ここ最近、歩いているとうっすら汗ばむほどの陽気が続いている。こんなときに、つい食べたくなるものはというと、そう、アイスクリームだ。少し前に、なんとも不思議なアイスを取り上げたところだが、今回はそれに負けない魅力的な大学発のアイスをどんどんと紹介していきたい。
半世紀近い歴史をもつ、はちみつアイス
一つ目は、玉川大学がほこる人気商品、「たまがわアイスクリーム」。1970年に誕生し、いったんは乳牛飼育の終了などにより販売中止になった。しかし、根強いファンの声もあり、2007年より販売が再開。今では、なんと年間4万個以上も販売するまでに成長している。
このたまがわアイスで、ぜひ食べて欲しいのが、ミルク&はちみつ味。というのも、玉川大学は日本で唯一ミツバチの総合研究機関をもつ大学で、半世紀を超すミツバチ研究の実績がある。そんな玉川大が、アイスクリームとの相性のよいはちみつを選んでブレンドしたのがこのアイスになる。食べてみると、しっかりとしたはちみつの味と風味が感じられる。いわゆるバニラとは少し違う味わいだが、はちみつを活かしたやさしい味は、毎日でも食べたくなる。
はちみつの効いたミルクアイスはクセになる味わい
他にも、プレミアムバニラ、ストロベリー、チョコレート、抹茶、ぽんかんハニーシャーペットとあり、どれも美味。ちなみに2010年に誕生した最新のフレーバー「ぽんかんハニーシャーベット」は、同大学農学部が農場実習を行う鹿児島県の農場で採れたポンカンを使用している。商品情報を見ていて、ふいに「玉川大学が鹿児島に農場を持っているんだ」という素朴なサプライズにぶち当たる、これもまた大学発商品の面白さの一つのように思う。
(左)すっきりとした味わいが暑い日にぴったり。ぽんかんハニーシャーベット
(右)プレミアムバニラは、高級感あふれる濃厚な味
学生たちが搾った牛乳をアイスに
次は、帯広畜産大学の「畜大牛乳アイスクリーム」を紹介しよう。このアイスは、甘さおさえめで、牛乳の味が引き立っているのが特徴。濃厚だけど、さっぱりしているという表現がぴったりと合う。
このアイスの原料となる牛乳は、東京ドーム25個分の広さ(約120ヘクタール)を有する帯広畜産大の「畜産フィールド科学センター」の農場で飼育された乳牛から搾乳されている。ちなみにこの広大な農場と同じ敷地に、大学の講義棟や研究棟があるという。学外施設ではなく、キャンパスで育てているのである。さすが、北海道はでっかい道、である。
面白い点がもう一つある。それは、乳牛たちの搾乳を、学生サークル「うしぶ。」が担当していることだ。大学発商品に学生が関わるというと、商品を生み出すアイデアやマーケティング部分が多い。でも、ここでは生産の一部を担っているのだ。搾乳は、朝夕5時、365日。かなりハードだ。現役の学生たちが、これを交代制で担当している。そんな頑張りエピソードを知ると、アイスがさらに美味しく感じてしまう。
(左)牛乳のおいしさをしっかりと味わえる畜大牛乳アイスクリーム
(右)送られてくるボックスの牛のイラストがなかなかかわいい
和と洋の魅力がつまった冷たいスィーツ
最後に、少し変化球として取り上げたいのが、東京農業大学の「笑友(エミュー)生どら焼き」だ。これは東京農大オホーツクキャンパスで飼育されている、世界で2番目に背の高い飛べない鳥「エミュー」の卵を使ったどら焼きである。甘さ控えめで、生地がもっちりして、これがうまいのだ。
…どら焼き? と、ほとんどの人は思ったに違いない。そう、どら焼き、である。このどら焼き、凍ったままで食べても美味なのである。なお、この食べ方は、別に私が発見したわけではなく、商品に同封されている説明書きにきちんと書いている。
食べてみた感想は、解凍したときよりも味わいがあっさりとして、これはこれでおいしい。書き忘れていたが、このどら焼きの餡は、あんこではなく、小豆クリーム。これが小豆アイスのような味わいになる。和菓子とスィーツの間のような味わい。甘いもの好きには堪えられない一品だといえる。
冷凍のまま食べるとまた別の味わいを楽しめる、笑友生どらやき
アイスクリーム系の大学発商品は、冷凍されていることもあり、気軽におとりよせで味わうことができる。これから、どんどん暑くなっていく。コンビニのアイスもいいけれど、大学ならではのこだわりが詰まったアイスを、たまには口に運んでみてはいかがだろう。