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大学はこう使え! 第15回 大学の学び方中級編、有料プログラムでプチ本格的な学びを味わう

2019年6月10日 / コラム, 大学はこう使え!

大学の学び方“超”初級編」、「大学の学び方“ぼちぼち”初級編」と、2回に分けて無料で楽しめる大学の学びを紹介してきた。今回は、とうとう中級編へとステップアップしたい。中級編では、そこまで高額ではないものの、有料で学ぶ大学のプログラムについて取り上げていこうと思う。ここらへんから、「とりあえず大学で学んでみよう」ではなく、「コレについて大学で学んでみよう」といった感じに、目的意識をもって大学を活用するかたちにチェンジしていく。ちなみに有料になると、大学の学びのバリエーションはどーんと広がっていくのだ。 

学びを趣味にするなら、有料公開講座が断然おすすめ

有料で、手軽な、大学の学びとして、まず挙げたいのが有料公開講座だ。前回、無料公開講座について言及したが、無料と有料だと講座のラインナップに雲泥の差がある。たとえば、有料公開講座で日本最大規模になる「早稲田大学オープンカレッジ」だと、年間に開催する講座は、なんと1500を越す。さらに学び方も多様で、座学はもちろん、少人数のゼミ形式のものやワークショップ形式、はたまたフィールドワークや合宿、海外研修なんかもある。費用は講座によってまちまちだが、1~5万円の間が相場だろうか。言わずもがなではあるが、合宿や海外研修になると、これ以上に費用がかかってくるので、その点はお忘れなきように。

RECコミュニティカレッジ

全国でも屈指の規模を誇る、龍谷大学RECコミュニティカレッジのフィールドワーク形式の講座風景

 

無料公開講座のほとんどが1回完結型だが、有料の場合、講座内容によるものの、複数回でセットになっていることが多い。週1回開催というのがよくあるパターンで、一つの講座に参加すると、何ヶ月かは楽しむことができる。さらに講座によっては、同じ講座に何度も足を運んでもらえるように毎年少しずつ内容を変えていったり、初級・中級・上級といったように同じテーマについて段階を踏んで学べるようにしてくれていたり、さまざまな配慮がなされている。

 

また、有料公開講座は学ぶ内容こそ本格的だが試験等がない。そのため、何かに追い立てられることもなく、気軽に楽しむことができる。それに試験がないということは、単位取得もなく卒業もない。そんな環境だから、10年以上利用し続けているという人も決して珍しくない。年間1~2講座であれば、そこまで大きな負担にもならないだろう。末永く学びを楽しむ……つまりは、学ぶことを趣味にするのなら、有料公開講座はとてもいいプログラムなのだ。

若い学生とともに学べる2つの制度

せっかく大学で学ぶんだったら、若い学生たちと学びたい。そんな風に思う人もいるだろう。そういう人にすすめたいのが、科目等履修生制度と聴講生制度だ。こちらは大学の正規科目の一部を、学生たちと一緒に学ぶことができる制度になる。

 

2つ制度を挙げたが、どこが違うのかというと、科目等履修生制度だと試験等が課され合格すると単位取得ができるのだが、聴講生制度だとこれができない。科目等履修生制度で取得した単位は、社会人進学をしたときに卒業所要単位の一部にカウントすることができる。なので、いつかは進学をと考えているなら科目等履修生制度をすすめたいが、単に学びを楽しみたいのであれば、聴講生制度で十分だろう。ちなみに、これら制度を利用した場合、入学料と授業料(1科目)を合わせて、だいたい4~8万円程度になる。正規科目は90分15コマないし、100分14コマというのが多く、このボリュームを考えると、納得できる費用感だ。

 

科目等履修生制度と聴講生制度の売りは、なんといっても若い学生たちと同じ教室で学べることだろう。若い学生と学ぶと、普段、気づけないことに気づけたり、エネルギーをもらえたり、良いことがたくさんある。また、科目等履修生制度を実施している大学は、2018年度段階で、全大学のおよそ85%に当たる645校となる。有料公開講座を大規模に展開している大学は首都圏や関西圏に集中してしまっているが、科目等履修生制度であれば、大学さえ近くにあれば利用できる。この点も大きな魅力だ。

授業イメージ

若い学生と学ぶことで、さまざまな気づきをもらえることも

 

逆に、これら制度を利用する際に注意しておいて欲しいこともある。それは履修するのが、基本、正規科目になるため、平日の日中に開講しているものがほとんどということだ。土曜日に開講している科目もあるにはあるが、働いている人にとっては履修が難しい場合が少なくない。また、若い学生と学んでいると、なかには不真面目な学生と出くわすときがある。学生の態度や姿勢にストレスを感じてしまうなら、この制度の利用はひかえておいた方が無難かもしれない。

 

1科目から学べて、費用もそこまで高くない。この点においては、有料公開講座も科目等履修生制度・聴講生制度も、とても似ている。でも、もう少し踏み込んで見てみると、かなり違いがある。自分の好みや置かれている状況に合わせて、ぜひ大学でプチ本格的な学びを味わってみて欲しい。

大学はこう使え! 第14回 大学の学び方“ぼちぼち”初級編、無料講座に行ってみよう!

