ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

食欲の秋を満喫するなら学食へ!

2016年10月19日 / まとめ, トピック

みなさん、秋の味覚楽しんでいますか? 
食欲が増すこの季節、普段なかなか行かない学食でグルメを楽しんでみませんか?

ほとゼロでは大学に潜むグルメをご紹介しています。本日はそれらをまとめてご紹介!
食欲の秋を学食で楽しみましょう~!


 まずはこちら! 言わずと知れた京都大学「総長カレー」。大学カレーを語るならマストな一品です。

ダミー画像 200x150大学カレー界のレジェンド、京都大学の「総長カレー」を食べに行った
大学から生まれた人気商品というと、近大マグロを頭に思い浮かべる人が多いと思う。たしかにこのマグロはスゴイ。スゴイのだが、このマグロが話題になるより前から、大学発商品の代名詞として扱われていた人気商品があるのを、皆さんはご存知だろうか…… 記事本文はこちら


 


続いては関西外大から「アマーク・ド・パラディICC」のご紹介。まるで海外にいるかのような気分が味わえるお店です。

ダミー画像 200x150これは使える!関西外大のイタリアン「アマーク・ド・パラディICC」
京阪枚方市駅からバスに揺られること、ほんの数分。「ここは外国?」と錯覚するほどインターナショナルな関西外国語大学。充実した留学プログラムで知られ、年間約2,200人の学生を海外に送り出しています。また、海外からは年間約740人の留学生を……記事本文はこちら


 


お次は、同志社大学の「french restaurant will」。とても学内とは思えない極上のフレンチを楽しめるお店です。

ダミー画像 200x150荘厳な空間で極上フレンチ。 同志社大学「french restaurant  will」
京都御所が鎮座する「都の中心」に創立して140余年の同志社大学。重要文化財に指定されている草創期からの赤れんがの学舎、日本建築史にその名を刻むウイリアム・メレル・ヴォーリズが手がけた建物が現存。近年建てられた学舎もれんが造りにこだわり、歴史と伝統を物語る建造物と美しく調和しています……記事本文はこちら


 


京大から2つめのレストラン「ラ・トゥール」をご紹介。こちらは当初から客人の方を対象に作られているレストランなんです!

ダミー画像 200x150京大のシンボル、時計台のレストラン。京都大学「ラ・トゥール」
広大な京都大学吉田キャンパスの中心にそびえ立つ時計台記念館。1925年建造という歴史を感じさせる佇まいで、今も昔もシンボリックな存在として親しまれている。この館内一角に、京大創立100周年を迎えた2003年、国内外からの賓客をもてなす場としてオープンしたのが、フレンチレストラン「ラ・トゥール」だ……記事本文はこちら


 


お肉が食べたい!! なんて時も学食へどうぞ! 美味しくってリーズナブルなステーキが味わえるのが「三田屋本店 関学店」です。

ダミー画像 200x150安くて美味いステーキが大人気。関西学院大学「三田屋本店 関学店」
兵庫県三田市に本店を構え、全国に15の支店を展開するステーキハウス「三田屋本店」。その中で唯一、大学のキャンパス内に出店しているとあって密かに話題を集めているのが、「三田屋本店 関学店」だ。地図が無いと迷いそうなぐらい、広大な敷地にさまざまな建物が乱立する、関西学院大学西宮上ケ原キャンパス……記事本文はこちら


 


海を眺めながらホテルメイドのランチ…。そんな優雅なひとときを過ごせるのが神戸学院大学「レストラン ジョリポー」です!

ダミー画像 200x150神戸港の絶景&ホテルメイドの美食が共演。神戸学院大学「レストラン ジョリポー」
神戸港内に浮かぶ人工島「ポートアイランド」に2007年に開設された、神戸学院大学ポートアイランドキャンパス。広大な敷地に、赤レンガで装われた美しい校舎や天然芝がキャンパスグリーンとしてゆったり広がっており、開放感抜群の空間だ……記事本文はこちら


 


最後はこちら! 立命館大学いばらきキャンパスの「Camping Kitchen」! お子さま連れでも安心のお店です!

