数字が書かれているのは2、3、5、7、11、13、17センチのところだけ。また反対側も数字こそ書かれていないが、ミリで数えたときに素数にあたるところに目盛りが刻まれている。不便益システム研究所がつくっただけあって、普通づかいするのは超不便である。しかし、この不便さを逆転の発想でおもしろがるというのが、このものさしのポイントであり、京大らしいところだ。

 

たとえば、16センチの線を引くなら、いったん11センチまで引いて、そこから新たに5センチの線を足す。このように、何センチの線を引くであるとか、何センチの線を引く、ただしものさしを使えるのは何回までとか、お題や条件をだしてそれを解いていくと、けっこう盛り上がれるのだ。それにとてもシンプルなものだから、工夫次第で他にもいろいろな使い方・遊び方ができそうだ。ある意味、使い手が試されるものさしと言っていい。

素数ものさし 素数ものさし使用風景

「分数ものさし」と「素数ものさし」、それぞれ発想がユニークで、教科書とは違う視点で算数の世界をのぞくことができる。算数がすきな子には、算数をもっと楽しむために、算数がきらいな子には、ここぞとばかり気持ちを改めるきっかけとして、これらものさしを与えてみてはいかがだろう。もちろん、おとなが使うのもいいと思う。分数の割り算の仕組みがわかると、けっこう感動するのだ。

冬は美味しい麺であったまろ♪体にしみる大学発、おいしい麺レビュー3連発!

2018年3月1日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

東京で大雪、福井で大雪。今年の冬はとにかく寒い!こんな寒いときに恋しくなるのが、あたたかい蕎麦であったり、ラーメンだったりするように思う。実は、これら麺料理を開発している大学というのは、けっこう多くあるのだ。今回は、そんな大学発の麺からオススメのものをピックアップしてみた。一杯の椀をのぞくと、大学の知恵や学生の思いが見えてくるゾ。

 

明大生がつくった、明大生のためのユニークラーメン

まず一杯目は、「明大生が明大生のために作った!」なんていうキャッチが踊る、明治大学の「トマトらーめん」。これは政治経済学部木谷光宏ゼミの学生たちがつくる学生団体「colors」が企画し、(株)渡辺製麺と開発した。調べてみると「colors」はトマトらーめん以外にも、いくつも商品を開発しているようで、ちょっと面白そうな団体である。

 

トマトらーめんは「明大生のために〜」と謳っているだけあり、学内アンケートや学内試食会を行い、内容を試行錯誤していった。そんな経緯もあってか、かなり独創的なラーメンに仕上がっている。根本的なところからいうと、醤油でも、味噌でも、豚骨でもなく、トマト味のラーメンなのだ。しかも具材にキャベツとトマトがたっぷりと入っている。

 

実際、つくって食べてみるとトマトのいいにおいが漂ってきて、ラーメンというよりスープパスタという印象。あっさりとした味わいは女性にウケそうだ。また、スープがそこまで辛くなくて、最後まで飲み干せそうなところもGood。 むしろこのスープとパゲットで、ステキな朝食が楽しめそうである。

明治大学公式キャラクター「めじろう」がご紹介

明治大学公式キャラクター「めいじろう」の存在感!

トマトで真っ赤なスープはすっきりだけど奥深い味

トマトで真っ赤なスープはすっきりだけど奥深い味

 

使用しているそば粉は信州産粗挽きそば粉100%、松本大学発の蕎麦

続く2杯目は、「信州アルクマそば」。松本大学人間健康学部の矢内研究室と(有)あづみ野食品、JR東日本長野支社が、6次産業化(※)による商品開発をめざしてつくった蕎麦になる。なんと、累計売り上げが1億円以上というヒット商品だ。パッケージにドーンと描かれている緑色のクマは、長野県観光PRキャラクター、アルクマさん。りんごのかぶりものがシュールだが、逆にそれがかわいくもある。

※農林漁業者(1次産業)が、農畜産物・水産物の生産だけでなく、食品加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)もすることで、農林水産業を豊かにしていこうとする取り組み

 

この蕎麦に使われているそば粉は、すべて信州産の粗挽きそば粉。ウェーブのかかった麺は、一瞬ラーメンを感じさせるが、食べると間違いなく蕎麦で、麺を口元までもっていくと、蕎麦の豊かな香りがふわっと鼻をくすぐってくる。汁は少し濃いめなので、具材をいれて楽しむのもよさそうだ。