2019年5月14日 / コラム, 大学はこう使え!

以前、「大学の学び方“超”初級編」なるものを、このコーナーで紹介したことがある。今回はこれに続く第2弾として、「大学の学び方“ぼちぼち”初級編」をお送りしたい。そう、今回もまだ初級編なのである。

前回の「“超”~」ではスマホやパソコンを通して、基本、無料で大学の学びに触れられる取り組みを伝えた。あれはあれで魅力的なのだが、やっぱり大学に足を運ばないと感じ取れないものっていっぱいある。今回は、そんなリアルな学びの醍醐味を、無料で楽しめる講座にスポットライトを当ててお伝えしようと思う。

無料公開講座で、とりあえず学びを体験すべし

最初に取り上げたいのは、大学の無料公開講座だ。これは大学によっては市民講座とか、オープンカレッジとか、名前が異なることもある。この無料公開講座の良さは、何といっても、ほとんどの大学で開催しているところだ。あなたの自宅から一番近いあの大学や、電車で数駅のところにある駅近のその大学でも、ほぼ間違いなく開催されている。

 

無料公開講座のほとんどが1回完結型の座学形式のものになる。内容は多種多様ではあるが、全体的な傾向として、開催する大学の学部学科と関連するものが多い。たとえば、看護学部がある大学であれば健康や医療をテーマにした講座が開催されがちだし、文学部がある大学であれば文学作品を扱う講座が開催されがちだ。

 

注意点としては、開催回数や講座数、講座内容が大学によってかなり異なるうえ、無料ということもあって開催回数や講座数は全体的にそう多くない。さらに告知も控えめなため、しっかり探していないと、つい見落としてしまいがちになる。とはいえ、無料である。大学の学びをリアルに味わうきっかけとしては持ってこいなのだ。

 

ちなみに「無料」とつけていることで察していただいているかもしれないが「有料」の大学公開講座もある。こちらはこちらでイケているのだが、費用がかかるため、次のステップでじっくり紹介しようと思う。

軽妙な二人の掛け合いで、何度も会場に笑いが巻き起こる

書籍にもなった京大の人気公開講座「京大変人講座」(詳しくはこちら

終了後

京町家を舞台に開催される同志社女子大学の公開講座(詳しくはこちら

シンポジウムで、大学の本気を垣間見る

無料公開講座以外で、無料で参加できる大学の代表的な学びとして、もう一つ挙げたいものがある。それは、大学のシンポジウムである。シンポジウムは大学創立○周年や新学部開設など何かしらの出来事を記念して行われたり、研究活動の集大成を発表するために開催されたりする。

 

シンポジウムは無料公開講座よりも規模が大きく、開催時間も長い。演題もご挨拶からはじまり、第一部、第二部などに分かれて複数の講演やパネルディスカッションがあるのが一般的だ。全体として格式張ってはいるのだが、登壇する人は、著名な研究者であったり、テーマと関連した文化人やスポーツ選手などであったり、豪華な顔ぶれであることが多い。テーマに掲げたことに対して、その大学なりのベストをぶつけてくるので、大学の力量を知るという意味でも見る価値がある。

シンポジウムの趣旨を紹介する「食の嗜好研究センター」センター長の伏木亨教授(龍谷大学農学部食品栄養学科)

龍谷大学「食の嗜好研究センター」主催のシンポジウム。食の魅力がぎゅっと濃縮されている(詳しくはこちら

多くの参加者が熱心に聞き入った

女性活躍をテーマにした大阪大学のシンポジウム。400名が聞き入った(詳しくはこちら

無料の学びを楽しむには、情報収集が超大事

最後に無料公開講座とシンポジウム、二つの大学のメジャーな無料の取り組みについて、どのように情報収集するべきかについて簡単に説明しておこう。

 

まず無料公開講座についてだが、こちらは大学HPの新着欄や、グローバルナビに「生涯学習」や「社会連携」といったコーナーがあれば、そこをまずチェックして欲しい。『市民だより』や『県民だより』といった自治体の冊子に載っていることもあるので、こちらも合わせて確認することをすすめたい。あと、ちょっと強引なやり方だが大学名+公開講座でウェブ検索をかけてみてもいいだろう。

 

シンポジウムも無料公開講座とほぼ同じやり方で情報収集ができるが、こちらの方が積極的に人を呼び込んでいることが多い。そのため、大学HPのトップページで大きく紹介されていたり、新聞広告などで参加を呼びかけていたりすることもある。ただ、無料公開講座に比べると見つけやすいものの、開催回数は無料公開講座よりもさらに少ないことを頭の片隅に入れておこう。

 

無料公開講座やシンポジウムに参加したあかつきには、ぜひ会場付近を散策してもらいたい。これら会場のまわりには、大学の一般向けの取り組みを紹介するポスターやチラシが設置されていることがよくあるのだ。イベントに参加しつつ、次のイベントの情報収集を行う。ここらへんをニコイチでやっていくと、効率的に大学を活用することができる。

近畿大学らしさがすごい! 近大発の新商品を食べてみた!

