2015年に発売され、お弁当箱としては異例の売上1億円を突破した東京家政大学×株式会社ロフトのレシピ本つき「カロリーBENTO」。シリーズ第5弾「SWITCH BENTO」も絶賛発売中です。今回はメガヒットとなったお弁当箱の誕生ストーリーからヒットの裏話までを直撃してきました!
お伺いしたのは東京家政大学の板橋キャンパス。メガヒットの仕掛人、栄養学科教授の土屋京子先生とヒューマンライフ支援センター(通称Hulip:ヒューリップ)准教授の内野美恵先生、そしてレシピを考案した学生さん3人に集まっていただきました。
お弁当作りのハードルを下げる
ヘルシー時短レシピ付きお弁当箱、誕生!
“健康を考えてマイ弁当を持って行こう!” 女性だけではなくジワジワと若いサラリーマンにも広がっていったお弁当ブーム。弁当男子という名称が定着してきた2015年1月に登場したのが、現代人のニーズに対応した健康管理ができる「カロリーBENTO」でした。
土屋先生(右奥)と内野先生(左奥)、栄養学を学ぶ3人の学生さん
東京家政大学ではこれまでさまざまな産学官連携事業を行っており、企業や自治体からの引き合いもたくさんあるそう。今回は地元十条にあるお弁当箱の製造会社からの声かけがきっかけとなり、ロフトでの販売につながったといいます。
「お弁当を持って行きたいけれど、作るのが大変。そう思っている人たちにとってお弁当作りはハードルが高いんですね。ならば、お弁当箱のサイズにあったレシピを付けてはどうだろう?」と内野先生。
「レシピ通りに作れば、栄養バランスがよくてカロリー・コントロールも簡単にできるお弁当箱がいいんじゃないかと。本学とロフトさんなどがアイディアを出し合って誕生しました。今までにないレシピ本を付けたことで、特に若い男性を中心に受けましたね」。
「カロリーBENTO」シリーズは学園貢献賞 理事長賞を受賞!その功績が称えられました
現在発売中の「SWITCH BENTO」。スクエア型とオーバル型(2種)。カラーバリエーションも豊富な全28種類(税込2,052円~税込2,484円)
第1弾は「カロリーを抑えて、健康的にダイエットをしたい」「午後もがんばれるようお昼はしっかり食べたい」など目的に合わせて選べるタイプを発売。その後は、おにぎりを入れやすい形にしたものや、スープジャー型、そして第4弾では子ども向けのものを考案しました。
「東京家政大学は栄養学科だけでなく、服飾、造形、美術、児童学、看護など生活を支える学びの場であることもアピールしたかった。学内の子育て支援施設を利用しているお母さん方の意見も参考になりました。売上が某有名キャラクターに勝ったんですよ(笑)」内野先生の一言に、全員の笑顔がこぼれます。
(※第1〜4弾のお弁当箱は残念ながら発売が終了しています。ご注意ください)
1日に必要な栄養バランスを考える
より進化した「SWITCH BENTO」。
2018年2月に発売された「SWITCH BENTO」は、より目的を細分化して健康的な食生活にスイッチ、切り替えていこうというメッセージが込められています。
3タイプのお弁当箱それぞれに付いてくるレシピ本には、厳選されたメニューが10ずつ掲載されており、どれもSNS映えする彩りのいいお弁当。これ、朝から作れるの?と思える品数、意表をついた組み合わせ、そして斬新なネーミング…見ているだけで楽しくなってきます。
例えば、一日に必要なカルシウムの1/2が摂れるレシピ「かるがるカルシウム弁当」、一日に必要な野菜の1/2が摂れるレシピ「レンジで楽チン!野菜和風中華弁当」など。
慣れない人にとっては、この通り作って写真のようにつめればOKなのがポイントです。
「SWITCH BENTO」のスクエア型650ml(税込2,268円)。
「SWITCH BENTO」のオーバル型400ml(税込2,052円)。