信州のPRキャラクター、アルクマが目印

信州のPRキャラクター、アルクマが目印

そば粉100%のちょっと贅沢なインスタント蕎麦

そば粉のにおいが、食欲を刺激する

震災復興の願いが生んだ石巻専修大学の塩ラーメン

最後の椀は、石巻専修大学と石巻市のさまざまな企業・研究会が協力してつくった「サバだしラーメン」だ。この商品は東日本大震災からの復興を目的にして生まれた。学生たちが「地域創造」のスローガンのもと、多くの人を巻き込んでつくった商品で、この開発物語にまずグッとくる。ちなみに復興を目的にした大学発商品は、他にもけっこう多くある。これはこれで、いつか集めて紹介できればなぁ…と思っている。

 

サバだしラーメンは、この地域で伝統的に使われている「サバだし」を食文化として位置づけ、水産加工会社から輩出される新鮮なサバのあらを活用した塩ラーメンになる。食べてみると、驚くほどスープが澄んでいるのに、サバの豊かな旨みが効いていて、かなりうまい。つくり方のシートを読むと「冷やし」でも食べられると書いてある。油分が少ないからできるのだと思うが、これはこれですごくうまそうである。

 

また、白い細麺は宮城県産小麦「ユキチカラ」を使い、サバの焼成骨も配合されているとのこと。小麦のいいにおいがして、かむとシコシコというより、ギュッ、プツリといった感じの食感でクセになる。サバ節の粉末の小袋がついており、これで魚介の旨みをブーストできるのもうれしい。

生麺タイプのラーメン。ラベルには、魅力がぎっしり書かれている

サバの文字がまず目にとまる、生麺タイプのラーメン

サバだしラーメン誕生秘話をまとめたマンガが同封

サバだしラーメン誕生秘話をまとめたマンガが同封

滋味あふれる味は、二日酔いの朝にもいいかも

滋味あふれる味は、二日酔いの朝にもいいかも

大学発のおいしい麺ということで、今回は3品ピックアップしてみた。どれも美味しく、個性がある。おまけに調理もカンタンだ。大学の創意工夫や学生の情熱がつまっているので、ぜひ冬場の体をあたためるのに役立ててほしい。元気とともに、大学への興味も湧いてくるはずである。

 

身体には気をつけなはれや!冬にオススメの大学発商品レビュー3連発

2018年1月25日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

12月に、とうとう冬も本格的に到来かぁ…と思っていたら、1月になるとさらにそこから寒くなってきた、しかも桁違いに。毎年のことではあるけれど、この時期は本当に寒い。寒いというか、もうほとんど痛い。こんな時期にこそ、体調管理をしっかりしないといけないわけで、ぜひ役立てて欲しい大学発商品があるので、これについて紹介していこう!

ダイエットにも最適、長崎が生んだ不思議なお茶

まず紹介したいのが、こちら、長崎県と長崎県立大学、長崎大学、九州大学が共同開発したお茶「ワンダーリーフ・美軽茶」。このお茶は、長崎特産の「びわの葉」と「お茶の葉」を揉み込んで、一緒に発酵させる「混合発酵」という世界初の製茶法で作られたお茶になる。「カテキン重合ポリフェノール」なるものが多く含まれており、高い脂肪燃焼効果と脂肪吸収を抑えて体外へ排出する効果などがあるという。

実際に飲んでみたところ、味は紅茶に近いものの、それより渋みが少ない。ほのかな甘みもあって、かなりおいしい。正月太りした身体をすっきりさせるのに、もってこいのお茶なので、ぜひ冬にこそ常飲してもらいたい逸品である。

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アミノ酸サプリで、厳しい冬も乗り切ろう

続いて取り上げるのが、東京大学発の人気商品「体力式Ⓡアミノ酸ゼリー」だ。これは健康維持に必要なアミノ酸900㎎と10種のビタミンを素早く吸収できるゼリータイプのサプリメント。味もさわやかなリンゴ味で飲みやすく、ちょっと体力が落ちているなと思ったときに飲むと、回復を感じられる。

ちなみにこのゼリーは、大谷勝(元 東京大学大学院特任教授)のアミノ酸研究の成果をもとに商品化された。この研究では「アミノスタローン」と名付けられた競走馬を使って、効果実験を行ったのだが、これがなかなか面白い。

「アミノスタローン」は母馬の胎内にいるときに、母馬にアミノ酸を含んだ飼い葉を食べさせ、誕生後もアミノ酸を含む飼い葉で飼育された。決して速くない父母をもつ馬だったのだが、この飼育方法のおかげで、東京シティ競馬で6勝を挙げたのだ。何よりも血統がものをいう競走馬の世界で、これは大きな快挙だった。