2019年2月14日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

先日、近畿大学の東大阪キャンパスを訪れたとき、購買をのぞいたら面白そうな商品を発見した。一つは近大のヘビロテ、近大マグロを使った新たな一品、もう一つは謎の食材が入ったカレー、どちらも2018年に発売された比較的新しい商品だ。こだわりをビンビンと感じさせるこれら二つの商品について、今回はレビューしようと思う。ちなみに、大学の購買にはその大学のオリジナル商品がよく置いてある。彦摩呂風に言うなら、大学の魅力の玉手箱や~♪ な場所なので、大学に興味があるなら足を運ぶことをおすすめしたい。

近大マグロお菓子になる

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何とも高級な感じがする、近大マグロせんべいのパッケージ

 

最初に紹介するのは、こちら。高級感のある箱の朱色と、帯にドーンッと載った近大マグロの勇姿が目に留まる。去年の夏より発売がはじまった「近大マグロせんべい」だ。この商品は、近大の直営店である「近畿大学水産研究所」のお客さんたちの、近大マグロを使ったおみやげが欲しい!という声に応えて生まれたのだとか。

 

使われている近大マグロは、解体時に廃棄されていた可食部位(内臓、すき身etc.)とのこと。クロマグロは海のダイヤとも呼ばれる、超がつく高級魚だ。こういう工夫をすることで、1箱900円(税別)というお財布にやさしい価格帯におさめているのだろう。

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醤油と魚(マグロ)という、日本人が大好きな味!

 

小袋をあけてみると、和歌山県の「湯浅醤油」がしみた美味しそうなせんべいが二枚登場。それぞれ色がぜんぜん違うので、別の味なのかな、と思ったがどうもそうではないらしい。醤油のしみかたが、一枚ごと違うのだ。当然一つひとつ味わいが変わる。これがなかなか面白い。肝心の味だが、けっこうしっかりとマグロの味がする。ジャンル(?)としては、お魚せんべいなのだが、その王様といった感じだ。手軽に近大マグロを楽しめるので、味はもちろん、話題性も◎。まさに、おみやげにぴったりの一品だと感じた。

長寿の秘薬!? カンカをカレーに!

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パッケージには、金色のカレーの文字が踊る

続いては、カンカを使った「夜のカンカ入りカレー」である。カンカ。肉なのか、野菜なのか、果物なのか、それともまったく違うナニカなのか……。想像のつかないこの食材は、タクラマカン砂漠発祥の植物、砂漠人参(カンカニクジュヨウ)のこと。近畿大学では、2006年よりカンカの人工栽培を通じて、タクラマカン砂漠の緑化を支援しているのだ。

 

カンカが自生するタクラマカン砂漠のホータン地域は、世界有数の長寿地域。この健康の秘訣になっているのが、カンカなのである。実際この植物には、抗酸化作用、血管拡張作用、認知症予防などの効果があると言われている。

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カンカとは何かをしっかりと説明

 

いざ食べてみると、やや甘めのカレーで、スプーンを口元まで持っていくと、ほんのりと薬膳ぽいにおいがした。独特ではあるけれど、嫌なにおいではなく、このカレーの個性になっているように感じた。また、比較的あっさりとした味つけなので、年輩の人でも美味しく食べられそうだった。

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薬膳ぽい香りがする、身体によさげな味だった

 

近大マグロせんべいに、カンカ入りカレー。どちらも個性があって、大学ならではの活動がうまく活かされている。大学発の商品は、こうでなくっちゃと思わせてくれる逸品だ。今回、紹介したものに限らず、大学発商品には、大学ならではの魅力が、いい感じに取り入れられているものばかりだ。大学発商品図鑑でも、たくさん紹介しているので、興味のある方は、ぜひこちらもチェックしてみて欲しい!

これぞ決定版!? ほとんど0円大学が関わった雑誌&書籍を一気に振り返る!

2019年1月31日 / まとめ, トピック

昨年12月中旬に『50歳からの大学案内 関西編』を出版したことを機に、一度、ほとゼロが関連した出版物について紹介してみようと思いながら、ずるずると年が明け、とうとう一月も終わろうとしている……。まぁ誰かに頼まれたわけじゃないし、やらなくてもいんじゃないの?なんて心の悪魔がささやくものの、でもやっぱり紹介したいんや!!…と心の関西人が叫んでいるので、今回は、ほとゼロが関わった雑誌&書籍の総力レビューをお送りします。実はけっこうたくさんあるんです。

 

◎雑誌編

アートとデザインを楽しむ京都本

by 京都造形芸術大学

出版社:京阪神エルマガジン社 発行:2015年7月

京都本

ほとんど0円大学が関わった雑誌の第一弾。これまでも大学アエラ本を筆頭に、大学をテーマにした雑誌はいくつかありました。でも、この雑誌はそれらとは大きく異なります。というのも、従来は大学の紹介を目的につくるのですが、この雑誌は大学の持っているさまざまなリソース(学生、教員、施設 etc.)を使って、いかに読書に楽しんでもらうかを意識してつくった雑誌だからです。

 

京都の芸大生だからこそ知る魅力的な店の紹介や、アーティスティックな視点で取り上げた京都の観光スポット、さらには市川猿之助さんや津田大介さんといった京都造形大の教壇に立つ著名人のインタビューなどなど。読んでみると、あれこれ大学らしくないぞ……と、きっと思うはず。でも、これもまた大学の魅力なのです!

