前回の大学はこう使え!のコラムで「実はこんなに面白い大学スポーツ!」と題して、プロスポーツとはひと味ちがう大学スポーツの魅力について紹介した。それで、このときのコラムの最後にサラッと「学生スポーツ新聞」について触れたのだが、実はこの新聞かなり面白いのだ。今回は大学スポーツを何倍も味わい深くする、学生スポーツ新聞について取り上げていきたい。
学生たちがつくる、とにかく中身が濃い新聞。
まず、学生スポーツ新聞とは何か、だが、これは簡単に言うと、スポーツ新聞の学生版である。ただ通常のスポーツ新聞は、たとえ贔屓の球団やチームがあったとしても、ある程度まんべんなく情報が載っている。でも、学生スポーツ新聞の場合、学生記者たちが自校のクラブの活躍にのみスポットライトを当てて記事を書いているのが特徴だ。
発行回数は大学によって異なり、多いところなら年10回以上、少ないところだと年数回。また、すべての大学で発行しているわけではなく、スポーツが強い、とくに野球、ラグビー、サッカー、駅伝といった人気のある大学スポーツが強い大学が積極的に発行している印象がある。
少し前の情報となり恐縮なのだが、4年ほど前に、最も歴史があると言われ、「大学新聞コンテスト」のスポーツ新聞部門で3年連続(2013~2015年)最優秀賞を受賞した「明大スポーツ新聞部(明治大)」を取材したことがある。このとき聞いた話だと、明大スポーツは月に1回の発行で毎号1万部。関東大学ラグビー対抗戦での早稲田vs明治、いわゆる早明戦のときに発行する「ラグビー明早戦特別号」に限っては、なんと3万部も発行すると聞いた。3万部、もうこれはちょっとしたメディアである。
情報が隅々まで情報が詰まった誌面は圧巻のひとこと。写真も迫力があり見応えがある(明大スポーツ)
「早明戦(ラグビー)」に劣らず人気な「早慶戦(野球)」の会場で売られていた『早稲田スポーツ』と『慶應スポーツ』の特別号
また、明大スポーツの学生記者は、担当するクラブに頻繁に顔を出し、上述した早明戦の時期になると、複数の記者が休日返上でラグビー部に通い詰めるのだという。選手たちは話しやすい同窓の学生記者に何度も顔を合わせて取材されるわけである。当然、他では言わないような心情も、ついつい語ってしまうことだろう。
明大スポーツの制作風景。誌面にかける情熱は並々ならないものがある
学生スポーツ新聞は、こうやってゲットせよ。
今回は明大スポーツを例に挙げたが、他の学生スポーツ新聞も程度の差こそあれ似た魅力がある。つまり、紙面内容が限定的ではあるけれど、ものすごく濃いのだ。ではこの新聞、一体どこで手に入れたらいいのだろうか。
一つは、発行日のすぐ後に大学に訪れるとラックなどに並んでいるので、そこからもらうという方法がある。しかしこれは近隣に住んでいる人はともかく、それ以外の人にとっては猛烈に億劫である。そのためおすすめしたいのが、各学生スポーツ新聞に定期講読を申し込む、という方法だ。
明大スポーツをはじめ、早稲田スポーツ(早稲田大)、KEIO SPORT PRESS(慶應大)、立教スポーツ(立教大)、スポトウ(東洋大)などなど、メジャーどころの学生スポーツ新聞は、すべてウェブサイトを持っており、ここから定期購読の申し込みができる。値段は、発行回数などによって異なるのだが、だいたい送料込みで1,500〜4,000円くらい。ウェブサイトで試し読みができる場合が多いので、そちらを読んで判断するのがいいだろう。
さらに言うと、これら学生スポーツ新聞のウェブサイトにはけっこうな情報が載っているのだ。学生スポーツ新聞に比べて即時性も高い。記事としては“読ませる”というより、最新情報を“伝える”ことに主眼を置いた短文のものが多いのだが、こちらも合わせてチェックするとより深く情報を得ることができる。
学生スポーツ新聞とウェブサイト。二つを上手に使うことで大学スポーツ観戦はもっともっと楽しくなる。まずは騙されたと思って、興味のある大学に学生スポーツ新聞がないか、ウェブで検索してみてはいかがだろうか。