レシピ開発を行ったのは栄養学科の学生たち。80~90にのぼる応募の中から選抜されます。
「良くも悪くも、レシピにはいろいろ驚かされています(笑)。これはできないだろうというものもありますし、素晴らしいからぜひというもの、少し手直しをするとよくなるもの。学生の発想力はすごいんですよ」とおっしゃるのは土屋先生。
土屋先生は「朝は忙しい学生が多いので時短で調理できることを頭において考えてもらいました。掲載されているメニュー自体はそんなに難しいものではないんですよ」。その言葉通り、レシピに記載の作り方はどれも簡潔にまとめられています。
「学生は栄養価計算はもちろん、調理技術、衛生面などの知識はあるのですが、いざお弁当となると、今まで気づかなかった問題点が見えるようになります。持ち運びするから汁が出たらいけない、時間の経過で変色したらいけないとか。試食会の度に指導すると、よくなっていくんですよ。試食会では山のように料理が並んで、食べるのが大変でした(笑)」。うれしそうに語る土屋先生がとても印象的でした。
「SWITCH BENTO」のオリジナル・レシピ開発
担当学生のリアルな思いを聞いてみた。
集まっていただいた3人は栄養学を学ぶ2年生。「SWITCH BENTO」のレシピ開発時は、入学間もない1年生だったそうです。お弁当箱のサイズとテーマはくじ引きだったとか。3人にご自身のレシピについて聞きました。
レシピ「午後もがんばろ!カラフルCa弁当」
鈴木 綾さん
当時は料理が苦手だったのですが、アイディアを出すのが好きだったので思いきって応募してみました。採用された時はすごくビックリ。なぜ選ばれたのか?という思いと、うれしい気持ちがありました。お弁当箱は小さなサイズのオーバル型(400ml)に決まり、働く女性をターゲットに、お昼ごはんを食べて午後もがんばろうと思える見た目もかわいいお弁当を考えました。
レシピはとにかく時短でできるもの、電子レンジで作れるものをと、自宅で何度も繰り返し試作を重ね開発しました。先生や企業の方に改善点を指摘され、それを修正してやっと完成。やっていくうちに料理が楽しくなって、自分にもできるということがわかりました。
レシピ「カルシウムたっぷり!彩り部活女子弁当」
久保陽奈子さん
容量の大きいスクエア型のお弁当箱だったので、部活をしている女子中高生をターゲットにしました。お弁当にオムライスが入っていたら女の子の気分は上がるかなぁって。もとは和風オムライスだったんですが、先生からオムライスといえばケチャップじゃないの?と指摘されて、やっぱりダメかと(笑)。レシピはオリジナル性と定番の大切さ、その兼ね合いが難しいと感じました。私は自宅で料理する時はいつも目分量なので、試作の度に正確に計量をすることが大変で。でも、このレシピを見た人が確実に同じ味を出すためには手は抜けない、いい経験になりました。
レシピ「運動部応援☆弁当」
金木夏美さん
高校時代、陸上部だった私にとってお弁当はカラダを作る大事なものでした。その経験を踏まえて運動部を応援する、チキンカツをメインに脂質を取りすぎない「たんぱく質が摂れるレシピ」を提案。はじめチキンカツはトースターで焼いていたのですが、衣が剥がれてしまい困っていました。先生から揚げ焼きにしてみたらとアドバイスをもらい、おかげでお弁当の一品として成立させることができました。カレー好きの人が多いのでお弁当に入れたら人気になるのではないかと、簡単にカレーピラフが作れる方法も考えました。炊きたてのご飯とカレールーで作るのでとても時短なんです。
学生の発想力×先生の指導力が最大限に引き出され、メガヒットとなった東京家政大学の「カロリーBENTO」物語。「SWITCH BENTO」編では学生さんのそれぞれの成長ストーリーはとても心に響いてきました。
気になる作り方はぜひ「SWITCH BENTO」でご覧ください!
東京家政大学の生活信条である、「愛情、勤勉、聡明」の碑の前にて