関連リンク⇒芸術の魅力は芸大と芸大生に聞け! 大学の底力を感じさせる、京都造形大のムック本!

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関西の大学を楽しむ本

出版社:京阪神エルマガジン社 発行:2016年5月

大学を楽しむ本

これは、ほとんど0円大学として、ずっとつくりたかった念願の一冊です。内容は、ほとゼロが常日頃から伝えているメッセージ「おとなも大学を使っちゃおう」を実践する、関西圏の大学の取り組みや場所について。具体的には、大学ミュージアムやギャラリー、歴史的建造物、グルメスポット、それにおとなも利用できる教育プログラムなどなど。大学というと、つい若者が勉強する場所と思ってしまいがちですが、実はとても幅広い楽しみ方ができる場なんです。

 

本誌に掲載しているのは、常設されている場所や毎年開催しているイベントが中心になります。だから2年以上前に出版した雑誌ですが、今、読んでも十分に活用できる情報ばかり。関西在住者なら一家に一冊あって損はしないので、大学に興味を持ったならぜひお買い求めください!

関連リンク⇒大学に夢中になろう! ほとゼロプロデュースの雑誌『関西の大学を楽しむ本』発売!!

大学を楽しむ本_a 大学を楽しむ本_b

 

 

楽しい大学に出会う本 首都圏版

出版社:ぴあ株式会社 発行:2017年7月

大学に出会う本

これまで関西圏の大学をテーマにした雑誌ばかりでしたが、ついに関西圏を飛び出し、首都圏をテーマにした雑誌を作成しました。それが、これ、『楽しい大学に出会う本 首都圏版』です。この雑誌では、「大学を楽しみ尽くす」「大学で美食に出会う」「大学イベントに出かけよう」「おとなが楽しむ大学の学び」という4つのテーマにわけて、首都圏の大学の魅力的な場所・取り組みを紹介しています。また、Special Interviewとして、女優・菊池桃子さんのインタビューも収録。菊池さんは、実は法政大学の大学院に社会人進学されていたんですね。

 

関西圏と首都圏、二つの雑誌をつくって感じたのは、首都圏は都心に大学が密集しているということ。だから、一日に複数の大学を巡って楽しむことができるし、比較的アクセスがいい大学が多いので気軽に足を運ぶことができる。大学初心者(?)にもやさしい環境があるように思いました。あと、やっぱり東大はすごいですね。その気になれば、東大だけで一冊つくれるほど、おとなが楽しめる場所・取り組みが充実していました。

参考⇒首都圏の大学を楽しみ尽くそう!! ほとゼロプロデュースの雑誌『楽しい大学に出会う本』発売!!

大学に出会う本_a 大学に出会う本_b

 

◎書籍編

フツーな大学生のアナタへ

大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ

著:花岡正樹、桑島伸二 出版社:くろしお出版 発行:2008年4月

大学生のアナタへ

続いては書籍編です。書籍は、すべてほとんど0円大学の編集長である私(花岡)が書いたものになります。まず、取り上げるのは、なんと今から11年も前に執筆した『フツーな大学生のアナタへ』。これは大学関係のパンフレットをつくっていて、これらパンフにはどれも優秀な学生たちが出てきて、いわゆるフツーな学生が載っていないんじゃないか?そんな疑問を持ったことがきっかけで生まれた書籍になります。当時、同じ会社で働き、現在は退職して大学でキャリアの授業を受け持っている上司とともに書きました。

 

取り上げている学生は、第一志望の大学に落ちて滑り止め大学に入学した人や、やりたいことが見つからず悶々としていた人、いわゆる中二病的なふるまいをしていた人……。大学の広告塔になるようなタイプじゃないフツーな学生たちです。そんな彼ら彼女らが何かをきっかけに大学生活に本気になっていき、大きく成長していった、その軌跡を追っています。内容的には粗いところが多々あるものの、リアリティがすごくある。自分の子どもが大学生になるときに、ぜひ読ませたい。ほんとにそう思っている一冊です。

 

 

定年進学のすすめ

第二の人生を充実させる大学利用法

著:花岡正樹 出版社:花伝社 発行:2010年2月

定年進学のすすめ

団塊世代が大量退職するタイミングに合わせて出版した、退職後に大学で学び直す楽しさを伝える一冊です。本の半分は、いろんな理由や想いを持って大学で学ぶ社会人学生のロングインタビューを掲載、もう半分は進学するうえで知っておいて欲しいポイントや具体的な進学方法についてまとめています。大学進学、とくに学部進学に焦点を絞って、これだけ深く掘っている書籍は、おそらく他にないんじゃないでしょうか。

 

