以前、「大学の学び方“超”初級編」なるものを、このコーナーで紹介したことがある。今回はこれに続く第2弾として、「大学の学び方“ぼちぼち”初級編」をお送りしたい。そう、今回もまだ初級編なのである。
前回の「“超”~」ではスマホやパソコンを通して、基本、無料で大学の学びに触れられる取り組みを伝えた。あれはあれで魅力的なのだが、やっぱり大学に足を運ばないと感じ取れないものっていっぱいある。今回は、そんなリアルな学びの醍醐味を、無料で楽しめる講座にスポットライトを当ててお伝えしようと思う。
無料公開講座で、とりあえず学びを体験すべし
最初に取り上げたいのは、大学の無料公開講座だ。これは大学によっては市民講座とか、オープンカレッジとか、名前が異なることもある。この無料公開講座の良さは、何といっても、ほとんどの大学で開催しているところだ。あなたの自宅から一番近いあの大学や、電車で数駅のところにある駅近のその大学でも、ほぼ間違いなく開催されている。
無料公開講座のほとんどが1回完結型の座学形式のものになる。内容は多種多様ではあるが、全体的な傾向として、開催する大学の学部学科と関連するものが多い。たとえば、看護学部がある大学であれば健康や医療をテーマにした講座が開催されがちだし、文学部がある大学であれば文学作品を扱う講座が開催されがちだ。
注意点としては、開催回数や講座数、講座内容が大学によってかなり異なるうえ、無料ということもあって開催回数や講座数は全体的にそう多くない。さらに告知も控えめなため、しっかり探していないと、つい見落としてしまいがちになる。とはいえ、無料である。大学の学びをリアルに味わうきっかけとしては持ってこいなのだ。
ちなみに「無料」とつけていることで察していただいているかもしれないが「有料」の大学公開講座もある。こちらはこちらでイケているのだが、費用がかかるため、次のステップでじっくり紹介しようと思う。
書籍にもなった京大の人気公開講座「京大変人講座」(詳しくはこちら)
京町家を舞台に開催される同志社女子大学の公開講座(詳しくはこちら)
シンポジウムで、大学の本気を垣間見る
無料公開講座以外で、無料で参加できる大学の代表的な学びとして、もう一つ挙げたいものがある。それは、大学のシンポジウムである。シンポジウムは大学創立○周年や新学部開設など何かしらの出来事を記念して行われたり、研究活動の集大成を発表するために開催されたりする。
シンポジウムは無料公開講座よりも規模が大きく、開催時間も長い。演題もご挨拶からはじまり、第一部、第二部などに分かれて複数の講演やパネルディスカッションがあるのが一般的だ。全体として格式張ってはいるのだが、登壇する人は、著名な研究者であったり、テーマと関連した文化人やスポーツ選手などであったり、豪華な顔ぶれであることが多い。テーマに掲げたことに対して、その大学なりのベストをぶつけてくるので、大学の力量を知るという意味でも見る価値がある。
龍谷大学「食の嗜好研究センター」主催のシンポジウム。食の魅力がぎゅっと濃縮されている(詳しくはこちら)
女性活躍をテーマにした大阪大学のシンポジウム。400名が聞き入った(詳しくはこちら)
無料の学びを楽しむには、情報収集が超大事
最後に無料公開講座とシンポジウム、二つの大学のメジャーな無料の取り組みについて、どのように情報収集するべきかについて簡単に説明しておこう。
まず無料公開講座についてだが、こちらは大学HPの新着欄や、グローバルナビに「生涯学習」や「社会連携」といったコーナーがあれば、そこをまずチェックして欲しい。『市民だより』や『県民だより』といった自治体の冊子に載っていることもあるので、こちらも合わせて確認することをすすめたい。あと、ちょっと強引なやり方だが大学名+公開講座でウェブ検索をかけてみてもいいだろう。
シンポジウムも無料公開講座とほぼ同じやり方で情報収集ができるが、こちらの方が積極的に人を呼び込んでいることが多い。そのため、大学HPのトップページで大きく紹介されていたり、新聞広告などで参加を呼びかけていたりすることもある。ただ、無料公開講座に比べると見つけやすいものの、開催回数は無料公開講座よりもさらに少ないことを頭の片隅に入れておこう。
無料公開講座やシンポジウムに参加したあかつきには、ぜひ会場付近を散策してもらいたい。これら会場のまわりには、大学の一般向けの取り組みを紹介するポスターやチラシが設置されていることがよくあるのだ。イベントに参加しつつ、次のイベントの情報収集を行う。ここらへんをニコイチでやっていくと、効率的に大学を活用することができる。