ダミー画像 200x150キャンパスで楽しむ山リゾート。立命館大学「Camping Kitchen」
石のレンガを張った壁には店名を張り付けた大きなフライパンの看板におしゃれな黒板メニュー。本日のメニューが載っているのは薪の入ったかまど!?こんな、山リゾート感満載のレストランが、立命館大学大阪いばらきキャンパス内にある「キャンピング・キッチン」だ……記事本文はこちら




いかがでしたか?
ぜひ、秋の食欲を学食で満たしてみてください!

自分の描いた絵が動き出す!? 大阪芸大「お絵かきピープル」

2016年10月12日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

最先端技術を駆使したユニークなアート作品をつくり出すことで注目を集めるチームラボ。そんな彼らの作品を楽しめる常設展示「お絵かきピープル」が大阪芸術大学に設置されたと聞き、行ってきました!

「お絵かきピープル」は、2017年に大阪芸術大学にアートサイエンス学科の開設に先がけ、アートサイエンスを体験しようと設置されたようです。
展示されているのは、スクールバスを降りてすぐのところにある11号館。
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建物の外から見ると窓は真っ黒なシールで覆われ、中の様子は全く分かりません。一体中はどのようになっているのでしょう! わくわくしますね!

建物の中に入ってみると黒幕に包まれたスペースが! 中をのぞいてみると…
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こんな感じになってました! 壁一面の大きなスクリーンで来場者の皆さんの作品(=ピープル)が動き回っています。
どのようにしてピープルを動かすのでしょうか。

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まずは「男の子」「女の子」のベースが描かれた紙の中から好きな物をチョイス!

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次に自由に色を塗ったり、絵を描いたりしていきます。クレヨンや色鉛筆、ポスカなどが用意されているので、表現の幅が広がりそう!

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完成した作品をここでスキャンすると…

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このように立体的になって動き出します!
走ったり座ったり、自分の描いたピープルが動いているものを見るとなんともいえない嬉しさを感じます。ピープルに触れてみると、びっくりしたピープルがいろいろなリアクションをとってくれます。

ピープルたちが集まって踊り出すことも! かわいい!

ピープルたちが集まって踊り出すことも! かわいい!

 

実際に動いている様子はチームラボのWebページで見ることもできます。
http://www.team-lab.net/jp/works/sketchpeople/

会場内は暗く、落ち着いた雰囲気。じっとスクリーンの中のピープルたちを見つめているとなんだか癒されます。
みなさんもぜひ、オリジナルピープルを作成して楽しんでください! 子どもはもちろん、大人も十分に楽しめますよ♪

身近だけど不思議がいっぱい…ネコの動きを科学的に解明!@京都大学(後編)

2016年8月19日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

 

ネコは物理法則を理解している、というなんとも驚きの発表。前編(こちら)では今回発表された論文の筆者である高木佐保さん(京都大学 文学研究科 博士課程)に、今回の発表にたどりつくまでの過程となった実験1、2の中身をお聞きしてきました。

後編では論文の中心となった実験3「ネコに手品をみせる」の中身と、今後の展望を語っていただきました。

ネコに手品を披露…?

実験1、2と条件の異なる筒でネコの反応を確かめてきた高木さん。
次なる実験3では、ネコに手品を披露。一体どういうことなのでしょうか。

実験3
実験3では27体のイエネコが被験体に。この実験のために作られた装置を利用して、実験を進めていきます。

実際に使用された装置。写真左が上段、右が下段になっています

実際に使用された装置。写真左が上段、右が下段になっています

こちらの装置、元はお弁当箱だったそうです。お弁当箱を実験装置にしてしまう発想がすごいですよね…。

お弁当箱の下段の側部にはスイッチがついており、それを押すと電流が流れ、上段と下段の真ん中についている電磁石が磁力を帯びるという仕組み。
スイッチが入っている間は上段のステンレス板にパチンコ玉が磁力でひっついており、装置を振っても音がならず、ひっくり返しても落ちてくることがありません。スイッチが切れている間は、音が鳴りひっくり返せばパチンコ玉は落ちてきます。

実験は以下の手順を踏んで行っていきます。
①箱を振る。
②箱をひっくり返す。
③箱を置き、ネコに自由に探索行動できる時間を与える。

箱を振る・ひっくり返す際の条件は全部で4つ。
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赤字の「ありなし条件」「なしあり条件」が期待違反(期待する行動とは違うことが起きること=手品)の条件となります。