現代社会におけるサラリーマンは、会社というジョッキーに鞭打たれながら走る競走馬みたいなものである(やさぐれ気味)。人はもちろん、馬にも効果が期待されるアミノ酸を摂取して、この寒くて厳しい冬場のレースに勝利して欲しい。
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冬場ののどケアは音大発ののど飴で

冬は空気が乾燥するため、のどがイガイガする人も多いように思う。そんな人にぜひ手にとって欲しいのが、「ボイスケアのど飴」だ。この飴は、カンロ(株)と国立音楽大学の声楽を学ぶ学生と教員によって共同開発された。

声楽を専門にする学生といえば、のどのケアを常に考える、のど飴のヘビーユーザーである。そんな学生たちの意見を取り入れ、トライ&エラーを繰り返し、なんと3年もかけてこの飴は開発されたのである。

さてどんな味なのかとなめてみたところ、甘さのなかにハーブの苦みが感じられる。すーっとする感覚が、いかにものどによさそうだ。甘さやおいしさだけを考えた“飴ちゃん”じゃなく、のどを第一に考えた、これぞ“のど飴”というストイックな味である。

のどを酷使する人たちから、お墨付きをもらった飴だ。営業マンや店舗スタッフ、おしゃべりなおばさまなど、日頃からたくさん声を出す人に、冬場ののどケアアイテムとしてぜひ活用してもらいたい。

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今回は“冬場におすすめしたい”をテーマに、大学発商品を3つピックアップしてみたが、いかがだっただろうか。これから寒い日が、もうしばらく続きそうである。おいしいうえに、体調管理にも役立つ、これら優れものたちをうまく活用して、ぜひ今年の冬を乗り切って欲しい。

首都圏の大学を楽しみ尽くそう!! ほとゼロプロデュースの雑誌『楽しい大学に出会う本』発売!!

2017年8月2日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

「ほとんど0円大学」が企画・制作に全面的に関わったエルマガジンMOOK『関西の大学を楽しむ本』が出版されて、およそ1年2ヵ月。またもや、「ほとんど0円大学」全面プロデュースの雑誌が発売されました! その名も、ぴあMOOK『楽しい大学に出会う本』! ! 本誌が2017年7月28日(金)に発売されたことを記念して、その魅力を少しだけご紹介します!!

90件を超す大学の魅力的な取り組みを総力特集!!

『関西の大学を楽しむ本』は関西圏の大学を対象にしていましたが、『楽しい大学に出会う本』では首都圏の大学が対象です。掲載大学数は48校、掲載取り組みはなんと93件!! 関西圏と首都圏、2つのエリアの雑誌をつくって改めて感じたのですが、首都圏は大学と大学との距離が近いですね。ちょっと工夫すれば、1日で数校に遊びに出かけられるし、オリジナル大学ツアーも簡単につくれそうです。そういう意味では、より活用しやすい環境にあるのかな、という印象を受けました。

 

では、肝心な本誌の中身についてですが、本誌は「大学を楽しみ尽くす」「大学で美食に出会う」「大学イベントに出かけよう」「おとなが楽しむ大学の学び」の4カテゴリーで、大学の楽しみ方を伝えています。最もボリュームが大きい「大学を楽しみ尽くす」では、実物大のマクロスや重要文化財に指定された巨大鉄船、キャンパス内を走行する蒸気機関車など、こんなものが大学に!? と思わず驚く衝撃的なスポットを大紹介します。

 

続く「大学で美食に出会う」では、イチオシの大学レストランと研究が生んだ食品を特集。こだわりの甘味処や人気雑誌がプロデュースしたレストランなど、良い意味で大学らしくないグルメスポットは必見です。またアカデミックなエッセンスが入った食品は、自分で楽しむのはもちろん、お土産として持っていくと話のネタにもなるので、二重の意味で“美味しい”ものばかりでした。

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有名女優や夜景評論家も大学の楽しみ方を語る!!

本誌後半では「大学イベントに出かけよう」と「おとなが楽しむ大学の学び」の2カテゴリーを掲載。「大学イベント~」では、大学祭はじめ、大学のエンタメ系イベントを紹介。「おとなが楽しむ~」では、まさに大学活用の王道、学びをテーマにした取り組みを取り上げています。

 

学び、というと大変でそれなりの覚悟がないとできないイメージがあります。でも実はそんなことはなく、手軽にできるものもたくさんあります。坐禅や民族楽器を体験したり、サイエンスカフェで科学者と語らったり、大学の学びをカジュアルに楽しむ。これからの大学のあり方を感じさせる魅力的な取り組みを、ぜひ知ってください。

 

