滅多に出会うことのない珍しい生物や、身近にいながらアッと驚く不思議な生態をもつ生物……。めくるめく生きものの世界を探究する研究者たちにインタビューするほとゼロ名物企画「珍獣図鑑」が、なんとこのたび書籍化することとなりました!!
これまで多くの研究者の方々を取材させていただき、2024年にはほとゼロ初の一般読者向けトークイベントを開催するなど、ほとゼロ編集部としても思い入れの深いこの企画。いつかは……と密かに願い続けていただけあって、感慨もひとしおなのです。
書籍化にあたり、サイト掲載記事から6本を選んで大幅加筆、さらに新たに4人の研究者に取材した書き下ろしを加え、計10人の研究者のお話を収録したインタビュー集となりました。
というわけで本日は、8月26日に刊行される珍獣図鑑本、改め『先生!なぜその生きものに惚れたんですか?』(ほとんど0円大学編集部 著、玄光社 刊)についてご紹介していきます。
名作記事6本を再取材して、それぞれの「惚れ」をさらに深堀り
珍獣図鑑では、これまで27人の生物研究者の方々にご協力いただき、オオグソクムシからガイコツパンダホヤまで多種多様な生きものについてご紹介してきました。取材をしていてとくにワクワクするのは、その研究者ならではのユニークな視点や熱量が垣間見えた瞬間です。
オオグソクムシにも「心」があるんじゃないか。
ナメクジは、殻がないというだけでカタツムリよりも冷遇されてるんじゃないか。
人間とナマコ、じつは似た者同士なんじゃないか。
……ちょっとその話、詳しく聞かせてください!となりますよね。
研究はあくまでも科学的事実の検証を積み重ねていくものですが、その根底には、研究者が研究対象に向ける静かな情熱があるはずです。今回の書籍では、それをあえて「惚れ」と呼ぶことにしました。
研究者がもつさまざまな形の「惚れ」を深堀りすべく、過去の記事の中から
ウォンバット
キイロシリアゲアリ
ナマコ
カモノハシ
オオグソクムシ
ナメクジ
の6本を選び、追加のインタビューを実施。気になる研究のその後の展開や、それぞれの生きものに寄せる思いについて伺い、大幅に加筆修正しました。生きものや研究者への解像度がグッと上がっているはずです。

紙面のイメージ。なんと全ページフルカラー!
生きものの魅力や研究の着眼点を「惚れポイント」として紹介しています
街なかからアマゾンまで、生きものを追う4人の研究者に新たにインタビュー
さらにさらに、書籍版への書き下ろしとして、新たに4人の研究者にインタビューさせていただきました。ここではその内容を少しだけご紹介します。
生きものと研究者それぞれの距離感を絶妙に表現したかわいいイラストは、イラストレーターの菅幸子(さすが)さんに描いていただきました!

ナマケモノ ✕ 村松大輔先生(奈良教育大学)
アマゾンでナマケモノの調査を行う村松先生は、哺乳類なのに外気温と連動して体温すら変化するなど、その驚異の省エネ戦略に迫ります。「動かない動物」を調査する大変さや心構えについても伺いました。

カラス ✕ 松原始先生(東京大学)
30年以上にわたってカラスを追い続ける松原先生。人間のそばで生きるカラスたちを観察していると、そのたくましさや、賢いイメージとは少し違った愛嬌ある部分も見えてくるそうです。

シャチ ✕ 大泉宏先生(東海大学)
ハクジラ類を専門とする鯨類研究者の大泉先生。まだ緒についたばかりだという北海道近海のシャチについての研究や、野生のシャチとの印象深い出会いについてお聞きしました。

ダイオウイカ ✕ 広橋教貴先生(島根大学)
広橋先生は、日本海沿岸に打ち上げられたダイオウイカを追う「ダイオウイカハンター団」を結成して活動中。「僕はイカの研究者じゃないんですけど」と語る広橋先生の、ダイオウイカの生殖に関する最新の研究とは?
いずれのインタビューも、生きものの生態と謎、研究の面白さや苦労、それぞれの研究者の自然観・生物観をギュッと詰め込んだ力作となっています。繰り返しますが、ほとゼロのサイトには未掲載のインタビューなので、ぜひ書籍でお楽しみください!
研究者の視点を通して、世界の広さを感じられる一冊
ほとゼロでは、大学という場所の活用方法、とりわけ、「学ぶこと」を通して新しい何かを知ったり、これまでにないものの見方に出会ったりする楽しさを発信してきました。本書はその現時点での集大成的な一冊……と言っても過言ではないでしょう。生きものが好きな人も、そうでもない人も、研究者の視点を通して世界の広さを感じていただけたなら、これより嬉しいことはありません。
8月26日、全国の書店で発売されるので、見かけられたらぜひ手にとってみてください。amazonほかネット書店でのご予約も絶賛受付中です!
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