ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2015.11.24
  • author:椎木伶奈

府立大発スイーツ第3弾「いちじくほっぺ」ができるまで(前編)

絶好調な「Habikinoいちじくプロジェクト」

大阪府羽曳野市にある、大阪府立大学羽曳野キャンパス。ここでは3年前から、同大学 地域保健学域 総合リハビリテーション学類 栄養療法学専攻の黒川通典講師率いる3年生数十名 と「全国に通用する大阪スイーツを作りたい!」という大阪の菓子メーカー みどり製菓株式会社とのコラボで、いちじくを使ったスイーツ開発、その名も「Habikinoいちじくプロジェクト」が進んでいる。
学生たちとみどり製菓が共同で、企画から開発、マーケティング、プロモーションまで行う本プロジェクト。毎年着実に成果を出しており、すでに2013年度には第1弾のカップスイーツ「Habikino 無花果」、2014年度には第2弾のタルト「大阪いちじく(nanajiku)」が発売されている。各商品の詳細は、レビュー記事『大阪府立大×みどり製菓のいちじくスイーツ!』をご覧いただきたい。
(参照:大阪府立大×みどり製菓のいちじくスイーツ!

そして2015年度11月現在、シリーズ第3弾となる焼きドーナツ「いちじくほっぺ」の開発が進んでいる。そこでほとゼロでは、この「いちじくほっぺ」発売までの追いかけ取材を実施。数回に分けてレポートする。

満を持して、羽曳野市と強力タッグ

「いちじくほっぺ」の取材にあたり、まず向かったのは大学ではなく、羽曳野市役所。過去2商品の開発は府立大とみどり製菓の地域貢献プロジェクトだったが、今回は羽曳野市も加わるためだ。まずはそのあたりの経緯を、羽曳野市政策推進課の菅原清貴さんに尋ねた。

羽曳野市 市長公室 政策推進課 菅原清貴さん

羽曳野市 市長公室 政策推進課 菅原清貴さん

「『Habikinoいちじくプロジェクト』については、昨年1月に市の広報誌で取り上げさせていただいたのをきっかけに、市の観光・産業分野でも第1弾、第2弾との商品を『はびきの軽トラ市』や『道の駅』などで販売やPRのご協力はできたものの、さらに深い取組みをすることができないかと模索していたんです。そんな中、今年の3月に、羽曳野市・藤井寺市・太子町が舞台となり、2市1町が制作協力をした映画『あしたになれば。』が公開されました。劇中に重要アイテムとして『初恋ドーナツ』というドーナツが登場するのですが、市としては今後このドーナツでまちおこしをしたいと考えています。地元のお菓子屋やパン屋、カフェなど、いろいろなお店に独自のドーナツを考案いただき、それらを市公認の『初恋ドーナツ』としてPRして、地域を活性化したいなと……」

映画「あしたになれば。」のロケ地マップと、10月に行われたイベントのリーフレット。イベントでは初恋ドーナツコンテストが開催された。

映画「あしたになれば。」のロケ地マップと、10月に行われたイベントのリーフレット。イベントでは初恋ドーナツコンテストが開催された。

失礼ながら私はこの映画のことを知らず、取材前になんとなく想像していたシナリオとは、だいぶ違う方向に話が進んでいく……。どうやら映画をきっかけに、「初恋ドーナツ」という名のドーナツを羽曳野のご当地グルメにしよう! という計画が進んでいるらしい。となると、『Habikinoいちじくプロジェクト』シリーズ第3弾がドーナツというのも、この計画の一部ということだろうか。

「そうです。実は、劇中に登場する『初恋ドーナツ』のレシピ作りにあたっては、府立大の黒川先生にご協力いただいたんです。そのご縁もあって、今年度取り組まれる『Habikinoいちじくプロジェクト』でも『初恋ドーナツ』をテーマにしていただき、発売に向けて市と観光協会も共同させていただきたいと、黒川先生に直々にお願いしました」


こうして、今年度のプロジェクトは、企画・開発=府立大、製造=みどり製菓、販売=羽曳野市・羽曳野市観光協会という3タッグで、市オフィシャルの「初恋ドーナツ」開発に挑む! ということになったのだ。

白熱のプレゼンテーションを経て

毎年「Habikinoいちじくプロジェクト」は、黒川講師が担当する3年生向けの授業の一環として行われている。今年の受講生は29名。学生たちは6つのグループに分かれ、約2ヶ月かけて「いちじく・初恋・焼きドーナツ」というテーマに沿ったスイーツを自由に企画・開発し、実際に自分たちの手で試作品も準備。7月7日にプレゼンテーション&試食会(審査会)に臨んだ。審査員は、北川嗣雄 羽曳野市長、黒川健三 羽曳野市観光協会会長、荒井大作 羽曳野キャンパス事務所長の3名。同席した菅原さん曰く、
「当日は各チームが1商品ずつ提案してくださったのですが、私たちとしてはまさか6商品も考えていただけるとは思っていませんでしたし、どの商品も美味しくて驚きました。こちらからのお願いに対して、こんなに積極的に取り組んでいただき、本当にありがたいと思いましたね。市長や観光協会会長も、学生さんたちの熱心さに感動していましたよ」

かなりハイレベルな戦いだったようだが、この中で見事優秀作品に選ばれたのが「いちじくほっぺ」だ。いちじくジャムを練り込んだ生地で白ワインジャムを包んだ、フワフワ食感がウリの一品。原価55円という安さや、味の完成度の高さが評価された。

 

そして現在「いちじくほっぺ」は、学生たちが企画・開発した内容を元に、製造元となるみどり製菓が商品化に向け、さらなる試作を重ねている段階。ちょうどこの日、大学で試作品の試食会が行われるとのことで、今後はそちらへお邪魔してみることにした。

後編はこちら!→府立大発スイーツ第3弾「いちじくほっぺ」ができるまで(後編)

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