ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2016.1.25
  • author:河上 由紀子

チョコと国際協力を学んでみよう!by龍谷大×Dari K

カカオ豆からチョコを作ったことありますか?といっても、なかなかそんな機会は少ないはず。以前ほとゼロで取材した「国際協力×○○○○」がテーマの龍谷大学経済学部講師・神谷祐介先生のゼミが、「チョコレートづくり&国際理解ワークショップ」を開催。インドネシア産のカカオ豆を使用したチョコレートで注目を集める、京都の「Dari K(ダリケー)」と初タッグを組んだ。
「国際協力×カカオ豆」、さてそのお味は…?!
「国際協力×○○○○」がテーマのミクストメディアゼミ。(前編)

原料から作ってみよう!

会場に集まったのは約10組の親子。テーブルには、Dari Kが実際に使用しているインドネシア・スラウェシ島産のカカオ豆キット、フライパン、すり鉢などが用意されていた。おいしいチョコの味は知っていても、初めてみるカカオ豆に子どもたちは興味津々だ。

この日、ゼミの学生たちは会場のセッティングや司会を担当。ゲストとして、龍谷大学大学院の卒業生でもある、Dari Kの足立こころさんが招かれ、チョコ作りを直接指導!親子でわいわい、にぎやかなワークショップが始まった。

チョコ作りその①

洗う!
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まず豆を洗うところから!洗い始めると、クサいというか酸っぱいというか、なんだかチョコの原料とは思えないにおいが漂ってくる。足立さんによれば「このにおいがおいしさの秘密なんです」とのこと!それはなぜか?答えは後ほど。

チョコづくりその②

焙煎!
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水気を切り焙煎。分量にもよるが、15~20分かけてしっかり火を通さないと、ペースト状にしたときドロっとした感じにならないそう。若干ではあるが、チョコらしい香りがしてきた。

チョコづくりその③

皮をむく!
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あら熱がとれたら皮むきスタート!パリっと豆を割り、中身を取り出す。

チョコづくりその④

豆をペースト状に!
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一番盛り上がったのがココ。カカオ豆をフードプロセッサーに入れると、つぶつぶの豆がペースト状に。姿を変えていく様子に子どもたちは大興奮!フタを開けると、こってりとした、見た目はいかにもあま~いチョコ!しかし…


なめてみると「苦い!!!」。顔をしかめる子どもたち…。

砂糖を入れる前なのでそれはそうなのだが、これが本来の、かつては薬としても重宝されたカカオの味なんだと実感できた。

チョコづくりその⑤

砂糖を混ぜ、型に入れて冷やす!
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どっさり砂糖を加えて十分に混ぜたら、動物などのかわいい型に入れていく。この後30分冷やすとできあがり!

見た目、におい、手触りなど五感をフルに活用して作ったチョコ。思ってもみなかった刺激や感覚に、ちょっと困惑しつつもワクワクした子どもたちの表情が印象的だった。


 

カカオ豆の苦い背景とは?

チョコを冷やしている間は、Dari Kの足立さんによるレクチャータイム。世界地図を見ながら、カカオ豆の生産量世界第2位であるインドネシアの特徴や、今回使用したカカオ豆の産地スラウェシ島についての紹介があった。

カカオを手に説明する足立さん

カカオを手に説明する足立さん


ここで足立さんから「発酵」というキーワードが登場した。
発酵は、チョコの香りを決定する大事な工程。約1週間と時間も手間もかかる作業だ。

インドネシアのカカオ豆は世界第2位の生産量でありながら、チョコ業界では「質が悪い」とされてきたそう。それは、この発酵を行わずに出荷していたから。もし仮に発酵させたとしても、ニューヨークやロンドン市場での取引価格は未発酵の豆(低品質な豆)とほぼ変わらないのだという。これでは、カカオ農家は報われない…!

そこでDari Kは、カカオ農家の方に発酵作業の技術指導を行い、直接買い取ることで努力に見合った報酬を得られるよう、流通の仕組み作りを行ってきた。おいしいチョコを作るために、農家の人々主体の意識改革を行い、対等なパートナーシップを築こうというのが、他のショコラティエと一線を画する取り組みだ。

カカオを割ると白い実が。中にあるカカオの種(カカオ豆)を発酵させる

カカオを割ると白い実が。中にあるカカオの種(カカオ豆)を発酵させる


最初に豆を洗ったときに漂った不思議なにおいは、この発酵作業があってこそ!子どもたちには相場の話は少しむずかしいかもしれないが、チョコ作りには、厳しい現実があり、たくさんの工程が必要なんだと体感できたはずだ。

神谷ゼミとDari Kのこれから

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できあがり!

 

さぁ、チョコができあがった。一口食べると、濃厚で苦みのあるペーストの中に強い酸っぱさがあり、今までに食べたことのあるチョコとは全然違う!足立さんに伝えると「カカオはフルーツですから」との言葉に納得。“素材の味を活かす”という言葉はグルメ雑誌に飽きるほど登場する言い回しだが、このチョコにはぴたりと当てはまる気がする。

子どもたちの中には、苦みと酸味に違和感ある表情をする子も。食べ慣れた味よりも、少し「?」と感じる食の記憶は強烈だろう。前回取材した際、神谷先生が「小さい頃に出会ったことは、記憶に鮮明に残ることも多い」とお話されていたのを思い出した。

今回のワークショップで司会を担当した2回生の忠田季空(ちゅうた・りく)さんは「甘いチョコにも苦い背景があることを知ってほしかった。楽しみながら学んでもらえるよう、この活動を続けて、国際協力に興味を持ってもらいたい」と話した。

スタッフとして運営に携わったゼミの学生たち。右から忠田さん、宇山さん、松本さん

スタッフとして運営に携わったゼミの学生たち。右から忠田さん、宇山さん、松本さん


楽しいだけでなく「食育」にもつながった今回の試み。イベント終了後には足立さんを囲んで、神谷先生とゼミ生たちが、これからどんなコラボができるか、さまざまな話に花が咲いた。今回のようなワークショップや製品開発など、切り口はアイデア次第…!龍谷大×Dari Kの取り組みにこれからも目が離せない。

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