さて、ネコはどのような反応を見せたのでしょうか。

実験に協力中のネコ。じっと見ていますね

実験に協力中のネコ。じっと見ていますね


結果は以下となりました。
3結果

実験1、2で疑問となったvisual preference(音と動きが同期したものを見つめてしまう反射のような行動)については、箱をひっくり返したときに反応があったことから、音と動きの同期性にだけ反応しているわけではないとし、visual preferenceでは説明できないとの結果に。

また、ありあり条件とありなし条件では有意差が見られませんでしたが、ありなし条件・なしあり条件の間では有意差が生じています。このことからネコは音と動きの同期性から物体(パチンコ玉)の存在と落下を予測していたと考えることができます。


つまり! ネコは
・「振ると音がする」→「なにかある!」
・「振って音がしたものをひっくりかえす」→「なにか落ちてくる!」
と考えることができているというわけです。

ネコの行動や心理にはまだまだ未解明な部分がたくさんあり、研究が始まったのはごく最近だといいます。それはイヌとは違い、エサが報酬として働きにくいこと、またデリケートな部分があるため普段の環境と異なる場では実験にならないため、実験を行うこと自体が難しいからとされています。
そんな中で、今回の発表は世界中に衝撃を与えました。高木さんのもとには世界各国から取材の依頼が来たそうです。

「ネコはなにか考えているな、と感じたところからスタートし、今回このような検証結果をだすことができました。今後はネコがどこまで聴覚から得る情報で理解しているのか、例えば物質の素材や重さ、人物を特定しているのか、そんなことを研究してつきとめていきたいです。」
高木さんは、今後の展望をそう語ってくれました。

身近なネコの新たな一面が分かる日がもうすぐ来るかもしれません。ネコ好きとしては、とっても楽しみですね。

ご協力くださる飼い主さま募集!

今回のような研究にご協力くださるイヌ、ネコの飼い主さまを募集しております。
dog_cat_nakayoshi

・イヌの募集条件
京都大学の研究施設まで来てくださる方
・ネコの募集条件
ご自宅での実験にご協力いただける方(関西近郊)

・お問い合わせ先
京都大学院 文学研究科
心理学教室 藤田研究室 CAMP-NYAN
campnyan@gmail.com

身近だけど不思議がいっぱい…ネコの動きを科学的に解明!@京都大学(前編)

2016年8月17日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

 

先日、なんとなくケイタイの画面を眺めているときに飛び込んできたニュース「ネコは物理法則を理解していると京都大学の研究者が発表」。
ネコが物理法則…? 一体どういうことなのか、今回論文を発表された高木佐保さん(京都大学大学院 文学研究科 博士課程)に直接お伺いしてきました。

「ネコ」の研究スタートのきっかけ

高木さんは大学で心理学を学んでおり、外部講師として授業を行っていた藤田和生教授(京都大学 文学研究科)の解剖など動物の身体を傷つけることなく、動物の心や行動を解明する研究方法に感銘を受け、京都大学大学院へと進学。これまでネコ以外にラットやデグーといった動物の心理学の研究をしてこられました。

今回ネコの行動を研究するきっかけとなったのは、高木さんがネコと暮らすなかで「なにかを思慮深く考え、行動している」と感じたから。このネコがいなければ今回の発見はうまれなかったのかもしれません。ネコさん、お手柄ですね!

高木佐保さん:京都大学 文学研究課 博士課程

高木佐保さん:京都大学 文学研究課 博士課程

 

高木さんは、今回発表した「ネコは物理法則を理解している」という論文をまとめるにあたり、まずは各国のネコの因果理解に関する研究データを集めはじめました。ですが、ほとんどデータがなく、唯一あったのが「ひもひき課題」とよばれるものでした。

「ひもひき課題」とは?
ひもの先に報酬となるおやつなどを取り付け、ひもをひっぱると報酬が貰えることを覚えさせます(画像でいうA)。その後、「ひもをのばす(B)」「報酬のあるもの、ないものの2本を並べる(C)」「報酬のあるもの、ないものの2本を交差させる(D)」など、条件を難しくしていき、ひもと報酬の因果関係を理解しているのか、という実験です。
結果、ネコが報酬を得ることに成功したのはA・Bの条件下でした。
ひもひき課題