本書のこだわりは、インタビューに、単に学んだから楽しい、面白い、と書いているわけじゃなく、大変だったこと、辛かったことについても、包み隠さず載せていることです。大学のパンフレットでは、なかなか載せられないことだけど、定年進学を本気で考えるなら、絶対に知っておくべきことだからです。また単純に、人生の先輩方の言葉が読んでいると、けっこう胸に刺さります。生きることとは学ぶことなのかなと、本書を書きながらしみじみと思いました。

 

 

年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術

著:花岡正樹 出版社: 中央公論新社 発行:2013年4月

大学活用術

これは、ほとんど0円大学が生まれるきっかけになった一冊です。知られていないけど、驚くほどたくさんある大学の社会人向けの取り組みを、可能な限り全部紹介してみよう、そんな気持ちで執筆した書籍になります。そのため本書では、60以上の大学を取り上げ、180ちかくの取り組みについて言及しています。そして、なんと取り上げている大学の、ほとんどに取材してまわりました。振り返ると、よくもまぁ、そんな時間があったなと不思議に思います。

 

ちなみに、この書籍をまとめた後に、書籍よりもっとキャッチーな表現でまとめたいと思い雑誌『関西の大学を楽しむ本』が誕生。さらに即時性がある方がいいと考え、「ほとんど0円大学」が誕生したという経緯があります。つまりこの書籍は、ほとゼロの母ならぬ祖母のような存在なのです。

 

 

50歳からの大学案内 関西編

著:花岡正樹 出版社: ぴあ 発行:2018年12月

大学案内

最後をかざるのは、つい最近、ほとゼロでレビューをした『50歳からの大学案内』です。この本を書こうと思ったのは『定年進学のすすめ』で学部進学にフォーカスしたものの、実はおとなが利用できる大学の教育プログラムは、他にもたくさんあるのに、ぜんぜん伝えられていないゾ、と思ったから。そのため本書では、公開講座、履修証明プログラム、通信教育、科目等履修制度、社会人進学などなど、さまざまな教育プログラムを取り上げ、これらを使ってさまざまな学び方をする人を紹介しています。

 

取材するなかで印象に残ったのは、卒業にこだわらないと大学の学びはとても自由になるということ。けっこう大胆な学び方をしている人も多く登場しています。“しなくてはいけない”という固定観念を振り払うと、学びは最高のレジャーになるのです。今や人生100年時代、学び直して人生をリスタートさせるというのは、けっこう悪くない選択な気がします。私も将来、お金があればぜひ考えてみたいです。

関連リンク⇒大学で人生を面白く! 13人の社会人学生が語る大学活用本『50歳からの大学案内 関西編』発売!!

 

 

駆け足で、といってもけっこうなボリュームになりましたが、ほとんど0円大学が関わる出版物についてザクザクッと紹介させてもらいました。今後もウェブマガジンと合わせて、出版物でも大学の魅力を幅広く伝えていきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

大学で人生を面白く! 13人の社会人学生が語る大学活用本『50歳からの大学案内 関西編』発売!!

2018年12月18日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

「人生100年時代」なんて言葉が使われて久しい今日この頃、50歳まで生きても人生はまだ折り返し地点です。長い人生の後半戦をどう楽しく生きるのか。ほとゼロ編集長・花岡が、そのためのヒントとなる1冊『50歳からの大学案内 関西編』を出版しました。今回は、本書の出版を記念して、どういう本なのか、ちょっとだけご紹介させてもらいます。

 

学ぶ醍醐味がリアルに伝わるインタビューがいっぱい!

『50歳からの大学案内 関西編』というタイトルからわかるように、この本は“50歳(ぐらい)”の方たちに向けて“関西”の“大学”を紹介するものになります。といっても、どういう大学があるのかを単に解説するのではありません。大学が取り組んでいる社会人向け教育プログラムのなかで、とくにおすすめしたいものについて、そこに参加する50~70歳の利用者のロングインタビューとともに伝えています。

 

なぜロングインタビューにしたのかというと、どうもフツーに紹介するだけでは、学ぶことの面白さや興奮、熱気というのがイマイチ伝わらないと感じたからです。苦労したこと、発見したこと、自分自身の成長を実感したこと……、個人の体験のなかにこそ、心に響くリアリティがあります。「充実したカリキュラムときめ細かなサポートで学問を体系的に習得する~」なんて書いてあっても、ほら、ぜんぜん頭に入ってこなくないですか?

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各ロングインタビューの冒頭には、プロフィールと似顔絵(消しゴム版画)を掲載!

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表紙カバーをめくると、今回、インタビューに協力してくれた13名が登場!

 

実はとっても自由で多彩な社会人の大学活用を紹介!

本書でもう一つ強調したいのは、いろんな教育プログラムを取り上げていることです。公開講座、履修証明プログラム、通信教育(学部・大学院)、聴講生、社会人進学(学部・大学院)、専門職大学院と、ジャンルわけをすると合計8種類のプログラムを取り上げています。プログラムによっては、複数のロングインタビューを掲載しており、同系統のプログラムでも、人によって、大学によって、まったく異なることがわかるようにしました。

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紹介する各プログラムについて解説。レーダーチャートで特徴がひと目でわかるように!