他にも、社会人進学経験のある女優・菊池桃子さんのロングインタビューや、夜景評論家・丸々もとおさんによる大学イルミネーション・レビュー。わたしも大学活用法のコラムを書かせてもらっています。まだまだ本誌の見どころは書き切れていませんが、続きはぜひ書店で。本誌を読めば、大学の見方が絶対に変わると思います!!
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大学×地域の本気を見た「いばらき×立命館DAY」体験レポート

2017年6月6日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

さわやかな風、真っ青な空、こんな気持ちのいい日曜日に、家でゴロゴロしていてはお天道さまに申し訳ない。そんなことを思ってか、思わないでか、行ってきました! 立命館大学と大阪府茨木市による地域交流フェスタ「出会う、つながる、つくりだす いばらき×立命館DAY 2017」!当日の来場者はなんと約10,000人!大学祭とはまた違う、大学と地域が手を取り合ったイベントの底力を垣間見た。

JR茨木駅から歩くこと約5分。まちとキャンパスの間に塀が存在しない、立命館大学の「大阪いばらきキャンパス」が今回の舞台である。入り口こそ人がまばらだったが、会場付近に行くと人、人、人。親子連れを中心に、たくさんの人で埋め尽くされていた。

会場のメインストリートには人がいっぱい

会場のメインストリートには人がいっぱい


会場でひときわ目についたのは、巨大な茨木童子のバルーンハウスだ。ちなみに、茨木童子は茨木生まれの鬼で、かの有名な日本妖怪界のプリンス(?)、酒呑童子の第一の子分とのこと。とはいえバルーンハウスには、鬼の怖さなんてなく、かわいい姿で子どもたちに大人気。長蛇の列がつくられていた。

遠くからでも目につく、インパクト大の茨木童子

遠くからでも目につく、インパクト大の茨木童子


そして、茨木童子を横目にずんずん進むと、メインステージである空のプラザと、さまざまな飲食店のブースが並ぶ会場の中心地。大学祭の場合、飲食店のブースは学生たちが運営するのだが、今回は地域交流フェスタ。立命館が関係するブースともに、茨木市界隈の人気店が多数出店しており、どれも美味しそうで目移りしてしまう。

私が食べたのは「茨木バニラホップソフト」という、開発に立命館も関わった茨木のご当地ソフトクリーム。ホップの苦みとさわやかさがほのかに感じられる味は、今日のような暑い日にピッタリ。こいつはちょっとした逸品である。

さわやかな味わいがクセになる「茨木バニラホップソフト」

さわやかな味わいがクセになる「茨木バニラホップソフト」


そしてソフトクリームを食べていたら、空のプラザから音楽が。あわてて行ってみると、学生たちの「よさこい」がはじまっていた。プログラムを見ると、ここではよさこいだけでなく、マジック、社交ダンス、チンドン屋などなど。一日中さまざまなプログラムが開催されているとのこと。ちなみに、学生たちのパフォーマンスは、キレッキレで見応え◎ 続くアカペラサークルのコンサートも非常によく、ひさびさに聴く、槇原敬之の『どんなときも』にしみじみしてしまった。

よさこいサークル「京炎そでふれ! おどりっつ」

よさこいサークル「京炎そでふれ! おどりっつ」

アカペラサークル「Empire Cast」

アカペラサークル「Empire Cast」


このイベントのおもしろいのは、学生による屋台やパフォーマンスといった、いわゆる大学祭的な催しだけではないところである。茨木市による相談ブースをはじめ、市民向けの啓発活動を行う展示や講座であったり、ソフトバンクや無印良品など大阪いばらきキャンパス付近に店舗をもつ企業や市民団体のブースもあったりする。これらブースが集まるイベントホールで、ひときわ目についたのは、立命館大学の鉄道研究会によるプラレールの大規模展示だ。食い入るように、子どもたちが見ていたのが印象的だった。

鉄道研究会のプラレールは、子どもたちに大人気

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このほかにも立命館大学クラブチームによるスポーツ体験教室や、プロの芸人さんによるお笑いライブ、古本市などなど。見どころをあげればキリがない。大学らしさが存分に出ているものの、大学だけではできないプログラムの幅広さが、本当に魅力的だった。そして、何よりもよかったのは、たくさんの子どもたちの笑顔である。こんなにたくさんの子どもがいて、楽しそうにしている大学のキャンパスというのは、今までお目にかかったことがない。ちょっと大げさかもしれないが、大学の“これから”を感じさせるような、そんなイベントだった。

今年のイベントは終わってしまったが、毎年5月に開催しているので、興味がある人はぜひ来年、足を運んでみてほしい。ほとゼロのイベントカレンダーでも告知するはずなので、こっちもチェックだ!

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