ひもひき課題は主に視覚を用いた実験であるため、ネコの生態学的の特性上、妥当性を欠いた可能性がありました。これまでの研究で、ネコは待ち伏せ型の捕食者であることが知られており、草陰に潜み、獲物の位置を音で判別することができるのが得意とされています(Turner and Meister,1988)。

そこで今回は、ネコが得意とされる「聴覚」を使った実験を行うことにしたのです。

ネコの聴覚を使い、「物理法則」を理解しているかを確かめる

高木さんは、今回の論文を書くにあたり、3種類の実験をしました。
そのどれもがネコの聴覚を使ったもので、実験を行うことで生まれる疑問を徐々に解明していきました。

実験1
実験1は、ネコは聴覚を使い物体の存在の有無を理解しているのかを確かめる実験です。

被験体はイエネコ38匹。
使用されたのは「不透明の筒」「ワイヤレススピーカー」「木製の物体」の三つ。
実験手順はとてもシンプルで、筒の中に木の物体を入れたものを振り、ガラガラと音を鳴らすというもの。

そして条件は3つ。
・物体条件=筒を振る動きと、物体の音が一致している。
・ホワイトノイズ条件=筒を振る動きと、物体の音が一致していない。
・空箱条件=筒には何も入っておらず、振っても音がしない。
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一体ネコはどのような反応を見せるのでしょうか。
「このとき立てた予測は、『物体条件>ホワイトノイズ条件≒空箱条件』というもの。筒を振る動きと同期している音から物体の存在を推測し、物体がないと考えられるホワイトノイズ条件と空箱条件には注意をひかないだろうと考えていました」と高木さん。

しかし、結果は空箱条件より物体条件・ホワイトノイズ条件でネコの注意をひくことができたものの、物体条件とホワイトノイズ条件に対するネコの反応に有意差は見られないというものでした。

すると、ネコはただ単に音が好きだから反応しているだけで、物理法則は理解していないのでは…? という疑問が生まれます。そしてこの結果から実験2が行われました。

実験2
実験2は、実験1で生まれた疑問「物体の音を好んでいたのでは?」を解決することが目的です。被験体は32匹のイエネコです。

実験は、以下の手順で行われました。
①筒を振る。
②筒を置き、ネコに自由に探索行動時間を与える。

筒を振る条件は3つです。
・同期条件=筒を振る動きと、物体の音が一致している。
・非同期条件=筒を振る動きと、物体の音が一致していない。
・空箱条件=筒には何も入っておらず、振っても音がしない。
(※同期条件と非同期条件の音は同じです。筒を振る動きが異なります。)
ŽÀŒ±2

この実験の結果はというと、筒を振っている間、自由探索時間ともに同期条件と非同期条件、同期条件と空箱条件の間に有意差が!

実験2について高木さんに伺うと「実験2ではスピーカーから“ガラガラ”と音を流しました。音に合わせて箱を振る練習が結構難しかったです(笑)。この実験で改めてネコが物理法則を理解しているのでは? という予測が真実味をおびてきたなと思いましたね。
もし、実験1の『音が好きだから反応していただけ』という可能性が真実だとすると同期条件非同期条件ともにネコの注意をひくはずですが、結果はそれとは異なりました。そこでネコは箱の中になにかが『ある』『ない』ということを音から判断している可能性を改めて感じました」

ただし、visual preference(音と動きが同期したものを見つめてしまう反射のような行動)ではないかとの疑問があったため、これを検証すべく、乳幼児に用いられることの多い期待違反法(期待する行動とは違うものを見せる実験方法)を用いた実験として、実験3ではネコに手品のような、物理法則に反する事象をみせて反応を調べました。

発表された論文のメインとなる、実験3の内容は後編にてご紹介いたします!
後編はこちら!

ご協力くださる飼い主さま募集!

