3月8日は、「国際女性デー(International Women‘s Day)」。女性の権利を守り、ジェンダー平等を実現することをめざし1975年に国連により定められた日で、3月を「女性史月間」としている国もあります。ほとんど0円大学でも、これまでジェンダーに関連するさまざまな話題をお届けしてきました。その一部をふりかえってみます。
弱者が弱者のままで尊重される社会を
ジェンダー論、女性学といえばまずこの人を思い浮かべる人は多いのでは。現在は高齢者介護も研究テーマとしている上野千鶴子さんの講演レポートです。
「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重される社会を求める思想。弱者の中には、子どもやお年寄り、障害者、そして女が入っている」という言葉に、この思想は性別を問わず、すべての人のものだと気づかされます。
記事はこちら!→女性学のパイオニア・上野千鶴子先生が次世代に伝えたいこととは? 東洋学園大学の公開講座をレポート
家族の中の見えない関係性
成人した娘に何かにつけて口を出す母親。年賀状で家族の名前を書く順番はいつもお父さん、お母さん、子どもの順。
「〇〇とは普通こういうもの(でも、改めて考えると何か変)」ということ、家族関係の中でもたくさんあります。長く続いた慣習を変えることには勇気がいりますが、身近なことから変えていくのが最初の一歩。そんな取り組みが紹介されています。
記事はこちら!→「家族」の中の見えない関係性を、哲学と社会学で解きほぐす。立命館大学のセミナー「人間関係のデモクラシー」レポート
「知ることからしか始められない」~スポーツのジェンダー
スポーツの世界でもジェンダーの問題に注目が集まっています。こちらで紹介しているのはトランスジェンダーとスポーツをテーマとするシンポジウム。
トランスジェンダーの元アスリートが、好きなスポーツを楽しむこともままならなかった実情を明かし「知らないがゆえに差別や偏見が生まれている。結局知ることからしか始められない」と語っています。
記事はこちら!→スポーツにおける多様性とは?成城大学の公開講座でLGBTについて考える。
ジェンダー論やフェミニズムに関心をもつのは性的少数者や女性で、男性は関心も関連も薄い(当事者ではない)という印象をもっていました。
「当事者と非当事者、健常者と障害者といった二元論で考えても、どちらかの側面だけにいる人っていない。誰だっていつかは高齢者になるし、事故で車イス生活になるかもしれない。『みんなが多様な人』だと捉えて向き合っていくことが大事」(杉山文野さん / 成城大学の公開講座にて)
ここで語られているさまざまな課題は、社会で生きる(そして何らかの規定や固定観念の対象となる)すべての人に当てはまることなのかも、と感じます。