文化の杜・上野、知的好奇心を満たそうと日本国内はもちろん世界から多くの人々が集う。その一角に、東京藝術大学の大学美術館があります。国立西洋美術館、東京都美術館、東京国立博物館…日本を代表する文化施設と立ち並ぶ、東京藝術大学 大学美術館に今回は潜入!大学美術館とは、どんな場所?その魅力を探ってみましょう。
東京藝術大学は言わずと知れた、日本で最も歴史ある芸術分野の最高学府。美術・音楽・映像と、あらゆる芸術を支えてきた日本を代表する総合芸術大学です。1887年(明治20年)に設立された東京美術学校と東京音楽学校を前身とする藝大、いまもその名残りが道路を挟んではっきりキャンパスに残っています。それでは、東京藝術大学 大学美術館の魅力をひも解いていきましょう。
ミリョク1:日本を代表する芸術家を多数排出!
学生時代の原点ともいえる作品を所有
古くは東京美術学校一期生の横山大観や下村観山から、洋画家の藤田嗣治や岡本太郎はじめ、彫刻家、建築家、映像作家、デザイナーまで世界的に活躍する芸術家が学んできた藝大。卒業制作はもちろん、卒業時に自画像を提出するのがひとつの伝統になっているそうです。
2017年には村上隆、山口晃、松井冬子など、活躍の目覚ましい現代作家の自画像が公開されました。現在の作風とはまったく異なるもの、作家の原点を見るようなものなど、学生だからできる自由で斬新な表現、技法も素材もそれぞれ異なる多彩な作品ばかり。大学美術館にしかない芸術家の若き日の作品に出会うことができます。
ミリョク2:国宝・重要文化財を含む、
美術学校ならではの美術資料を収蔵
尾形光琳、高橋由一、伊藤若冲、上村松園など、1887年の学校設置以前から集められた収蔵品は国宝・重要文化財を含む29,000件余り。実は東京藝術大学 大学美術館が誕生したのは1999年、歴史ある藝大にしては新しいんです。それまではレトロな2階建て陳列館(昭和4年建築)をメイン・ギャラリーにして陳列。もったいなかったですね。
大学美術館では美術作品やそれに関わる資料、そしてその研究成果の展示やさまざまな普及活動を公開。日本美術の名品、美術教育の参考品として集められた希少性の高い逸品、そして歴代の教員や学生が残したものなど、美術学校ならではの多様で豊富な作品が特徴となっています。
ミリョク3:「藝大コレクション」をはじめ、
多彩な企画展とイベントは見逃すな!
東京藝術大学 大学美術館の貴重なコレクションが公開されるのが毎年開催される「藝大コレクション」です。2017年は創立130年を迎えたので、初公開の作品も多数あり、格別な規模で行なわれたとか!ご紹介ができず、残念です。
また無料公開される卒展は他校の美大生や藝大を目指す高校生、若き才能を発掘しようとする美術ファンに人気が高いもの。また藝大の指導者であり1人の表現者としての集大成が見られると、定年退職を迎える教員の退任展などもおすすめです。
さまざまなテーマで開催される企画展は、趣向を凝らした関連イベントも見どころのひとつ。シンポジウムやギャラリー・トークはもちろん、邦楽科と協力した能楽公演などは総合芸術大学・藝大の魅力を存分に満喫することができます。
館内には展示スペースの他、学生食堂、ミュージアムショップ(展覧会会期中のみ)、カフェテリア(展覧会会期中のみ)が併設。明治から大正、昭和、平成と多くの作家の原点に出会い、そして未来の芸術家に遭遇できる東京藝術大学 大学美術館、あなただけの魅力を見つけてみませんか?