今回のような研究にご協力くださるイヌ、ネコの飼い主さまを募集しております。
dog_cat_nakayoshi

・イヌの募集条件
京都大学の研究施設まで来てくださる方
・ネコの募集条件
ご自宅での実験にご協力いただける方(関西近郊)

・お問い合わせ先
京都大学院 文学研究科
心理学教室 藤田研究室 CAMP-NYAN
campnyan@gmail.com

学生が作る本格雑誌『我樂多文庫』@大阪芸術大学①

2016年7月4日 / 大学の地域貢献

大阪・河南町にキャンパスを構える大阪芸術大学は、14学科と多くの学科を持つ総合芸術大学だ。今回は文芸学科で出版・編集を専門とする長谷川ゼミにお邪魔した。そこで行われているのは『我樂多文庫』という雑誌の制作。一体どのようにして制作は進められているのだろうか。今回ほとゼロでは、『我樂多文庫 第九集』が発刊されるまでを追いかけて取材させてもらうことになった。

『我樂多文庫』とは

『我樂多文庫』とは年に1冊、2~3月に出版される雑誌で、これまでに8冊刊行されている。毎年、ゼミ生(4回生を中心に1~3回生までの希望者が集まっている)によってテーマが決められ、企画、制作が進められる。「男子力」「文芸学科大解剖」「あべ天―芸大生の阿倍野・天王寺―」といったテーマが過去には取り上げられてきた。そんなゼミをまとめているのが長谷川 郁夫教授(文芸学科 学科長)だ。

「基本的には学生が主体となって動く。私は、学生たちが道に迷いそうな時に助け船を出しているだけ」と長谷川先生。

長谷川 郁夫教授(文芸学科 学科長)

長谷川 郁夫教授(文芸学科 学科長)


何を隠そう、わたしもこのゼミの出身なのだが、確かに長谷川先生は学生が立ち止まってしまった時に助言をくれ、その助言をもとに学生が動き出すというパターンでゼミが回っていた。

今年の『我樂多文庫』はどんなテーマで制作をすすめているのか伺うと「十八歳選挙権」だという。
「それってすごく大変なんじゃないですか?」と、長谷川先生に聞くと「大変だから学生には辞めろって言ったんだけどね(笑)。学生たちが、みんなすごいやる気で、『じゃあやってみな』ってスタートしたんだ」

私がお邪魔した日にはすでに企画がほぼ固まっていて、取材に出ている班もあった。
テーマである「十八歳選挙権」を軸に、若者が抱える問題である「ブラックバイト」「ヘイトスピーチ」「マイナンバー」「奨学金破産」などについて誌面づくりを進めているそう。
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取材を控え、真剣に資料を読む学生たち。彼女たちは取材で広島まで行くんだとか


面倒くさくてついつい逃げたくなってしまうような問題に、真正面から向かっていく学生たち。それに対して本気で檄を飛ばす長谷川先生。
「そういえば、ここは教室じゃなくて編集室だったなあ」とゼミで学んでいた頃を思い出した。

小さな教室から、大きな社会に向けて発信

コミュニケーションツールとしてSNSが発達し、誰もが簡単に情報を発信できるこの時代。だが、SNSには大きく欠けているものがあると思う。
“読者”を意識すること。
私がこのゼミで得た最も大きなものは、この意識だった。簡単に情報を発信できるからこそ、読者の存在をついつい見落としてしまいがちになる。実際、受け取り手がどう感じるのかを二の次、三の次にしてる文章を見かけることも少なくない。“読者”の存在、当たり前のことを理解しようにも、これがなかなか難しい。

そんな中で、長谷川ゼミではどのように書けば分かりやすいのか、どうすれば伝わるのかを第一に考え、制作活動を進める。
今回のような難しいテーマならば尚更、“読者”を意識しないとやりにくいだろうな、と思いながら、学生の様子を見ているとその辺りは重々承知のよう。まずは自分たちが取材内容を徹底的に理解しないと、と入念な下調べを重ねていた。

情報収集の方法は図書館、インターネットなど。さまざまなものを駆使する

情報収集の方法は図書館、インターネットなど。さまざまなものを駆使する


大阪芸術大学は都会からは離れ、交通の便が良いとは決して言えないところに位置している。そんな山間の小さな教室で行われている編集会議が生み出す『我樂多文庫』。「18歳選挙権」という大きなテーマを掲げた第九集は、制作を務める学生にとって大事な一冊になることはもちろん、社会にとっても若者を知る貴重な一冊になることを願っている。

教室から見える景色。都会から離れ、緑に囲まれていることがよく分かる

教室から見える景色。都会から離れ、緑に囲まれていることがよく分かる


次回の「学生が作る本格雑誌『我樂多文庫』@大阪芸術大学」は10月頃に取材敢行予定! (どれほど制作が進んでいるのか、私も楽しみである)

