東京で大雪、福井で大雪。今年の冬はとにかく寒い!こんな寒いときに恋しくなるのが、あたたかい蕎麦であったり、ラーメンだったりするように思う。実は、これら麺料理を開発している大学というのは、けっこう多くあるのだ。今回は、そんな大学発の麺からオススメのものをピックアップしてみた。一杯の椀をのぞくと、大学の知恵や学生の思いが見えてくるゾ。
明大生がつくった、明大生のためのユニークラーメン
まず一杯目は、「明大生が明大生のために作った!」なんていうキャッチが踊る、明治大学の「トマトらーめん」。これは政治経済学部木谷光宏ゼミの学生たちがつくる学生団体「colors」が企画し、(株)渡辺製麺と開発した。調べてみると「colors」はトマトらーめん以外にも、いくつも商品を開発しているようで、ちょっと面白そうな団体である。
トマトらーめんは「明大生のために〜」と謳っているだけあり、学内アンケートや学内試食会を行い、内容を試行錯誤していった。そんな経緯もあってか、かなり独創的なラーメンに仕上がっている。根本的なところからいうと、醤油でも、味噌でも、豚骨でもなく、トマト味のラーメンなのだ。しかも具材にキャベツとトマトがたっぷりと入っている。
実際、つくって食べてみるとトマトのいいにおいが漂ってきて、ラーメンというよりスープパスタという印象。あっさりとした味わいは女性にウケそうだ。また、スープがそこまで辛くなくて、最後まで飲み干せそうなところもGood。 むしろこのスープとパゲットで、ステキな朝食が楽しめそうである。
明治大学公式キャラクター「めいじろう」の存在感!
トマトで真っ赤なスープはすっきりだけど奥深い味
使用しているそば粉は信州産粗挽きそば粉100%、松本大学発の蕎麦
続く2杯目は、「信州アルクマそば」。松本大学人間健康学部の矢内研究室と(有)あづみ野食品、JR東日本長野支社が、6次産業化(※)による商品開発をめざしてつくった蕎麦になる。なんと、累計売り上げが1億円以上というヒット商品だ。パッケージにドーンと描かれている緑色のクマは、長野県観光PRキャラクター、アルクマさん。りんごのかぶりものがシュールだが、逆にそれがかわいくもある。
※農林漁業者(1次産業)が、農畜産物・水産物の生産だけでなく、食品加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)もすることで、農林水産業を豊かにしていこうとする取り組み
この蕎麦に使われているそば粉は、すべて信州産の粗挽きそば粉。ウェーブのかかった麺は、一瞬ラーメンを感じさせるが、食べると間違いなく蕎麦で、麺を口元までもっていくと、蕎麦の豊かな香りがふわっと鼻をくすぐってくる。汁は少し濃いめなので、具材をいれて楽しむのもよさそうだ。
信州のPRキャラクター、アルクマが目印
そば粉のにおいが、食欲を刺激する
震災復興の願いが生んだ石巻専修大学の塩ラーメン
最後の椀は、石巻専修大学と石巻市のさまざまな企業・研究会が協力してつくった「サバだしラーメン」だ。この商品は東日本大震災からの復興を目的にして生まれた。学生たちが「地域創造」のスローガンのもと、多くの人を巻き込んでつくった商品で、この開発物語にまずグッとくる。ちなみに復興を目的にした大学発商品は、他にもけっこう多くある。これはこれで、いつか集めて紹介できればなぁ…と思っている。
サバだしラーメンは、この地域で伝統的に使われている「サバだし」を食文化として位置づけ、水産加工会社から輩出される新鮮なサバのあらを活用した塩ラーメンになる。食べてみると、驚くほどスープが澄んでいるのに、サバの豊かな旨みが効いていて、かなりうまい。つくり方のシートを読むと「冷やし」でも食べられると書いてある。油分が少ないからできるのだと思うが、これはこれですごくうまそうである。
また、白い細麺は宮城県産小麦「ユキチカラ」を使い、サバの焼成骨も配合されているとのこと。小麦のいいにおいがして、かむとシコシコというより、ギュッ、プツリといった感じの食感でクセになる。サバ節の粉末の小袋がついており、これで魚介の旨みをブーストできるのもうれしい。
サバの文字がまず目にとまる、生麺タイプのラーメン
サバだしラーメン誕生秘話をまとめたマンガが同封
滋味あふれる味は、二日酔いの朝にもいいかも
大学発のおいしい麺ということで、今回は3品ピックアップしてみた。どれも美味しく、個性がある。おまけに調理もカンタンだ。大学の創意工夫や学生の情熱がつまっているので、ぜひ冬場の体をあたためるのに役立ててほしい。元気とともに、大学への興味も湧いてくるはずである。