デジタル対応で幅広いニーズに応える広報誌。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第7回目となる今回は、九州大学の「九大広報」を取り上げます。
「九大広報」は九州を代表する最高学府である九州大学が発行する広報誌で、平成10年に創刊して以来、隔月刊で発行を重ね、最新号(平成28年1月刊)では101号を数えるまでに歴史を積み重ねています。
最新号101号
コンテンツはというと、卒業生にクローズアップしたインタビュー記事や、経済界の要人を交えた座談会など、比較的大学の広報誌によく見る内容。とはいえ、そこは九州国立大学の雄。招聘するゲストは第ですが、「九大広報」のもっとも特徴的な点は、「デジタル対応」なんです。
「九大広報」と検索すると真っ先に挙がる九州大学のオフィシャルサイト。そこには、最新号のコンテンツ紹介だけでなく、実際の誌面をWeb上でストレスなく読めるよう、「Flash版」「HTML5版」、そしてスマートフォンアプリである「Actibook」に対応した「アプリ版」の3種が用意されています。
オフィシャルサイト
FLASH版
HTML5版
定期的にブラウザのアップデートを行っている方であれば、おそらくPCへの対応はHTML5版のみで問題ないとは思いますが、FLASH版も提供しているのは、あまり頻繁にブラウザのアップデートを行わないご年配への配慮なのかもしれません。
表示に関してはHTML5版もFLASH版も、拡大縮小やページ送りにもスムーズに反応し、どちらもまったくストレスなく読み進められます。アプリ版もActibookという既存のプラットフォームを利用することで、安定感のある動作を確保しています。
本来大学広報誌とは、さまざまなステークホルダーに対して大学の活動や業績をよりよく知らしめるためのもの。紙媒体のみであれば、住所を把握できていれば直接送付することもできますが、そうでなければ資料請求されるくらいしか読んでもらう機会を獲得することはできません。ですが、大学業界に限らず、あらゆるサービスにおいて「資料請求」というアクションを起こさせるのはハードルが高いものです。その点デジタル形式でネットに内容がアップされていれば、気軽に情報に触れることができます。それだけ、広報誌が本来担っている役割をよりよく果たすことができるわけです。
広報誌の制作というのは、地味な作業ながら膨大な時間と労力がかかるもの。かけた「コスト」に対する「効果」を最大限に高めるために、広報誌のデジタル対応は今後もさまざまな大学で取り組まれることでしょう。