国境を越えた学者のこころ「メタセコイア物語」(後編)

2016年6月22日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

前編(国境を越えた学者のこころ「メタセコイア物語」(前編))ではメタセコイア発見に隠された壮大な物語をご紹介いたしました。後編の今回は発見されたメタセコイアがどのようにして普及していったのかをお話します。
一時は絶滅していたと考えられ「生きている化石」と呼ばれるメタセコイアが全国各地で植えられている謎を解明します。

メタセコイアの普及

大阪市立大学杉本キャンパスのメタセコイア

大阪市立大学杉本キャンパスのメタセコイア

田中記念館の側に設置されている看板は「メタセコイアと文化創造」の著者である岡野 浩氏と塚本 実氏が執筆

田中記念館の側に設置されている看板は「メタセコイアと文化創造」の著者である岡野 浩氏と塚腰 実氏が執筆


これが「生きている化石」と呼ばれるメタセコイアです。成長するととても高くなり、円錐型の樹形部分が美しいメタセコイア。秋には紅葉を楽しむこともできます。では、なぜこんなにもたくさんのメタセコイアが植えられているのでしょうか。

メタセコイアが発見された際、胡博士はアメリカの植物学者であるチェイニー氏に調査の結果を報告し、そのときにメタセコイアの種子も送っていました。それをはじまりに、世界の研究者にメタセコイアが広まっていったのです。日本に最初に送られてきた苗木は、昭和天皇に贈られたものだそうで、今もまだ皇居で育成されています。
チェイニー氏は中国の原生地以外でもメタセコイアの保存を考え「中国に似た気候の日本でもメタセコイアの保存組織をつくって苗木を育成してほしい」と三木博士に申し入れをしました。三木博士はその申し入れに応えるべく、メタセコイア保存会を設立し、1950年に100本の苗木を受け取りました。(メタセコイア保存会の事務局は、大阪市立大学理学部附属植物園にありました。)

その100本のうちの1本が大阪府交野市にある大阪市立大学理学部附属植物園で、今も育成されています。

大阪府立大学理学部附属植物園に残る100本のうちの1本

大阪市立大学理学部附属植物園に残る100本のうちの1本

看板を目印にみなさんも探してみてください

看板を目印にみなさんも探してみてください

 

メタセコイア保存会を通し、全国各地へ領布されたメタセコイアは各地で挿し木などで増え続けていきました。
また、街路樹ではなく、学校の校庭にメタセコイアが植えられているのを見たことがある! という方も多いかもしれません。それにもちゃんと理由があります。1952年から1954年にかけて、大阪書籍が教科書を採択した学校にメタセコイアの苗木を寄贈する…という取組みを行ったからです。その数、なんと11,396本分!(当時のメタセコイア保存会の会計簿より推定された数です。この数は教科書採択数以外の数も含まれています。)

こうして普及を続けたメタセコイアは現在日本各地で確認できるようになりました。先ほど100本の内の1本が残る場所としてご紹介した大阪市立大学理学部附属植物園で、美しいメタセコイアの並木を見ることができます。四季に応じて美しい景色を楽しませてくれるメタセコイア。ぜひご自身の目でご覧になってください。

春のメタセコイア

春のメタセコイア

夏のメタセコイア

夏のメタセコイア



秋のメタセコイア

秋のメタセコイア

冬のメタセコイア

冬のメタセコイア

メタセコイアだけじゃない!大阪市立大学理学部附属植物園の魅力

今回ご協力いただいた大阪市立大学理学部附属植物園はメタセコイア以外にも見所が満載です! 最後にその一部をご紹介しましょう。

・樹林型
☆樹林型
まるで山の中を歩いているような気分になる樹林型エリア。日本の代表的な11種類の森の形(樹林型)を再現展示しています。そのことを意識しながら歩くと、より一層楽しめます。

・日本産樹木見本園
☆見本園
園内の坂を利用し、垂直分布に沿って樹林が植えられています。常緑樹が多く、冬でも緑が楽しめますよ!