 

さらに今回、インタビューした人のなかには、想像もつかないような学び方をしている人がたくさんいました。たとえば、芸大の公開講座と通信教育を利用している北野さんは、芸大で学んでいるのに、ほとんど創作活動をしません。通信制大学院に通っていた松山さんは、なんと13年もかけて、働きながら本格的な研究活動に取り組みました。他にも、夫婦で大学を利用する増岡さんや、社会人サークルを立ち上げた増味さんなど、どの人も自分なりの活用スタイルで、勉強はもちろん、大学生活を楽しんでいました。

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知っていると大学活用の幅が広がる情報についてもコラムで紹介!

 

伝えたい本書の魅力は、まだまだいっぱいあるのですが、それは実際に購入していただいてからのお楽しみということにさせてもらいます。50歳の方はもちろん、50歳だった方も、いつかは50歳を迎える方も、大学には人生を豊かにするきっかけがあふれています。本当に、想像以上に、幅広い楽しみ方ができる場所なので、学びや人との交流に興味がある人はもちろん、何かをはじめたい、新しい世界に飛び込みたい、そんな気持ちがあるなら、ぜひ本書を手にとり、大学に出かけてみてください!

大学はこう使え! 第13回 マニアックでなんか面白い、大学発LINEスタンプの世界♪

2018年9月27日 / コラム, 大学はこう使え!

今やLINEがなければコミュニケーションがままならない……というと、さすがに言い過ぎだが、それでも若者はもちろん、おじさまやおねぇさまもLINEをフツーに使うようになってきた。このLINEにかかせない「LINEスタンプ」をいろいろと見ていると、大学発のものがけっこう多くあるのをご存じだろうか?

 今回は、大学発のちょっとイケてる&ユニークなスタンプを紹介したいと思う。これって大学活用術か?と思う人がいるかもしれないけれど、これも活用術なのである(断言)。もし心の琴線に触れるスタンプが出てきたら、迷わずにポチって欲しい。

とってもカワイイ♡ 大学キャラクターのスタンプ

まず紹介したいのは、大学LINEスタンプの王道中の王道、大学キャラクターを使ったスタンプだ。これはキャラクターが、そもそもかわいい場合も多く、クオリティが高い。明治大学の「めいじろう」のスタンプなんかは第二弾まで出ており、人気がありそうだ。横浜市立大学の「ヨッチー」も同じく第二弾までスタンプがつくられている。こちらについては、LINEスタンプというコミュニケーションツールの1パーツでありながら、いっさい文字を入れないという潔さが心地いい。おまけに、シチュエーションが、かなりとがっていて、個人的には第二弾に入っている「風邪を引きながら犬を散歩させるヨッチー」がツボだった。

めいじろう よっちー

 

単に大学キャラクターを押し出すだけでなく、ご当地っぽさをプラスしているものもあった。山口大学の「ヤマミィ」のスタンプはまさにそれで、山口弁のセリフとともにつくられている。これが、なかなかかわいいのだ。流通科学大学の「りゅうか」のスタンプも同様で、神戸弁を全面プッシュしている。キャラクターのかわいさに、方言のかわいさが掛け合わされる、つまりカワイイ×カワイイ=正義なのである(謎)。

ヤマミィ りゅうか

授業、クラブ、団体でスタンプを作成

大学全体でなく授業やクラブ活動でLINEスタンプをつくっていることもある。

実践女子大学国文学科の授業「中古文学基礎演習2」でつくる「実女訳ひとこと百人一首」は、まさにそんなスタンプの一つだ。このスタンプは学生たちが百人一首からお気に入りの歌を選んで、個々人で解釈し思い思いに表現している。スタンプの特性上、会話に使えなくてはいけないのだが、そこに百人一首のエッセンスをプラスするというウルトラCな芸当に惜しみない拍手を送りたい。歴女におすすめである。

実女訳ひとこと百人一首

 

神戸大学合気道部のドット絵スタンプというのも面白い。ファミコンソフトのキャラを彷彿させる粗めのドット絵は、懐かしさが一回りして新しい印象がある。また、日本大学柔道部のキャラクター「赤象」をモチーフにしたスタンプも見つけた。赤象という、どストレートなネーミングとデザインに、柔道部の無骨さと男らしさを感じさせる(女子柔道部との共通キャラならゴメンナサイ)。この無骨なキャラが、しょげたり、喜んだりするのは、なかなかキュートである。

ドット絵 赤象

 

またクラブ活動ではないが、学園祭実行委員会がつくるスタンプというものも散見できた。北大祭事務局がつくった、北大祭公式キャラクター「ふっとうくん」のスタンプは、ハンドメイド感があり、やさしい雰囲気が特徴的。どことなくタッチが、ふなっしーに似ている。東京大学の駒場祭委員会のマスコット「こまっけろ」のスタンプも同様に、手作り感があってあたたかみがある。こちらは色がふなっしーだ。そういえば最近テレビで見ないが、ふなっしーは元気にしているのだろうか。

ふっとうくん こまっケロ

愛される学長や先生もスタンプに!

