歴史的価値のある校舎や、デザイン性あふれる図書館など、大学は学びの場であるとともに見応えいっぱいな観光スポットでもある。そして、大学の建造物もいいのだが、今回はそれ以外の観光地的な要素、大学の自然について取り上げていこうと思う。
花見の季節こそ大学に行こう
まず大学の自然として、よく取り上げられるのが“桜”である。ほとゼロでも、以前、大阪府立大学、中百舌鳥キャンパスの「府大花祭り」をレポートしたことがあるが、桜の名所になっているキャンパスは多い(記事はこちら)。そして、この桜を学生や教職員だけで楽しむのはもったいないと、地域向けの花見イベントを開催するところがけっこうある。
大阪府立大学、中百舌鳥キャンパスの桜。撮影日はあいにくの曇り空だった
いくつか例を挙げてみよう。校章やシンボルマークのモチーフにも桜を使う跡見学園女子大学の新座キャンパスは、45種類もの桜が咲き誇る名所。3月下旬には「桜まつり」が開催される。大妻女子大学も同じく「大妻さくらフェスティバル」を3月末に開催しており、地域住民に愛されるお花見スポットとして人気だ。他にも、成蹊大学の「成蹊桜祭」や、東京純心大学の「純心桜まつり」などなど、少し探すだけでも次から次へと見つけることができる。
これって花見の時期に書くべきだろう…という指摘を受けそうだが、まぁそれには耳を閉じといて、と。このように、大学には格好の花見スポットがあるのだ。しかし、忘れてはいけないのは、大学は学び場であるということ。酒を飲んでのランチキ騒ぎは御法度である。静かな心で、桜を愛でて欲しい。
休日におすすめ! 大学附属の植物園
薬学系や理学系の学部学科がある大学のなかには、植物園を持っている大学がある。この植物園というのも、大学の自然を楽しめるスポットだ。有名どころを挙げるなら、これまたほとゼロで以前取り上げた、東京大学の小石川植物園こと東京大学大学院理学系研究科附属植物園(記事はこちら)や、大阪市立大学理学部附属植物園、北海道大学植物園あたりかと思う。
161,588m2(48,880坪)という広大な敷地をもつ東京大学大院理学系研究科附属植物園
これら大学附属の植物園は、入場料が数百円と格安なうえに、休日であってもテーマパークのように激混みすることがまずない。さまざまな植物を観察しながら歩き回るもよし、自然のなかを子どもとめいっぱい遊ぶもよし。私も何度か訪れたことがあるのだが、これが思いのほか楽しいのだ。
また、小石川植物園には、ニュートンが万有引力を発見するきっかけになったリンゴの木が分譲されていたり、学術的価値や逸話のある植物もこれら植物園にはちらほらとある。入り口でもらう園内ガイドを手に、こういった植物を探してみるのもいいだろう。
キャパスの自然をイベントで堪能
最後に、キャンパスそのものが自然の宝庫、という大学もある。広大な敷地のあるキャンパスそのものに、森林や山がくっついている大学だ。法政大学の多摩キャンパスは、東京ドーム10個分の面積に相当する約46 haの森林があるし、大阪大学の豊中キャンパスには待兼山という山がキャンパスのなかにある。
こういった大学では、自校の自然を活かしたワークショップや講座を地域向けに開催していることが多く、それらに参加することで自然を満喫することができる。たとえば、阪大では待兼山を舞台に「阪大植物探検隊」というプログラムを毎年春と秋に開催している。このプログラムでは、阪大の教員と待兼山を散策し、その後に講義を聴いて、阪大の自然を堪能する。こちらのレポートを、ほとゼロに掲載しているので興味のある方はぜひ読んで欲しい(記事はこちらとこちら)。
大阪大学の人気プログラムとなっている「阪大植物探検隊」
大学といえば、アカデミックな場所、文化的な場所というイメージが先行しがちだ。でも、実はそれだけじゃない。自然というのも、そんな知られざる顔の一つのように思う。初夏の日差しが気持ちのいい日が続いている。ぜひ誰かと一緒に、また一人で、大学の自然を楽しみに出かけてみてはいかがだろう。気分爽快になること間違いナシである。