・大クスノキ
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大阪市立大学理学部附属植物園のシンボルツリーとなっている大きなクスノキ。なんと推定樹齢は100年! 真夏でも木陰が涼しいので休憩スポットとしていかがでしょうか。

・ヌマスギ
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大阪市立大学理学部附属植物園の飯野園長がラッキースポットとして推しているのがこちらのヌマスギ。ぜひ探してみてください。

この他にも桜やツツジ、ユリノキなどさまざまな植物を観察することができます。季節ごとに見頃な植物をゆっくり見れるよう、園内に設置されているベンチの場所が変わるんだそう。また運が良ければリスを見かけることもあるのだとか。
お弁当などの持ち込みも可能なので、ご家族でのおでかけや、デートにもいいですよ~!

国境を越えた学者のこころ「メタセコイア物語」(前編)

2016年6月20日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

(画像:大阪市立大学植物園(交野市私市)のメタセコイア並木)

みなさん「冬のソナタ」という韓流ドラマを覚えていますか? ヨン様が出演し、大ブームとなったあのドラマです。冬ソナの名場面の並木道…といえばピンとくるかたもいらっしゃるかもしれません。その並木道に植えられているのが、今回の主役「メタセコイア」です。

「メタセコイアの過去にはドラマチックなお話があるんです!」そう教えてくださったのは大阪市立大学理学部附属植物園職員の佐々木さん。今回は佐々木さんのお話と、『メタセコイアと文化創造』(著者:岡野 浩・塚腰 実、大阪公立大学共同出版会、2015年)を基に、メタセコイアの知られざる物語をお教えしちゃいます。

メタセコイアが発見されるまで

メタセコイア物語の鍵をにぎるのは三木 茂博士(大阪市立大学理学部附属植物園3代目園長)。三木博士が化石の調査をはじめたのは1931年のこと。

当時、三木博士は水草を中心とした植物の形態や分類を研究していました。では、なぜメタセコイアを発見するに至ったのでしょうか。

三木博士は、地層の中に含まれる植物化石を見て、化石を調べれば、日本の植物の歴史を知ることができると考え、植物化石の研究を始めました。三木博士が研究した化石は、圧縮化石と呼ばれる植物の組織が残っている化石で、現在の植物を見る目で植物化石を研究しました。
そして化石を調査していくうちに、それまで「セコイア」や「ヌマスギ」とされていた化石の中に、異なる化石を発見し、絶滅した植物として「メタセコイアと名付けました。
1941年に、三木博士はこの研究をまとめた論文を執筆し、世界各国の研究者に送付した後、戦地に赴任しました。

その4年後の1945年。中国湖北省で見つかっていた樹木が、それまで知られていない落葉針葉樹と言うことが分かり、採取された標本が、国立中央大学森林学部の鄭博士(Cheng)と胡博士(Hu)の元へ送られました。調査の結果、胡博士たちはこの植物を三木博士が発見していた「メタセコイア」だと発表しました(1948年 Hu and Cheng 1948)。絶滅したと思われていた植物が現存していた、と発表されたのです。しかし、発見された中国湖北省に住む現地の人々は、何百年も前から水杉(スイサー)と名付け、祠の中心部にあるご神木として大切に奉っていました。

何百年も前からご神木として奉られていた木は、ダーウィンが唱えた「生きた化石※」だった…。しかし、この話の裏にはさらにドラマックな物語が隠れていたんです。

※「生きた化石(生きている化石)」――“living fossil”という言葉を最初に使用したのはチャールズ・ダーウィン。「太古に繁栄していたものが、今は何らかの形で細々と生き残っている」「他では失われてしまった太古の特徴をいまだに保持している」といったことが「生きた化石」の特徴とされています。

謎が残る「生きている化石」

戦地から帰国した三木博士を待っていたのは、京都大学の地下倉庫に置かれていた論文の山。それは1941年に三木博士が戦地へ向かう前に世界各地へ送付したはずのものでした。戦争の影響を受け、交戦国に郵便が届けられていなかったのです。

つまりこの時点で、「メタセコイア」という存在は世界に普及していませんでした。世界に三木博士の研究結果が知られていなかった1945年、胡博士は未知の植物であった「メタセコイア」を自身が付けた学名で発表することも可能だったわけです。しかし、胡博士は「メタセコイア」の名前で論文を書き、世間に発表しました。