まだまだ大学発LINEスタンプはあるのだが、記事も長くなってきたので、ここらへんで締めにしたい。最後をかざるのは、人物をモチーフにしたスタンプだ。

 

札幌学院大学のスタンプは、白ひげをたくわえた学長と大学キャラクター「ブラウニーくん」の異色コラボだ。このスタンプ、第二弾、第三弾があり、なんとこっちは学長のみでつくられている。グッバイ、ブラウニーくん。学長の愛され具合に脱帽である。また北海道大学名誉教授、松田従三先生のスタンプというのも発見した。説明書きを読むと、研究室20周年を祝って作成したとある。なんかほっこりしていい感じである。

SGU学長 松田従三先生

 

駆け足でレビューしてみたが、まだまだ大学初のLINEスタンプはたくさんある。母校のものであれば、学生時代の友達とのやりとりに使えば盛り上がること間違いナシだ。そうでなくても、ユニークなものがたくさんあるので、話のネタになるかもしれない。大学の特色が出ているものも多いので、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

大学はこう使え! 第12回大学・学術系クラウドファンディングで大学の研究に関わろう

2018年8月23日 / コラム, 大学はこう使え!

大学の研究というと、何となくすごいイメージがあるけれど、自分とは関係ない誰かがやっている、関係のないセカイの話……。そんな風に思っている人は、けっこう多いのではないだろうか。たしかに、普段から大学に関わる仕事をしている私でも、研究の話を聞いていると、時おり意識が遠のくし、自分とは直接関係ないことのように感じるときもないこともない。

他人事にとらえてしまいがちな大学の研究を、もっと身近に感じ、楽しんでもらうために、とても有用な取り組みがある。それが大学・学術系のクラウドファンディングだ。今回は、このクラウドファンディングの魅力と、おすすめプラットフォームについて紹介していこう。

大学の研究が自分事に変わる

まずクラウドファンディングとは何なのか。ご存じの方が多いと思うが、念のため伝えておくと、目的のために広く一般から資金を募り、目的を達成したあかつきには、何かしらの報酬を出資者に渡す、という取り組みである。これを利用して、研究や研究を使った商品開発、大学主導の町おこしなんかをやるのが、大学・学術系のクラウドファンディングになる。

 

このクラウドファンディングの魅力として、まず推したいのは、研究について自分事としてとらえられるようになることだ。小額であれ株を買うと、その会社についてじわじわと興味が出てくる。これと同じように、小額でも出資をすると研究の見え方が大きく変わる。知らない世界につながるチケットだと思い、一度、出資してみるのはいかがだろう。

レアな体験やグッズが手に入る

魅力はまだまだある。次に挙げたいのは“お返し”がもらえることだ。内容はプロジェクトごと、出資額ごとに異なるのだが、お礼メールからはじまり、アカデミックツアーへの招待、開発した商品の先行販売&割引、研究報告書や学術標本のプレゼントなどなど、バリエーション豊か。なかには、開発した機材や研究資料、記念碑等に名前を載せるというものもある。ここでしかもらえないもの、できない経験がほとんどである。

 

また、資金を集める研究者やプロジェクト関係者は、何としても目的額を達成したいと思っている。そのため、クラウドファンディング・プラットフォームに載っている、研究・プロジェクトの紹介ページはどれも情報量が濃く、取り組みの魅力や資金が必要な理由を熱っぽく書いている。いや、書いている、というより、ウェブページ上でプレゼンをしているという感じだ。正直、これを読んでいるだけでも、けっこう楽しめるのだ。さらにこれらページでは、プロジェクトの活動報告も逐次更新されるので、取り組み内容の“今”についても知ることができる。

イチオシ、プラットフォーム大紹介!

さて、いろいろと書いたが、最後におすすめの大学・学術系のプラットフォームをレビューしていこう。

academist

こちらは日本で初めて研究獲得に特化したプラットフォーム。一部の大学に特化しているものではないので、幅広い大学の研究者たちが活用している。また、研究成果を活かして、何かをしたいというより、研究そのものに焦点を当てているものが多い。

 

Ready for College

クラウドファンディング・プラットフォーム「Ready for」が大学向けにつくったプラットフォームになる。筑波大、東京藝大、名古屋大、九州大が参加しており、プラットフォーム内にそれぞれの特設ページがある。近年ではメディアアーティストとしても人気の高い、筑波大学の学長補佐、落合陽一が利用して話題になった。

 

近畿大学×CAMPFIE、法政大学×CAMPFIRE

クラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIE」に開設された、近畿大学と法政大学、それぞれの特設ページ。一大学のみのページになるため、プロジェクト数は少なめだが、大学ごとのカラーが出ていて面白い。

 

OTSUCLE

徳島大学が設立した一般社団法人「大学支援機構」が運営するクラウドファンディング・プラットフォーム。研究、教育、社会貢献をテーマにしており、徳島県内の大学や企業が参加し、地域を盛り上げようと活動している。

Otsucle

Otsucle 【https://otsucle.jp】

 

Makuake

(株)サイバーエージェントが運営するクラウドファンディング・プラットフォーム。大学を専門にしたプラットフォームや特設ページはないが、規模が大きいため、多くの研究者やゼミが利用している。ほとゼロでも紹介した、大阪工業大の「Kunkun Body」や、長崎県立大の「チャーピー」は、ここで資金を集めて商品化を実現している。


これまで大学の研究は、大学のなかだけで、もしくは産学連携や共同研究・受託研究というかたちで企業や自治体とコラボして進められていた。しかし、これからは出資者という立場で、一般の人も関われるようになるのである。これまでになかった大学と個人との関係を、ぜひ楽しんでほしい。

キーワードは“京都産黄大豆”。京都産業大学と京都市静原のコラボ商品に迫る!

