寒い…。気がつけば冬である。これだけ寒いと一歩も外に出たくなくなるし、できれば一日中コタツのなかでゴロゴロとしていたい。うらやましいぞ、ネコ! にゃんこ! ……しかしである、そうはいっても、冬には冬のいいところもあるのである。ことに大学だと、キャンパスを色とりどりの電飾でかざりつけるイルミネーションだ。幻想的に光り輝くキャンパスは、この時期しか見られない大学の冬の風物詩。今回はこのキャンパスイルミネーションについて、いろいろと語らせていただこう。
キリスト教系大学を中心に開催。
そもそもイルミネーションのはじまりだが、これはマルティン・ルターが森の中に輝く星に感動して、木にたくさんのろうそくをくくりつけて再現しようとしたのがはじまりだとか。そんな経緯があるからか、キャンパスイルミネーションはキリスト教系の大学に多い。
有名どころを挙げるなら、上智大学、青山学院大学、同志社大学、関西学院大学など。ほら、すべてキリスト教系である。ただ、全部がキリスト教系かというと、そうでもない。キャンパスイルミネーションで最大規模と言われている35万個ものLEDでキャンパスを飾りつける徳島文理大学なんかは、裁縫専修学校が前身であり、キリスト教系大学ではない。また、学生たち主導のイルミネーションプロジェクト「埼玉イルミ」に取り組む、埼玉大学も国立大学である。近隣にキリスト教系大学がないからとあきらめず、まずはダメ元で探してみるのがいいだろう。
同志社大学今出川キャンパスのイルミネーション。高さ23メートルの巨大なヒマラヤスギがイルミネートされる。開催期間:2015年11月20日(金)~12月25日(金)
同志社大学京田辺キャンパスのイルミネーション。高さ15メートルのモミノキが神秘的に輝く。開催期間:2015年11月30日(月)~12月25日(金)
徳島文理大学の「文理ナリエ」。35万個のLEDでキャンパスが輝く姿は圧巻。開催期間:2015年12月3日(木)~2016年2月14日(日)
昼間とはひと味違う夜の大学。
では、このキャンパスイルミネーションだが、どこがどう面白いのだろう。まず挙げられるのは、普段とはまったく違うキャンパスの姿を楽しめること。そもそも夜のキャンパスを眺める機会はそうないうえ、各建物が光に包まれている様子はかなり美しい。とくに伝統校の場合、学内に文化財に指定されている歴史的建造物もあり、それらがライトアップされる姿はかなり見ものである。
なお、これらは一般の人にとってはもちろん、学生にとってもかなりグッとくるようだ。いつも見慣れているキャンパスの見慣れない姿に「感動した」という話をこれまで取材の中で何度も聞いたことがある。
ねらい目は点灯式とクリスマス。
キャンパスイルミネーションを実施する大学のなかには、その年最初に光を灯す日に点灯式を催す場合がある。点灯式は学生たちによるハンドベルの演奏や聖歌隊の合唱など、クリスマスをイメージさせるプログラムが多い。美しいイルミネーションと相まって、ちょっとステキな一夜になるので、時間が合うようならこの日をねらって行ってみるのがいいだろう。
ちなみに点灯式は11月中〜下旬くらいによく開催される。つまり、私がモタモタしているせいでコラムのアップが遅くなり、今年は大部分の点灯式が終わってしまったことになる。ほんと、これについては申し訳ない…。ただ、キリスト教系の大学の場合、点灯式とは別にクリスマスや、その直前にイベントを開催するところがあるので、興味のある人はお目当てのイルミネーションに行く前にチェックしておいて欲しい。
青山学院大学の「クリスマスツリー・点火祭」。美しいツリーをひと目見ようとたくさんの人がキャンパスに集まった。ツリーのライトアップは1月5日(火)まで行われる
音楽学部の学生たちによるコンサートで盛り上がる、徳島文理大学の「イルミネーション点灯式」
観光地じゃない、だからいい。
キャンパスイルミネーションについてアレコレと語ったが、最後に私が実際に足を運んでみて感じたことについて伝えておきたい。
キャンパスイルミネーションは確かに美しい。しかし、観光地が地域をあげて行うイルミネーション(ルミナリエなど)には規模も凝り方もどうしても負けてしまう。でも、私はそれでいい、それがいい、と思っている。
というのも、観光地のように、大勢の人が押し寄せるわけではないので、非常に時間の流れがゆっくりとしている。そののびやかで幻想的な空間こそが、キャンパスイルミネーションの一番の魅力のように思うからである。私自身、ぶらぶらとライトアップされたキャンパスを見て歩いて、こころが解きほぐれるような感覚をおぼえた。
繰り返すが、どこぞの有名な観光地ではないのだ。気合いを入れず、ゆるい気持ちで足を運んでみて欲しい。大学がもっと身近に感じられるだろうし、とてもいいリフレッシュになる。さぁ、今こそ勇気を出してコタツから抜け出す時である!