胡博士がなぜ三木博士が発表した「メタセコイア」の存在を知っていたのか。それは、日本の影響力が強かった中国には郵便が届けられていたからだと考えられていました。しかし、胡博士の息子である胡徳昆氏いわく、「1941年に胡博士が働いていた場所は日本から郵便が届く状況ではなかった」とのこと。どうして胡博士は三木博士が発見した「メタセコイア」の存在を知っていたのかを明らかにするため、三木博士や胡博士、そしてアメリカのチェイニー博士との関係を調査していく予定だそう。

戦争という世界が混沌した中で、胡博士は博士号を取得したハーバード大学のメリル博士の意見に反して三木博士の付した名前を学名とした…。そんな胡博士に武士道に通ずるものを感じるのは私だけではないはず。普段何気なく見ているメタセコイアの発見にはこんなにドラマチックな物語があったんですね。

こうした発見の歴史からメタセコイアは「生きている化石」と呼ばれるようになりました。後編ではメタセコイアの普及についてお話します。なぜ全国各地にメタセコイアは存在しているのか…その謎が解けます! お楽しみに!

後編はこちら!

大阪市立大学 杉本キャンパスのメタセコイア並木

大阪市立大学 杉本キャンパスのメタセコイア並木

実際触ってみないと分からない? 京大の難解パズル「イマジナリーキューブ3H=6」

2016年5月20日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

京都大学総合博物館にお邪魔した編集長が購入して帰ってきたもの…「イマジナリーキューブ3H=6」(著者:京都大学大学院人間・環境学研究科 立木秀樹教授)。
名前からして難しそうなこちらのパズル、実際にやってみました!

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箱を開けると中に入っていたのは冊子1部と、透明の箱が大小1つずつ。木製パーツがHとTの2種類あり、合計9個。

それでは、冊子に書かれている遊び方通りすすめていきたいと思います!

茶色いパーツがH、白いパーツがTです

茶色いパーツがH、白いパーツがTです


①HとTを小さな箱にいれてください
…簡単そう! 難しいのは名前だけなんだなあと油断していました。
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…あれ、これ入るんですか??
冊子をヒントに何回もチャレンジしていると…。
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入りました! パーツ一つを入れるだけで苦労しました。この先不安です。

②全てのピースを大きな箱に入れてください
「大きな箱は小さな箱の2倍の大きさなので、それぞれが小さな箱に入るのだから8個なら入ります。しかしパーツは全部で9個。どのようにすれば入るでしょう?」

2つめにして、いきなり難問が!
小さな箱の2倍の大きさなら8個入る…の時点でよく分かっていませんがとにかくチャレンジします!
IMG_3027

ああでもない、こうでもないとぼそぼそと呟きながら苦戦すること5分…。
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やっと下段ができました! でもまだあと5つもパーツが残っています…。

悪戦苦闘のち、なんとか全部のパーツを入れることができました!

上から見るとこんな感じ

上から見るとこんな感じ

横からみるとキレイに入っているのが分かります

横からみるとキレイに入っているのが分かります


キレイに入った! と嬉しくなり何枚も写真を撮ってしまいました。
しかし冊子には続きがあるので、進めます。

[休息]6個のTをぐるっと並べて、上にHを乗せましょう
こちらは休息とだけあって、簡単にできました。

お花みたいで可愛い!

お花みたいで可愛い!


この組み合わせは無限に続けることができるそう。
「できあがったものを何重にも重ねると、3次元空間全体をHとTで埋め尽くすことができます。」
…?? 頭にはてながたくさん浮かんでおりますが、次で最後なのでがんばります!

③ピースの間にすき間ができないように、全てのピースを大きな箱に入れてください
②に引き続き、大きな箱にピースをつめていくもの。
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少し要領をつかめたのか下段は、そんなに時間をかけず完成できました!
この調子で上段も! と意気込むもどうしても入りません…。

何回やっても最後の1つが飛び出る…

何回やっても最後の1つが飛び出る…


これは無理なのでは…、と諦めかけたその時。
ついに完成!!
IMG_3035 IMG_3038


②より隙間が少なく、キレイにはいりました!

解説書を読んでも理解できていない部分もありましたが、なんとか元通り箱につめることができました! 京大の知性に触れた感じがします。
また、木製パーツはさわり心地がよく、透明の箱に入っているとどこかオシャレなのでインテリアとしても楽しめそうです♪

みなさんも京都大学総合博物館に行かれた際はぜひチェックしてみてください。

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