2018年6月5日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

探せばアレコレと見つかる、大学発の商品たち。これら商品が生まれる背景はいろいろだが、「まちおこし」は、その理由の大きな一つといっていい。京都産業大学が京都市左京区静市静原町とともに開発したオリジナル商品たちも、まさにそんな目的から生まれた商品たちになる。今回はこれら商品のレビューを、開発秘話とともに紹介しよう。

京都産黄大豆“オオツル”を静原ブランドに

今回レビューする商品は「神山クッキー」「神山まどれーぬ」「神山コーヒー」の3点になる。静原なのに神山(こうやま)?と思われる人がいるかもしれないので、あらかじめ説明しておくと、神山は京産大のメインキャンパスのあるエリアにある、山の名前。この大学のシンボルともいえる天文台は「神山天文台」。京産大にとって「神山」は、自分たちの大学の別名のようなものなのだ。ちなみに余談ではあるが、関西だと大阪大学と待兼山の関係もこれに似ている。

 

話しが少しそれてしまった…。今回、レビューする3商品には、名前以外にも共通点がある。それは、静原で栽培された農作物を使っていることだ。とくに「神山クッキー」と「神山コーヒー」の“ソイブレンド”に使われている京都産黄大豆“オオツル”は、「静原ブランド」として売り出そうと関係者が力を入れる注目の農作物になる。

 

なぜ黄大豆なのか?だが、黄大豆は、市場価値の高い黒大豆に押されて京都市内ではほぼ生産されなくなってしまっていた。そんななか、みそや豆腐の生産者が地産地消をめざして、地元産黄大豆の栽培をはじめた。この情報をキャッチした学生たちが、ぜひ自分たちもと地域住民や大豆問屋の力を借りながら、静原で黄大豆の一種である“オオツル”の栽培をはじめたのだ。

京都産業大学 みらい発信局おむすび~静原応援隊

ちなみに、つくっているのは「みらい発信局おむすび~静原応援隊」という、学生の有志団体になる。この学生団体が、静原のまちおこしに関わりはじめたのは2015年からで、黄大豆を使用したクッキーとコーヒーが誕生したのは2018年4月。この間、いろいろなトライ&エラーがあり、これら商品に結実したのだろう。開発の物語を、ぼんやりと想像しながら食べると、いっそう味わい深く感じられそうだ。

個性的でおいしい神山スィーツ&コーヒー

では、いよいよ、実食レビューにうつる。まずは、「神山クッキー」。こちらはプレーン、ショコラ、キャラメルの3種類の味が発売されている。どれもザクザクとした食感のなかに、カリカリとした黄大豆の食感があわさり、歯ざわりがおもしろい。また、よくローストされた黄大豆の香ばしさが味覚のうえでも、いいアクセントになっている。個人的には、大豆が強く感じられるプレーンが好みの味だった。

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次は「神山まどれーぬ」。こちらは一見、普通のマドレーヌだが、生地を割ってみると、なかからたくさんの静原産の小豆があらわれる。やや固めに炊きあげられた小豆は、食べ応えがあり、一つ食べるだけでかなりの満足感。また、生地には京都特産の白みそを隠し味に使われており、食べていると、ふっと白みその香りが鼻へ抜ける。京都らしさを感じさせる、見事な演出である。

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これらスイーツとぜひ合わせて欲しいのが、「神山コーヒー」の“ソイブレンド”。コーヒーカップを口もとに近づけると、コーヒーの香りのなかに、大豆の香りがかすかにする。飲むと、これまたかすかに大豆の味がする。個性的ではあるが、奇をてらった味ではなく、万人受けする味だ。言わずもがなかもしれないが、「神山クッキー」「神山まどれーぬ」との相性もばっちりだった。

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和と洋がうまく混ざり合った「神山まどれーぬ」もさることながら、黄大豆をクッキーやコーヒーに利用する発想がおもしろい。とくにクッキーに大豆を使う場合、おからクッキーがポピュラーだが、あえて砕いた大豆をアーモンドやピーナッツのように味のアクセントに使っているのが印象的だった。

これら三品は静原のまちおこしという商品開発の背景も興味深いが、単純に商品としても魅力的である。京産大に立ちよった際に、おみやげに購入してみてはいかがだろう。ちなみに同大学100%出資会社(株)サギタリウス企画のウェブサイトでは通信販売もしているゾ!

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