大学はこう使え! 第15回 大学の学び方中級編、有料プログラムでプチ本格的な学びを味わう
「大学の学び方“超”初級編」、「大学の学び方“ぼちぼち”初級編」と、2回に分けて無料で楽しめる大学の学びを紹介してきた。今回は、とうとう中級編へとステップアップしたい。中級編では、そこまで高額ではないものの、有料で学ぶ大学のプログラムについて取り上げていこうと思う。ここらへんから、「とりあえず大学で学んでみよう」ではなく、「コレについて大学で学んでみよう」といった感じに、目的意識をもって大学を活用するかたちにチェンジしていく。ちなみに有料になると、大学の学びのバリエーションはどーんと広がっていくのだ。
学びを趣味にするなら、有料公開講座が断然おすすめ
有料で、手軽な、大学の学びとして、まず挙げたいのが有料公開講座だ。前回、無料公開講座について言及したが、無料と有料だと講座のラインナップに雲泥の差がある。たとえば、有料公開講座で日本最大規模になる「早稲田大学オープンカレッジ」だと、年間に開催する講座は、なんと1500を越す。さらに学び方も多様で、座学はもちろん、少人数のゼミ形式のものやワークショップ形式、はたまたフィールドワークや合宿、海外研修なんかもある。費用は講座によってまちまちだが、1~5万円の間が相場だろうか。言わずもがなではあるが、合宿や海外研修になると、これ以上に費用がかかってくるので、その点はお忘れなきように。
無料公開講座のほとんどが1回完結型だが、有料の場合、講座内容によるものの、複数回でセットになっていることが多い。週1回開催というのがよくあるパターンで、一つの講座に参加すると、何ヶ月かは楽しむことができる。さらに講座によっては、同じ講座に何度も足を運んでもらえるように毎年少しずつ内容を変えていったり、初級・中級・上級といったように同じテーマについて段階を踏んで学べるようにしてくれていたり、さまざまな配慮がなされている。
また、有料公開講座は学ぶ内容こそ本格的だが試験等がない。そのため、何かに追い立てられることもなく、気軽に楽しむことができる。それに試験がないということは、単位取得もなく卒業もない。そんな環境だから、10年以上利用し続けているという人も決して珍しくない。年間1~2講座であれば、そこまで大きな負担にもならないだろう。末永く学びを楽しむ……つまりは、学ぶことを趣味にするのなら、有料公開講座はとてもいいプログラムなのだ。
若い学生とともに学べる2つの制度
せっかく大学で学ぶんだったら、若い学生たちと学びたい。そんな風に思う人もいるだろう。そういう人にすすめたいのが、科目等履修生制度と聴講生制度だ。こちらは大学の正規科目の一部を、学生たちと一緒に学ぶことができる制度になる。
2つ制度を挙げたが、どこが違うのかというと、科目等履修生制度だと試験等が課され合格すると単位取得ができるのだが、聴講生制度だとこれができない。科目等履修生制度で取得した単位は、社会人進学をしたときに卒業所要単位の一部にカウントすることができる。なので、いつかは進学をと考えているなら科目等履修生制度をすすめたいが、単に学びを楽しみたいのであれば、聴講生制度で十分だろう。ちなみに、これら制度を利用した場合、入学料と授業料(1科目)を合わせて、だいたい4~8万円程度になる。正規科目は90分15コマないし、100分14コマというのが多く、このボリュームを考えると、納得できる費用感だ。
科目等履修生制度と聴講生制度の売りは、なんといっても若い学生たちと同じ教室で学べることだろう。若い学生と学ぶと、普段、気づけないことに気づけたり、エネルギーをもらえたり、良いことがたくさんある。また、科目等履修生制度を実施している大学は、2018年度段階で、全大学のおよそ85%に当たる645校となる。有料公開講座を大規模に展開している大学は首都圏や関西圏に集中してしまっているが、科目等履修生制度であれば、大学さえ近くにあれば利用できる。この点も大きな魅力だ。
逆に、これら制度を利用する際に注意しておいて欲しいこともある。それは履修するのが、基本、正規科目になるため、平日の日中に開講しているものがほとんどということだ。土曜日に開講している科目もあるにはあるが、働いている人にとっては履修が難しい場合が少なくない。また、若い学生と学んでいると、なかには不真面目な学生と出くわすときがある。学生の態度や姿勢にストレスを感じてしまうなら、この制度の利用はひかえておいた方が無難かもしれない。
1科目から学べて、費用もそこまで高くない。この点においては、有料公開講座も科目等履修生制度・聴講生制度も、とても似ている。でも、もう少し踏み込んで見てみると、かなり違いがある。自分の好みや置かれている状況に合わせて、ぜひ大学でプチ本格的な学びを味わってみて欲しい。